2012/08/29

ゼクシィのビジネスモデル

リクルートは言わずと知れたメディア・広告業界の大手企業ですが、中でも結婚情報誌「ゼクシィ」は大成功したビジネスのひとつでした。そのゼクシィ成功の軌跡がこの記事によくまとまっています。

独り勝ち・「ゼクシィ」商法の光と影、今や強者の驕りも垣間見え (東洋経済オンライン)

バブルが崩壊したばかりの1993年ゼクシィは創刊されました。定価があたりまえだった高級ホテルや結婚専門式場への客足はぱったり減り、同時にハウスウエディングが登場した頃でした。アットホームで欧米風の新しいブライダルスタイルが生まれたわけですが、いかんせん新しいビジネスだったので集客が必要でした。そこで同時期に誕生した新しいもの同士である結婚情報誌ゼクシィに出稿し、集客をしたのです。この新興勢力に対し、ホテル・結婚専門式場は、「何やら新興勢力が騒いでおるわ」みたいな高みの見物だったようで、ゼクシィには広告を出稿しないという態度を貫いていました。

しかし、この新興勢力に顧客を奪われ始めると、危機感を感じたホテルや結婚専門式場も出稿を始めます。そして出稿料は高騰を続け、1ページ100万円に達したそうです。


古い業界を破壊するビジネスモデル実は最近のネット系ビジネスはゼクシィに類似した、「古い業界破壊系」のビジネスが多く見られます。ゼクシィは紙媒体ではありますが、基本的には同じ構造です。どういったビジネスモデルかというと、

1. 企業とユーザーの間に情報の非対称性が見られる業界を選択する
2. ユーザーに圧倒的有利なプラットフォームを作り、ユーザーを集客する
3. そのプラットフォームを利用した企業だけにユーザーを送客する

ということになります。単純化すると。

実はこのビジネスモデルの類似系は至るところで生まれていて、たとえば不動産仲介のSUUMOやぐるなび、引越しのやリフォームの見積サイト、保険の見積サイトもこの範疇に入ると言えるでしょう。


1. 企業とユーザーの間の情報非対称性
あまり競合間の競争が激しくない業界では、企業側とユーザーの間に情報の非対称性を作り、利益を確保するという構造があります。結婚式場がまさにそうで、ハウスウエディングとゼクシィが侵略してくるまでは定価販売が当たり前で、わざわざ式場に出向いて長時間営業を受けながらでないと見積を取ることができない業界でした。当然平日仕事を持っている人がほとんどなので、現実的に、比較は数社に限られたでしょう。むしろ比較しない人も多かったかもしれません。これは情報を出し惜しむことによって競争を避けていたということです。当然ユーザーにはデメリットしかありませんが、他も同じなので業界の通例に従うしかありません。先に上げた「古い業界破壊系」ビジネスのターゲットになった例はみな同じような理由でユーザーがデメリットを被っていました。

2. ユーザーにメリットのあるプラットフォーム
この情報非対称性を解消された場所があるとすればユーザーは大きなメリットを享受できます。結婚式場の例で言えば、予めメニュー化されたプランと価格が手に入るのならば、結婚式場に出向く必要がなくなるので多くのプランを比較する選択の自由度が高まりますし、類似プランは価格競争の対象となるので値段も下がっていいことづくめです。なので、ゼクシィは結婚式場選びのプラットフォームを目指して出版されました。最終的なターゲットはホテルや結婚専門式場だったのでしょうが、当然自分たちのビジネスモデルを破壊するゼクシィに喜んで出稿するわけがありません。最初の釣り餌として利害が一致したのがハウスウエディングだったのでしょう。

3. プラットフォームを利用した顧客だけに送客
最後の仕上げはユーザーの導線の掌握です。ゼクシィはプラットフォームを作りそこにユーザーを集めることにより、ユーザーの導線を握りました。そしてゼクシィに出稿する企業に送客することによりゼクシィへ出稿していない企業をエコシステムから追いやり、出稿を迫る圧力をかけました。


教訓になるのは、ゼクシィにとって顧客はホテルや式場ですが、その先の顧客である結婚したい男女を集客し、本当の顧客であるホテルや式場を集めたということです。とてもクレバー。つまり、『顧客のエンドユーザーを集客し、エンドユーザーを顧客へ送客する経路を握る』ビジネスモデルということです。
他の切り口で言うと、『企業→ユーザーというパワーバランスを逆転させて、ユーザー→企業にする仲介役を担うビジネスモデル』という言い方ができるかもしれません。いろんな業界やビジネスモデルに転用できそうですよね。


ビジネスモデルまとめ:
『顧客のエンドユーザーを集客し、エンドユーザーを顧客へ送客する経路を握る』
『企業→ユーザーというパワーバランスを逆転させて、ユーザー→企業にする仲介役を担うビジネスモデル』


今回はゼクシィのビジネスモデルについて見てきましたが、明日はこのビジネスモデルを他に展開するには?もっとゼクシィのビジネスを拡大するには?というアイディアを考えてみたいと思います。


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