2012/11/28

コトラーのマーケティング思考法

マーケティングの大家と言えば真っ先に名前が上がるだろうフィリップ・コトラー。コトラーのマーケティング理論といえば、ファイブフォースやポジショニングという現代マーケティングの教科書的手法です。「コトラーのマーケティング思考法(東洋経済新報社)」ではこれまでのコトラー理論と違い、マーケティングにおける水平思考(ラテラル・シンキング)の重要さとその手順を示しています。

■ 細分化されすぎたマーケット
コトラーは現在のマーケットについて、細分化されすぎており従来型の垂直型(バーティカル)マーケティング思考では新製品で十分な利益を上げるのは困難になっているとしています。垂直型マーケティングの手法では、あるマーケットに対して既存製品が満たしていないベネフィットまたはユーザーでセグメンテーション(細分化)し、リポジショニングした製品を送り出すことが王道でした。例えば、コカ・コーラが従来の顧客だけでなく、健康に気を使うユーザーに対してアプローとするためにダイエットコークやシュガーフリーのコーラを提供するのがこれにあたります。しかし、多くの企業がこのスタンダードなマーケティング手順を活用した結果、市場は過度な細分化が進み一つの商品なカテゴリでブランドが乱立する事態になってしまいました。

■ 成長の鍵は水平思考
こうしてブランドであふれた現代のマーケットへの新たなアプローチとして、水平型マーケティングをコトラーは提起しています。水平思考とはアイディア発想の時によく使われる、非連続的なアイディアの飛躍を得るための思考方法です。垂直型マーケティングではマーケットを注意深く観察し、取り残されたユーザーやニーズを発見してセグメンテーションし、そのユーザーに対して訴求効果を高めるマーケティングです。これに対して水平型マーケティングでは、まだ顕在化しておらずユーザーも自覚していないニーズを満たすアイディアを提起して、新たなマーケットを作る手法です。
本書であげられている例としては、テープデッキといえば持ち運びができなくて再生と録音ができる製品しか存在しなかったマーケットにソニーが投入した再生専用のポータブルテープデッキ「ウォークマン」がこれにあたります。ウォークマンは当時はどこにも顕在化していなかった「外で歩きながらでも音楽が聞きたい」というニーズを生み出し、新たな製品カテゴリを創出しました。

■ 垂直型マーケティングと水平型マーケティングをどのように使い分けるべきか
コトラーによると、従来型の垂直型マーケティングを採用すべき場面は、その商品カテゴリのライフサイクルが初期段階にあるマーケットだとしています。ある商品カテゴリが生まれた時、マーケットにはその商品を初めて投入した企業だけが存在します。すぐに2番手が登場し競争が生まれますが、3番手以降が全く同じ価値をもつ商品を投入しても得られるシェアはたかが知れています。そこでセグメンテーションとリポジショニングを行い、他の競合商品では満たせていない新たな価値、例えばもっと安価な商品が欲しいというニーズを満たすために低価格商品をそのマーケットに投入します。
一方水平型マーケティングを採用すべきはマーケットが成熟して成長が見込めない商品カテゴリだとしています。既存製品が到達できないユーザーのニーズを満たすため、水平思考による非連続的なアイディアによって生まれた商品を投入し、新たなカテゴリを切り開くことがポイントです。

水平型マーケティングは新しいマーケットを切り開くには適していますが、一度切り開かれたマーケットで競合と相対していくにはやはり従来型の垂直型マーケティングが必要です。それぞれの特徴を踏まえてマーケティング戦略を組み立てることが重要です。

コトラーのマーケティング思考法
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