2012/11/16

アップセルは農耕型マーケティングデザインだ

昨日はクロスセルについて考察してみましたので、今日はアップセルについて考えてみたいと思います。

言葉の定義をおさらいすると、クロスセルはある商品を購入する顧客に、その商品と合わせて使用できる別の商品を勧めて購入点数・購入額を増やすことを目的とした手法でした。アップセルはある商品を購入した顧客に対し、さらに上位の商品を販売する手法です。定義では上位の商品を売ることを目的としていますが、実際は上位の商品を売り切って縁も切れてしまうよりも、ずっと自社の商品を購入してもらえるように自社のエコシステムにロックインすることが重要視されています。

普通の店舗でアップセルが実践されていることもありますが、アップセルでは前回購入履歴や購入者の趣味嗜好が重要になってくるので、会員制ビジネスやネットでの情報商材ビジネスのような顧客リレーションビジネスで活発に利用されている手法です。

百貨店の外商と呼ばれる富裕層向けの会員ビジネスがあります。富裕層の会員顧客宅に直接出向いて、購入履歴を元にその顧客に会った商品を提案し長くリピート購入してもらうことを目的としています。会員顧客の個人情報は細かな趣味嗜好まで押さえているのできめ細やかな対応ができますし、どのように提案すれば購入してもらえるかもよく心得ています。その結果、顧客を定期的に高額商品買い続けてくれるキャッシュマシーンにしてしまうのです。それだけアップセルはポイントを押さえれば強力な仕組みであるということです。

ネットビジネスの分野ではもっと露骨に活用されています。情報企業と呼ばれる分野では、アフィリエイトでの稼ぎ方や株式投資やFX投資での成功法などの情報商材が売られています。たいていの場合、初めは安価なセミナーやDVD講座、動画販売といったエントリー商品を用意しておき、エントリー商品を消費してもっと具体的な情報が欲しくなった顧客に、本当に売りたかった高額講座や塾、会員権といった商品を提案します。
このような典型的なアップセルのエントリー商品を「フロントエンド商品」、本当に売りたい高価格・高収益商品をバックエンド商品と呼びます。

私が尊敬するマーケター佐藤 義典氏はアップセルの流れをプロダクトフローと呼び、提供する商品と顧客の心の動き(マインドフロー)を対応させた手法として理論化しています。(参考URL:http://uretama.com/?page_id=111)
1つ目のステップは、「あげる商品(無料講座、または試供品など)」の提供です。目的は販売することよりもターゲットに認知してもらい興味を持ってもらって、見込み顧客化することを目的としています。
2つ目のステップは、「売れる商品(フロントエンド商品。低価格の有料セミナーなど)」の提供です。ここで初めて見込み顧客は自分の財布からお金を支払い、顧客化します。
3つ目のステップでは、「売りたい商品(バックエンド商品。高額な講座への加入など)」を提供します。この段階で顧客は商品を購入するだけでなく、そのブランドや人に対して愛着を感じ、そのエコシステムにロックインされた状態です。アップセルはこの顧客がロックインされた状態を目指してデザインされます。いかに認知もされていない状態からこのロックインされた状態までスムーズに顧客を誘導するかがアップセルのマーケティングデザインの肝です。

アップセルの優れたマーケティングデザインを築くことができれば、利益率の高い商品を販売できるだけでなく、顧客を自社のエコシステムにロックインすることができます。ある種、農耕型の仕組みで構築までに時間がかかりますが、一度システムができてしまえば少ない労力で利益を出し続けることができる仕組みです。もしあなたの商品が単発の販売だけになっている狩猟型のビジネスならば、アップセルのマーケティングデザインも考えてみてはいかがでしょうか。

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