2012/09/25

ポータルビジネスは今後もハイパフォーマーでいられるか?


ぐるなび、価格.com、じゃらん、クックパッドなどなど、ウェブ業界ではポータルビジネスが全盛期を迎えています。このブログでも何度かポータルビジネスを取り上げてきました。PCだけでなくスマートフォンも取り込み、私生活でネットを活用する人にとってはポータルビジネスはなくてはならない存在になってきています。同じポータルビジネス同士の競合は激しいものの、ポータルビジネスそのものは安泰のように見えます。しかし、今後もポータルビジネスを破壊するようなイノベーションは生まれないのでしょうか?私にはデジタルネイティブの若い世代の行動様式は、ポータルビジネスを破壊する新たなビジネスモデルを生み出す源泉となるように見えます。

今現在、ポータルビジネスは間違いなくハイパフォーマンスなビジネスです。ポータルビジネスは、場所という制限を取り払ってローカルビジネスをグローバルビジネス(は言い過ぎかもしれませんが、少なくともネイションワイド)へと伸長させ、素人目には提供価値と貨幣価値の釣り合いがわからない商品でも透明のテーブルの上で比較できるようしたため、購買活動におけるパワーバランスを消費者側に傾かせました。その結果、ポータルサイトにはユーザーが集まり、ユーザーを求めて企業が集まり、企業間で正しい競争が生まれ、ユーザーを利するというポジティブスパイラルを作り出してきたのです。ユーザーだけでなく正しい競争で勝ち残った企業を利するという点で、三方良しの優れたビジネスモデルであると喝采したくなるものですね。

しかし、ビジネスが市場に受け入れられ息の長いビジネスになってくると、企業は一つの課題に直面することになります。それは、「顧客の変化」という難題です。
顧客の変化には2種類の変化があります。一つは、これまで自社のサービスを利用していた顧客の加齢によるライフステージの変化です。例えば、これまで中古バイクのポータルサイトを利用していたバイク好きの若者も、年をとるとバイクから離れていくかもしれません。もう一つの変化は、新たな若い層がターゲット顧客になるという変化です。顧客はある程度の割合で流出するものですから、新たな顧客の開拓はどの企業も絶対に必要です。先の例で言えば、世代が上がるほどバイクから離れていく顧客が増えていきますが、毎年新たに16歳になる少年少女たちは新しいターゲットになります。

ではこの変化が、ポータルビジネスにどのようなインパクトをもたらすのでしょうか?一つ目の課題、既存顧客のライフステージ変化ですが、ポータルビジネスはこの変化に強いと言えます。ポータルサイトが提供している価値は「what」、つまり、具体的な商品やサービスではなく「how」、欲しい物を手に入れるための手段です。例えばぐるなびはレストラン情報を提供しているように見えて、実は検索という手段を提供しているのです。ポータルビジネスは、向き不向きはあれど扱う商品は何でも構わないので、顧客のライフステージが上がったのであれば顧客の嗜好に合わせて扱う商品を変えてゆけばポータルビジネスは存続できます。
しかし、難題は新たな客層を開拓することにあります。単純化するため、ここでは新たな客層とは想定顧客の年齢に達した人々とします。ポータルビジネスの新たな客層は、いわゆるデジタルネイティブの世代です。彼らは生まれた時から当たり前のように手元に携帯電話が存在し、ツイッターやLINEなど豊富なコミュニケーションの手段が存在するなか育って来ました。ポータルビジネスがこの世代に苦戦しそうな理由は、彼らの購買活動はニーズありきよりも潜在的なウォンツを刺激された時に活発になるからです。今の若い世代は無駄遣いをせず、物欲があまりないとされています。そんな彼れが購買意欲をそそられるのは、「そうそう、こんなのが欲しかった」という潜在的なウォンツを刺激してくれたときなのです。例えば、ツイッターやFacebookやLINEで、友人や尊敬する人が薦めていたり実際に使っているものを見て購買意欲のスイッチが入るのです。SNSはこのようにウォンツを刺激する仕組みに長けています。
一方、ポータルサイトは明確なニーズを持っている人が自ら検索して利用するサービスです。最初のきっかけはなんであれ、ユーザーは自分で買いたいものを調べて、選択して、購入します。ユーザーが明確にニーズを持っていない限り、ポータルサイトはその価値を提供できないのです。

全てがそうだというわけではありませんが、デジタルネイティブの世代は「そうそう、こんなのが欲しかった」という隠れたウォンツを満たされるとでモノやサービスを購入する機会が多いので、ポータルサイトよりもSNSに流れてしまうかもしれません。ポータルビジネスは、今の顧客に提供している「私はこれを一番損しない方法で手に入れたい」というニーズを満たすだけでなくウォンツをかきたてる機能を持たせなければ、今後そのビジネスモデル自体が地盤沈下していくかもしれません。

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