2012/11/29

フィリップ・コトラーのラテラルマーケティング実践編 2


今回も引き続き、コトラーのラテラルマーケティングの実践方法を見ていきます。
いよいよギャップを故意に生み出し、それをビジネスアイディアに落としこむプロセスを解説します。

もっと深く学びたい方は、原著の「コトラーのマーケティング思考法(東洋経済新報社)」をご参照下さい。


■ ギャップを生み出すメンタルオペレーション

いよいよここからが実践的な話になります。
前回のポストの説明の通り、ラテラルマーケティングの思考法ではマーケットレベル、製品レベル、マーケティング・ミックスレベルのうち一つの要素だけを水平移動させてギャップを生み出します。この水平移動を行うときに使える6つの技法があります。

・代用
・逆転
・結合
・強調
・除去
・並べ替え

どこかで見覚えあるな、という方もいらっしゃるかもしれませんが、よくアイディア発想本で出てくるオズボーンの発想法やその他のアイディア発想法とほとんど同じです。他の発想法の技法で代用も可能でしょう。

実際の例で水平移動させてみましょう。髪の毛が伸びてきたので、美容院でヘアカットをする、というごく普通の購買行動を水平移動させてみます。

代用:髪の毛が伸びてきたので、レストランでヘアカットする(製品レベル)
逆転:髪が伸びていないのに、ヘアカットする(マーケットレベル―状況)
結合:ヘアカットとストレス解消を同時にする(製品レベル)
強調:坊主にしてしまう、またはほとんど切らない(製品レベル)
除去:カットだけしてシャンプーやスタイリングはしない(製品レベル)
並べ替え:髪が伸びる前にカットする(マーケットレベル―ニーズ)

見ていただいてお分かりかと思いますが、どれを見てもなんのこっちゃ?という感じでとてもビジネスに繋がりそうな発想は見当たりません。これがまさにギャップが生じている状態です。このギャップが新規性のある商品を生み出す土壌となるのです。昨日のポストでも書きましたが、ギャップがなければ従来の垂直型マーケティングのおけるセグメンテーションと変わらないのです。

ちなみに、上記のヘアカットの例では発想しやすいようにマーケットレベル、製品レベルのアイディアが入り交じってますが、実際ははマーケットレベル、製品レベル、マーケティング・ミックスレベルのうちどれか一つにフォーカスして水平移動させるのが原則です。


■ ギャップを埋めるためのストーリーで連結

ここからが最も重要なステップです。水平移動させただけではただ突飛なだけで意味のないアイディアですが、現実と連結させることで実践的なアイディアに落とし込みます。

具体的に何をするのかというと、水平移動で出てきた突飛なアイディアが現実に商品として提供されていると仮定した場合に、それはどのようなものかを現実に破綻を来さないように考えるのです。このフェーズはアイディアを広げる水平思考とは違い、アイディアを現実的なものに収束させるフェーズです。本当に現実的に考えてその製品やサービスが成立するのかを評価します。ここでも幾つか技法があります。

1. 購買プロセスを順に辿る

この技法では、水平移動で生まれた架空の製品をターゲットユーザーが購入に至るまでのプロセスを想像します。例えばレストランでヘアカットするサービスなるものが存在した場合、このサービスを利用するのはどのようなユーザーで、どこでこのレストランのことを知り、情報を集め、どんな理由でこのヘアカットレストランへの来店を決めて、そこにはどのような動機があるのかを順を追って考えます。
ヘアカットと食事という組み合わせなら反応するのは若い女性の可能性が高いでしょう。こうした新しい業態のサービスを知るのは、いまならSNSである可能性が高いでしょう。食事もガッツリ系はヘアカットの邪魔になるので、手軽に食べられるスィーツとかならありえるかもしれません。スィーツなら友だちと連れ立っていく女子会のような場のほうが良いでしょうか。「みんなで会話しながらお茶しながらヘアカットしながら女子会」というサービスは実現可能性があるかもしれません。

2. ポジティブな側面だけにフォーカス

どんなお客様でも坊主にしてしまうだとか、ほとんど切らないというのはネガティブな側面ばかりに見えてしまいますが、わずかながらポジティブな面があればそこに徹底的にフォーカスを当てて活かす方法を考えます。ほとんど切らないというのは失敗せずに少しずつ調整できるという事でもあります。ここから転じて、ヘアカットの料金を1ヶ月いくらという期間で請求し、その間は何回でも来店してカットしてもらえるという新たなサービスに結びつけることができます。

3. 水平移動アイディアが意味を持つ状況を探す

水平移動アイディアそのものは、全く意味不明なアイディアの種に過ぎません。例えば、髪が伸びる前にカットするというアイディアはそのままでは意味をなしません。逆に意味を成す状況はどのようなシチュエーションでしょうか?卒業式や入社式といったイベントの前は何かと美容室にいって髪を整えるものです。髪の長い女性はカットしてスタイリングしてもらえばバッチリなのですが、髪が短い男性はある程度伸びた状態を想定して髪を切られるので、いかにも髪を切ってきました状態の違和感がある髪型になることが少なくありません。ここから転じて、Googleカレンダーのようなカレンダーサービスにイベントを入れると事前に髪を切るタイミングをレコメンドしてくれたり、さらに発想を拡大してイベントに合わせた服装の提案やその服を購入できる店舗をレコメンドしてくれる、おせっかいなカレンダーサービスという発想に繋げられるかもしれません。


ここまで見てきたように、ラテラルマーケティングは購買活動を3つの要素に分解し、そのうち一つの要素だけを分解し、出てきた水平思考アイディアを現実と連結させて現実的なアイディアに落としこむというプロセスで行います。よくあるアイディア思考法の書籍を読むと、水平思考アイディアを出して終わっている場合が少なく有りませんが、現実と結びついていない水平思考アイディアは価値がありません。

原著にはもっと分かりやすい豊富な実例付きで説明されているので、興味があればぜひ読んでみて下さい。そして明日からのビジネスアイディア発想に活かして行きましょう!

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