2012/10/18

二毛作店のチェーン展開におけるKFSとは?


以前のポストで二毛作店の目的はサンクコスト化した資産を高回転させる方法である、と解説しました。二毛作戦術は飲食店でよく見られます。なぜかというと、飲食店には家賃という非常にわかりやすいサンクコストがあるからです。店を閉めていても同じ家賃がかかる、だったら夜間だけ営業する居酒屋の売上に頼るのではなく、昼も店を開けてランチを提供して売上を上げよう、というのが二毛作店の考えです。これは個人営業の居酒屋であれば簡単な話で、自分の労働時間を増やしてランチを始めれば売上が増えます。ではチェーン展開している店舗でも同じように簡単に二毛作戦術を導入することができるのでしょうか?そうは簡単にはいかず、チェーン店には超えなければいけないハードルがあります。

二毛作を狙うチェーン店が超えなければいけないハードルとは、昼と夜で違う業態を運営するゆえの複雑さです。チェーン店では各店舗での品質の差をなくし、どこでも同じ商品、サービスが提供されることが重要な価値です。ですが、二毛作戦術では全く別の業態とまではいかないものの、二毛作でない店舗と比較して複雑なオペレーションが求められます。このため、二毛作チェーンではオペレーションの複雑さを解決するために、人材教育への投資、そしてオペレーションの標準化・自動化に対して一般のチェーン以上に力を入れなければなりません。

まずは人材教育ですが、二毛作店は2つの業態を運営しているので必然的に従業員が覚えなければいけない商品点数やサービスの種類が増えることになります。そして客層や顧客のニーズも全く異なってきますので、顧客対応という点でも従業員に求められる負荷は二毛作でないチェーンより大きくなるでしょう。かといって二毛作が二倍売上を上げることができるわけではないので、従業員に二倍の時間や金を投下するわけにはいきません。カフェとショットバーの二毛作店で有名なプロントは、Eラーニングを活用してこの問題に対処しています。2008年から携帯電話を使ったEラーニングシステムを採用し(同社プレスリリース)、店舗ごとに教育水準のバラつきやサービス品質の低下を防ぐ対策を打っています。

一方、オペレーションの標準化と自動化も人材教育と同じように重要なポイントです。二毛作チェーン店ではオペレーションが複雑になるため、飲食店であればセントラルキッチンを採用するなど従業員の質に商品やサービスが左右されない仕組みを設けておきます。また、セントラルキッチンのような生産の集中化は、各店舗に設置する厨房設備を減らすことができるので、設備投資の削減や客席数アップを見込むことができます。昼はピザ店、夜はイタリアンの二毛作店をチェーン展開しているナポリスでは、従業員のスキルに頼った調理を極力減らすためにピザを自動調理する装置や加工済み素材の仕入れを採用しています(日経MJ 2012/10/17 P.15)。

このように、二毛作チェーン店は品質の担保のために人材教育とオペレーションの標準化・自動化という課題があります。しかし、多店舗展開の二毛作チェーンだからこそ、人材教育への投資とセントラルキッチンへの投資以上のレバレッジが売上に発揮されるでしょう。


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