2012/09/29

NECのウルトラブックは売れるか


最近iPadなどのタブレットが好調である一方、出荷台数が低迷気味のパソコンですが、業界の人々が密かに期待を寄せているのがウルトラブックです。11インチ〜14インチ程度のサイズで厚さが10〜20ミリ程度と非常に薄いのが特徴で、記憶媒体にSSDを採用しているので起動が早いという特徴があります。ある意味タブレットに近い製品です。
今業界でホットなウルトラブック。主要なプレイヤーは、初めて消費者にウルトラブックの価値を問うたAppleのMacbook Air、WindowsPCでいち早くこれに対応したASUS ZenBook、そしてPCの世界でのガリバーであるHPやDellです。日本メーカーも後を追って続々市場へ投入し、国内市場では国内メーカーのウルトラブックがシェアを有しています。

日本メーカーの中でも、これぞ日本のお家芸とも言える技術力を駆使した超軽量なウルトラブックで市場に切り込んだメーカーがNECです。NECが市場に投入したLavie Zシリーズは13.3インチでありながら、他社製品が1.1〜1.3kgという重量が一般的な中、わずか875gと20〜30%と驚異的なシェイプアップをしたウルトラブックを開発しました。
市場の反応もよく、価格.comなんかを見てみると売れ筋ナンバーワンになっているようです。テック系のブログなどでも「これぞ日本のお家芸」的な好意的な反応をもって受け入れられています。
しかし、私には軽さを重視するユーザーやNECや国内メーカー贔屓のユーザーの購入が一巡したら失速すると思っています。むしろ、国内製造業がことごとく嵌ってきた罠にまた進んで飛び込んでいるように見えます。

1つ目の理由は、技術的な優位性はすぐに追いつかれて体感できる差がなくなり、ユーザーにとって価値を持たなくなるからです。現時点で他社製品より20〜30%安いというのは驚異的です。しかし、まもなく他社メーカーもリバースエンジニアリングなりで追いついてくることでしょう。設計で限界まで軽くできたら、あとはもうバッテリーやボードなどコアな部品が進化してさらに軽量になることを待つしかありません。しかし、その時は全メーカー横並びで軽量化できるということです。他社比較で優位な軽さというアドバンテージを持ち続けることができるのは、せいぜい半年〜1年程度ではないでしょうか。

2つ目の理由は、訴求するポイントにウルトラブックの基本的な特徴を選択しているということです。ウルトラブックを他のモバイルPCをと皮革した場合の特徴は、軽い、薄い、早い、バッテリーが持つ、高い、という5点程度に集約できます。NECはこの中の「軽い」に圧倒的インパクトをもたせました。そして売れています。これを逆手に取ると、さらに軽ければLavie Zを選択する理由はなくなります。

これがニーズを満たすことで買ってもらうと努力することの難しさです。さらにニーズを良く満たす製品があればお株を奪われるということです。だからメーカーは防衛策として全方位型にニーズを満たそうとするのですが、その結果八方美人で器用貧乏な特徴のない製品が出来上がります。これが国内製造業がよく陥る罠です。

MacBook Airを見て下さい。スペックは大した特徴がありません。しかしスターバックスやエクセルシオールでウルトラブックを開いている人の何割がMacBook Airを開いていることでしょうか。Appleは決してニーズを満たそうとしたのではなく、ユーザーの経験に注意を払ったのです。人前で開くことが楽しみになるようなデザインはもちろんのこと、自宅に母艦となるPCを持ちMacBook Airは外で利用されることを想定し、iCloudで母艦PCをとMacBook Airの利用環境が簡単に統合できるという価値を提案しているのです。こうしたニーズではなくウォンツを刺激することに長けたAppleがやはり安定した収益をあげているのです。

日本の製造業もニーズ追求の罠から抜けだして、ウォンツ追求型でファンを集めるビジネスに転換していってほしいものです。


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