2012/09/03

消しゴムのように完成されたプロダクトでもまだイノベーションの余地がある

今回は、完成されていて改善の余地が全くないのではないか?というようなプロダクトでも、より良いプロダクトに改善する余地はあるんだという教えの好例をシェアします。そのプロダクトというのは消しゴムです。消しゴムと言えば頭に浮かんでくるのは、黒・白・青のストライプに「MONO」の字がプリントされた消しゴムではないですか?MONO消しゴムは50年近い歴史を持っている消しゴムで、Wikiによると15種類ほどシリーズ商品があるようです。といっても、やはり思い出すのはあのスタンダードな消しゴムですよね。シリーズ商品はどれも印象薄ですが、今度はスタンダードなMONO消しゴムに並ぶ市民権を得られそうな商品がリリースされました。


日経MJ 2012/8/31 P.6ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

筆記具大手のトンボ鉛筆(東京・北)は、ノートやルーズリーフのケイ線の幅に合わせて厚さを薄くした消しゴム「モノ・スマート」を9月3日発売する。中高生を中心に1行ずつ綺麗に消したいという需要に対応することで、年間30万個の販売を目指す。

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こちらがそのプレスリリースページです。アンケートの結果が掲載されていて、消しゴムのメインユーザーである中高生にヒアリングしたところ、罫線の間の文字を消すことが多いと回答した人が64%もいたのだとか。自分が学生の頃を考えると、確かにその通りです。デカイ消しゴムだと、ノートに当たる面の部分を考慮しながら消さなければならず、そのために消しゴムを削ってちょうどいい角を作るようなこともしていました。でもこの消しゴムがあれば、そのような心配は無用。薄さが1行分なので、削り面とか考えずに消しゴムを横にして消すだけでOK。自分がシャーペンや鉛筆でメモを取る人だったら、多分買ってます。


このモノ・スマートのように、世にある画期的なビジネスモデルや製品・サービスというのは、生み出されてみるとなぜ今までその商品(ビジネスモデル)がなかったのだろう?と不思議に思うくらいシンプルで当たり前のものが多いです。はじめにこの新聞記事を見た時、なんで今までこれがなかったんだろう?と思わされました。多くの人がこういう商品欲しいよね、と思いそうなものなのに、まだ商品化されていない(少なくとも十分に浸透してない。 つまりベストセラーとなる可能性が十分にあると思います。


画期的なビジネスモデルは商品を企画するアイディアの源泉はいろいろあると思います。例えば慣例の逆を行ってみる、違う業界のノウハウを転用してみる、機能を縮小してみる、などなど。モノ・スマートのアイディアの厳選は、徹底的な顧客の課題解決から生まれたアイディアだったと言えます。上記の通り、消しゴム利用者の64%が罫線内の文字を日常的に消している。しかし、罫線内の文字だけを消せる細い消しゴムが欲しいなあ、と考えた人はおそらく殆どいないでしょう。このような課題解決型のイノベーションは、顧客が自らの課題、もっと平たく言うと、「なんでこれってこんな使いにくいのかな。もっとこうならないのかな。」という疑問を必ずしも持たない、という点で難しいのです。殆どの人が消しゴムなんてこんなもんでしょ、という固定観念の中で消しゴムを使用しているので、そもそも問題の存在に気づかないのです。それを見事に炙りだしたトンボの開発者は慧眼を持っていますね。


課題解決型のイノベーションでもう一つ問題になるのは、課題の広さと深さという概念です。モノ・スマートのケースでは、64%の人が課題を持っていました。ただし、ひとりひとりの消費者がモノ・スマートを買うかどうかという判断するのは、サッと一行を消せることがその人にとってどれだけ大きなインパクトを持っているかによります。これが課題の深さです。試験中に慌てて消したら何行か巻き込んで消してしまい大変な目に遭って以来、消しゴムを使うときには面のあたりがすごく気になってしまう・・・、という経験を持つ人なら喜んで買うでしょう。このように、普通の消しゴムで嫌な経験をした人が、これまでの消しゴムを捨ててでも新しいモノ・スマート切り替えたいと思う人がどれだけいるかが重要です。広さだけではなくて深さも考えなければいけないということです。広さは統計的な手段で得ることができますが、深さを統計で測るのは難しいでしょう。深さを測るにはテストマーケティングが良いと思います。そして、深さに関するひらめきを得るのは難しく、個人の経験からのひらめきになるか、利用者の気持ちになりきる能力が必要になります。こういう発想力は、日々思考することでトレーニングするしかないのでしょうね。


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