2012/11/17

戦略論 ビジョンは必要か?

リチャード・P・ルメルト著「良い戦略、悪い戦略」という本を読んでいます。どういった戦略が結果を出せる優れた戦略なのか、どういった戦略が効果が出ない悪い戦略なのかを分かりやすく事例たっぷりに解説されています。

戦略の話をすると、最近では経営者のビジョンとか会社のビジョンというものが重要視されすぎている気がします。「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」だとか「いたずらに規模を追わず、誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の工場に貢献する」というビジョンが大企業で掲げられていますが、このビジョンがどれだけ企業の価値に貢献するのだろうかと疑問に思っていました。ルメルト氏も本書の中で、方針を示すわけでも目的を達成するための道筋を示すわけでもないビジョンは意味が無いとしており、企業の成功に必要なのは、一本芯が通った一貫性のある戦略とそれに則った行動だとしています。

例えば、AppleがアップルIIで大成功を達成した時、Appleと同じく「誰もが使えるコンピューター」というビジョンを実現しようとしていた起業家が沢山いました。ルメルト氏はAppleが勝利をおさめたのは、成功に至る明確な道筋を描いてその通りに行動し、さらに運も味方してくれたからだとしています。

アップルがそれに成功したのは、スティーブ・ウォズニアックという一人の天才によるところが大きい。ウォズニアックは、アップルIIの心臓部であるモトローラ製マイクロプロセッサを使って画像出力装置とフロッピーディスクを直接動作させる(したがって高価な後付製品を使わない)仕掛けを作った。さらに世界初のパソコン用表計算ソフト、ビジカルク(VisiCalc)が開発されるという幸運に恵まれ、それまで一部の人しか使わなかったパソコンを誰もが買うようになった。これが、アップルIIの爆発的ヒットにつながったのである。(p.105)

Appleは当時コンピューター関連の起業家が当たり前に持っていたビジョンを同じように持っていましたが、今後必要とされるオフィスでの計算処理に利用するというニーズに答えるための技術の開発を戦略として掲げ、実行したことが成功につながった要因だということです。誰よりも強くビジョンを持っていたとかそういった精神論はありません。さらに、ビジカルクが発売されるという追い風になる外部要因も大きな要因の一つでした。

ビジョンは経営者が起業する動機として持っていればよく、全社キックオフでわざわざ大々的に取り上げる必要はありません。ビジョンを達成するための一本芯が通った戦略を社員と共有し、一貫した行動を社員にとってもらうことに重点を置くべきだと思います。

良い戦略、悪い戦略
リチャード・P・ルメルト
日本経済新聞出版社
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