2012/10/22

「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート3

エイドリアン・J・スライウォツキーとデイビッド・J・モリソンによる著書「プロフィット・ゾーンの経営戦略」から利益を生み出す22の方法について紹介します。昨日までで14番目の方法まで説明しました。今日は残りの15~22までご紹介します。

15. 取引規模利益
このモデルは主に多大なインフラ投資のため損益分岐点が高く、販売量を増やした時のコスト上昇が低い携帯キャリアやロジスティクスのような企業で有用な利益モデルです。こうした業界では利益率の高い顧客にターゲットを絞って販売量を増やすことが基本戦術になります。取引規模利益モデルが適用されるのは必ずしもインフラビジネスだけでなく、沢山のアナリストという固定コストを抱え、取引の数ではなく規模の大きさで手数料収入が大きく変わる投資銀行でも適用できます。

16. 価値連鎖ポジション利益
一つの製品やサービスは複数のステップからなるバリューチェーンのアウトプットですが、各ステップで生み出される付加価値の大きさと利益は必ずしも一致しません。このため自社がそのバリューチェーンの中で利益率の高い付加価値創造ステップに所属していることが重要になってきます。

17. 景気循環型利益
景気サイクルの影響を受けやすい業界において、景気の影響を戦略にあらかじめ折り込んでおき、利益を最大化しようという試みです。方法としては、正攻法ですが好景気の間にできる限り利益をオーバーアチーブする、コストと売価をコントロールするなどの方法論があります。

18. 販売後利益
インストール・ベース利益と似ていますが、販売後のアフターサービスやファイナンシングで利益を生み出すモデルです。GEの例では、機器の販売での利益は少ないものの、ソリューション利益とファイナンシングによる販売後利益で売上高利益率の多くを上げています。このモデルの特徴は、インストール・ベース利益と違い、インストール・ベースの元となる製品やサービス(例えばプリンター)を自社が販売している必要がなく、他社が販売した製品のアフターサービスを販売するというような他社製品依存型でも実現可能です。

19. 新製品利益
業界の中でも需要が落ち着いて利益率が低い商品と需要が高く利益率も高い製品があります。PCハードの業界ではデスクトップPCは必ず一定の需要があるものの利益率がこれ以上上がることはありません。一方、業界内で新製品であるウルトラブックは需要が旺盛で利益率も高いため、経営資本を投入するならウルトラブックに集中すべきです。このように新しい商品で利益を稼ぎだしていこうというモデルが新製品利益です。

20. 相対的市場シェア利益
同じ市場における競合他社よりもシェアで優位に立つことにより、規模の経済による製造コストの低減や製品一ユニットあたりのマーケティングコストの負担が減り、競合他社よりも相対的に利益率が高くなるというモデルです。シェア絶対主義は必ずしも利益にはつながりませんが、相対的市場シェアをを獲得することにより利益率が高まることもまた事実です。

21. 経験曲線利益
製品の製造やサービス提供に習熟することにより、製品一ユニットあたりの製造コストの低減や不良品率の低下といった恩恵があります。習熟によってコストを低下させ、利益率を高めるのもひとつの利益モデルです。

22. 低コスト・ビジネス・デザイン利益
経験曲線利益のような連続的なコスト削減に対し、ビジネスモデルを大きく変える非連続的なイノベーションにより、ゲームを変える企業が出てくることがあります。爪に火をともすようなコスト削減を繰り返していたPC業界に参入したデルは、営業チャネルを大胆に絞り込み、製造と販売をダイレクトに結びつけることで大幅なコスト削減を実現しました。ライバルPCメーカーの連続的なコスト削減アプローチではデルの勢いを止められず、一気にシェアを奪われました。

以上が利益を稼ぎだす22の方法です。
ある業界では当たり前に使われている方法が、別の業界では全く新しい概念だったりします。ビジネスデザインを考えるときに、是非参考にしてみて下さい。
それにしても、欧米のビジネス研究者によるビジネス書はどれも徹底して研究されていて、豊富な事例が掲載されています。ほんとに頭が下がります。



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