2012/10/20

日経電子版の微妙な値付けは何が目的?日経電子版のマーケティング戦略


Webで無料でニュースが読めるようになり、新聞各社が利益を守るためにビジネスモデルの変更を模索しています。中でもビジネスパーソンに広く読まれている日経新聞は2010年3月から日経電子版を有料サービスとして配信を開始しました。会員未登録の状態だと、主要記事のタイトルとさわりの部分しか読めません。
特徴的なのは、その価格設定です。購読者が選べるプランは通常の宅配と合わせると3つの選択肢が提供されています。

(1) 宅配+電子版 ¥5,383/月額
(2) 電子版有料 ¥4,000/月額
(3) 電子版無料 ¥0(ただし制限あり)

こうして各プランを並べてみると、明らかに電子版がコストの割に高いということです。新聞紙の宅配であれば、印刷にかかる費用と配送にかかる費用があるので一部あたり100円弱の価格になるのは分かりますが、電子版は記事をアップロードするだけで配信にかかるコストはありません。
新聞記事の作成にかかる取材費や人件費は発行部数(=売上)となんら比例関係のないサンクコストなので、単価と発行部数をかけた売上が最大になる価格設定をすれば良いわけです。少なくとも4000円がその最大のポイントではなくてもっと安いはずです。
なぜこのような価格設定なのでしょうか?いくつか仮説が考えられます。

■広告収入ではなく会員収入のビジネスモデルを模索している
電子版を高価にしている可能性の一つとして、日経新聞は将来的にWeb版メインで、会員収入モデルで事業を成り立たせようとしているのかもしれません。
新聞各社の収益は購読料と広告料で成り立っています。利益でいえば広告がメインということになるでしょう。新聞紙の折込広告であれば、確実に各家庭へ届けることができますが、Web版の広告となるとどうしても表示できる数が限られてしまいますし、PVが安定しないので広告収入が得にくいという問題点が出てくるのでしょう。そこで安定した固定収入を上げられる会員収入モデルに移行しているという見方ができます。

■宅配+電子版の契約獲得数最大化を狙った値付け
新聞紙の発行部数最大化と収益の最大化を狙った値付けだという可能性です。「A Successful Failure」(http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20100224/1267021310)というブログで詳しく解説されていますが、行動経済学の観点で分析すると上記の3択の提示は、宅配+電子版を選択する人が最大となる提示の仕方です。電子版だけで4000円もするのであれば、プラス1400円弱で新聞紙の配送もついてくるほうが良い、という選択をする人が多くなるのです。電子版4000円というのはあくまでもオトリであって、本音としては新聞紙をとにかく取って欲しいということですね。やはりチラシによる広告収入は捨てられないし、販売店との関係性を考慮すると一気にWeb版へ傾倒することはできないという思惑があるのでしょう。

もし前者が正しければ、無料購読期間を3ヶ月とか長めに設けて、Web版を読むことを習慣づけるようなマーケティングプランを立てるでしょう。しかし、日経が提供している無料購読期間は10日に過ぎないので、後者のほうが正解なのでしょうね。
私としては、マーカーを引いて特定の記事だけスクラップしているので、そういう機能があれば電子版だけ購読したいのですけどねえ。

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