2012/11/01

オルビス商品ラインアップ拡張は上手くいく?



ニキビ肌などで悩む10代~20代向けの化粧品で知られるオルビスが、30代以降向け商品の展開を急いでいます。なぜか?
女性用化粧品の世界は詳しく知りませんが、ニキビ肌や多脂肌に強いというブランドイメージが強かったらしく、このブランドイメージが逆に、オルビスは若者向けで大人になったら卒業するものというイメージを顧客に植えつけてしまったのだそうです。
昨日のキングジムのようにニッチを独占できるというほど、若者向けニキビ肌対策化粧品市場は狭い市場ではありません。そこでオルビスは、顧客の成長に合わせて次の年代のブランドを生み出すことに心血を注いでいます(日経MJ 2012/10/29 P.6)。

オルビスの取ろうとしている戦略は、以前紹介したスライウォツキーとモリソンの著書「プロフィット・ゾーン経営」で解説されている製品ピラミッド利益モデルです。製品ピラミッド戦略とは、顧客の加齢や成長に伴うニーズの変化に合わせてローエンドからハイエンドまでひとつなぎの製品ラインアップを組むことにより、顧客のニーズの変化に合わせて自社の別の製品へスライドさせようという戦略です。
製品ピラミッド利益の教科書的成功例はスウォッチ・グループです。スウォッチ・グループは若者のカジュアル時計のブランドであるスウォッチから、高級時計の代名詞オメガ、そしてその中間を埋める数々のブランドを自社で丸抱えにして顧客の所得の成長に合わせた商品を提案できるようにしています。
オルビスの取り組みも、スウォッチ・グループのように上手くいくのでしょうか?

同じような製品ピラミッドモデルを採用し、あまりうまく行っていない事例があります。日本のバイクメーカーです。
国内の主要バイクメーカーは50ccの原付から125ccの小型、250cc~400ccの中型、401cc以上の大型までバイクをラインアップしています。原付、小型は実用性重視で使用されることが多く、中型以降は趣味性が強くなるので、市場そのものが少し異なります。後者の趣味性の高いバイクで製品ピラミッドが築かれています。
スポーツ特化型モデルを250cc、400cc、600cc、1000ccでシリーズ化したり、ネイキッド(オールマイティなタイプ)型モデルも同じように250cc~1000ccでシリーズ化したりと、初心者から上級者に向かう過程で湧き上がってくるもっと大きなバイクに乗りたい!というニーズの変化に応えられるようにしています。

しかし、残念ながら国内のバイクメーカーの取り組みは上手くいっているとは言えません。一番のプロフィットゾーンであるはずの大型が海外ブランドに大きく侵食されているのです。ハーレー、DUCATI、BMW。中型までは国内メーカーに乗っていたのに、運転技術がついてきて、成長に合わせて所得も上がってくると、そこからブランド力のある前述の海外メーカーに移ってしまう人が多いのが実情です。
なぜか?技術的や品質的な部分では国内メーカーは全く遅れを取っていません。1つの仮説は、ブランド力の差です。海外メーカーの大型バイクのほうが価格が高くラグジュアリー感があります。2つ目の仮説は、同じモデルの排気量によるバリエーションだと、フラッグシップモデルに高級感が出ません。同じモデルの小型からの延長線上にあるように見えてしまうので、真新しさやラグジュアリー感がないのです。それを証明するかのように、シリーズと切り離された大型フラッグシップモデル(例: スズキの隼)はよく売れています。3つ目の仮説は、国内主要4メーカーが全て製品ピラミッドモデルを採用しているという点です。しかも、ラインアップの作り方が全く同じなのです。このため、中型から大型に乗り換えるときに別のメーカーに移ってしまうことが当たり前のように起きています。

話をオルビスにもどすと、まずブランド力は現状強くないのだと思います。むしろ、これから利益率が高い中高齢者向け高級化粧品のブランドを立ち上げていくようです。このブランドをどれだけ上手く立ち上げられるか次第でしょうか。
商品ラインはターゲットによって変えているようなので、バイクメーカーのようなことは起きないでしょう。
他社に製品ピラミッドモデルを採用している企業があるかどうかですが、化粧品は製品ピラミッドモデルを採用している企業が多いと感じます。資生堂のような大手も年代別に商品ラインを設けています。
これらを総合すると、オルビスはもう一捻り戦略を作りこむ必要があるようです。

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