2012/09/29

NECのウルトラブックは売れるか


最近iPadなどのタブレットが好調である一方、出荷台数が低迷気味のパソコンですが、業界の人々が密かに期待を寄せているのがウルトラブックです。11インチ〜14インチ程度のサイズで厚さが10〜20ミリ程度と非常に薄いのが特徴で、記憶媒体にSSDを採用しているので起動が早いという特徴があります。ある意味タブレットに近い製品です。
今業界でホットなウルトラブック。主要なプレイヤーは、初めて消費者にウルトラブックの価値を問うたAppleのMacbook Air、WindowsPCでいち早くこれに対応したASUS ZenBook、そしてPCの世界でのガリバーであるHPやDellです。日本メーカーも後を追って続々市場へ投入し、国内市場では国内メーカーのウルトラブックがシェアを有しています。

日本メーカーの中でも、これぞ日本のお家芸とも言える技術力を駆使した超軽量なウルトラブックで市場に切り込んだメーカーがNECです。NECが市場に投入したLavie Zシリーズは13.3インチでありながら、他社製品が1.1〜1.3kgという重量が一般的な中、わずか875gと20〜30%と驚異的なシェイプアップをしたウルトラブックを開発しました。
市場の反応もよく、価格.comなんかを見てみると売れ筋ナンバーワンになっているようです。テック系のブログなどでも「これぞ日本のお家芸」的な好意的な反応をもって受け入れられています。
しかし、私には軽さを重視するユーザーやNECや国内メーカー贔屓のユーザーの購入が一巡したら失速すると思っています。むしろ、国内製造業がことごとく嵌ってきた罠にまた進んで飛び込んでいるように見えます。

1つ目の理由は、技術的な優位性はすぐに追いつかれて体感できる差がなくなり、ユーザーにとって価値を持たなくなるからです。現時点で他社製品より20〜30%安いというのは驚異的です。しかし、まもなく他社メーカーもリバースエンジニアリングなりで追いついてくることでしょう。設計で限界まで軽くできたら、あとはもうバッテリーやボードなどコアな部品が進化してさらに軽量になることを待つしかありません。しかし、その時は全メーカー横並びで軽量化できるということです。他社比較で優位な軽さというアドバンテージを持ち続けることができるのは、せいぜい半年〜1年程度ではないでしょうか。

2つ目の理由は、訴求するポイントにウルトラブックの基本的な特徴を選択しているということです。ウルトラブックを他のモバイルPCをと皮革した場合の特徴は、軽い、薄い、早い、バッテリーが持つ、高い、という5点程度に集約できます。NECはこの中の「軽い」に圧倒的インパクトをもたせました。そして売れています。これを逆手に取ると、さらに軽ければLavie Zを選択する理由はなくなります。

これがニーズを満たすことで買ってもらうと努力することの難しさです。さらにニーズを良く満たす製品があればお株を奪われるということです。だからメーカーは防衛策として全方位型にニーズを満たそうとするのですが、その結果八方美人で器用貧乏な特徴のない製品が出来上がります。これが国内製造業がよく陥る罠です。

MacBook Airを見て下さい。スペックは大した特徴がありません。しかしスターバックスやエクセルシオールでウルトラブックを開いている人の何割がMacBook Airを開いていることでしょうか。Appleは決してニーズを満たそうとしたのではなく、ユーザーの経験に注意を払ったのです。人前で開くことが楽しみになるようなデザインはもちろんのこと、自宅に母艦となるPCを持ちMacBook Airは外で利用されることを想定し、iCloudで母艦PCをとMacBook Airの利用環境が簡単に統合できるという価値を提案しているのです。こうしたニーズではなくウォンツを刺激することに長けたAppleがやはり安定した収益をあげているのです。

日本の製造業もニーズ追求の罠から抜けだして、ウォンツ追求型でファンを集めるビジネスに転換していってほしいものです。


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美容室ビジネスの拡大アイディア出し


前回まで三連投でアイディア発想法のまとめを書いてきました。
実際にアイディア発想法を活用して、新しいサービスやビジネスモデルを考えてみたいと思います。

題材として、美容室を取り上げてみたいと思います。「若い女性向けにグルーミングサービス(ネイルや着付け)を提供する美容室」という定義を水平思考でアイディアを出してみる。

1. <逆転>男性向けグルーミングサービスの美容室?
女性向けの美容室は日々進化しており、男性用の床屋とはサービスが違います。成人式や卒業シーズンになると、どの美容室でも着付けサービスを行っていますし、着物レンタルをしている美容室もあります。さらにネイルサービスを同時に提供している美容室も多く、女性にとって美容室はただ髪を切るところではなく身だしなみを整える場所になっています。
同じようなコンセプトで、「若い女性」という視点を水平移動して「(若い)男性向け」にこういったサービスを提供できないでしょうか。男性でもデートや合コンなど、気合を入れて身だしなみを整えたいときがあるはずです。もともとお洒落な人が、髪型のセットや爪みがき、その他自分では気づかないような身だしなみの乱れがないか確認したいという需要と、お洒落でない人が、服装や髪型や身だしなみ全般をまとめてコーディネートして欲しいという需要があるのではないでしょうか。

2. <結合>カフェとグルーミングサービスを融合した美容室
美容室の若い女性客はパーマやヘアカラーといった時間が掛かるサービスを利用している人が多く、美容室はそれを飽きさせないために工夫をしています。一般的なところで雑誌を置いてみたり、映画を流したり。それだけでなく、カフェを併設してみてはどうかというのがこのアイディアです。
美容室を一つのコミュニティとしてみなし、美容に関するさまざまな情報を店内に配置し、時間をつぶしている顧客同士の気軽な会話ができるようにしかけがあるといいかもしれません。待ちになっているお客さんも退屈せずに待つことができますし、カフェに立ち寄ったついでにちょっと前髪をカットしていこうかな、のようなカジュアルな利用が生まれるかもしれません。

3. <結合>ネイルや着付けの教室をする美容室
ネイルや着付けのサービスを提供している美容室はありますが、さらにそれを顧客に教える機会を提供してはどうかというアイディアです。自分でネイルや着付けができるようになることによって来店機会が減るのではないかという危惧もあるかもしれませんが、結果的に美容室のブランディングとなってファンが増える可能性は十分にあるでしょう。

4. <結合>服やアクセサリの貸出も行うトータルコーディネートのできる美容室
ヘアーカットやネイルはあくまでも全身のオシャレの一部に過ぎません。全身をトータルでコーディネートするサービスを美容室で提供すれば、さらに一歩進んだ価値を提供できます。デート前に立ち寄ってメイクやアクセサリー、洋服のトータルコーディネートでさらに可愛くなれます、という価値を提案できれば、結構若い女性の注目を集められる思います。自分がカワイイと思う服と、自分が着ると可愛くなれる服は違うものですからね。
ここからさらに発展して、借りた服を気に入ったらそのまま買取できる、返却を「除去」したサービスも考えられますね。

5. <強調>校則に違反しない範囲で最大限のおしゃれを提供する女子中高生向け美容室
顧客を絞り込んで、特定の顧客ニーズに徹底的に答えようという案です。近隣の中学・高校の校則を調べてどこまでがセーフなのかを知り、その範囲で最大限オシャレな髪型を提供できるとニッチながら人気が出そうです。

6. <除去>女性版QBハウス的な美容室
徹底的に無駄を絞り、短時間・低価格を売りにしているQBハウスですが、今のところ利用客はほとんど男性だけです。しかし、短時間・低価格のニーズは間違いなく女性にもあるはずです。しかし、あまりにも洒落っ気がないのは女性には好まれないと思いますので、店内の内装などはそれなりのクオリティは保ちつつ、オペレーションコストを下げて短時間・低価格を実現した美容室がウケるでしょう。

あまりアイディア出しが得意だと思っていない自分でも、昼休みに水平思考で数分考えてみただけでこれだけのアイディアが出ます。しかもまだまだ色々アイディアは出せそうです。
誰かがアイディア出しは技術だと主張していましたが、全くもってその通りで、まずは知識を集め、実際の例を用いて考え方を習得し、実践に活かしていかなければ意味がないですからね。

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2012/09/27

アイディア発想法まとめ3

昨日の続きで、島田 始氏の著作「僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。(アスコム)」から、9つのアイディア発想法の残り5つについて紹介していきます。


□フォーカスチェンジ発想法
フォーカスチェンジ発想法は、これまで焦点をあてられていなかった価値に焦点をあててみる発想法です。例えば、今となってはほとんど使われないテレホンカードに焦点を当てたのが福山ニューキャッスルホテルです。このホテルでは、宿泊料金に余ったテレホンカードを使うことができるというプロモーションを行いました。カードの額面通りには換金できないのでしょうが、ホテルとしては少し宿泊料金を割り引いた程度で損はないのでしょう。これで顧客の来店動機になればしめたものです。顧客としても使わないテレホンカードを宿泊料金にあてることができて、ラッキーと思うことでしょう。まさにwin-winの関係ですね。
また、一昨日のビジネスにおけるアイディア出し方法論まとめで紹介した例ですが、デジカメの機能競争が激しさを増してきてほとんど差別化が図れなくなってきたときに、カシオは小型化に特化して競争を回避しました。このように、いままであまり重視されていなかった価値にフォーカスをあてることで、その価値に魅力を感じる一定数の顧客のハートを射止めることもできるのです。

□アンチユビキタス発想法
モビリティやインターネットの発達で、世界の距離と時間はどんどん縮小していく傾向にありますが、あえて、というか、だからこそ「いま・ここだけ・あなただけ」の価値を生み出す発想法です。今現在、大半の商品は当たり前のようにユビキタスの方向へ進化するように仕向けられています。例えば食品はより多くに人に買ってもらうために、どこでも手に入るように流通戦略を考え、消費期限が伸ばせるように研究開発を行います。そのために本格的な味や素材本来の風味というのが犠牲になっています。むしろこれらの価値を最大限高め、代わりにいま・ここだけ・あなただけの商品にすることにより多くのコアなファンを生み出すことができます。

□ミキシング発想法
発想法としてはベーシックなテクニックですが、意外性のある異質なもの同士を組み合わせて新しい価値を提案する方法です。例として本書で紹介されているのは、海外ウェディングです。いまでは当たり前ですが、当たり前ではなかった時代では「海外旅行」と「結婚式」を結びつけるという考えは意外性があったのです。
重要なのは、面白い組み合わせを思いついたらそこから深く検証し、顧客にとってどういう価値をもたらす可能性があるかをよく考えることです。ただ面白そうだと思って手を出すのはただの無謀ですし、深く考えずに「まあ、無理だよね」とあっさりアイディアを捨ててしまうのももったいなすぎます。海外旅行と結婚式の組み合わせもアイディアを思いついた人は沢山いたかもしれません。でもほとんどがその場限りのよもやま話で終わってしまい、そのままアイディアを捨ててしまったのでしょう。本気でどういう価値を顧客にもたらすのかを考えて、その価値を提案したのは雑誌「Hanako」だったのです。

□バズ的発想法
SNSやコミュニティを通じての口コミを上手く使おうというアイディア発想法です。今の時代、とても重要な考え方だと思います。単純に自分たちの商品やサービスの紹介をお願いしたり、写真撮影とSNSへの公開を許可すればいいというのではなく、もう一捻りして、どうすれば顧客が取り上げたくなるかを考えるのです。面白かった事例が、あるビアガーデンでアサヒとキリンのその日出たビールの本数をスコアボードに書いて表に張り出すという事をしました。数字はリアルタイムに書き換えていきます。これをみれば、お客は自分の好きなメーカーを応援するために注文を増やしますし、通りかかりの人もついつい写メをとってツイッターやフェイスブックに流したくなりますよね。こうした仕掛けを考えるのがバズ的発想法です。

□デザイン発想法
今の時代はニーズを満たす商品は身の回りにあふれ、コモディティ化しています。ニーズを満たすだけの没個性的商品は価格競争で勝負するしかなくなります。しかし、ニーズを満たすだけの商品の洪水に飽きた私たちは「そう、こういうのが欲しかった!」というウォンツを満たす商品は高額でも手にしてしまうのです。例えば最近リリースされたiPhone 5がそうです。Apple全商品に言えますが、同じカテゴリの商品と比べて比較的高価にもかかわらず、新商品が出るたびに大きな話題になりファンが我先に手に入れていくのです。私もiPhone4Sの残債がある身でありながら迷わず予約してしまいました。
こうしたウォンツを満たすことによって売れている商品は、みなデザインが優れているという特徴を共有しています。単純にスタイリッシュというわけではなく、製品自体のデザインやパッケージ、あらゆるメディアへの露出の仕方がその製品の持つ一貫したバリューを伝えているのです。機能やスペックではありません。iPhoneやiPadなどのApple製品は、所有していることによって時代の最先端にいるような気になれるし、周りからもそう見られる(気がする)のです。このような機能表やスペックシートでは伝えられない価値をデザインが雄弁に語るのです。だから今の時代はデザインありきで考えなければいけません。
その商品が持つ価値をどのようなデザインで表現すれば最も顧客に伝わるかな、と考えるのがデザイン発想法です。

要点をまとめたものを読むだけでは、「ふむふむ、なるほど」と納得して終わりになってしまうので、是非事例たっぷりの本書を読んで、身の回りの事例で考えてみて下さい。きっとみなさんの企画力にも効いてくるはずです。


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アイディア発想法まとめ2

昨日の続きで、今日もアイディア発想法についてまとめます。今日の題材となる著書は、島田 始氏の著作「僕たちはアイデアひとつで未来を変えていく。(アスコム)」です。

この本では、島田氏が自らの経験から実践的なアイディア発想法を9つ紹介しています。この9つの発想法をまとめて簡単に紹介したいと思います。
ちなみにこの本、さすが雑誌の編集をされていた著者だけあって、数えきれない取材に基づいた豊富な事例が載っています。一読してみてはいかがでしょうか。

□ソリューション発想法
解決策がまだなくて困っていることを探し、その解決策を考える発想法です。昨日別の本で取り上げた発想法と同じですね。この発想法は普段からの観察眼が物を言います。私たちは解決策が見つからない困りごとはほとんど意識に上がらないようになっています。カバンの中をかき回してもなかなか家の鍵が出てこない、とか。本当は困っているのに困っていることに気づくためには注意深く日常の「微差」に意識を向ける訓練が必要です。
また、解決策を考えるときにどの軸で解決策を考えるか、ということを意識するのが重要です。どの軸で解決策を出そうとするかで出てくる答えが全然変わってしまいます。まだバブルの残滓が残る時代、筆者は飲み会後の深夜時間帯に渋谷でタクシーが見つからないというサラリーマン困りごとを発見し、深夜の渋谷でタクシーがつかまりやすいマップの特集をしたら雑誌がバカ売れしたという事例を上げています。これも確かに「タクシーがつかまらない」という困りごとの解決方法ですね。でもこの解決策って、あくまでも筆者が雑誌編集者だったから出てきた解決策なんですね。タクシー会社の人であれば、深夜は地方から都心に空いているタクシーを寄せるなど、別の解決策が出てくるでしょう。ソリューション発想法でアイディアを出す場合は、自分が今解決策を考える元となっている軸を意識しましょう。意識的に軸をずらすことで、たくさんのアイディアを生み出せる人になれます。

□VS発想法
これは雑誌編集者らしい発想法です。主にプロモーションの話ですが、業界のナンバー1とナンバー2の対決がクローズアップされると、その頂上対決に注目が集中し、3位以下に目が行かなくなることを利用せよと言っています。ナンバー2にとって好都合な発想法で、ナンバー1との直接対決を演出することで、ナンバー1を倒せなくとも注目が集めて業界シェアを高める効果が狙えます。米国会計事務所のビッグ8なんて言いますが、あれも第8位の会計事務所が広めたと言われています。
著書の中ではJR九州が関東から旅行客を呼び込むためにライバルである航空会社と共にプロモーションし、九州への旅行客を大幅に増やした例があげられています。最近の例で言うと、池袋で本店を構えていたビックカメラに挑戦するように、ヤマダ電機が道を挟んで真ん前に大型店をオープンしたことが記憶にあたらしいですよね。二大電器店がさながら龍虎の図式ですが、電器店を目的に池袋を訪問する人が増えたため、顧客が奪われることを心配していたビックカメラも結果的に売上が上がりました。

□超常識発想法
常識では当たり前とされていることを疑い、アイディアに結びつける発想法です。本書で紹介されている例では、「ツアー旅行客は安全な国に行きたい」という疑う余地がほとんどなさそうな常識を疑い、あえて情報が少なく少々危険とされる国々でのアドベンチャーツアーで成功している旅行会社が紹介されています。もちろん、独自の情報ルートで安全を確認しているようですが、少し危険な香りのするツアーを求める顧客も一定数存在していたことが分かったのです。こうしたニッチな人々に適したサービスを考えると、新しいサービスの発想源になるのです。

□ツーウェイ発想法
これは困った事態を解決するために、ただ解決策を考えるのではなく一石二鳥を狙ってアイディアをひねり出す発想法です。一番最初のソリューション発想法をさらに発展させて、ただ解決させるだけでなく解決させる方法にも旨みをもたせようというものです。
2月の閑散期をなんとか収益に結び付けられないかと悩み、一石二鳥のアイディアを生み出したホテルの事例が紹介されています。このホテルでは、閑散期を逆手に取ってホテルを合宿セミナー会場にしました。しかも、セミナーを企画・実行したのはそのホテルの人事部の人達で、セミナーのテーマは大学生向けの就活セミナー。セミナーの内容も充実していたため、大好評だったようでホテルも収益をあげられました。この企画のすごいところは、会場が自社ホテルであるため外部コストがほとんど掛からず、しかもバックオフィスである人事が主催であるためフロントオフィスであるボーイや顧客対応従業員は通常通り自分たちのサービスに専念することができました。これがボーイやフロントの従業員による顧客対応セミナーだったりしたら、セミナーに従業員の人手が取られ、サービスに影響が出ていたかもしれません。まさに一石二鳥のアイディアでした。

長くなって来ましたので、明日につなげます。

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2012/09/26

ビジネスにおけるアイディア出し方法論まとめ


最近ビジネス領域でアイディア出しに優れた人たちの本を数冊読んでとても勉強になったので、皆さんにシェア&自分のための覚書としてビジネスアイディアの発想法についてまとめてみたいと思います。

[新版]ビジネスプランニングの達人になる法」 志村 勉
この本はビジネスアイディアの企画だけでなく、ビジネスの種をビジネスモデル化、収益化する方法も網羅的に解説されていて、企画職の人にとっては必携の書と言っていいでしょう。その中から、ビジネスアイディアの発想法に関するフレームワークを幾つか紹介します。

□ニーズ発想法
まだ満たされていない消費者のニーズを発見し、そのニーズを満たす方法を考えます。以前のポストでITシステムのポータルビジネスについて書きましたが、まさにあのビジネスアイディアの着想は現在のIT業界に対する不満から生まれました。
フレームワークは単純で、「まだ満たされていないニーズを見つける→それを満たす方法を探す→満たす方法をUSPとする商品を作る」というものです。
あらゆるビジネスアイディアの原点と言えますね。

□新しいベネフィットを追加する法
商品が本来的に持っている機能に新しい付加価値を追加して顧客のウォンツを刺激する方法です。追加すべきベネフィットは次のようなものです。

・安全 ・安心 ・快適 ・凄く便利 ・創造的 ・凄く楽しい ・潤いがある ・心地良く癒される ・優越感 ・健康的 ・義務仕事からの開放 ・満足感 ・期待感

例としてパソコンデスクをあげると、安全と組み合わせた場合、大きな地震があってもパソコンやディスプレイが倒れないようにデスクに固定用のネジ穴があるとか、すごく便利というベネフィットと組み合わせると、冷蔵庫がついてる、とかコーヒーポットが内蔵されている、などの発想が考えられると思います。

□特定の価値軸に特化して新しいカテゴリを作る
このタイトルではわかりにくいので具体例を上げます。同書に書かれているたとえですが、デジタルカメラの登場から数年、デジカメ製造メーカー間の競争は激しく、画素数などの技術面での差別化が難しくなって来ました。そこでカシオは、それまではデジカメの価値軸としてあまり注目されていなかった小型化という価値に特化した商品を作り上げました。単純に商品を作り上げただけでなく、2台目のサブカメラという新たなカテゴリを作り出し、大ブレークしました。
このように、その製品カテゴリではそれまで副次的だった価値軸に焦点をあて、そこに特化すると共に、その価値軸が生み出す新しい使い方やメリットを新たなカテゴリとして提案する方法です。

□水平思考
既に存在する商品の使われ方を分析しその価値を"ズラす"ことによって、新たな商品やサービスのアイディアを考える方法です。まずは対象とする商品を選択します(例としてコーヒーをあげます)。次にその商品の特徴をいくつかリストアップし、一つの特徴を選択します(「眠気が覚める」という特徴を選択します)。そして、その特徴を水平思考でずらして(「眠気が覚める」―逆転→「眠くなる」)、新たな特徴を満たす商品を考案します(眠くなるコーヒー?コーヒーのようなココア?コーヒーフレーバーのハーブティー?)。
水平思考で特徴をずらすときに、いくつか技法があります。それは、代用、逆転、結合、強調、除去、並べ替えの6つです。オズボーンのチェックリスト(転用、応用、変更、拡大、縮小、代用、置換、逆転、結合)も水平思考でずらす技法ですね。

まだまだ沢山技法があるのですが、今日はとりあえずここまで。
とにかくこの本は事業企画、商品企画に携わる人にはお勧めです。

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2012/09/25

ポータルビジネスは今後もハイパフォーマーでいられるか?


ぐるなび、価格.com、じゃらん、クックパッドなどなど、ウェブ業界ではポータルビジネスが全盛期を迎えています。このブログでも何度かポータルビジネスを取り上げてきました。PCだけでなくスマートフォンも取り込み、私生活でネットを活用する人にとってはポータルビジネスはなくてはならない存在になってきています。同じポータルビジネス同士の競合は激しいものの、ポータルビジネスそのものは安泰のように見えます。しかし、今後もポータルビジネスを破壊するようなイノベーションは生まれないのでしょうか?私にはデジタルネイティブの若い世代の行動様式は、ポータルビジネスを破壊する新たなビジネスモデルを生み出す源泉となるように見えます。

今現在、ポータルビジネスは間違いなくハイパフォーマンスなビジネスです。ポータルビジネスは、場所という制限を取り払ってローカルビジネスをグローバルビジネス(は言い過ぎかもしれませんが、少なくともネイションワイド)へと伸長させ、素人目には提供価値と貨幣価値の釣り合いがわからない商品でも透明のテーブルの上で比較できるようしたため、購買活動におけるパワーバランスを消費者側に傾かせました。その結果、ポータルサイトにはユーザーが集まり、ユーザーを求めて企業が集まり、企業間で正しい競争が生まれ、ユーザーを利するというポジティブスパイラルを作り出してきたのです。ユーザーだけでなく正しい競争で勝ち残った企業を利するという点で、三方良しの優れたビジネスモデルであると喝采したくなるものですね。

しかし、ビジネスが市場に受け入れられ息の長いビジネスになってくると、企業は一つの課題に直面することになります。それは、「顧客の変化」という難題です。
顧客の変化には2種類の変化があります。一つは、これまで自社のサービスを利用していた顧客の加齢によるライフステージの変化です。例えば、これまで中古バイクのポータルサイトを利用していたバイク好きの若者も、年をとるとバイクから離れていくかもしれません。もう一つの変化は、新たな若い層がターゲット顧客になるという変化です。顧客はある程度の割合で流出するものですから、新たな顧客の開拓はどの企業も絶対に必要です。先の例で言えば、世代が上がるほどバイクから離れていく顧客が増えていきますが、毎年新たに16歳になる少年少女たちは新しいターゲットになります。

ではこの変化が、ポータルビジネスにどのようなインパクトをもたらすのでしょうか?一つ目の課題、既存顧客のライフステージ変化ですが、ポータルビジネスはこの変化に強いと言えます。ポータルサイトが提供している価値は「what」、つまり、具体的な商品やサービスではなく「how」、欲しい物を手に入れるための手段です。例えばぐるなびはレストラン情報を提供しているように見えて、実は検索という手段を提供しているのです。ポータルビジネスは、向き不向きはあれど扱う商品は何でも構わないので、顧客のライフステージが上がったのであれば顧客の嗜好に合わせて扱う商品を変えてゆけばポータルビジネスは存続できます。
しかし、難題は新たな客層を開拓することにあります。単純化するため、ここでは新たな客層とは想定顧客の年齢に達した人々とします。ポータルビジネスの新たな客層は、いわゆるデジタルネイティブの世代です。彼らは生まれた時から当たり前のように手元に携帯電話が存在し、ツイッターやLINEなど豊富なコミュニケーションの手段が存在するなか育って来ました。ポータルビジネスがこの世代に苦戦しそうな理由は、彼らの購買活動はニーズありきよりも潜在的なウォンツを刺激された時に活発になるからです。今の若い世代は無駄遣いをせず、物欲があまりないとされています。そんな彼れが購買意欲をそそられるのは、「そうそう、こんなのが欲しかった」という潜在的なウォンツを刺激してくれたときなのです。例えば、ツイッターやFacebookやLINEで、友人や尊敬する人が薦めていたり実際に使っているものを見て購買意欲のスイッチが入るのです。SNSはこのようにウォンツを刺激する仕組みに長けています。
一方、ポータルサイトは明確なニーズを持っている人が自ら検索して利用するサービスです。最初のきっかけはなんであれ、ユーザーは自分で買いたいものを調べて、選択して、購入します。ユーザーが明確にニーズを持っていない限り、ポータルサイトはその価値を提供できないのです。

全てがそうだというわけではありませんが、デジタルネイティブの世代は「そうそう、こんなのが欲しかった」という隠れたウォンツを満たされるとでモノやサービスを購入する機会が多いので、ポータルサイトよりもSNSに流れてしまうかもしれません。ポータルビジネスは、今の顧客に提供している「私はこれを一番損しない方法で手に入れたい」というニーズを満たすだけでなくウォンツをかきたてる機能を持たせなければ、今後そのビジネスモデル自体が地盤沈下していくかもしれません。

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2012/09/23

イビサ島というクラブ文化と景勝地のダブルシンボル


スペインの有名な観光地としてイビサ島という島があります。この島は島自体が世界遺産になっており、しかも自然遺産と文化遺産の複合遺産に登録されています。街並みは大変美しく(私は行ったこと有りませんが・・・)、地中海の白い町といった風情で、欧州有数のバカンス地となっているようです。世界中のセレブもバカンスに訪れるということで、欧州ではかなり有名な観光地です。

しかし、イビサ島が他の観光地と異なるのは、単純に景観の美しい景勝地だからというだけではなく、その伝統的な町の景観とは不釣り合いにクラブ文化が発展した地だということです。Wikiによると、戦後にイビサ島はクラブ文化の中心地となり、ヒッピー的青年たちが集まる島として存在していたようです。いまではアヴァンギャルドなクラブ文化はやや衰退したものの、素晴らしい景観と相まって、日常からトリップする場所として引き続き欧州の若者を惹きつけてやまないようです。

イビサ島のクラブ文化は有名で、音楽業界でも存在感を示しています。オムニバス形式で有名な「1biza」シリーズは四つ打ち系では超スタンダードといった風情です。島の名前が特定ジャンルのスタンダードになるというのは面白い現象ですね。昼間は美しい景色を眺めながらチルアウト、ラウンジと呼ばれる耳ざわりの良い音楽、夜はクラブでのダンスミュージックと、音楽と一体化した町になっています。ビジネス的に仕組まれた物ではなく、偶然の結果だとは思いますが観光地の一つの成功モデルになるかもしれません。

単純に景観が美しい、歴史がある、という観光地は世の中枚挙にいとまがないほど沢山存在しています。国内ではアジアを中心とする外国人観光客の集客に頭を悩ませていますが、イビサ島のように「観光+アルファ」の価値を提供するという戦略も一つの案だと思います。というのも、旅行者が特定の観光地を訪問先に指名するには、よほどその観光地に思い入れがあるか、または、その観光地付近に他に魅力的なスポットが存在しなければいけないからです。前者の例で言えば、旅行者がCMなり特集番組を見たなりで、その特定の場所を訪れたいと思わなければ選ばれないわけです。国内で言えば東京や京都などは特にマーケティングを積極的にしなくとも旅行者が訪問先として指名する場所です。逆に言うと、それ以外の観光地はコストを掛けてその場所をアピールしなければ、指名してもらうのは難しいということになります。後者の例は、その観光地そのものにも魅力があるものの、さらにその場所に複数の付加価値が存在する、または近隣に別の観光地が存在する場所です。例えば、アジア圏の観光客にとって九州は距離もそこそこ近く、景勝地も多く、そこそこショッピングもできる、ということで人気の場所です。しかし、実際のところ飛行機ならば少しくらい九州より東にある観光地であっても、時間と価格はさほど変わらないので、同じメリットを訴求する地域が他に現れると、九州に来ているアジア圏の観光客は流出することになるでしょう。そうならないためにも、九州に限らず観光地では「観光+アルファ」の付加価値を検討するのが良いでしょう。+アルファが簡単に真似られない特徴であればあるほど比較優位性を保つことができ、安定した旅行者の訪問を見込むことができるようになります。イビサ島というクラブ文化と景勝地のダブルシンボル


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2012/09/22

リバースプランニング 女性専用トレーニングジムのカーブス


リバースプランニングなんて言葉はなくて、私が考えた造語です。ソフトウェアを使用してその動作を元に同じソフトウェアを再開発することをリバースエンジニアリングと言いますが、同じように実在するヒット商品やサービスを元に、その商品・サービスの開発に至ったビジネスプランニングの型を真似ようという試みです。学んだフレームワークや事例ば実戦に活かしてこそ。実戦の前の予行演習といったところです。
今回取り扱ってみたい題材は、女性専用トレーニングジムのカーブスです。

カーブスは他に類を見ない女性専用のトレーニングジムで、従来のジムというマッチョな男性がトレーニングしているイメージを避けるために、自らを「女性だけの30分健康体操教室」と表現しています。女性専用という点も徹底していて、スタッフもすべて女性です。トレーニングは通常ワンサイクル30分の有酸素運動と筋力トレーニングを交互に行うトレーニングで、健康的に痩せることを重視しています。
設備も特徴的で、トレーニングジムには必ずあるロッカールームやシャワールームが存在していません。設備への初期投資とランニング費用の少なさからか、会員費用も月額6000円-7000円と結構お手軽です。

カーブスのビジネスモデルを思いついた発想の原点は、おそらくトレーニングジム利用者の偏りにあったのだと思います。カーブスは米国生まれのジムなので米国のトレーニングジムの実情ははっきりとはわかりませんが、日本国内とあまり変わらないものとして考えます。トレーニングジムの利用者を見ると、やはり圧倒的に男性の割合が多く、7:3くらいの男女比ではないかと推測されます。利用者は、2,30代の若年層から中高年まで幅広くいますが、男女で特徴的な違いがあります。それは、男性はより筋力をビルドアップするためにトレーニングをしている層とそこまでじゃないけど体質を改善するためにトレーニングをしている層の両方の層がジムを利用しています。このため男性利用者が多いんですね。一方女性は、すでにある程度スタイルが整っている人ほどジムを利用していて、シェイプアップを必要としていそうな人の利用者が少ないのです。これは、おそらくスタイルに自身のない女性はトレーニングジムを利用しにくいということなのでしょう。やはり男性が多い場所ですから、人の目が気になるでしょうし、痩せるためにアドバイスを求めたくても心理的に求めづらい状況にあるのでしょう。
この時点でスタッフも女性ばかりの女性専用トレーニングジムはどうか?という発想は生まれてくると思います。しかし、他の事務と同じような設備やシステムで受け入れられるのか?という疑問も出てくるでしょう。通常のトレーニングジムは、ビルドアップを目的とした人とシェイプアップを目的とした人、はたまた健康維持を目的とした人まで、幅広い人々に適応できるように作られているので自然と施設への投資が大きくなり、「通常のトレーニングジムに行きづらい女性」というニッチなターゲットを対象としたジムで同じ規模の投資をするのは難しいという判断になるでしょう。
ここでさらに分析を進めてみます。まず、通常のジムに行きづらいと思っている女性は自分のスタイルに自身がないという仮説を立ててみます。すると、このターゲットとなる女性たちの層がジムに求めるものは、シェイプアップに絞られると考えられます。さらに、ジム通いの経験も少ないでしょうから、シェイプアップの中でも初心者向けのメニューで、短い時間でひと通りの運動ができるプログラムを中心としたほうがよさそうです。こうした推論の結果、30分で決められた通りの筋力トレーニングと有酸素運動をワンサイクルするプログラムが生まれたのだと思います。

トレーニングは大きなくくりの定義をすると、運動をする場です。運動は本来老若男女問わず需要ががあるものなはずなのに、ユーザーに偏りがあるのはなぜだろう、という現状に対する問いに端を発しカーブスは生まれました。ユーザーの偏りを見つけてビジネスチャンスを探る余地のある業界はたくさんあると思います。カーブスのビジネスプランニングの優れているところは、本来ジムでの運動を必要としている女性ユーザーを見つけるだけでなく、更に深掘りして彼女たちが必要としている運動(激しくない運動、パッケージ化されたプログラム)と環境(女性スタッフのみ、価格を下げるための簡易な設備)を提供したところにあるといえるでしょう。

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顧客とともに成長するピラミッド型ブランド戦略


成功するブランドを持つ企業は、顧客の成長に合わせて自社の別ブランドにスイッチしていく仕組みを有しています。例えば、10~20代の顧客向けに低価格でカジュアルな製品を用意し、その顧客が30~40代になった頃に欲しくなるような少し高価でシックなラインナップを用意し、50~60代になった頃により高価でクラシックなデザインの製品を提案するといった具合です。こうしたピラミッド型の構造的なブランドは、顧客のブランドロイヤルティを高め、生涯顧客とすることにより安定して大きな収益を上げることができます。いわゆるエクセレントカンパニーと呼ばれる企業は多くの場合このピラミッド型のブランドを有しています。

具体的な例を挙げると、女性下着ブランドのトリンプは、10代~20代のエントリー顧客向けにアモスタイルという低価格でデザイン性の高いブランドを展開していますが、アモスタイルを卒業した30代前後の女性向けに別ラインのブランドを有しています。流通戦略も考えられており、アモスタイルは完全に専門ショップで展開していますが、他のトリンプ製品は百貨店など、少し年齢層の高めの女性がショッピングする場所で店舗展開されています。
ゼネラル・モーターズの古典的なブランド戦略の例では、車種をジャンルで分け、その中でエントリーモデルからラグジュアリーモデルまで複数段階にブランドを分けるモデルを構築しました。ブランドが複雑化しすぎて経営危機の一因になったとも言われていますが、シボレーに乗る若者は、いつかキャデラックに乗ってやるという「憧れ」という名のブランドロイヤルティを確立して一時代を築きました。
スウォッチ・グループではスウォッチという安価なエントリーモデルで若者にスイス製時計に慣れ親しんでもらい、徐々にステップアップして最終的にはオメガなどのラグジュアリーブランのファンになってもらうというパスを作りました。他のブランドでもよく見られますが、スウォッチのような下位モデルは販売数は多いものの、収益性は悪く、一方オメガのようなラグジュアリー製品は販売数は少ないものの、収益性が高く、会社への利益貢献度が高いと言われています。

もしもブランドを構築するのであれば、一つのブランドを立ち上げるだけではなく、顧客の経済的、社会的ステータスの成長に合わせて一緒にステップアップできるブランドのパスを作ることも視野に入れておくべきでしょう。ブランドのパスを作ってあげることによって、無理なマーケティングコストを掛けることなく顧客のロイヤルティを高めることができます。さらに最終的に売りたいバックエンド商品である高価格帯製品を提案できる見込み顧客(カジュアルブランドのファン)を自然に増やすことができます。

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2012/09/20

ライオン洗濯用洗剤「トップ HYGIA」の戦略

選択用洗剤のような身の回りのコモディティ商品は非常に競合が多く、差別化がとても難しい製品です。新製品が発表されたところで旧製品との違いが良く分からず、わざわざ新しい製品に乗り換えようとは思いません。しかし、最近ライオンから発売された選択用洗剤「トップ HYGIA」の製品戦略と販売戦略が見事で、思わず私も買ってしまいました(まだ旧洗剤が残っているので使ってませんけどね)。

「トップ HYGIA」は2012年7月18日に販売された選択用洗剤で、洗濯一回あたりの使用量が少ない超コンパクト液体洗剤です。価格はほぼ同価格帯の製品と変わりません。
製品ジャンルや価格ではあまり目を引くところはありませんが、明確に一つの価値を訴求しています。それは、「洗うたびに高まる抗菌力」という特徴です。衣類を洗えば洗うほどプラスイオンが付着して抗菌力が高まり、汚れがつきにくく、臭いが発生しにくくなるというのです。
ライオンは、この価値を消費者にうまく伝えるマーケティング戦略をとっています。

洗濯洗剤市場の中でも、香りのよさをアピールするものや、柔軟剤と2in1になって手軽さを訴求しているものなど、さらに細分化することができます。トップ HYGIAは部屋干し用とか臭い防止といった価値で細分化される商品群のひとつでしょう。このジャンルの製品が顧客に提供する価値は、「臭いを防ぐ」なのですが、トップ HYGIAは価値訴求の仕方がこれまでと逆方向なのです。
これまでの製品のメッセージは「部屋干しでも臭くならない」、「イオンの力で臭いを防ぐ」というものでした。これは言わばネガティブ回避型のソリューションで、これを使えば臭いが防げるかもしれない、逆にいうとこれを使わないと臭いがつくぞ、というものです。これは病気になったから手術して治療する、という後ろ向きなイメージのある解決方法です。
一方、トップHYGIAは「洗うたび高まる抗菌力」、「臭いの発生を予防する」という、衣類が臭いに対して抵抗力を強めることができるというポジティブ型のメッセージです。最近健康維持の必須条件でよく言われる「予防医療」のように前向きなイメージがあります。
この抗菌力という強みを伝える銀色のパッケージや、「洗うたび高まる抗菌力」という強みを明確に伝えるCM、そして店舗での販促活動が相まって、消費者に強い印象を与えるでしょう。

明確なメッセージとそれを支えるマーケティングが、ターゲットである臭いや衣類の菌が気になる生活者(例えば、一人暮らしで洗濯物が外に干せない会社員、敏感肌の子供を持つ親など)に届いているでしょう。だから私もその効果のほどが知りたくて、試しに買ってしまったんですねぇ。

ガリガリ君リッチコーンポタージュ味とは何だったのか?


アイスでお馴染みのガリガリ君、リッチコーンポタージュ味って御存知ですか?発売前からアイスとコーンポタージュという異色な組み合わせが話題になり、大反響があったようです。私もちらっとは耳にしていましたが、2chやSNSではかなり話題になっていたようです。そしてあまりの大反響により発売からわずか数日で生産が追いつかないため販売休止になったということで、さらに話題になりました。
ガリガリ君といえばアイスの代名詞的なブランドで、なぜこんな挑戦的な味の新製品をリリースしようと考えたのでしょうか。その目的は?そしてなぜこれほどの話題になったのか?少し考えてみたいと思います。


ガリガリ君シリーズは赤城乳業の商品で、60円という低価格とその名の通りシャーベット状のガリガリとした食感で子供に人気のアイスです。私も子供の頃は駄菓子屋でよくソーダ味を食べていた記憶があります。この赤城乳業という会社、アイスクリームという超コモディティなカテゴリの商品を商材としているにもかかわらず、直近5年で年平均10%売上高が成長しているという勢いのある企業です。日本アイスクリーム協会によると、この期間のアイスクリーム市場の伸び率が5年で10%だったことを考えると、市場規模成長率の5倍で売上高が急成長しています。
さて、そのガリガリ君のリッチコーンポタージュ味は2012年9月4日から10月までの販売予定でしたが、あまりの売れ行きに、わずか販売2日後の9月6日に一時販売休止が発表されました。この異様な状況は各種ニュースメディアでも取り上げられています。


ガリガリ君リッチコーンポタージュ味のニュースを見てまず疑問に感じたのは、なぜそんな冒険をする必要があるのか?ということと、なぜこれほどまでに口コミで話題が広がったのか?ということです。

昨年のガリガリ君新製品を調べると、リッチチョコチョコ味、ソーダミルクプレミアムと、アイスのフレーバーとして一般的な味で、今年もコーンポタージュ味以外はまともなフレーバーの新商品しかリリースされていませんでした。ただ、昨年プレスリリースされているガリガリ君シリーズは2種類に対し、今年は既に5種類プレスリリースされています。この状況からすると、リッチコーンポタージュ味は他のガリガリ君シリーズへの導線として話題作りのために作られた商品であるように思われます。SNSやニュースサイト、はたまたオフラインでも話題に登って何度も耳にしていれば(プライミング効果)、アイスを買うときに自然とガリガリ君に目が行く可能性が高まるでしょう。また、ちょっと調べるといろんなフレーバーが発売されているので、他の味にも興味をもつきっかけになるかもしれません。

もう一つの疑問は、なぜこれほどまでに話題になったのか?という点です。簡単にコンビニなどで手に入りますし60円と安価なので気軽に試すことができて、SNSやツイッターに意外とうまいとかまずいとか話題にしやすい対象ではあります。しかし、これほどまに大きな話題になった理由は、単純にリッチコーンポタージュ味が物珍しかったというだけでは説明がつきません。事実、2年も前にコーンポタージュ味のアイスは発売されていました(参照)が、ほとんど話題になっていません。この謎を紐解く鍵は、赤城乳業のガリガリ君ブランド戦略にあります。一般的に言って、ガリガリ君に対して「楽しい」とか「身近」とか「おなじみ」という印象を持っているのではないでしょうか。これらの印象は、コンビニやスーパーや駄菓子屋といった子供がアイスを手にする流通経路をほとんどすべて抑えているという流通戦略や、ガキ大将のような坊主の少年が一貫して長年パッケージ登場しているというイメージ戦略により育まれたブランド価値でしょう。赤城乳業の他の製品もカントリーマアムのアイスや不二家ネクター桃のかき氷など、なんだか面白そうで試しに食べてみたいという気にさせる商品が託さなります。「楽しい」とか「身近」というイメージがあるので、トンデモ系のフレーバーが出てくると話題にしたくなり、ついつい買って味を試して感想をシェアしたくなってしまうのでしょう。


ガリガリ君コーンポタージュ味の目的は恐らく新発売された他のガリガリ君シリーズへの導線だったのでしょう。しかし、これほどまでに口コミで話題になったのは、同社が地道に育ててきたガリガリ君のブランド価値というものがあったからにほかなりません。


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2012/09/18

BtoBビジネスへの個別化戦略の適用


今日のテーマは、昨日の個別化というテーマを引き継いで、BtoBビジネスではどうだろうか、ということについて考えてみます。BtoBビジネスではカスタマーインティマシー戦略を実現するために、どのような方法があるでしょうか。
総論として、BtoBビジネスでは個別化ということが既に一般化している分野がほとんどだと言えます。SaaSやASPサービスのように、むしろ個別化されていたものをパッケージして安価に提供するほうが新規性があるという状況です。ただし、BtoBビジネスにおいては個人ブランディングによる集客や信頼性イメージ向上などのマーケティング手法がBtoCほど活用されていないので、その可能性について考えてみます。

サービス業の場合
・ITサービス
・アウトソーシング
アウトソーシング業の場合、パッケージ化されたサービスとフルカスタマイズの二種類の形態が存在しています。パッケージ型でもある程度の個別対応は標準とされているし、フルカスタマイズ型は言わずもがなですね。しかし、ITサービスやアウトソーシングの分野では個別化は当たり前のようにしているものの、企業や個人のブランディングは十分に行われていないように思われます。業務プロセス設計やプロジェクトマネジメントという明確なスキルが求められるので、一人一人の社員はがどの領域でのプロフェッショナルでどのようなスキルセットを持っているかということは十分にブランディングに利用できると思います。ERPパッケージ導入にあたっての業務設計プロフェッショナルといったような具体的な役割を社員はへアサインし、セミナーや講演会で露出度を高めて個人のブランド力をあげることにより顧客獲得しやすくなるかもしれません。ただし、継続的なサービスにおいて、個人のスキルに強く依存してしまうのは委託側、受託側ともにリスキーだと言えます。

・コンサルティング
コンサルティングは個別化の最たるもので、その企業にだけ存在している課題を解決することが目的です。このため、コンサルティング業界では、ファーム(コンサル企業)のブランディングやコンサルタント一人一人のブランディングが重要になってきます。この辺りは著名なコンサルタントの多くが著書をもっていることからも明らかです。

製造業の場合
個別化が重要な価値をもたらすのは、顧客に自分だけの商品が欲しい、自分に合うものを選んで欲しいという欲求があるからです。BtoBのなかでもサービス業なら考えやすいものの、製造業の場合となるとなかなか個別化はという戦略は取りにくいように感じます。
重工業の場合は鉄鋼業や工業機器の製造などでしょうか。受注生産と企画型の製品、どちらもあるかとは思いますが、個人のブランディングが活きてくるとしたら、設計士個人をアピールすることが考えられます。ただし、BtoB製造業では個人がバリューチェーンに占める割合は低いので、その企業から著名な設計士が抜けたからといって、取引先企業を変えるわけにはいきません。このため、個人をブランディングしすぎるのは逆効果とも言えるでしょう。

結論として、BtoBではBtoCほど個人のブランディングによる個別化は効果が得にくいでしょう。しかし、士業やコンサルタントのように、個人がサービスのバリューチェーンに占める割合が大きい場合は有効に使えそうです。

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2012/09/17

個別化というポジショニングと個人ブランディング

企業のポジショニング、あるいは一製品ラインのポジショニングには、3通りあると言われています。M.トレーシーとF.ウィアセーマによる著書、「ナンバーワン企業の法則―勝者が選んだポジショニング (日経ビジネス人文庫)」によると、企業のポジショニングには主に以下の3つに分けられます。

1. オペレーショナル・エクセレンス(運用効率を最大化して、安価で標準化された製品の提供に優れている)
2. 製品リーダー(多少価格が高くとも製品そのものの訴求力が高い)
3. カスタマーインティマシー(顧客の細かいニーズに応えたり、個別化で顧客を囲い込む)

企業は、これらのうちどれかのポジショニングに徹底することにより、企業間競争を優位に進めることができるとしています。そして重要なことは、これら3つのポジショニングは、顧客の価値観はの違いでもあるということです。昨日のポストでも取り上げた話題ですが、顧客の属性、例えば30代男性独身会社員という属性であっても、ある製品を選ぶときの基準は異なります。PCを例にとってみると、とにかくコスト対効果を重視する人(Acer)、価格が高くても優れた製品を望む人(Apple)、カスタマイズ性を重視する人(自作PC)というように価値観によって重視するポイントがことなるのです。

前置きが長くなりましたが、これら3つのポジショニングのうちカスタマーインティマシー戦略が最近では重視されつつあります。というのも、オペレーショナル・エクセレンスと製品リーダーの座は非常に限られた数しかないからです。Winner Takes Allの世界です。一方、カスタマーインティマシーは顧客化の価値観を細分化すればするほどあらたなポジショニングが生まれます。
カスタマーインティマシー戦略の一つである個別化。顧客がこの製品は自分だけのオリジナルなんだというところに価値を感じてもらう方法です。この個別化でブランディングをする場合、重要なのは販売側の個人ブランディングなのです。


個別化された販売方法の一つに、サブスクリプションマーケティングというものがあります。顧客は自分の趣味嗜好を伝えると共に月額決まった料金を支払うと、日本酒マイスターがその顧客の嗜好に沿った銘柄の日本酒を毎月数本選定し、送られてくるというものです。
オーダーメイドのジュエリーも個別化戦略にのっとったビジネスです。あるオーダーメイドジュエリーの企業では、デザイナーがブログなどで自分の作品を公開し、そのブログから自分にあったデザイナーを顧客に選択してもらい、オーダーメイドのジュエリーを作成します。


自分が日本酒やワインのサブスクリプションをこれから購入しようとするのであれば、顔の見えない会社よりも、日本酒の書籍や雑誌を書いているライターやソムリエという肩書きをもつ個人のほうが信頼や期待が高まるのではないでしょうか?名前と顔が出ていて、さらに第三者から認められている実績があると、顧客側も安心して任せることができます。
ジュエリーデザイナーを選択する基準は、人によっては多くのデザイナーから認められているデザイナーを選択するかもしれませんし、人によっては自分が好む作風のデザイナーを選択するかもしれません。どちらにせよ、そのデザイナー個人がどのような作品を作り、どのような評価を得ているかということを明示的に示していく必要があります。
実は第三者から認められている、あるいは実力を証明する実績があったとしても、それをあえて表現しないでいると、埋没していってしまうのです。実力が一流でセルフブランディングが二流の人よりも、実力が二流でセルフブランディングが一流の人が売れるというのが現実です。

個別化戦略では、この人の言う事なら信じられるという感覚が重要なので、売り手の個人ブランディングが重要なのです。

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2012/09/16

ターゲットの分類は年齢層などの属性ではなく価値であるべき

商品やサービスのターゲットを語る上でよく使われているのが性別や年齢層などの属性です。シニア向けサービス、20代独身女性向けサービスと聞けば、なんとなく納得感はあるような気がします。しかし、いざ新しい商品やサービスを作るときにシニア向けとか20代独身女性向けという発想でスタートしてしまうと、すぐに行き詰まってしまいます。なぜかというと、属性で分けただけではターゲットとする人々の価値観は多種多様すぎて、実際何の分類もしていないのも同然だからなのです。発想のスタートは属性ではなく、その属性の人々を喜ばせる価値観でなければいけません。

ワタミの新業態居酒屋「炭旬」というお店が、シニアにターゲットを絞り試験的に9店舗を展開したところ、売上が35%もオーバーアチーブしているそうです。一般的に、シニア向け店舗は広いテーブルや広い通路がセオリーと言われているところ、この店舗ではあえてワタミ標準のサイズよりも小さな机、幅の狭い通路で密着感を演出しているそうです。そしてこの密着感が成功の秘訣なんだとか。
この店舗のコンセプトを決めるときに、シニア層をターゲットとしたのは間違いないでしょう。しかし、「炭旬」を成功に導いたコンセプトは常識的なシニア向けの発想(幅広い机や通路)からは得られないものです。どういうことでしょう?

この店舗のコンセプトを考えるときに「シニア」という軸で考えたのではなく、特定のシニアが好む価値はなんだろう、という発想からスタートしていたのだと思います。別にシニアが狭い場所が好き、という話ではないですよ。店員や居合わせた人との会話を楽しむという価値です。年季の入った立ち飲み屋のような年配のお客さんが集まる居酒屋に行ったことがある方はイメージがつくかもしれませんが、居合わせた人々で気軽な会話を楽しんでいる光景が見られます。これがシニアの感じる価値なのです。
正確に言うとこれは「シニア」ではなく、「密着感のある居酒屋で居合わせた人々とワイワイ話をするのが好きなシニア」と表現すべきかもしれません。これが、属性による分類では求められている価値を正確に得られない原因です。属性で絞るだけでなく、何に価値を感じるかというのを正確に炙りださなければいけないのです。シニアという一つのグループの中にも密着感が好きという価値観を持つ人もいれば、広めの店舗で隣のグループとあまり心理的近さを感じないほうが快適という価値観のグループもいるのですから。

ターゲットを絞ることを恐れる人が恐れる人がいますが、これも属性でターゲットを絞るという誤った考え方の弊害です。属性で絞ると考えている人からすると、シニア向けの店はシニア向けに作られているので、シニアにしか受けない、という結論になってしまいます。しかし、実際はシニアの中の特定の価値観を持った人々を惹きつけるので、似たような価値観を持った別の世代の人々も惹きつけるのです。

製品・サービスのコンセプトを考えるときに、まず大雑把にターゲットの属性から切っていくのは問題ないでしょう。しかし、属性を決めてすぐにコンセプトづくりに入ってはいけません。その属性の人々をもっとリアルに想像し、その人々が持っている価値観を探り当てるのです。そしてその価値観にあった提案をしていけばターゲットは反応するはずなのです。
反応しないとしたら、それは価値提案が不十分か、ニーズの広さと深さが足りていないのです。

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ニーズ主導型で生まれた海外赴任サポートサービス


日経MJを読んでいたら面白いビジネスを発見しました。リロ・ホールディングという会社が新たに始めたサービスなのですが、海外に赴任する社員のビザ取得や赴任地での住居手配をサポートするサービスです。

日経MJ 2012/9/12 P.9――――――――――――――――――――――――――
福利厚生代行のリロ・ホールディング(HD)は海外赴任予定者がインターネットで簡単に手続きできるサービスを始める。サイトに赴任までのスケジュールを示し、査証(ビザ)の申請、パスポートや戸籍謄本のコピー提出などを受け付ける。―中略―海外赴任前に必要な手続きはビザ取得や予防接種の受診、住居の確保などの100項目以上に及ぶとされる。同社はまずサイトでクリアすべき課題をカレンダー形式で提示。締め切りが迫った場合にはサイトで注意を促すほか、専用のコールセンターを通じてメールや電話で適宜連絡する。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

海外への生産シフトやマーケットの開拓が活発になってきている今、社員が海外赴任する機会は増えてくるでしょう。私も海外留学の経験がありますが、海外へ移る前の準備には時間がかかりました。企業が人を海外に送り出す以上間違いがあっては行けませんから、なおさら入念な準備が必要です。海外赴任をこれから実施するという会社にとっては渡りに船のようなサービスだと思います。

この海外赴任サポートサービスは言ってみれば、企業環境変化により生まれたニーズ主導型のビジネスです。これまでも海外赴任は商社などでは当たり前だったかもしれませんが、市場のグローバル化により海外赴任を必要とする企業が増えています。そうすると、担当する人事部にもノウハウが溜まっていないので、赴任手続きをアウトソースするニーズが生まれてきたのです。
このサービスではWebでのセルフサービスとコールセンターでの人的サービス両方をうまく活用しており、利用者の負担も少なくなっているようです。セルフサービスをうまく組み合わせたため、価格も比較的安く年間利用料が10-20万、赴任者一人あたり5万円となっています。どれだけのニーズがあるかはわかりませんが、利用する企業は多いものと思われます。

今回この海外赴任サポートサービスを始めたリロHD社は、国内外の社宅管理やそれに伴うサービスを主な事業としているので、海外赴任サポートサービスを橋頭堡として、赴任者の持ち家の管理や国外での赴任先住居の斡旋という既存ビジネスにアップセルしていける可能性があります。顧客にとっても、自社にとってもメリットのあるビジネス展開ですね。


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2012/09/15

楽器屋へ楽器を買いに来る人々のニーズをより深くつかもう

今日もビジネスアイディアのブレストです。
楽器屋って結構単価が高い商品を販売していますが、消耗品の購入を除いては、その後あまり顧客との接点がなくなってしまいます。楽器というものはそう一年に何度も買うものではなく、どの楽器も早くて数年〜数十年に一つ買うものです。もっと売上や顧客ロイヤルティを上げる方法を考えてみたいと思います。

コンセプト: 楽器屋主催の定期発表会
その方法のアイディアの一つが、楽器屋主催で定期演奏会を開催することです。参加資格者は、その楽器屋で楽器を購入したことのあるすべて人を対象とします。演奏会のための会場を楽器屋店内に設け、訪問客もオーディエンスとして参加できるようになっていると良いでしょう。

なんのために演奏会を開くのか
その店舗で楽器を買った顧客向けに、わざわざ店舗の中でステージを設けて演奏会を開く目的は、究極的にはその店舗に買い物に来ている顧客に楽器を購入してもらう可能性を高めることと、演奏者として参加している既存顧客のロイヤルティを高め、再購入の可能性を高めるためです。

楽器を買う(はじめる)ということのモチベーション
演奏会を開くことに既存顧客のロイヤルティ醸成と新規顧客の購入率上昇の可能性を見出しているのは、人がなぜ楽器を始めたがるのか、という心情を考えてのことです。有り体に言ってしまえば、ほとんどの場合(とくにギターやバンドを始めたいという人たち)楽器を始めたくなる最も大きなモチベーションは、楽器がひけることによって、他人から褒められたい、ちやほやされたい、というところだと思います。私自身昔楽器を弾いていましたが、もちろん音楽を奏でること自体楽しいことは間違いないのですが、やはり根底に褒められたいとかちやほやされたいという感情があったことは否めません。
楽器を始めたばかりの人は、上達ぶりを人に聞いてもらいたいという欲求はありつつも、やはりなかなか人に聞いてもらう機会はありませんから、こうした場を用意してあげられれば彼らの欲求を満たせるのではないでしょうかね。歴が浅いとなかなか人前で引く機会も少ないでしょうから。初めて1年以内とか、1年〜2年といったかたちでクラス分けをすると、より練習意欲がわいたり、他の人が持っている楽器が気になったりと、良い刺激になるでしょう。
一方、楽器を買いに来た、あるいは見に来た人たちにとっても、自分たちの先輩である演奏者がステージに上がって演奏しているのを見ると、楽器を買おうという意欲が高まるはずです。独学で始めるとどうしてもプロ演奏者を目標としてしまいますが、もう少しレベルの近い人々がいたほうがモチベーションは上がるでしょう。そして彼らがステージに上がって演奏している人々を見ると、いつか自分たちもステージにあがって、認知欲求を満たされたいと無意識的に思うでしょう。

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2012/09/14

キャリアコンサルタントの新しい事業をブレスト

私も最近良くお世話になっているキャリアコンサルタント。いくら転職が一般化してきたとは言え、自分の紹介で転職が成功した時しか報酬が発生しないというのは、キャッシュポイントがひとつしかないので安定したビジネスとは言いがたい。どのキャリアコンサル会社も同じビジネスモデルなので、一部の寡占業者が企業からの募集を斡旋してしまったり、転職志望者の流れを抑えてしまえば一気に干上がってしまう可能性がありますよね。そこで、キャリアコンサルタントの新しいビジネス(価値の提供の仕方)をブレストしてみました。

まずは現状分析
キャリアコンサルタントというビジネスを分析してみると、一方で転職を考えている会社員に転職情報を提供して集客し、もう一方で企業から採用情報を集め、転職希望者を企業に送り込み、採用が成立すれば転職者の年収うの25%程度が手数料として手に入るビジネスモデルです。転職成功者の平均年収が700万だとすると転職者一人あたりの報酬が175万。コンサル一人あたり2500万売り上げるとしたら、年間14人ほど成功させれば良いという計算になります。転職者には、応募する会社の情報提供や面接のトレーニング、面接の傾向といった情報を受け取れるというメリットがあります。企業にたいしては、自由応募よりもある程度フィルターの通った人材が集められるというメリットを提供しています。

顧客側のバリューチェーンに踏み込む
中途採用という一連のバリューチェーンのなかで、企業側は「募集要項の決定→募集→面接→採用→入社手続き」という一連の作業が必要となりますが、キャリアコンサル会社がこのバリューチェーンの一部をアウトソースするビジネス展開ができそうです。転職希望者の中から条件にフィットしそうな人物を選定するだけではなく、その面接・採用まで担当し、退社手続きを支援して退職日をコントロールし、入社手続きまで終えてしまう、というフルサービスがあれば顧客企業としては大助かりでしょう。

転職という形を取らないキャリアマッチング
キャリアコンサルタントは顧客企業の不足人材を充足するのが仕事だと言えますが、充足する方法が必ずしも中途採用である必要はありません。例えば一時的な人材のマッチングでも良いわけです。予めマッチング希望者を登録制で集めておき、ニーズがあったときに登録リストの中からマッチングする、ってこれ買いててまんま人材派遣ですね。まあ、ちょっと対象をひねってフリーランスに絞る方法があるかもしれません。

キャッシュポイントを増やす
最初の説明の通り、いまはキャッシュポイントが転職希望者が転職に成功した時の1つしか有りません。これを増やす方法を考えると、企業に対して紹介した時点で報酬を得る、転職者が転職一年後に出した成果に対して報酬を得る、転職希望者が登録した時点で会員費を得る、転職が成功したら転職者から成果報酬を得る、などなどが考えられます。
紹介した時点で報酬を得るならば、顧客企業のピンポイントな要望をヒアリングし、それにマッチした人材を紹介できれば報酬を得られるようなサービスの展開が考えられますね。転職者の一年後の成果に対して報酬をもらうのであれば、転職者に対してコーチングなどパフォーマンスを出し続けるためのフォローをするサービスの提案することになりますね。

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2012/09/12

分かりやすさの勝利?一日分の野菜が取れるカレー


JR品川駅の駅ナカに喫茶店や食事が取れる店舗がいくつか軒を連ねているのですが、その中で列を作っている店舗が一つありました。キャンプエクスプレスというカレー屋で、その名の通りキャンプの雰囲気を全面に出した店づくりで、値段は1食1000円前後、カウンターだけの小さなお店です。
なぜこのお店に行列ができているかというと、品川の駅ナカ利用客というターゲットに対してピントのあった価値提案と、その訴求方法が分かりやすいからです。

このお店のコンセプトはキャンプやアウトドアの雰囲気ですが、実際に訴求している価値は、野菜が取れるカレーということです。そしてこれを「一日分の野菜カレー」という、とてもわかり易いネーミングで表現しています。

健康に気を使うサラリーマンが多い品川で野菜をメインにしたカレー
品川の駅ナカで野菜をたっぷり取れるカレーを提供する、という戦略の勝利です。まず品川という土地柄、IT系や通信系に務めるサラリーマンが非常に多く、往々にしてこうした人達は(自分も含め)しっかりと野菜がとれていない食生活を送っています。そして十分に野菜をとれていないことを気にかけつつ、安い・早い・うまい(脂&コレステロール)という安易な食事に逃げてしまいます。そこにカレーという彼らに馴染みのある食事と野菜を組み合わせることによって少しでも野菜不足を解消したいと思っているサラリーマンを惹きつけるのです。
また、カレーというのもポイントです。品川の駅ナカにあるので、自然と時間に余裕ない顧客が多くなります。カレーは水分が多いので、スピーディーに食事ができ、さらにご飯と一緒に食べられるものなので、腹持ちも悪くありません。こうして、それなりにボリューム感がある食事で、かつすぐに済ませられる上に野菜が取れるという3重のメリットをサラリーマンに提供できています。立地を考えると見事な戦略だと思います。

一日分の野菜というわかりやすさ
野菜を使ったカレーというだけでは大した差別化にはなりません。実際、ココイチなどチェーンのファストフードでもメニューとしては珍しいものではありませんから。それでもこのお店が際立って顧客を引き付けるのは、価値提供のマーケティングが優れているからです。
このお店の前を通りかかるときにすぐに目に入ってくるのは、「一日分の野菜カレー」です。とてもわかりやすく、目に飛び込んできます。野菜不足を自覚しているサラリーマンがこれを見ると、「あ〜、今日も十分な野菜とってないなぁ。これ食べると一日分の野菜がとれるのか。」と自分の不摂生に対する代償行為として食べたい気持ちになってくるのです。
これが単純に「野菜たっぷり」や「夏野菜」とかではあまり効果なかったでしょう。野菜たっぷりは相対比較的で、具体的にどれだけ健康によいのかイメージが湧きづらいですし、夏野菜だと健康よりも、旬の味を訴求していることになります。
「一日分の野菜」という明確な量が定義されていると、これを食べることによってどれだけ健康に効果があるか明快にわかります。なので、今日一日不摂生したけどこれを食べればとりあえず一日分の野菜がとれるぞ!という自分に対する免罪符になるんですね。

まとめると
ここまで見てきた通り、キャンプエクスプレスは品川の駅ナカという特異な立地からターゲット顧客を正確に読み取り、そしてそのターゲットにとって訴求力のある価値(野菜をとって健康になる)を、「一日分の野菜」という分かりやすい一点張りの価値提案で人気を博しています。
カレーなのでスピードを訴求しても良いのですが、近くにある立ち食いそばと競合してしまいます。味を訴求しても良かったのですが、品川駅を利用するビジネスパーソンにとっては味は二の次の価値でしょう。本当は健康のために野菜をしっかりとりたいけどとれていない、という隠れたニーズを上手く読み取り、「一日分の野菜」という免罪符をあたえる商品コンセプトの発想の勝利ですね。

さて、ではこの戦略を自分の商品にも適用できないでしょうか?つまり自社がメインとする顧客に対して、自社が一番価値を提供できるポイントに絞って商品コンセプトを作る。
オフィスビルに入っているカフェなんかであれば、眠気覚ましにコーヒーを買いに来る顧客向けに、「カフェイン2倍で眠くならないコーヒー」とか、煮詰まった会議で疲れた脳をリフレッシュする「チョコたっぷりカフェインたっぷり頭リフレッシュモカ」というコンセプトが思い浮かびます。メガネのメーカーなら「つけたまま寝ても絶対曲がらないフレームメガネ」とか。
皆さんの会社の商品ならどういうコンセプトを考えますか?


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外国人登山客を増やすには?

ここ3日ほど、北アルプスへ登山に行っていたのですが、驚いたことに中国人・韓国人観光客がとても多いのです!特に韓国人の団体客が多かったですね。中国人も結構いて、月並みな買い物好きというイメージがあったので驚きました。日本の銀座や寺社仏閣以外が観光スポットとして認められるのはとても良いことだと思います。山だらけな日本の地理は、他の国と比べてネガティブな面が多いですが、逆にその弱みを登山旅行というビジネスに繋げられたらとても良いことです。なので、今日は外国からの登山旅行客からの収益を増大させる方法を考えました。

まず基本的な要素の分解ですが、外国人登山客からの売上を上げる方法は、(1)登山目的の来日者数を増やす、(2)来日回数(リピート)を増やす、(3)一訪問あたりの売上を増やす、の3つに分解できます。

まず(1)の来日者数を増やす試みですが、もともと登山が好きなターゲットに対しては、日本が登山観光スポットの一つであることを認知してもらうことが有効だと思います。この目的を達成するにはTVCMや番組、Web広告が良いでしょうか。あるいは現地のアウトドア雑誌への露出も効果的でしょう。また、移動手段がよく分からないので来づらい可能性もあるので、現地までのトランスポーテーションをすべて含めたツアーを提案できると良いですね。
一方、あまり登山が好きではないターゲットに対しては、買い物と寺社仏閣と登山全部パッケージにして、日本の魅力を満喫するパッケージ商品が良いかもしれません。
また、来日者数を増やす、とは少しずれますが、在日外国人を登山へ呼び込むのも一つの顧客の増やし方ですね。留学生が多いでしょうから、大学のフリーペーパーなどで宣伝するとか、各国の母国語で書かれているフリーペーパーなどに広告を掲載するのが良いでしょう。

次に(2)リピートを増やす、です。これはいまいちアイディアが浮かんでこないのですが、100名山のスタンプラリーイベントを行ったり、訪日履歴と登山履歴からおすすめの山を紹介するのも受けそうです。他にも、どうせ山なんてどれも一緒でしょ、と思われないような特色を出すことがポイントでしょうか。

最後に(3)顧客あたりの売上を増やす方法です。これはツアーに買い物を盛り込む従来ツアーの戦法が良いのではないでしょうか。登山好き向けのツアーであれば、登山商品のショップに誘導する、あまり登山好きではない顧客には普通の買い物とセットにする方法が考えられます。

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2012/09/10

インターネットが本当にもたらしたものは何だったのだろう


現代のビジネスシーンにおいて、とてつもない存在感を示すようになったインターネット。もはやインターネットのなかった時代のことなどほとんど思い出せません。私はインターネットが生まれてからビジネスの世界に足を踏み入れた人間なので、インターネットやPCがなかった時代にどのようにビジネスが営まれていたのか想像がつきません。
どんな領域のビジネスであれ、ネットはビジネスに影響を与えてきました。ネットが生まれてから発生したビジネスモデルといえば、ECサイト、ポータルビジネス、アフィリエイトなど、ネットをビジネスの中心に据えたビジネスもありますし、各企業のHP、ホテルやレストランの予約、イベント告知など、リアルビジネスのサポート役としても活用されています。

今一度ネットとPCの発明がビジネスと私たちの生活にどういった影響を与えたのかを分析してみたいと思います。そして、その力を逆にどうやって新しいビジネスに活かしていくのかを考えてみます。

距離の圧縮
これはとてもわかり易い事象です。ベストセラーのビジネス書「The World Is Flat」でも語られていますが、インターネットは世界との距離を0にしました。ネットやメールでやり取りする限りは、もはや東京と大阪だろうが、東京とカイロだろうが距離は関係なくなりました。これによって、実態を伴わない製品、つまりソフトウェアやサービスは世界中の企業が強豪になりました。もちろんフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションのしやすさと言語・文化が未だに障壁になっていることも事実です。

時間の圧縮
これも大きな変化です。例えば広告の場合、これまでは顧客から広告の現行を入稿してもらってから印刷し、店舗へ配布し、消費者の手に渡るまで、少なくとも数日のリードタイムがありました。これがネットの登場によりリードタイムが0になりました。実際は修正の時間などもありますが、これもデジタル化により大幅に時間が圧縮されました。

24時間365日
ネットの窓口はいつでもサーバが不具合で止まらない限り開いています。だから店舗のように、何時から何時までの間に行かなければいけない、という制限がありません。これは利用者に多大な利便性をもたらしました。終電まで仕事をしても、週末の旅行の予約ができるのです!

必要な情報の取得
WEBページが10億を超えたというニュースをだいぶ昔に聞きました。いまでも増殖し続けています。その中から、自分に必要な情報を集めるための様々なサービス(RSSやソーシャルブックマークなど)により、必要な情報が勝手に自分の手元に集まるようになりました。

アウトプットした情報の拡散
このポストを掲載しているブログやメールマガジンのように、個人や企業による情報配信のコストが0になりました。昔は広告代理店に数十万から数千万払うのが当たり前の時代でした。

双方向性
Twitterで孫正義さんと直接コミュニケーションが取れるようになりました。これは衝撃です。今まで消費者は企業が一方的に流す情報を受け取ることしができませんでしたが、今は直接企業トップに話しかけることができます。一方、企業は加工されたユーザーの声ではなく、ナマのユーザーの声が聞こえるようになったのです。

個別化
インターネットはビッグデータの活用とIDの活用により、名無しさんに対してその人が好むものを提案できるようになりました。今やAmazonの広告は完全に個人が好むものだけを提案することができるようになっています。

2012/09/09

レンタルビデオ店の売上向上策


最寄り駅の駅近くにレンタルビデオ店があるのですが、これがまたお客が少ないのです。でもどの時間に行っても1,2組のお客が必ずいて、自宅に帰る途中、そのレンタルビデオ店のケースをもってる人を結構目にするのです。レンタルビデオ店はカード会員制や返却が必要な点から商圏が狭いですがリピート率が高いと思うので、それでも結構やっていけているんですね。
ですが、今はネットでのコンテンツ配信が拡大してきておりリアル店舗型のレンタルビデオ店はかなり厳しい状況にあるでしょう。そんなレンタルビデオ店がもっと売上を拡大するための方法を考えてみます。

まず、レンタルビデオ店の数字はよくわからないので、推測します。平均単価は仮に700円(DVD2,3枚の価格)、1時間に10人の顧客が借りるとして、営業時間は15時間だとすると、一日の売上は10.5万。25営業日で約260万の売上。レンタルDVDはリースで借りているものが多いらしく、仮に売上の30%としてみると約80万円。家賃が30万(陳列に場所を食う)社員は店長一人として60万とバイト3名で60万。コストが合計で240万ですね。あとは販促や諸費用で、まあこんな感じのPLだと思います。

レンタルビデオ店を、DVDとCDを借りるところという一般的なイメージからもう少し引き伸ばして、様々なコンテンツを調達するリアル店舗、と定義し直すと新しいビジネスが考えられます。
レンタルビデオ店のライバルとして今一番問題になっているのはネットでしょう。DVDやCDを購入するという行動に対し、レンタルビデオ店は一時的に借りることで安く済ませるというチョイスを消費者に提供していました。ところが、現在は同じような価格でネットストリーミングやネットストアからコンテンツを購入するということができるようになってしまいました。さらに、DVDやCDをのレンタル店舗をネットに置くという業態もリアル店舗のレンタルビデオ店を圧迫しています。ぶっちゃけた話、クレジットカードを持っていない大学生のアダルトビデオレンタルが収入源として大きな割合を占めているのではないかと思われます。
少し前置きが長くなりましたが、DVDやCDにとらわれないコンテンツ提供店舗として考えると、デジタルコンテンツを販売するリアル店舗というビジネスが面白そうです。スマートフォンやタブレットの普及により、デジタルコンテンツを購入して自分のモバイルデバイスに入れて持ち歩くなんてことが当たり前の時代ですが、結構まだネットでコンテンツ購入するだとか、それをiTunesとかで管理するということが、なんだかよくわからなくて手を出せないという人が多いのです。また、クレジットカードを持っていない人もいれば、ネットに登録するのが嫌という人もいると思います。そういう人にとって、店舗でフルサービスでコンテンツの購入とモバイルへの転送(+プレイリスト作成などの有料サービスも)をしてくれるサービスは案外需要があると思います。ネットで購入する体制を作るのにお金はほとんどかかりませんから、スタートするリスクも高くありません。また、クレジットカードがない人にとっても、店舗で現金で購入できれば便利でしょう。

さて、ビジネス性ですが、iTunesで映画を一本を買おうとするとだいたい2000円、レンタルもあるらしく、400円です。CDの場合、だいたいアルバムで1500円が相場ですね。DVDを買うのと比べても半分とまではいかないみたいで結構高いです。とすると、せいぜい2割程度の手数料が売上になるでしょうか。先の例で言えば、既存のレンタル業の半分の販売数だとして、260万の半分の130万の2割で30万弱ですね。売上としては少々少ないですが、すべて利益になるので、試してみる価値はあるでしょう。

2012/09/08

選択肢を増やして顧客のリピートを増やす方法


今日お昼の話だったのですが、お昼をすき家で食べていたんですよ。いつもの牛丼並のサラダセットを。すると、こういったファストフードチェーンを利用しそうには見えないお爺さんが来店されたのですが、勝手を知らなかったようで、「牛丼」とだけ注文しました。そこでハッ!と思ったのですが、一般的な料理屋でしか食べたことがない人にとって、牛丼のメニューは牛丼しかあたりまえで、チーズ牛丼だとかおろしポン酢牛丼なんてチョイスがあるとは思いもよらないんですよ。
でもそういう人からしたら、チョイスがあること自体が大きな驚きなわけです。そして、それだけ牛丼の種類が豊富であることを知ったお爺さんは、ならば気に入るメニューがあるんじゃないかと再訪する可能性が低くないのではないか、と考えたのです。

一般化した言い方をすると、選択肢がないと思っている商品に豊富な選択肢が生まれると、リピート購入が増えるのではないかという仮説が考えられます。
例えば、イタリアンのレストランでは何種類もパスタを出していると思いますが、これをそのパスタの発祥の地やよく食べられている地方で分けると面白いと思います。単純にパスタの種類が豊富なだけでは、選ぶ基準が使われている食材や味になりますが、地方別に分けられていると、自分の味覚はどこの地方に近いのだろうという選ぶ楽しさが出てきます。さらに
地方地方の特徴をまとめた冊子なんかがレストランにあると待ち時間も楽しんで待てるでしょう。
イタリアンの例はもともと種類が豊富だったものを別のまとめ方をして意味をもたせた例ですが、選択肢がなかったものに選択肢をもたせた好例が職場近くにあるお茶漬け専門レストランです。普通の人にとって、お茶漬けはせいぜい鮭茶漬けか梅茶漬けの2種類くらい存在しないのに、このお店では十種類近いメニューと季節のメニューがあります。これもやはりメニューを見てみると単純に全種類食べてみたいという意欲も湧いてくるものです。

注意しなければならないのは、提示される選択肢は顧客にとって意味がある選択肢でなければいけないということです。イタリアンレストランでトマトソースのパスタが20種類あっても、お客様にとってはただの迷いの元になるだけで、むしろ倦厭されてしまうかもしれません。牛丼チェーンがあれだけ栄えているのも、単純に安いだけでなく顧客の細分化されているニーズを捉えているのが理由になっている部分も多いと思います。ある人は、早く安く食べたいけど少しくらいは野菜も取りたい(私のニーズだ)、という人もいれば、安くても肉とご飯をたっぷり食べたいという人もいます。牛丼チェーンはそこに応えられているからこれだけ支持を得ているのでしょう。

飲食店だけの話ではなく、顧客が選択肢がないと思って使っている商品やサービスの一つに専門化し意味のある選択肢を増やして提示することによって、あなたのビジネスも大きく伸ばせるかもしれませんよ。

高付加価値路線のマーケティング

最近連日新聞を賑わせていますが、国内のエレクトロニクス系製造業が不調です。以前からアジアの価格競争に巻き込まれては不利ということで、高付加価値高価格路線を行くべしと言われていますが、マーケティング戦略がうまくいっていないことを物語っています。

高付加価値をアピールするということ
高い価格でも買う価値があることを消費者に納得してもらう手段として、製造法や高い技術が求められることをアピールする手法がよく見られます。例えば、キャッチコピーに「伝統製法」とか「国内の高い技術力」というようなフレーズを見受けることが多くなりました。米国のダイレクトレスポンスマーケティングの世界では、とあるビール会社が製造の段階で使用する水にとてもこだわっている、というビール業界ではアタリマエのことをあえて消費者に伝えたら大ヒットをしたという事がありました。
商品が高い価値を持っていることを伝えるこのマーケティング手法は、様々な分野で活用されていて効果があるようです。例えば、ワインや日本酒のように、商品の魅力と伝統・技術力が比例関係にあるような売り物なら、製造方法などのうんちく解説があるとついつい手を伸ばしてしまいそうです。製法や歴史といった商品の背景を伝えているマーケティング手法は、その商品を初めて購入する時に効果があるでしょう。

初めて手に取る理由と再び手に取る理由
しかし、落とし穴は初めてお客様に買ってもらうところではなく、再び買ってリピートしてもらうことにあります。パソコンを例に上げると、パナソニックのレッツノートはコアなファンがいて、リピート購入する人が多いようですが、NECではあまり聞いたことがありません。これは、再び手にとってもらうための訴求ポイントの違いが大きいのだと思います。レッツノートはタフでヘビーデューティを売りにしていますが、NECのPCはあまりこれといった売りが明確ではありません。強いて言うのならば初心者向けといえるかもしれません。しかし、PCのようにコモディティ化した商品の初心者は時間とともに減る一方です。その点レッツノートはひたすらタフさをアピールしているので、堅牢性を求める企業に指名買いをされ続けています。そしてNECはシェアを減らしています。

なぜその顧客は買い続けるのか、を考えたマーケティングを
ポイントは、選ばれ続ける理由となる価値にポジショニングをするということです。いくら商品として優れていても、誰のための商品で、誰にとって価値があるのかを明確に伝えていなけばいけません。そして、その価値がユーザーの求める価値と一致していなければいけないのです。

2012/09/07

ポータルサイトビジネスをBtoBにも適用できない?3

これまで連続して2つのポストでBtoBビジネスにもポータルサイトビジネスを適用できないか、ということについて論じてきました。前回の内容をおさらいすると、ITシステムの情報をまとめて提供するサイトにニーズがありそうで、利用顧客にとっては営業を呼ばないと得にくいソリューションの情報をまとめて比較しやすい状態で提供されている、というメリットを提示し、ITシステムベンダーには顧客を呼び込むという価値を提供できると話してきました。そして、利用者は無料でこの情報を利用することができ、契約した暁には所定の手数料をベンダーから徴収するというビジネスモデルでした。


ターゲットはどのような会社・人か?
利用顧客のターゲットは、特に業種を絞る必要はありませんが、中堅大手ならIT部門の担当者で、もう少し規模が小さい会社なら総務や経理ということになるでしょう。要するにITのを管理している人々です。そして、これらの人々にこのポータルサイトを知ってもらい、システム導入検討のタイミングで思い出して訪問してもらうことが最大のポイントです。まずは利用顧客がいなければ、ベンダーはここに掲載する必要がありません。

一方ベンダーはというと、一番恩恵がありそうなのはパートナー販売のみを販路とするソフトウェアメーカーでしょう。パートナーへの卸価格は通常10-30%程度だと思いますが、ポータルなら数%〜10%でも成り立つとすれば、価格競争力と利幅を保つことができます。一方、自社で営業活動をしているようなベンダーにとっては競合する販路と捉えられてしまうかもしれませんね。


KFSとKPIはなんだろう

このポータルサイトビジネス、KFSは利用顧客の集客に尽きると思います。利用客がいればベンダーに対してポータルへの参加と情報提供を要求できる強い立場になることができます。逆に利用顧客がいなければ、ベンダーからすれば参加する価値も低いし、情報提供するモチベーションも低くなってしまうでしょう。なので、KPIは利用顧客数という事になるでしょう。そして、そのKPIを達成するにはポータルサイトが便利である必要がある。そうすると、ベンダーからの情報が必要になります。鶏が先か卵が先か状態ですね。実際のところ、同時進行で徐々に双方からの信頼を得るしかなさそうです。


参入障壁は高いか?

ポータルサイトビジネスの問題点は参入障壁がとても低いということです。最近はWebサーバーなんか簡単に安価で借りれますから、プログラミングができる人や企業であればすぐにポータルサービスを立ち上げられるでしょう。 ただし、やはり問題は利用顧客の集客です。ポータルサイトが乱立しようが、集客力で決まります。これにはやはり、有益な情報を提供し続けるという基本原則をしっかり守っていくことが重要になりますね。


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2012/09/06

ポータルサイトビジネスをBtoBにも適用できない?2

前回のポストでは、BtoB領域でのポータルビジネスの現状と、なぜそういう状況なのかという仮説をみてきました。現状ではBtoB領域におけるポータルビジネスはほとんどなく、流通やオフィス・サプライ業界のウェブサイトがそれに近い役割を担っていて、その理由はビジネス向け製品を調べるときはWebよりも営業を呼ぶことが未だにメインストリームだから、という話でした。

さて、このポストではBtoBにおけるポータルビジネスはどうすれば実現できそうなのか見ていきたいと思います。


BtoBでポータルサイトビジネスの可能性があるのは?

まずは、どのような価値を提示すればBtoBでポータルビジネスが出来るかということについて考えてみます。平たく言うと、どんな商品だったらポータルで売れるかということです。 職業柄というのもありますが、私はITシステムの販売で使えると思います。なぜなら、ITシステムは自然とWebでの情報公開と親和性が高く、商品を自社のサイトで宣伝していないような会社は殆ど存在しません。ただし、自社のサイトで紹介している内容は自社に有利な内容だけを見せていることがほとんどで、他社との比較にはあまり使えません。



例えば、アンチウイルスソフトなどで言えば、どのサイトでも自社ソフトが完全な安全性を提供するように書いてありますが、第三者機関がアンチウィルスソフトを評価してみると、赤裸々に製品ごとの実力(ウィルス検出率など)が白日のもとに晒されてしまいます。しかし、このような仕組みはほとんどBtoBの製品では見られません。第三者機関の公平な評価とまでは行かなくても、利害関係が少ない第三者による評価の仕組みはビジネス向けITシステムでもニーズがあるはずです。


具体例を上げてみると、利用部門や経営企画からの要請によりグループウェアを選定することになったITシステム管理者からすると、ちょっと検索するだけでGoogle Appsやサイボウズやセールスフォースなど、それぞれ特徴をもった様々なグループウェアが見つかります。が、ちょっとWebサイトの情報を見るだけでは、具体的に自社の用途にマッチするのがどれかわからないのです。 たいてい利用部門や推進部門から出てくる要件はシンプルで、ほとんどの製品が選択肢に入ってしまう(または要件が非現実的すぎてこの世に存在しない)場合が多いのです。そうなると人間の判断はどのように行われるかと言うと、多くの場合ヒューリスティック(有名かどうか、など偏った判断基準による直感)で数社に絞り込み、各社から営業を呼び寄せることになります。そして営業の言われるがままに必要のない便利な機能に右往左往して選定に悩み時間というコストを支払い、さらに必要のない機能に余計なお金を払ってしまうのです。必要な機能を持っている選択肢をすべて洗い出し、そこから価格や使い勝手という本当に顧客側にとって意味のある価値で絞り込んでいく仕組みは確実にニーズがあります。


ちょっと長くなりましたがまとめるとこうなります。BtoBポータルサイトビジネスをするなら、ITシステムの比較サイトにニーズがありそうです。なぜかというと、一般的に企業で利用されるシステムは選択肢が多すぎ、重要でない要素(例:必要のないすばらしい機能、知名度など)で誤った判断をしてしまうからです。なので、必要な機能を持っている選択肢を洗い出し、そこから本当に意味のある比較要素で正しい絞込みをかける手助けをする仕組みが必要とされているのです。正しい絞込みの手助けという価値が提供できれば、ビジネスとして成立する余地があると思います。





ビジネスモデルは?



次に考えるべきは、どのようなビジネスモデルが考えられるか、です。「正しい絞込みの手助け」という価値をどのように提供するか、という問いに対する答えがビジネスモデルです。ポータルサイトビジネスでは、消費者(利用顧客)とサービス利用企業(ベンダー)という2つの顧客が存在します。その間を結ぶのは、取り扱うITシステムに関する情報です。なので、ベンダーには、新規顧客を送客するという価値を提供する代わりにITシステムの情報を提供してもらう。一方、消費者たる顧客企業へは再編集されて比較可能になった情報を提供する代わり、サービス利用企業のITシステムを購入してもらうというのが基本的な流れになります。



キャッシュポイントは、出来ればサービス利用企業と顧客企業の双方に設けられればベストですが、顧客企業からレベニューを上げるのは難しそうです。比較選定のための情報提供サイトにお金を払う、なんてなかなか企業内で稟議が通りにくそうですし。以前分析したゼクシィのケースを参考にして、はじめに顧客企業を集客することに主眼を置き、サービスを無料化するのがよさそうです。顧客企業が集まっている場所があれば、嫌でも利用企業はお金を払ってそこを使わざるを得なくなりますから。そして利用企業から成約の数%の手数料を取るというのがよさそうです。とはいえ、ポータルサイト上で最終的な取引が確定することはほとんどないでしょうから、とりっぱぐれないようにする仕組みが必要かもしれません。



利用企業を惹きつけるキャッチーなサービスとして、簡単な条件をしていして複数社から概算見積もりを取得するサービスが良いかもしれません。通常、Webである製品に目をつけて概算見積もりを取ろうとすると、営業が訪問してきてひと通り説明を聞いて概算見積を要求して提出してもらって・・・としていると平気で数日〜1週間くらいたってしまいますから。顧客企業からすると予算取りをしたいだけなので、こういうときはさっさと出してくれればそれでいい、というパターンが多いんですよね。





またまた長くなってきたので続きます。





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2012/09/04

ポータルサイトビジネスをBtoBにも適用できない?

最近ではその存在が当たり前になりすぎて意識することがありませんが、身の回りにはポータルサイトがあふれています。レストラン探しだったらぐるなび・食べログ、旅行だったらじゃらん、家電製品なら価格.com、楽天市場はECサイトですが、ある意味ポータルとも言えます。本来ポータルとはyahooのようなサイトをいうのかもしれませんが、ここでは特定の分野の商品・サービスに関する情報を得たい消費者とそれを提供している「多数の」企業を結びつけるサイトと定義します。



このポータルサイトというビジネス、気づけばとても生活に定着しています。特にネットで商品やサービスを頻繁に購入する私のような人間は、結構ポータルサイトのヘビーユーザーです。たとえば、どこかに旅行に行きたいな、と思えばたいていじゃらんか楽天で現地のホテルを探しています。一つ一つのホテルのHPなんてとても見ていられないですが、もっと安くていいところがあったのに、高くてサービスの悪いホテルに泊まってしまった!というのは避けたいという、怠惰でわがままな欲求が消費者にあるわけです。こうした不満をポータルは見事に解消してくれているのです。



現状はどうなの?

ところでこうしたポータル、不思議な事にBtoBにはあまり似たものがありません。ソフトバンクBB、ダイワボウ、大塚商会といった流通業者やオフィス・サプライのアスクルといった会社は、販売している商品を発注するためのWebサイトを用意しています。購買担当者はサイト上で必要な商品をセルフサービスで選択し、発注します。便利な世の中になりました。しかし、あくまでもある会社の販売窓口をWebにしただけの話で、ポータルサイトとは根本的に異なります。ポータルサイトとは顧客に対し複数の企業から選択する自由を与えるものです。ポータルサイトとは第三者的立場で、利用者の買いたい物に関するすべての選択肢を提示し、選択するための情報を与え、利用者の購入判断を促すという性質があります。そして、どこの商品を買ったとしても、その場所で購入さえしてくれれば手数料収入が発生するので、ポータルサイトは第三者的立場でいることができるのです。



なぜ現在BtoBのポータルサイトがないのか

これだけBtoCでは当たり前になってきているポータルサイトがなぜBtoBでは存在しないのでしょうか。単純化した仮説ですが、Webや通販がなく、モビリティが低かった時代のBtoCビジネスは、地域の商店街のような閉じた経済モデルだったので、野菜は八百屋で、魚はさかなやで買えばよかった。選択肢はなかったに等しかったのです。一方、BtoBは扱っている商材が説明なしには価値が伝わりづらく、またBtoB商材を扱っている店は普通店舗を持たないので、営業という役割が必要になりました。

やがてWEBが発達してくると、消費者は圧倒的な選択肢を手にする一方、選択肢を束ねて整理してくれる人が必要になりました。そこでポータルサイトを作る人が出てきました、と。一方、BtoBは営業がいるので、選択肢が増えても顧客は複数の会社から営業を呼んで比較すればよかったので、あまりポータルというものの必要性を感じなかったのでしょう。

では、BtoBではポータルの存在価値はないのでしょうか?いえいえ、BtoBの世界でも、私のいるIT業界では選択肢が増えすぎて選ぶことがますます困難になっていると感じます。



次のポストで、どのようにBtoBポータルビジネスを展開するか、私なりの考えを書いてみます。



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顧客を囲い込むなら有刺鉄線ではなくバラの生垣で

小売業で最も大切なマーケティングのテーマのひとつに、顧客の囲い込みがあります。様々な手段を用いて、自社でリピート購入してもらうことを目的とした活動です。主だったいくつかの囲い込みの手段を見ていきましょう。


ポイントカード。自社チェーン、またはグループでの買物金額のうち数%がポイントになり、次回以降ポイントを精算にあてることができるシステムです。Tポイントカードや家電量販店系のポイントカードが有名ドコロですね。特徴は付与したポイントと利用されるポイントとの格差が結構あるようで、企業に有利なシステムです。なぜなら引当金として負債化された差額は金利のない借入のようなものなので。ただし、家電量販店のような異常なポイント率の場合は話は別のようで、負担が大きいようです。ポイントカードによる顧客囲い込みは企業にとっては負担がそれほど大きくないにもかかわらず、ポイントカードを元に顧客の購買行動が見える化できるので、あらたなマーケティングの機会を提供します。Tポイントカードが業界横断で連携先を増やしているのはまさにこのためです。


情報提供。最近多くなってきている、ブランドやチェーン、店舗などのメルマガが情報提供による囲い込みにあたります。使われ方としては、新製品の販促やイベント告知、商品の効果や製造過程などを紹介する顧客教育といったことに用いられます。情報提供がうまくいくと顧客の欲求を高めて購買行動をコントロールできますし、顧客教育によるブランド価値の向上も効果がありそうです。しかし、よほどためになる情報を継続的に提供してくれるか、よほど読み物として面白くない限り、途中で顧客に飽きられてしまう可能性が高いでしょう。新しい使い方として、双方向の情報提供が生まれています。SNSを使って顧客参加型で製品開発するなどの例が出てきています。某女性下着メーカーが顧客参加型の製品開発をしたところ、大きな反響を呼びました。


割引クーポン。言うまでもなく、商品を一定率、一定額で割り引くチケットを配布する手法です。最近ではグルーポンなどのクーポンそのものをビジネスとする企業の出現やLine公式アカウントのクーポン配信など、ホットな手法です。しかし、クーポンが囲い込みとしては効果が弱いと見えます。最も有効なのは新規顧客の開拓と安価な商品のリピートに限られるでしょう。高価な商品は高品質や自分用カスタマイズなどの付加価値を理由にロイヤルティが形成されるので、クーポンなどの割引ではリピート効果は薄いでしょう。さらに、安価な商品でもクーポンを使い過ぎると、割引なしでは購入しない理由になってしまう危険性があります。クーポン新規顧客の開拓に集中的に使うべきでしょう。


保証を高める。実はこれは一番有効だと思います。心理学的に、人はプラスを得ること(割引クーポン・ポイントカード)よりも、マイナスを回避すること(保証)を2倍重視するという研究結果があります。ただし、保証も使いドコロが重要です。というのも、普通保証はUSPにはなりえません。例えば、DellのPCとAppleのMacでどちらを買うか悩んでいるとき、スペックやOSの違い、デザインなどが購入を決める要素になるでしょうが、保証で選ぶ人はおそらく少数派です。なぜかというと、パソコンの本質的な付加価値ではないからです。「何を」買うか悩むときに保証はあまり関係ないということです。

しかし、「どこで」買うかという判断をするとき、保証は大きな意味を持ってきます。楽天やヤフー、アマゾンなどのECショップでは、あまり品揃えや値段などの違いはありません。そうするとどれだけ保証がついているかということが大きな価値を持つようになります。裏付けるように保証を手厚くするECサイトが増えています。


日経MJ 2012/9/3 P.13ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

楽天は3日、仮想商店「楽天市場」などで保証サービスを導入する。商品購入後に発生した破損や盗難、修理の際に年間10万円を上限に購入額や修理費用を保証する。インターネット通販ではヤフーも保証サービスを拡充しており、競争が激化するなか顧客の信頼性を高めて囲い込みを進める。

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実はこの手法はダイレクトレスポンスマーケティングの世界では十年以上前から使われているリスクリバーサルという手法です。保証を高めることが顧客のロイヤルティを高めることは昔から証明されていたようです。


発想を一歩前進させてみます。これらのBtoCの手法をどのようにBtoBに転用することができるでしょうか?購入するものによりますが、ポイントカード、割引クーポンはあまり向かないと思います。まず、企業は予算ありきで動くので、次回安くなるというのはあまりメリットを感じないでしょう。それに会計処理をややこしくしてしましかねないので、還元率によってはそんな割引ないほうがいい、ということになり全く囲い込みにならないかもしれません。もっとも使われているのは情報提供ですね。メルマガはどの企業も比較的活用していますし、SNSの活用も増えてきています。有望そうなのはリスクリバーサルです。BtoBにとっては非常識すぎて使われていない手法ですが、ある程度販売数量が多いパッケージ製品ならリスクは計算しやすいと思います。ただ、前述のとおり、「何を」買うかという判断で保証の厚さは主な差別化要因には成り得ないので、効果は懐疑的な部分もあります。むしろ、インテグレーターがパーツとなる製品を無償または差額のみで入れ替えるという保証をしたほうが訴求効果はありそうですね。


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2012/09/03

消しゴムのように完成されたプロダクトでもまだイノベーションの余地がある

今回は、完成されていて改善の余地が全くないのではないか?というようなプロダクトでも、より良いプロダクトに改善する余地はあるんだという教えの好例をシェアします。そのプロダクトというのは消しゴムです。消しゴムと言えば頭に浮かんでくるのは、黒・白・青のストライプに「MONO」の字がプリントされた消しゴムではないですか?MONO消しゴムは50年近い歴史を持っている消しゴムで、Wikiによると15種類ほどシリーズ商品があるようです。といっても、やはり思い出すのはあのスタンダードな消しゴムですよね。シリーズ商品はどれも印象薄ですが、今度はスタンダードなMONO消しゴムに並ぶ市民権を得られそうな商品がリリースされました。


日経MJ 2012/8/31 P.6ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

筆記具大手のトンボ鉛筆(東京・北)は、ノートやルーズリーフのケイ線の幅に合わせて厚さを薄くした消しゴム「モノ・スマート」を9月3日発売する。中高生を中心に1行ずつ綺麗に消したいという需要に対応することで、年間30万個の販売を目指す。

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こちらがそのプレスリリースページです。アンケートの結果が掲載されていて、消しゴムのメインユーザーである中高生にヒアリングしたところ、罫線の間の文字を消すことが多いと回答した人が64%もいたのだとか。自分が学生の頃を考えると、確かにその通りです。デカイ消しゴムだと、ノートに当たる面の部分を考慮しながら消さなければならず、そのために消しゴムを削ってちょうどいい角を作るようなこともしていました。でもこの消しゴムがあれば、そのような心配は無用。薄さが1行分なので、削り面とか考えずに消しゴムを横にして消すだけでOK。自分がシャーペンや鉛筆でメモを取る人だったら、多分買ってます。


このモノ・スマートのように、世にある画期的なビジネスモデルや製品・サービスというのは、生み出されてみるとなぜ今までその商品(ビジネスモデル)がなかったのだろう?と不思議に思うくらいシンプルで当たり前のものが多いです。はじめにこの新聞記事を見た時、なんで今までこれがなかったんだろう?と思わされました。多くの人がこういう商品欲しいよね、と思いそうなものなのに、まだ商品化されていない(少なくとも十分に浸透してない。 つまりベストセラーとなる可能性が十分にあると思います。


画期的なビジネスモデルは商品を企画するアイディアの源泉はいろいろあると思います。例えば慣例の逆を行ってみる、違う業界のノウハウを転用してみる、機能を縮小してみる、などなど。モノ・スマートのアイディアの厳選は、徹底的な顧客の課題解決から生まれたアイディアだったと言えます。上記の通り、消しゴム利用者の64%が罫線内の文字を日常的に消している。しかし、罫線内の文字だけを消せる細い消しゴムが欲しいなあ、と考えた人はおそらく殆どいないでしょう。このような課題解決型のイノベーションは、顧客が自らの課題、もっと平たく言うと、「なんでこれってこんな使いにくいのかな。もっとこうならないのかな。」という疑問を必ずしも持たない、という点で難しいのです。殆どの人が消しゴムなんてこんなもんでしょ、という固定観念の中で消しゴムを使用しているので、そもそも問題の存在に気づかないのです。それを見事に炙りだしたトンボの開発者は慧眼を持っていますね。


課題解決型のイノベーションでもう一つ問題になるのは、課題の広さと深さという概念です。モノ・スマートのケースでは、64%の人が課題を持っていました。ただし、ひとりひとりの消費者がモノ・スマートを買うかどうかという判断するのは、サッと一行を消せることがその人にとってどれだけ大きなインパクトを持っているかによります。これが課題の深さです。試験中に慌てて消したら何行か巻き込んで消してしまい大変な目に遭って以来、消しゴムを使うときには面のあたりがすごく気になってしまう・・・、という経験を持つ人なら喜んで買うでしょう。このように、普通の消しゴムで嫌な経験をした人が、これまでの消しゴムを捨ててでも新しいモノ・スマート切り替えたいと思う人がどれだけいるかが重要です。広さだけではなくて深さも考えなければいけないということです。広さは統計的な手段で得ることができますが、深さを統計で測るのは難しいでしょう。深さを測るにはテストマーケティングが良いと思います。そして、深さに関するひらめきを得るのは難しく、個人の経験からのひらめきになるか、利用者の気持ちになりきる能力が必要になります。こういう発想力は、日々思考することでトレーニングするしかないのでしょうね。


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