2012/11/10

「顧客シャッフル」によるビジネスモデル発想3

長いシリーズになってしまっている「顧客シャッフル」によるビジネスモデル発想法ですが、今日は「3.一足飛び」について見ていきます。
本稿でも引き続き山田英夫氏著「なぜ、あの会社は儲かるのか? ビジネスモデル編(日本経済新聞社出版)」より事例などを引用させていただいています。

□■一足飛び■□

一足飛びとは?

自社の直接の顧客(つまり、PU)のさらに先の顧客(つまり、CU)に対して、なんらかの影響力を持ち、自社の製品・サービスの付加価値を上げる方法です。

B to B to Cの一連の製品の流れがあったとします。普通のビジネスモデルでは、一番左のBは原料や素材などの中間財を、真ん中のBに販売し、消費財製造メーカーである真ん中のBが最終製品を製造し、エンドユーザーであるCへ販売します。中間財を製造するBは需要をコントロールできず、市場動向や技術トレンドで大きく売上を左右されてしまいます。

一足飛びのイノベーションを活用する中間財製造メーカーは、エンドユーザーのCに対してブランディングを行って自社製品の価値を高めます。一般的に言って、最終製品を製造する真ん中のBは中間財製造メーカーBのエンドユーザーに対するアプローチを快く思わないケースが多いですが、実際はブランディングにより付加価値が高まった素材は最終製品の付加価値も高めてプレミアム価格で販売できるので、win-winの関係を築くことができるのです。


インテル:Intel insideキャンペーン

半導体製造メーカーで業界ナンバーワンを誇るインテルの主力製品は、PCという消費財の中間財であるCPUです。中間財であるにも関わらず、多くの人がテレビCMや雑誌で「インテル入ってる(intel inside)」というキャンペーンに覚えがあると思います。具体的に何のCMなのか良く分からないながらもキャッチーなフレーズでインテルの名前が頭に焼きついた人が多いと思います。

インテルの目的は自社の名前を最終製品を購入する消費者に覚えてもらい、ライバルメーカーのCPUが入った製品よりも自社のCPUが入った製品を買ってもらうことです。しかもプレミアム価格を払って。以前インテルとAMDがコンシューマー向けPCで激しく競い合っていた頃でも、インテルCPUの製品の方がAMDの製品より高い根付けがされていました。

日本ゴア、東レ・オペロンテックス:繊維のブランディング

ライクラやゴアテックスという名前を聞いたことがありますか?日本ゴアと東レ・オペロンテックスは衣服の中間財である繊維を製造するメーカーですが、消費者へのブランディングにより、最終製品よりも有名な繊維になっています。

ライクラは女性の水着や下着によく使用されている化学繊維で伸縮性やストレッチ性能が優れています。ゴアテックスは私のようなアウトドア好きはよく知っていると思いますが、防水性に優れる一方、透湿性も高いという一件矛盾するような機能性を備えています。そのため、登山用やバイク用のレインウェアやグローブによく使用され、非常に高い値付けがされています。他の繊維を利用したレインウェアと機能性に大差がなくとも、ゴアテックスのブランディング効果のおかげで数十%から2倍程度の値段で売れています。

最終製品を製造しているアパレルブランドやアウトドアブランドとしては、製品よりも名前が売れている繊維素材に多少のジェラシーを感じているのかもしれませんが、少なくともプレミアム価格という恩恵をもたらしている点ではありがたく感じているでしょう


例を見てきてお分かりいただけるように、一足飛びは基本的には中間財メーカーや中間財サービスベンダーに適した手法です。自社にも最終製品メーカーにも利益をもたらし、競争が激しい業界での製品のコモディティ化を防ぐ一つの有効な戦略です。競争が激しい中間財製造・サービス業界に身をおいている方は、参考にしてみてはいかがでしょうか。



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