2012/10/26

異業種からの侵略者

前回は、競合は同業他社だけでなく顧客の求める価値によって異業他社も競合になるということについて書きました。顧客が求める価値を提供しているのであれば、まったく別の企業が競合してくる可能性があるのです。テーマパークの競合は他のテーマパークと考えがちですが、「休みの日を恋人と楽しく過ごす」というニーズで考えればショッピングモールや公園も競合となるわけです。

私の勤めるIT企業でも最近このような気付きがありました。私の部門はハードウェアとソフトウェアをセットにしたソリューションを顧客へ提供するSIerです。競合他社として考えていたのは、まずはSI事業をおこなっている同業他社ですが、最近ではディストリビューターも競合として認識しなければいけません。もともとディストリビューターはハードやソフトを流通させていただけですが、徐々にITビジネスの川上へ移行しSI事業をおこなうようになりました。SIerに対する顧客のニーズは「○○という課題を解決してくれる、一まとまりのITシステムが欲しい」なので、ディストリビューターは自社が流通させているハードやシステムを組み合わせて提案すればSIerと同じバリューが提供できてしまうのです。

さて、ディストリビューターまでは想定の範囲内でしたが、最近発見したのはリース・ファイナンス会社も同じようにSIerとしての価値を顧客に提供しつつあるということです。リース・ファイナンス会社を利用する顧客の主なニーズは「一括払いで高価な機器やシステムを導入してキャッシュフローを悪くしたくない」というところだと思います。これまではリース・ファイナンス会社は顧客のキャッシュフローを改善するファイナンシャルサービスの提供が主要な付加価値でしたが、さらに顧客に提供する付加価値を高めようとした結果、リース・ファイナンスと共にIT機器やシステム導入の手助けをするワンストップソリューションに踏み込んだのでしょう。

まったく別のビジネスドメインにいる異業他社が競合してくるというのは2つのポイントで脅威です。
一つは、業界のプレイヤーが増えて競争が激化するという点です。異業種が自社の業界に参入してきても、パイが大きくなるわけではないので、当然ながら競争が激化します。
二つ目は、相手は自社が提供できない付加価値を持っているということ。異業種が異業種たるゆえんは、自社とは違うバリューを提供できるからです。競合が新たに業界に持ち込んだ価値が顧客にとって魅力的だったとすると、流出する顧客を止める術がありません。

しかし、異業種からの侵食者は必ずしも排他的な関係とは限りません。業界における専門知識やブランドは、新規参入者がキャッチアップするにはそれなりに時間がかかるものです。一方、異業種の新規参入者が提供できるバリューが顧客にとってメリットがあるのであれば、パートナーシップを結ぶというのがwin-winな解決策です。ただし、いつか専門知識を蓄えてパートナーシップを解消してくる可能性もあるので要注意ですね。


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