2012/11/29

フィリップ・コトラーのラテラルマーケティング実践編 1


昨日のポストで、なぜコトラーが従来型の垂直型(バーティカル)マーケティングだけでなく、新たな水平型(ラテラル)マーケティングを重要だとしているかについて書きました。

現代の市場は競争激化、及びセグメンテーションとリポジショニングを手段としたバーティカルマーケティングの普及により、マーケットが細分化されすぎてブランドが乱立しています。今ある市場に新たなセグメントを見つけようとしても、もはや細分化されすぎて十分なマスが存在していないません。飽和したマーケットで生き残るには、新たなセグメントを見つけるのではなく、新たなマーケットを作り出すことだとコトラーは言っています。新たなマーケットを作り出す方法として、ラテラルマーケティングの非連続的アイディア発想が有効なのです。

今日はそのラテラルマーケティングの実践的手法をお伝えします。

興味を持ったらぜひ原著である「コトラーのマーケティング思考法(東洋経済新報社)」を読んでみて下さい。


■ 購買活動を3要素に分解する

まず、最初の手続きは購買活動を3つの要素に分解することです。購買活動を一つのシステムとしてみると、その構成要素は(1)マーケットレベル(ニーズ、ユーザー、用途・状況)、(2)製品レベル、(3)マーケティング・ミックスレベルの3要素に分解できます。
従来型のバーティカルマーケティングでは、まずマーケットを観察して新たなニーズをあぶり出して新たなセグメンテーションを作り出し、そのセグメントにフィットする製品を開発し、4Pのマーケティング・ミックスを経て消費者へ提案する、という五月雨式のプロセスをたどります。


■ 1つの要素だけを水平移動させる

一方、ラテラルマーケティングの手法ではマーケットレベル、製品レベル、マーケティング・ミックスレベルの3要素の内、2つは従来のまま固定し、一つの要素だけを水平移動させてギャップを生み出します。この説明ではとてもわかりにくので、例を上げて説明します。

マーケットレベル、マーケティング・ミックスレベルを固定し、製品レベルにフォーカスをあてたラテラルマーケティングを実践するとしましょう。例としてiPadをラテラルマーケティングで生み出すプロセスを試みてみます。マーケットレベルは従来から存在するターゲットとニーズで、外出先でもメールやWebを見たいというビジネスマンや個人事業主です。マーケティング・ミックスレベルは、従来と変わらないWebやCMでの宣伝とリテールショップやApple Store経由の販売です。しかし、製品レベルでこれまでのモバイルPCとは全く違う製品を考えます。従来のモバイルPCとモバイルルーターという組み合わせから非連続的な発想の飛躍をとげ、PCのような性能を持ったタッチパネルの巨大な携帯電話という発想で生まれたのがiPadです。(もちろん開発者がこのような思考プロセスを経てiPadを思いついたと言っているのではありません。ラテラルマーケティングの思考プロセスからiPad生み出すとしたら、というシミュレーションです。)

同じように製品とマーケティング・ミックスを変えずに使用するユーザーや状況だけを変えてみたり、ユーザーや状況と製品はそのままに販売手法だけを変えることによって、革新的な商品や売り方が生まれます。これが新たなマーケットを切り開くブレイクスルーになるのです。


□ 重要なのはギャップを生み出す発想

前項の例であるiPadの発想法は、実はラテラルマーケティングとしてはあまり良い発想ではありません。何が足りないのかというと、ギャップが足りないのです。

外出先でメールやWebを見たいという従来型のニーズに対し、これまでと変わらない広告手法や販路で、全く革新的な製品で応えるというのがここでのラテラルマーケティングの発想のスタートラインです。既存の製品レベルがモバイルPCとモバイルルーターの組み合わせであるのに対し、新しく提案されたアイディアが「モバイルルーターとモバイルPCとを合体させたようなモノはどうだろう?」という提案はある意味順当な発想というか、ありがちな発想です。ありがちな発想ということは、そのアイディアにギャップを感じないということです。ギャップがなくてすんなり受け入れられるアイディアは、既存のマーケットをブレイクダウンしてセグメンテーションしているだけに過ぎないのです。

iPadは確かに革新的でわくわくする商品ですが、ラテラルマーケティングの発想からすると、実は昔から存在したパームやスレートPCなどと変わりはなく既存マーケットの新たなセグメンテーションを満たしているに過ぎないのです。


明日は生み出した水平思考アイディアを実際のビジネスアイディアに落としこむ方法について考えます。

コトラーのマーケティング思考法
フィリップ・コトラー フェルナンド・トリアス・デ・ベス
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