2012/09/16

ターゲットの分類は年齢層などの属性ではなく価値であるべき

商品やサービスのターゲットを語る上でよく使われているのが性別や年齢層などの属性です。シニア向けサービス、20代独身女性向けサービスと聞けば、なんとなく納得感はあるような気がします。しかし、いざ新しい商品やサービスを作るときにシニア向けとか20代独身女性向けという発想でスタートしてしまうと、すぐに行き詰まってしまいます。なぜかというと、属性で分けただけではターゲットとする人々の価値観は多種多様すぎて、実際何の分類もしていないのも同然だからなのです。発想のスタートは属性ではなく、その属性の人々を喜ばせる価値観でなければいけません。

ワタミの新業態居酒屋「炭旬」というお店が、シニアにターゲットを絞り試験的に9店舗を展開したところ、売上が35%もオーバーアチーブしているそうです。一般的に、シニア向け店舗は広いテーブルや広い通路がセオリーと言われているところ、この店舗ではあえてワタミ標準のサイズよりも小さな机、幅の狭い通路で密着感を演出しているそうです。そしてこの密着感が成功の秘訣なんだとか。
この店舗のコンセプトを決めるときに、シニア層をターゲットとしたのは間違いないでしょう。しかし、「炭旬」を成功に導いたコンセプトは常識的なシニア向けの発想(幅広い机や通路)からは得られないものです。どういうことでしょう?

この店舗のコンセプトを考えるときに「シニア」という軸で考えたのではなく、特定のシニアが好む価値はなんだろう、という発想からスタートしていたのだと思います。別にシニアが狭い場所が好き、という話ではないですよ。店員や居合わせた人との会話を楽しむという価値です。年季の入った立ち飲み屋のような年配のお客さんが集まる居酒屋に行ったことがある方はイメージがつくかもしれませんが、居合わせた人々で気軽な会話を楽しんでいる光景が見られます。これがシニアの感じる価値なのです。
正確に言うとこれは「シニア」ではなく、「密着感のある居酒屋で居合わせた人々とワイワイ話をするのが好きなシニア」と表現すべきかもしれません。これが、属性による分類では求められている価値を正確に得られない原因です。属性で絞るだけでなく、何に価値を感じるかというのを正確に炙りださなければいけないのです。シニアという一つのグループの中にも密着感が好きという価値観を持つ人もいれば、広めの店舗で隣のグループとあまり心理的近さを感じないほうが快適という価値観のグループもいるのですから。

ターゲットを絞ることを恐れる人が恐れる人がいますが、これも属性でターゲットを絞るという誤った考え方の弊害です。属性で絞ると考えている人からすると、シニア向けの店はシニア向けに作られているので、シニアにしか受けない、という結論になってしまいます。しかし、実際はシニアの中の特定の価値観を持った人々を惹きつけるので、似たような価値観を持った別の世代の人々も惹きつけるのです。

製品・サービスのコンセプトを考えるときに、まず大雑把にターゲットの属性から切っていくのは問題ないでしょう。しかし、属性を決めてすぐにコンセプトづくりに入ってはいけません。その属性の人々をもっとリアルに想像し、その人々が持っている価値観を探り当てるのです。そしてその価値観にあった提案をしていけばターゲットは反応するはずなのです。
反応しないとしたら、それは価値提案が不十分か、ニーズの広さと深さが足りていないのです。

 にほんブログ村 経営ブログへ

0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...