2012/11/22

利用・愛情関門をクリアするために


前回は、マーケターは広告・プロモーションだけでなくもっと利用・愛情に取り組むべき、ということについて書いてきました。では、その利用・愛情関門をクリアするためにどのような取り組みがあるでしょうか。

ほとんどの人にとって最も身近な手法がポイントカードです。ポイントカードの直接的な目的は顧客の来店回数を増やして購入機会を増加させることですが、それと同時に来訪回数を増やすことで店舗に対して愛着をもってもらうことも期待できます。心理学的にも、単純に接触回数が多いだけで人と人の親密度が上がるという実証結果があります。

次に、商品を使用するイベントを開催して商品への愛着を高める方法を取っている企業もあります。例えば車やバイクの特に趣味性の高い車種では、よくオーナーズクラブと呼ばれる特定車種のオーナーの集まりが箱根の大観山や高速のパーキングで催されています。趣味性の高い車やバイクは乗って楽しむだけでなく、人に見てもらって楽しみ、共通のオーナーと談笑して楽しむというのが全てセットで商品の価値になっています。こうした商品で愛情を高めてもらうには、これらの価値を全て一度に提供できるオーナーズクラブというのが有効な手段です。オーナーズクラブは必ずしもメーカーや店舗が主催しているわけではなく、オーナー達が自主的に運営していることも多いようです。

そこまで趣味性が強くない商品でも、普段商品の性能を100%使い切る機会がないような商品があります。例えば最近よく見かけるようになったロードバイクです。ロードバイクは普段使いやツーリングに行く事はあっても、なかなかレースに参戦する機会がないという人がほとんどでしょう。それでもロードバイクに乗る人は、いい自転車に乗っているのだからレースに出てみたいなあという願望もあることでしょう。
それを一般向けレースイベントとして提供したのがイオンです。

日経MJ 2012/11/7 P.9―――――――――――――――――――――――――――――
自転車専門店のイオンバイクは千葉市内で、一般参加型の自転車耐久レースを初めて開いた (中略) スポーツバイクの売れいきは好調だが、日本国内では一般人が参加できるレースは少ない。
岡内祐一郎社長は「商品を売るだけでなく、販売後に楽しめる空間を提供することも大事になる」と説明している。
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最後にとても基本的な手段ですが、こまめな顧客フォローもやはり愛情関門を突破するための正攻法になります。「割烹 松屋」という老舗割烹では顧客に定期的にハガキを出して関係を維持するという、とてもベーシックな方法で顧客ロイヤルティを高めています。

日経MJ 2012/10/26―――――――――――――――――――――――――――――――
これまでに集めた6000人分の情報を「1年以内の来店客」「2年以内の来店客」「その他」に分けて管理する。1~2年内の来店客を中心に、毎月少なくても1000枚、多い時は3000枚を送る。宛名やコメントはスタッフ全員が手分けし、全て手書き。1人で1時間に30枚は書けるという。ハガキを見て驚くのは、来店を促す言葉が一切ないこと。誕生日や記念日向け特別コースの案内と年4回の商品紹介という例外はあるが、それ以外は前回の来店のお礼や時候の挨拶が書かれているのみだ。
これはハガキの役割を「お客との信頼関係を築き、それを保つため」と割り切っているからだ。
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小料理屋の例のように、企業対個人のつながりよりも企業の中の個人対個人のつながりが求められる業種でうまくいく方法だと思います。別の言い方をすると密着軸の価値提供を主としている企業ということになります。

実は上記で紹介した3つの方法は、手軽軸、商品軸、密着軸の3つの価値軸をもつ企業がたどり着いた方法です。以前のポストでも解説した3つの価値軸ですが、少し補足説明をします。

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3つの価値軸とは、お客様に競合他社ではなく自社を選んでいただく3つの理由です。3つの軸はお客様がモノやサービスを選択する理由と合致しているので、企業はこの3つの価値軸のどれかに特化し一貫した戦略をとることにより顧客に選ばれやすくなります。

1. 手軽軸: 「早い」「安い」「手軽に手に入る」という価値
2. 商品軸: 「最高級」「最先端」「本場」という価値
3. 密着軸: 「自分だけの」「カスタマイズできる」という価値
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愛情関門に対する手法を纏めてみると、このようになりますかね。

1. ポイントカード = 手軽軸の企業向き
2. 商品を使用するイベント = 製品軸の企業向き
3. こまめな顧客フォロー = 密着軸の企業向き

しかし、必ずしも商品を使用するイベントが密着軸や手軽軸で使えないわけではありません。むしろ密着軸では相乗効果が見込める一方、手軽軸ではあまり意味が無いかもしれません。手軽軸で提供している商品はコモディティ化された製品であることが多いからです。
このように、事例を参考にしつつも他社の手法が有効である前提条件が自社の条件と同じなのか見極めたうえで実践して行きましょう。

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