2012/10/18

SIerの3つの価値軸: 価値軸のさらに奥の価値軸

ITの分野にはシステム・インテグレーターという業種が存在します。業界ではシステムインテグレーターを略語でSIerと表記します。国内では大手のIT企業は高確率でSIerです。
SIerの役割は、顧客企業の課題に対するソリューションの提案です。顧客企業が抱える大小さまざまなITに関する課題を解決するために、SIerは複数のハードウェアやソフトウェアを集め、それが一つのシステムとして稼動するように統合し、顧客の事業環境へ導入します。導入だけでなく、システムのメンテナンスや日常的な運用まで受託することもあります。

企業戦略を整理するために、以前から私が好んで利用している差別化のための3つの価値軸で言うと、SIerという業種そのものが密着軸のビジネスです。

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補足:
3つの差別化軸とは、お客様に競合他社ではなく自社を選んでいただく3つの理由です。3つの軸はお客様がモノやサービスを選択する理由と合致しているので、企業はこの3つの価値軸のどれかに特化し一貫した戦略をとることにより顧客に選ばれやすくなります。

1. 手軽軸: 「早い」「安い」「手軽に手に入る」という価値
2. 商品軸: 「最高級」「最先端」「本場」という価値
3. 密着軸: 「自分だけの」「カスタマイズできる」という価値
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しかし、業界自体が密着軸であってもその業界が巨大になると、さらに業界の中で細分化してすみわけが行われます。

SIerの中での手軽軸は、同じ機能を持つハードウェアやソフトウェアの中でも低価格帯の製品を集め、カスタマイズを最小限に保つことによりシステム全体を低価格で提供するという方法です。こうしたシステムを好むのは企業規模がそれほど大きくなく、ITチームが社内のITシステムに対して比較的主導的な立場を取っている企業が多いでしょう。欲しい機能が明確で、自分たちで運用管理できるスキルがあるということが前提になってきます。

官公庁や古い体質の内資企業のように商品軸のSIerを求める企業は、少しでも必要だと思う機能は全て付けてもらい、長年稼動した実績があるハードウェアとソフトウェア、そしてその組み合わせを要求します。カスタマイズは多岐にわたり、高価なシステムになります。商品軸を求める顧客は運用やメンテナンスもすべて丸投げでSIerに託すことが多く、ある意味とても美味しい顧客です。しかし、要求が高く必要な技術も広範囲にわたるのでSIer企業の体力が求められます。このため、商品軸のSIerは超大手になりがちです。

最後に密着軸の中でも密着軸のSIerは、SIerよりもITコンサルタントと呼ばれるような企業になるでしょう。SIerは顧客から出された要件定義に基づいてシステムを構築しますが、ITコンサルタントは顧客の課題を見つけて要件を定義するところから顧客の懐に飛び込みます。要件定義を纏めるところから顧客に入り込めると、システム構築案件も自社でとりやすくなるのでほとんどのSIerがこの領域を目指していると言っても過言ではありません。

このように、業態自体がより大きな業界の一つの軸であっても、プレイヤーが増えてくるとその業態の中で価値軸による住み分けが進みます。これはITに限らず、他の業界でも同じです。手軽軸のディスカウントショップの中でもさらに安値に特化した超手軽軸特化型の店、そこそこのグレードの商品が安いという商品軸の店、安さもありながら顧客との関係性を重視した店。自社の属する業界だけでなく、その業態の中でもどのようなポジショニングをしていくか、3つの軸を使って考えてみて下さい。

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