2012/10/31

キングジムの特化戦略

1029日付けの日経MJ3面にキングジム社長のインタビューが掲載されていました。ファイルのキングジムといえばピンと来る人も多いでしょう。実はラベルプリンターで誰でも知っている「テプラ」の生みの親でもあります。
キングジムは事務用品メーカーですが、メモを取ることだけに特化した電子機器pomeraや前述のテプラなど、定番用品とは少し違う独創的な商品で有名です。

そのキングジムの社長 宮本彰さんのインタビューが、ニッチ戦略を考える上で教科書的お手本になりますのでシェアしたいと思います。

□買う人は少なくても深く刺さる商品
キングジムの商品はどれも、誰もが使う商品ではなく、使う人は少数だけれどこの商品がないと困ってしまうようなものばかりです。テプラがない総務部なんて考えられませんし、デジタルメモのpomeraも一部ブロガーから熱狂的支持を受けているようです。使う人が10人に一人でも、その人たちにとって無くてはならない商品である方が商品として安定するのです。
宮本社長は、「人間の頭の中には常に買い物リストがあります。欲しい度合いが高い品から買っていくと、どこかでお金が尽きます。10位まで買える人たちのリストで15位に入っている商品はいくら作っても売れない。」と言います。
まさにこれがニッチ商品のあるべき姿なのだと思います。

□他社が参入しない程度の規模のカテゴリを独占
宮本社長は市場が10億程度しかない商品がベストだと考えています。なぜなら、他社が市場を奪いに来るほどの大きさではないからです。参入する企業がなければ価格決定権は企業にあるので高収益をもたらします。
デジタルメモの市場規模がちょうど10億くらいなのだそうです。実際、pomeraの値段は2,3万程度と機能の割には高いという印象です。しかし、他社は新規参入してきません。新規参入しても、自社もキングジムも損をするだけだと分かっているからですね。
一方、テプラは市場規模が50億程度とやや大きかったので、他社が参入しています。テプラはテープで利幅をかせぐインストールベース利益モデルなので、競合他社もうまみがありそうだと見たのでしょう。

□安定した定番商品で食い扶持を稼ぎ、新商品で勝負
キングジムはファイルとテプラという定番かつ安定した需要が見込まれる商品が強いからこそ、新しい商品で果敢にニッチを攻める事ができます。こうした強い商品を持たない企業は、ついつい安全策のつもりでニッチではなく主戦場を攻めてしまいます。結果、撃沈。市場で受け入れられたニッチ商品が次代の定番商品になり、その利益が次のイノベーティブなニッチ商品の原資として再投資されてゆくのです。

安定収入を得られるニッチ商品で土台を固めつつ、新しいニッチ商品でイノベーションを作り出す。商品軸のイノベーティブな企業として理想的なかたちだと感心しました。


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