2012/12/31

ウイスキーの啓蒙活動に直営高級バーを運営するサントリー


サントリーは国内ウィスキー市場で6割ほどのシェアを占める、ウィスキーの最大手です。
ウィスキーは2008年頃にサントリーがハイボールのプロモーションでウィスキー市場を再活性化するまで、20年以上にわたって規模を縮小し続けていました。

しかし、2010年にプロモーションの効果が出てハイボールブームが巻き起こり、実に前年比14%増となりました。

サントリーはまだまだ手を緩めず、次のプロモーションに打って出ています。
その内容を見てみましょう。


□■ ウィスキー啓蒙のための店舗運営 ■□

サントリーは有楽町に「ウイスキー・ボトル・バー・デン・日比谷」をオープン。
初心者の若者を引きつけるため価格を明瞭にし、価格設定も比較的低価格にした店舗です。(それでもチャージだけで男性5000円、女性3000円もしますが)
主力商品は「響12年」など高級ウィスキーを中心としたラインナップです。[日経MJ 2012/12/28 P.14]

メーカー直営店の飲食店というのは珍しいですね。
メーカーが自前でやっている飲食店と聞くと、製品の質や店員の知識など接客の質も高そうなプラスのイメージがあります。

なぜサントリーがこのような取り組みをするのかというと、2つ目的があると思います。


■ 高級ウィスキーの啓蒙

よく新聞で書かれていますが、最近の20〜30代は飲酒量が昔と比べて大幅に減っているそうです。
自宅で一人でお酒を嗜むという行動も見られるようですが、最近はやりの低アルコール飲料であることが多いのだそうです。

プレミアムビールのプレミアムモルツやウィスキーを主力とするサントリーからすると、主力商品と若者の飲酒行動にズレがあります。
今後数十年にわたってメイン顧客層を形成する若者をなんとか取り込まなければいけません。
これはハイボールが普及した今でもサントリーの課題なのでしょう。

若者を低アルコール飲料やハイボールから高級ウィスキーへ誘導することが、直営店のバー開設の一つの目的だと思います。


■ 外飲みから自宅消費へ(Public to Home)

ハイボールはサントリーのプロモーションのおかげで、食事や飲み会でみんなでわいわい飲むというイメージが付きました。
サントリーは飲食店でのウイスキーの普及という意味では、ある程度満足のいく結果を出しているはずです。

一方、上でもあげましたが、自宅で一人で嗜むときは低アルコール飲料が多くまだまだシェアを伸ばす余地があります。

ハイボールは言わばウイスキーに興味がなかった消費者をウイスキー好きにさせるための導入商品(フロントエンド)。
本当に買って欲しい商品(バックエンド)、もっと正しく言うと得たい消費者の行動は、日常的に高級ウィスキーを愛飲してもらうことでしょう。

サントリーは直営店のバーで高級ウイスキーのファンを創出し、自宅でも高級ウイスキーを嗜むという消費行動を創りだそうとしているのでしょう。
そのための直営店バーによるウィスキーの啓蒙活動なのです。
 
  
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2012/12/30

シャドープランニング: ネットプロテクションズ


先日後払い決済サービスを提供しているネットプロテクションズを取り上げました。
今回はネットプロテクションズでシャドープランニングしてみます。
シャドープランニングとは、シャドーボクシングよろしく自分がこの会社の経営者だったらどのように舵取りをするかという思考実験です。


まずはネットプロテクションズを取り巻く市場の状況です。
同じサービスを提供している直接的な競合という意味では、後払いドットコムという競合が存在します。

ネットプロテクションズの創業が2000年に対し、後払いドットコムは2007年なので、ネットプロテクションズが先行企業ということになります。
両社ともECショップの請求業務代行、購入者の与信、購入者からの債権を回収という基本的な機能は全く同じです。

しかし、後払いドットコムの方が代行手数料の安く、最短で週一の支払いサイトなど支払いなど、後発らしくネットプロテクションズのサービス強化・廉価版というべきサービスを提供しています。
一方、ネットプロテクションズは企業間取引でも後払いサービスを提供しているという違いがあります。


他にも、ネットプロテクションズにとってはクレジットカードや代引きを提供する運送業者が競合ということになります。


短中期の経営方針
現在ネットプロテクションズが置かれている市場の状況を考えると、2つの方針を中心に経営をすべきでしょう。

ひとつはEC市場への浸透です。
BtoCにしろBtoBにしろ、まだまだECサイトでの後払い決済を採用している企業は少ないと言えます。

まずは国内のEC市場でシェアを伸ばすことに力を入れるのが良いと思います。
後払い決済はペイメントメソッドに過ぎないので、クレジットカードと同等の普及率を目指すことが出来るはずです。


もうひとつは、海外へ早い段階でこのビジネスモデルを輸出することです。
後払い決済というサービスの商品性はコピーするのが難しいものではありません。
海外で現地のベンチャー企業がこの手のサービスを始める前に、このビジネスモデルを引っさげて現地金融機関などとジョイントベンチャーを組めば日本以外の市場へもビジネスを広げられます。
マーケットがECという足の早い市場なので、あっという間に後払い決済が浸透してしまって成長が頭打ちになりかねません。
私であればすぐに海外に打って出ることを検討します。


ネットプロテクションズの次のビジネスモデル
後払い決済がEC市場に浸透してしまえば、次は後払い決済を利用してもらうためのマーケティングということになります。
それと同時に、もっと付加価値をつけるための新サービスや新ビジネスを考えることになるでしょう。

思いついた新サービスを幾つか上げてみます。
 
・法人向け掛取引代行サービス
現在のBtoBサービスは、ある会社と取引したいけど自社のキャッシュフローが悪くなるから掛取引はしたくない、という会社へキャッシュフローを悪くせずに掛取引ができるというベネフィットを提供しています。
他にも入金時の紐付けチェックが楽になるというベネフィットもあるようです。

これを拡大して、掛取引全般をアウトソーシングして受けるというサービスに展開できるのではないでしょうか。


・オークション決済サービス
オークションは個人で商品を簡単に出展できる反面、売り手も買い手も個人のため双方がトラブルを心配してしまうものです。
この個人間取引をネットプロテクションズが代行するのもひとつの手ではないでしょうか。

オークションサイトとジョイントし、ユーザーがアカウント登録した時点で与信チェックを行います。
与信が取れてるのでオークションが成立した段階で売り手に振込み、商品到着後に買い手がネットプロテクションズに支払う。

ただ、詐欺が横行しそうなのでなかなか難しいとは思います。


・債権売却ビジネス
金融のことは詳しくないのですが、ネットプロテクションズが譲受した債権を売却するビジネスはどうでしょうか。
ネットプロテクションズのメリットとしては債権回収リスクを回避できるので大幅にコストが下げられるでしょう。

投資家としても、回転が早くてそれなりに利率が高い(リスクも高いですが)債権があるというのはメリットがあるのではないでしょうか。
リバースオークション形式で販売するとさらに利益が出そうですね。


↓↓↓新しいビジネスの発想におすすめです。

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2012/12/29

製造や卸が小売に進出する理由

ある製品の商流を語る上で、製造、卸、小売という企業の機能による分類があります。
かつてはこの分類が明確で、製造企業、卸売企業、小売企業と明確に役割がわかれていました。

しかし、最近では役割の壁が取り払われて再編が進んでいます。
例えば紳士服の小売企業であったユニクロが製造から小売まで一気通貫の製造小売企業になったのが良い例です。

足元では製造や卸という川上企業が小売の領域に進出する流れがあります。
まずは例を見てみましょう。


島精機製作所アパレル商品を作るための産業機械を製造しています。
島精機製作所にとっての顧客はアパレル商品を製造している製造業の企業であり、エンドユーザーの消費者からは程遠い位置にある企業です。

なぜアパレル商品製造用の産業機械メーカーが小売に進出する必要があるのでしょうか?
同社は小売に進出したものの、主目的は必ずしも新たな収益源を見つけるためという訳では無さそうです。

日経MJ 2012/12/26 P.1―――――――――――――――――――――
初の小売事業として期間限定店の展開を百貨店で始めた。
その後3年間に限定店を約60店開設。今年3月には常設店を東京・日本橋に開いた。限定店には最新の編み機を持ち込み、魔法のような高速編みを呼び物に、主に中高年の客を集める。ニットの価格は平均で3万〜4万円程度。2日で約820万円売った限定店もある。
(中略) 新会社社長を兼務する西川取締役は「我々がホールガーメントを使う高収益ビジネスモデルを作り、取引先への提案は『絵に描いた餅』ではないと証明する」と語る。
――――――――――――――――――――――――――――――――

島精機製作所は売上が年間370億円ほどの企業です。
2日で820万円を売り上げるということは、順調に行けば初年度に小売だけで年間10億以上の売上が見込めそうなので、小売単体のビジネスとして見ても悪くはありません。

それでも本当の目的は産業機械を購入してもらうための販促なんですね。
面白いのは産業機械そのものを販売の場に持ち込んでの実演販売というビジネスモデルを顧客へ提案しようとしていることです。

どのように顧客へ提案しようとしているのかまでは分かりませんが、もしかしたら機械の販売という物販からビジネスモデルを販売するというプロモーションサービス、コンサルティングというビジネスモデルに踏み込もうとしているのかもしれませんね。


次は卸の例です。
最近ではSPA(製造小売)形態をとるアパレル企業が多く、大手未満の中小卸は存在感が薄れてきているようです。
中小卸は小売に進出することで生き残りの道を描いています。

日経MJ 2012/10/24 P.3―――――――――――――――――――――
三高の車社長は「小売店としては進行でも卸売分と合算することで最低1点数百枚発注できた。品質面で競争力のある衣料は製造ロットをまとめて作り続けた」と語る。
商品調達力が確保できるなら、店数の少なさに焦って出店する必要はない。出店加速で価格競争力を高める戦法とは対照的に、両社は立地や施設を厳選。
(中略) 「今の小売ブランドは各15店前後で打ち止め。次はまた卸で好調なブランドを新たな小売店に育てる」と話す。中森社長も「先々は雑貨店などの異分野の小売店も作り斬新な消費者情報を集めて卸商品に反映する。こうすれば卸も決してなくならない」と語る。
――――――――――――――――――――――――――――――――

小売業になくて卸売業が持っている無形のアセットを活かして小売業という新たな収益源を作ろうという策ですね。
卸売業の強みは、卸している先の小売企業から幅広く市場の情報が集まるということです。

小売企業が何を発注しているのかを見れば、定番商品がどれで流行りの商品がどれかというのがすぐに分かります。
小売企業は自社のデータしかありませんが、卸売業は取引先の数だけ情報が得られるのでより正確な情報を持っているという強みがあるのです。

さらに、本業で大量発注をかけるので自分たちの販売量が少なくても安い価格で仕入れることができます。
つまり、普通に小売店を運営しても自然と高収益になるはずなのです。


アパレル業界ではこのようなバリューチェーン再編の動きが目立ちます。
このように分断されていたバリューチェーンが結合されて新しい価値がもたらされます。
やがて複数のバリューチェーンにまたがる企業運営がスタンダードになると、また一つのバリューチェーンに特化した新興企業が生まれてくる。

一つの業界ではこうした大きな流れがあるに私には思われます。
そしてその潮目が変わるところに大きなビジネスチャンスもありそうです。
 
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後払い決済というニッチを制したネットプロテクション



ネットプロテクションという会社があります。
ネットショッピング初心者にありがちな悩みである、この店でカード使って大丈夫かしら・・・、カード持ってないけど買い物したい!、代引きは高いんだよなあ・・・という人たちに対してコンビニなどの後払い決済サービスを提供している会社です。
ネットプロテクションHP: http://www.netprotections.com


ネットショッピングで後払いしたいというニーズはネットショッピングが生まれた頃から確実に存在していましたが、後払い決済を提供する会社はなかなか現れませんでした。

店舗が負担できる手数料とカードを使いたくない、あるいはカードを持つことができない消費者に対して担保のない債権を持つことのリスクが見合わないと考えられてきたのでしょう。
このサービスを利用するユーザーの中には少なくない割合でクレジットカードが与えられない信用力の低い個人が含まれていますからね。

本来は金融機関かクレジットカード会社が提供するタイプのこのサービス。
しかし、金融機関はこのリスクをどれだけ見積もれば良いのかわからず、後払い決済サービスを提供できなかったのだと思います。

ネットプロテクションはこのリスクを最大5%の手数料で引き受けているのです。


リスクは高いものの、料金後払い決済サービスは付加価値非常に高いと言えます。

いままで得体のしれないネットショップにカード情報を預けるのが嫌だったり、どうしても先払いが心配でネットショッピングができなかった個人がネットショップを利用するハードルを下げたので、ECマーケットを広げることに貢献したはずです。
ネットショップ側としても、これまで決済方法の問題で取り逃がしていた顧客を獲得できたので、多少手数料が高くとも顧客獲得のメリットがあります。


データを見ると、ネットショッピングはクレジットカード決済で良いという人が65%でマジョリティである一方、後払いを希望する人も20%とマイノリティながら結構な割合で存在します。

似たようなサービスとして昔から運送会社の代引きサービスがありますが、なぜ代引きではダメなのでしょうか?

代引きは、手数料が高く、しかも現金をその時までに用意して置かなければいけないという面倒そうなイメージを多くの人が持っているようです。
家族が応対した場合、何を買ったのか詮索されそうで抵抗がありますよね。

実際のところ、代引きは固定料金のため商品が安いと割高ではありますが、高価になればなるほど割安になるのです。
一方ネットプロテクションは定率のため、商品が高価になればなるほど割高なのです。


それでもなぜプロテクションが選ばれるのはなぜでしょう?

秘密は、代引き手数料は購入者が払うのが一般的である一方、後払い決済手数料は販売店が吸収する仕組みだからでしょう。

代引き手数料は商品価格に上乗せで払うので購入者にとって割高感がありますが、もともと価格に手数料が転嫁されていれば手数料を意識することはありません。
店舗としてはクレジットカード決済でも手数料を負担しなければならないので、後払い決済手数料を負担するのも感覚としては対して違いはないのでしょう。
ネットショップの価格はクレジット決済の手数料を見込んでいるでしょうから、後払い決済導入の抵抗はさほど高くないはずです。

後払いであることは、購入者のインサイトにもプラスの効果があるでしょう。
購入者は商品を確認して、しっかり自分の希望通りのものだと確認してからお金を払いたいはず。

もちろん気に入らない商品だからといって返品もせずに支払わないことはできませんが、後払い決済だと支払う前に商品を確認できるというオプションを持つことに安心感を感じるのだと分析します。


ネットプロテクションはユニークなビジネスモデルを形にして収益化したというだけでなく、ECマーケットにも貢献したという点で素晴らしいベンチャー企業だと思います。

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2012/12/28

FBは詳細なアクセスログを出すことがビジネスになるのでは?

Facebookは言うまでもなく世界最大のSNSですが、その巨大なユーザーベースと比較して低い収益性について批判を受けていました。

約10億人という凄まじいユーザー数を誇るだけあって売上高は年間4500億円ほどに達するものの、ユーザーあたりの課金額は伸び悩んでいます。
単純計算で、Facebookはユーザー一人あたり年間450円の売り上げに対し、Mixiは約500円、GREEはなんと約5000円に達します。

GREEはソーシャルゲームがメインなので少し毛並みは違いますが、やはりFacebookのユーザーあたりの売上の少なさが目立ちます。
ではそのFacebookの現在の収益源はなんでしょうか。

Facebookの収益源
Facebookの収益源としてダントツに割合が高いのは広告です。
正確な数字は拾えませんでしたが、8〜9割を占めています。
Facebookをお使いの方はよくご存知だと思いますが、タイムラインに出てくる自分の趣味やライフスタイルと関連性の高いバナーが出てくるあれですね。

ほかにも仮想通貨の売上が10%程度あるようです。


新たな収益源はどこにあるか?
Facebookの現在のビジネスモデルはコンシューマーへの仮想通貨の販売を除いて、タイムライン上の広告枠を企業に販売するのが主なモデルになっています。
この広告一辺倒なビジネスモデルから一歩抜けだして新たに収益源を作り出すアイディアとして、Facebookページのアクセス情報の販売が考えられると思います。

Facebookは利用料が無料で10億人のユーザーにアクセスできるということで、最近注目を受けているWebマーケティングのプラットフォームです。
無料でユーザーとのコミュニケーションに適しているのはいいのですが、Google Analyticsなどに原則対応していないということでユーザー動向を測るのが難しいところです。

これを逆手に取って、自らのFacebookページにアクセスする人たちの情報や属性をFacebookが販売するというのがこの案です。

現状ではいいねボタンでユーザーの反応を見ることはできますが、どういうフローでコンテンツを見ていってくれたのか、どの投稿が一番人気なのかといったWebマーケターが好む機能が付加されていません。
企業からすれば、せっかくSNSなのでもっと閲覧ユーザーに関する多くの情報を取得できるのであれば良いと思っていることでしょう。

こうした情報を取得できるのであれば、企業は多くの金額を払うことにやぶさかでないはずです。

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2012/12/27

きゃりーぱみゅぱみゅの文化輸出ビジネスモデル

私は今までアイドルにハマったりしたことはないのですが、最近きゃりーぱみゅぱみゅに大分ハマってます。
アイドルマニアのようなハマり方ではなく(もちろんファンですが)、どちらかというと彼女を中心とした原宿カワイイ文化のエコシステムに強く興味を引かれます。

きゃりーぱみゅぱみゅを知らない方に簡単に説明すると、女子中高生をターゲットとしたファッション雑誌のモデルから始まり、最近はガールズポップ界のカリスマ的存在である中田ヤスタカプロデュースでミュージシャンとしても活動を始めたマルチタレントです。
モデルからスタートしているだけあって、可愛らしい容姿のタレントとしては珍しく?女性から人気があるようです。


きゃりーぱみゅぱみゅの特徴として、次の3点があげられます。
・新たなアイドルのセグメンテーションを開拓
・原宿系アパレルの広告塔
・原宿カワイイ文化の伝道師


新たなアイドルのセグメンテーションを開拓
きゃりーぱみゅぱみゅは女性をターゲットとしたアイドルとして、画期的な新しいジャンルを切り拓きました。

女性アイドルの中で、縦軸に女性向け⇔男性向け、横軸にクール⇔キュートという感じでセグメンテーションすると、女性向けアイドルではクール型のアイドルがほとんどだったでしょう。
倖田來未とか浜崎あゆみとかですね。

もちろん男性ファンもいますが、PVの世界観やダンスの振り付けを見ると男性をメインターゲットとしてはいないように思えます。
女性アイドルにありがちな、アイドルマニアにおもねるようなファッションや言動が少なく、女性が「カワイイ」と思ったり憧れたりするようなアイドル像をなぞっているのです。

私が芸能界事情に疎いだけかもしれませんが、女性向けかつキュート系の女性アイドルというのは今まで聞いたことがありません。
そういった意味で、彼女は新しい女性アイドルと言えるでしょう。


原宿カワイイ文化のアイコン
AKBはAKB発祥で多人数アイドルだとか会いに行けるアイドルという、新たなアイドル文化を生み出しました。
一方、きゃりーぱみゅぱみゅはその逆で、原宿カワイイ文化がまず存在していて、その文化が凝集してパーソナリティを持ったアイコンとして生み出されたように感じます。

こうした違いはビジネスモデルにも現れています。
AKBは自分達のCDやDVD、イベントやグッズなどが最終的な販売商品です。
対してきゃりーぱみゅぱみゅの場合、CD・DVDやイベントも販売商品であることは間違いないですが、原宿系アパレルや化粧品・雑貨、そして原宿カワイイ文化関連全般の広告塔としての役割を持っています。

彼女は原宿カワイイ文化そのものを背負っていることですね。


原宿カワイイ文化の伝道師
きゃりーぱみゅぱみゅのマーケティングの特徴として、アーティスト活動を始めた時点で海外マーケットを明確に意識しています。

デビュー曲からiTunesを通じて23ヶ国同時発売しており、初のシングルも73ヶ国で先行発売し、ベルギーとフィンランドてなんと日本人初の首位を獲得しました。
欧州での人気が特に高いみたいですね。

海外での活動も精力的に行っており、アメリカロサンゼルスでのライブやフランスJapan EXPOでのライブでも人気を博しています。
さらに、わずかデビューから一年そこそこですがワールドツアーも予定されています。

これだけ世界中で人気が出ているのは、もちろん宣伝広告のおかげもありますが、彼女が原宿カワイイ文化そのものでもあるからです。

きゃりーぱみゅぱみゅが日本のサブカルチャーのいちセグメントである原宿カワイイ文化の伝道師になっているので、日本のサブカルチャー好きの外国人は原宿かわいい文化のアイコンである彼女のファンになります。

ある意味、キリスト教徒はキリストを人として好きか嫌いかという次元を超えて皆キリストを敬愛しているのと同じで、原宿カワイイ文化が好きな人イコールきゃりーぱみゅぱみゅのファンという図式になっているのです。


こうしたサブカルチャーのアイコンを生み出し、伝道師として文化を広めていくのは、日本文化の輸出ビジネスとして一つのモデルになると思います。
文化輸出によるインパクトは、ショービズだけに留まらずアパレル・雑貨や観光まで敷衍してプラスの経済効果をもたらします。

今後日本が力を入れる産業として魅力のある分野ではないでしょうか。



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2012/12/26

明示しにくいベネフィットやターゲットはキャラクターで代弁しよう

ベネフィットやターゲットは明示すると却って顧客に忌避される可能性があることを前回のポストで見てきました。
ネガティブな印象を与えるようなベネフィットやターゲット属性を明示的に伝えてしまうと、そのネガティブな印象を相手に伝えてしまう可能性があるという話でしたね。

ではネガティブなベネフィットやターゲット属性をコミュニケートするにはどうすべきでしょうか。


一つの答えはベネフィットやターゲット属性を暗示するキャラクターを使うことです。

例えば、女性向け下着のワコールではターゲットの年代ごとに、デザインや機能が異なるラインナップを展開しています。
若い女性向けの下着であれば下着姿の若いモデルを使って華やかなCMを打てばよいのですが、60代向けの商品となるとその年代のモデルに下着を着せて宣伝するのは中高年向けなのが露骨すぎますし、商品にあまり良いイメージを持ってもらえるとも思えません。

ワコールはこのような方法を取りました。

日経MJ 2012/12/19 P.1―――――――――――――――――――――
ワコールは60代女性向け機能性下着「グラッピー」の売れ行きが鈍化した08年に、それまで若い外国人だったモデルに中高年の女優を採用。現在は団塊の伊東ゆかりさんだ。洋服を着てアクティブに活動する姿を紹介する広告に変え「ターゲットを『暗示』させることで親近感がわくようにした」(同社)。
――――――――――――――――――――――――――――――――

中高年の女性が機能性下着で体系が補正されることをアピールするのではなく、その結果として同年代の女性が活き活きとしている姿をアピールしたのです。


もう一つ、ティファールの電気湯沸かし器のCMが良い例です。

おじいちゃんおばあちゃんがもうすぐやってくる孫と息子夫婦のために急いでお湯を沸かしてお茶を準備するというCMです。
ティファールはすぐお湯が沸くので突然お客がやってきても待たせることはないよ、というベネフィットをアピールしているというのが表面的なCMの意味です。

しかし、このCMは2つのターゲット層を暗示しています。

ひとつの層はこのCMの主人公であるおじいちゃんおばあちゃん世代の高齢者です。
早くおやつを食べたい孫を待たせないという効果効能、そしてその先にある一家団欒のイメージでポジティブなベネフィットを表現しています。

本来、高齢者向けに電気ポットをすすめるとしたら、火を使わないから安全というポイントを訴求するでしょう。
しかし、火を使わないからお年寄りでも安全なんて広告を打ったらネガティブな印象を持たれかねません。
なので高齢者向けということはキャラクターを登場させて暗示させつつも、良い面のベネフィットだけをイメージで伝えることでネガティブな印象を与えることを防いでいます。

このCMで暗示されているもう一つのターゲット層は、高齢者の親を持つ息子家族の世代です。
CMの中で安全かつ簡単におじいちゃんおばあちゃんがお茶を入れているイメージから、高齢の親でも安全に使えるならこの電気ポットを贈ってみようかな、と思わせるような購買意欲を高める効果をもたせているでしょう。


テレビCMなんかでは芸能人が何らかの商品のイメージキャラクターとして使われていますが、そのタレントからどのようなターゲット層を暗示しているか考えてみると参考になるでしょう。
そして、当たり前のようにキャラクターを採用しているものの、実際は明示的にベネフィットを伝えたほうが良いような広告がないか探してみると参考になると思います。

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2012/12/24

明示的にベネフィットを提示することのリスク

マーケティングの基本的な機能は、自社商品を見込み顧客に認知してもらい、ベネフィットを理解してもらうことです。
当たり前の話ですが、知らない商品を欲しくなることはないですし、その商品が自分にとってどのようなメリットがあるかを理解しなければ購入意欲は湧きません。

もちろんベネフィットを理解してもらわないことには購入してもらえないのですが、いつでもストレートにベネフィットを明示すれば良いということではないようです。
一つ事例を見てみましょう。


ブリヂストンはこれから可処分時間が増えるシニア向けに「ファイズ」という新たなゴルフクラブのブランドを立ち上げました。
http://phyz-golf.com/

ゴルフクラブにかぎらず、シニア世代向けに「シニア向け」というネガティブなキーワードで明示的に訴求するのはNGであることをブリヂストンは理解していました。
そこで、ブリヂストンはターゲットを明示的にしておきつつも「シニア向け」のようにネガティブなニュアンスを含まない言葉を使うことにしたのです。

日経MJ 2012/12/19 P.1―――――――――――――――――――――
ブリヂストンスピーツモファイズでは、うたい文句を「ゴルフを楽しむ大人」とした。 (中略) シニア向けはうたわずとも「高齢者に配慮した」機能のクラブを使うことを知られたくないのでは、とブリヂストンスポーツはみる。「大人」というフレーズに「シニア向け」を敏感にかぎとった人がいる可能性もある。
――――――――――――――――――――――――――――――――


実際にドライバーの商品説明を見ても、懸命に筋力が衰えたシニア向けというニュアンスを消しつつも機能性をアピールするように配慮しています。

ファイズの商品説明から―――――――――――――――――――――
新設計により、クラブの重心位置を手元側へポジショニング。クラブ全体のバランスがいいから振りやすい。振りやすいから気持よくスイングできる。
――――――――――――――――――――――――――――――――


一方ライバルでのタイトリストは、飛距離や若々しさ、パワフルさを表現しています。

タイトリスト商品説明から―――――――――――――――――――――
さらなる低・深重心。スイートエリアを拡大するカップフェース。「飛び」にこだわった新・ウエイト設計の「VG3 ドライバー」が登場。
――――――――――――――――――――――――――――――――


男性は見た目だけでなく機能性を重視するという傾向があるので、ファイズも男性の機能性というベネフィットを刺激しようとしたマーケティングプランだったのかもしれません。
しかし、筋力の衰えを機能でカバーするクラブを使っていると周りに見られてしまうことへの忌避感が想定以上に強かったのでしょう。
そういうプライドを傷つけないよう十分配慮したつもりだったのでしょうが、迂回しきれなかったということですね。

現時点ではまだファイズのマーケティングが失敗だったと言い切れる状況ではありませんが、このように明示的にベネフィットを伝える際にはターゲットがどのように受け取るかを意識しなければならないという教訓が得られます。
ベネフィットを明示するマーケティングメッセージを送るときは、相手にどう受け取られるのかを十分検討しましょう。

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販路開拓のアイディア

先日美容室でカットしてきたのですが、面白い話を聞きました。

どうも美容室だけを販路としているドライヤーを製造・販売している会社があるようで、私が行きつけにしている美容室ではそのドライヤーが結構売れているそうです。
なかなかおもしろいビジネスモデルだと思うので、メモ書きしておこうと思いました。


美容のプロが販売しているので高額商品でも売れる

まず、美容室だけを販路に絞るというのは大胆な販路の絞り方です。
普通の人がドライヤーを買おうと思ったらまずは家電量販店を探すはずなので、家電量販店を販路から外して美容室に集中するというのは無謀に思えます。

しかし、販売しているのが髪の毛のことについて最も詳しいと思われる職種である美容師だと説得力があります。
美容師が高価だけど髪に良いドライヤーを勧めてくれたら、すごく良い物な気がしませんか?

ビックカメラの店員に高級ドライヤーを勧められるよりも、美容師に高級ドライヤーを勧められる方が買おうという気になりますよね。


接客時間をセールストークに使える&実演できる

美容室ではカットだけでも平均1時間程度の接客時間になるでしょう。
その時間を使って美容師はドライヤーのセールストークをすることができます。

しかも、髪に関してはオーソリティである美容師からの説明なので、抵抗感なくそのドライヤーへ好感を持つでしょう。
そして量販店にドライヤーを買いに行くのと違ってモノを買いに美容室へ来ているわけでもないので、「余計なものを売りつけられないぞ」という警戒心もありません。

カットの最後にはドライヤーで髪を乾かすのですから、そこで商品を使って実演することができます。
これは販売の場として大きなメリットでしょう。


美容室はあまり開拓されていない販路

美容室は物販の場としてはまだあまり開拓されていない販路です。

このため美容室は物販による利益をあまり勘定に入れない経営をしているわけなので、プラスαの利益が生まれるドライヤー販売の提案は受け入れられやすいでしょう。
ライバルが少なければメーカーが美容室に渡す利益率はそれほど高く設定する必要もないでしょう。


これは美容室とドライヤーという一つの例ですが、これまで全く物販を行なっていないものの自社製品と関連性のあるサービスが提供されている場を物販の場にする、という方法論は応用できる可能性があると思います。

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2012/12/22

リブセンスのビジネスモデルは破壊的イノベーション


前回のポストではリブセンスが成功報酬型ビジネスモデルとSEO対策によって、後発ながらユーザーを獲得したことについて書きました。
今日は、リブセンスのビジネスモデルがアルバイト人材市場のおいてどのようなインパクトを持ったかについて考えてみたいと思います。


インテリジェンスやリクルートなどの既存プレイヤーたちは同じようなビジネスモデルを持っていて、広告枠を企業に売ることがビジネスでした。
差別化出来る要素はメディア(アルバイト募集サイトや雑誌)の質しかありませんでしたが、両社に大差はないため価格競争に陥っていました。


そこにリブセンスは成功報酬型という、顧客にベネフィットが多く、既存大手の競合には真似しにくいビジネスモデルを持ち込んだのです。


このビジネスモデルはインテリジェンスやリクルートには対抗するのが難しいビジネスモデルです。

リブセンスは上場した今でも50人程度しか社員がいませんが、既存大手は営業社員を始め多くの社員を抱えています。
優秀な人材は資産であることは間違いありませんが、既存大手企業がリブセンスのような成功報酬型モデルを実行しようとすると、資産であったはずの人材が大きな負債になってしまうのです。

これは社員という固定費が発生する以上、安定的に売上が見込めるビジネスモデルでなければいけないからです。
そうすると、現在の広告枠売のビジネスモデルから一気に成功報酬型のビジネスモデルに移行するのは難しいでしょう。


さらに、アルバイト募集広告掲載料が無料というところがリブセンスへの対抗策を難しくしています。
なぜかというと、掲載料が無料ということは顧客にリスクが一切ないため、顧客がリブセンスに掲載することを止めることはできないのです。

広告枠を販売している企業同士の競争ならば、よほど顧客の予算が余っていない限りはどちらかが顧客を獲得すればどちらかが顧客を逃すというゼロサムの競争でした。
顧客の財布という一つの存在を奪い合っていたのです。
しかし、リブセンスは無料なので、顧客にとっては常に広告掲載のオプションとして存在していることになります。


こうして既存企業は新しいビジネスモデルで市場に乗り込んできたベンチャー企業にみすみすシェアを奪われることになるのです。
もちろん、奮起して成功報酬型のモデルに切り変えたり、リブセンスと同じビジネスモデルの子会社を作ったりと防衛策を講じることはできます。
しかし、ほとんどの企業は有効な手を打たずに手遅れになってから重い腰を上げるパターンが多いですね。

リブセンスは既存の企業が真似しにくく、しかも顧客の視点からすると他のアルバイト募集メディアと直接は競合しないサービスなのです。
美しいビジネスモデルだと思います。


良い戦略、悪い戦略
リチャード・P・ルメルト
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リブセンスのしたたかなビジネスモデル


リブセンスは村上太一氏という25歳で史上最年少で上場を果たした社長で有名な人材会社です。

メディアでも最年少の上場企業社長!というキャッチーなポイントばかりが取り上げられていますね。
もう少しビジネスよりのメディアだと成功報酬型というキーワードが出てきています。


人材業界といえばリクルートやインテリジェンスという超大手企業がいるのに、なぜ成功報酬型で成功したのでしょうか?


成功報酬型ということは、アルバイト募集企業がアルバイターを採用したらその時初めて報酬をリブセンスに払うということです。
グルーポンなどのクーポンサイトも似たようなビジネスモデルですが、なぜこのビジネスモデルを採用したリブセンスが後発ながら大躍進を遂げたのか考えてみます。


まず、リブセンスにとって人材募集媒体としてWebサイトが主戦場です。
WEBでビジネスを行うにあたって最も重要なのは、トラフィックを増やすこと。
つまり、WEBサイトを訪問してくれる人を増やすことです。

訪問者が増えないことには顧客企業としてはアルバイト募集広告を掲載する価値がありませんし、募集広告がなければ訪問者はサイトに魅力を感じず、より足が遠のきます。
卵が先か鶏が先かではないですが、運営者は何かをきっかけにサイト訪問者を増やす活動をしなければいけません。


リブセンスの場合、成功報酬型というビジネスモデルとSEO対策がメインウェポンだったのです。


成功報酬型であれば、企業は何のリスクもなしに広告を掲載できます。
このため、知名度が低かったリブセンスでもはじめからある程度掲載企業を獲得することができたのでしょう。

一方、リクルートやインテリジェンスのような既存企業は広告枠を売るビジネスモデルなので、掲載する時点でお金がかかります。

このように、成功報酬で募集広告掲載企業のリスクをリブセンスが負うことで募集広告を増やし、その結果アルバイトを探しているユーザーのアクセスを集めたのでしょう。


SEO対策もリブセンスの強みだったようです。

アルバイトを探す場合、最もよく使うキーワードはアルバイトをする場所でしょう。
リブセンスはアルバイトに地名を絡めた検索ワードでSEO対策を徹底しており、多くの地域で1位表示されます。
私が住んでいる地域で検索しても1位で出てきますね。

このSEO対策が後発であったリブセンスのサイトにアルバイトを探しているユーザーのトラフィックを集める原動力になったのですね。


募集広告が集まって、ユーザーが集まってくれば、あとはポジティブなスパイラルで掲載企業とユーザーがどんどん増えてくることになるはずです。


Webを使ったビジネスの面白さは、会社の規模や投資の大きさだけで検索順位が決まるわけではないということです。
新しい企業であっても、上手くすればWeb上の一等地(検索順位で上位)にサイトを開くことが出来るのです。



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その数字って本当に必要?ビジネスの意思決定に数字が必要な心理的理由

「ビジネスは数字で語ることが大切」
少しでもビジネスの教養(?)がある人は、これに反論できる人はいないでしょう。
かのドラッカーも、計測できないものはマネージメントできないと言っていますからね。

しかし、感度分析や期待利益を計算しようとすると、バカ売れするシナリオAとそこそこ売れるシナリオB、全く売れないシナリオCのようなシナリオを作り、それぞれの確率を推計することになるでしょう。
ビジネス企画をしている人は分かると思いますが、こうした確率の推計は結局はガッツフィーリングに近いもので、これらの確率から導き出された感度分析や期待利益は一体何の意味があるのだろうかと思ってしまいます。
よく、平均値は現実と違うと言いますが、同じようなものです。

ビジネスの現場ではこうした推計に基づく数字が判断の根拠として信頼されすぎている気がします。
これはなぜなのでしょうか?

理由のひとつは、推計であってもこうした方法論以上に論理的に意思決定を行う方法がないからかもしれません。
推計の数字に頼らないとすると、あてにならない過去の経験や拠り所のない議論、占い、サイコロで意思決定をするしかなくなりますからね。
数字での判断は消去法で考えても採用せざるを得ないのでしょう。


もうひとつの理由として、民主的に意思決定するために、全員が同意できるものさしが必要だからという理由も考えられます。

現場レベルでは日々お客様との接点を持っているので、以下に目の前のお客様に満足していただくかというのが最大の課題ですが、マネージャーは現場を以下にうまく効率的に回して部門に要求されている数字にミートするかが重要だと考えています。
そして、経営者はさらに上の視点で意思決定しようとしているので、この三者がひとつの意思決定について議論しようとすると当然意見が合わないわけです。

そこで、違うレベルの問題であっても同じ判断基準でジャッジができる「数字」というのが重宝されるわけですね。


もう少し突っ込んで考えてみると、じゃあそもそもなぜ全員が納得できる必要があるのか、と天邪鬼な私は考えてしまいます。
そこには合理性を超えた心理的な要素が影響しているように思われます。

私が思うところを有り体に言うと、決定した人の責任を和らげるために皆が納得できる数字を使うのではないかと思うのです。
数字と言う客観的で自分の操作が及ばない(理論的には、ですが)領域に判断基準を置くことで、意思決定者が意思決定による過度なプレッシャーを受けずに済むという性質が利用されています。

これは別に悪いことではないと思います。
意思決定者があえてこの心理的プレッシャーを押しのけて独裁的、独善的判断をするようではそれは民主的な意思決定ではないですから。

そして、民主的な意思決定を行うことが現代のビジネス組織にとって重要なのは、現場、マネージャー、経営者という違う立場の人たちのコミットメントが高まるからでしょう。
独裁的な意思決定では意思決定者と意を共にするメンバーしかコミットメントがあがりませんからね。


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2012/12/21

情報商材ビジネスは期待値を極限に上げるビジネス

一つ前のポストでは、民主党が国民の期待値を上げることによって歴史的な大勝利を収め、歴史的な大敗を喫したことについて書きました。ビジネスの中で、見込み顧客の期待値をコントロールするビジネスとして最近注目を集めているのが情報商材ビジネスです。

情報商材ビジネスはインフォプレナー(情報起業)とも呼ばれ、超低資本で個人が始められるビジネスとして最近人気が出ています。
このビジネスが生まれたのはここ数年です。

情報商材ビジネスでは、稼ぎたい、モテたい、コンプレックスを解消したいという、人間の根源に近い欲求を満たすのに役立つ情報を販売します。
こうした根源的な欲求を満たす情報は需要が大きいようで、ハイスピードで市場を拡大している様子です。

民主党は期待値を上げ、国民からまずは初回購入がなされましたが、初回購入後に高いパフォーマンスを求められ、パフォーマンスの発揮に失敗したため与党の座から引きずり落とされました。
一方、情報商材の業界では、みなダイレクトマーケティングのDMライティング手法を活用した期待値を極限に高める手法を取っていますが、初回購入の後も安定してリピーターを獲得していることが多いようです。

私もそうした情報商材を買ってみたことがあります。
大抵のものが値段と比べてそれほど価値が高いとも思えない、ヘタすればそのへんのブログに書いて有りそうなことをまとめて編集したようなものも多いのが現実です。
なぜそれでも売れるのでしょうか?

一つ目の仮説は、情報商材を売る人たちは、極端にダイレクトマーケティングに秀でていて、見込み顧客の期待値を完全にコントロールしているからです。
私が買った情報商材もそうですが、大体ランディングページがあり、そこには延々数万文字に及ぶセールスレターが書かれています。
文章はあまり上手いものではありませんが、購買欲求を掻き立てるといういみでは、一級品のものばかりです。
このセールスレターがあまりに優れているので、情報という実態の無いものに対して数万の対価を要求しても大量に売れるているのではないかと思います。

しかし、これは初回購入の理由に過ぎません。


次に、数万する情報をリピート購入するのはなぜでしょうか。
この疑問に対する2つ目の仮説は、購入する顧客が買った商品を正しく評価する比較対象や指標を持っていないからではないかと思います。
情報商材のように商品ひとつひとつのオリジナリティが高くて比較が難しい商品は、他の商品のように簡単に類似製品と比較できません。

簡単な例で言うと、ポテトチップスのようなナショナルブランドのお菓子であれば、どの店舗が一番安いかというのは簡単に比較できます。
しかし、その店だけで作って売っている惣菜は他のスーパーの惣菜や他の商品との比較が難しくなります。


費用対効果がうやむやだから、というのが3つ目の仮説です。
だれでもこうすれば稼げますよ、痩せますよ、モテますよ、というのが情報商材の謳い文句です。
しかし、効果の実現にはユーザーの多大な努力を必要とするので、教材が悪いのかユーザーが悪いのかの責任分解点がはっきりしません。

どうも日本人は自分の努力が足りないから願いが実現しないんだと考える人が多いようで、これがもっと良い情報を求める理由になっている気がします。


4つ目の仮説は、購入自体が満足だからです。
極端に期待が高められた商品は、買った時点で満足なのです。

あなたの部屋にも転がっていないでしょうか?どうしても欲しくて欲しくてしょうがなくてやっと手に入れたのに、手に入れた途端満足してロクに使わないモノが。
そしてロクに使わないものでも、購入自体から得られる満足度が高いのでまた買ってしまうことがあるのです。
ブランド物を買う心理も購入自体の満足度が高いからでしょう。


正直、情報商材というのは期待されるベネフィットと価格が釣り合っていないと思います。
しかし、そんなギャップを飛び越えるくらい期待値を高めて購買意欲をそそるセールスレターのライティング能力やマーケティング力に驚かされます。


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2012/12/20

民主党の惨敗に見る 期待値を上げるメリットデメリット

マーケティングと営業において、顧客の期待値をコントロールするのは重要です。

うまく見込み顧客の期待値をコントロールできれば、初回の購買行動を促すことができます。
メディア広告や口コミで期待値が最大限高まったところに新製品を投入すると、莫大な売上を築くことができる場合があります。

初回購入の確率=コンバージョンレートは初回購入前の期待値の関数であることが分かります。
しかし、一度購入してくれた顧客へ継続購入やアップセルをするには、初回購入した商品への満足度が重要です。
初回購入の商品に対する満足度が高ければ、また同じ人、店、または会社から購入したくなりますが、初回購入の商品が期待はずれであった場合はアップセルや再購入は難しいでしょう。

つまり、購入前の期待値の高さと初回購入率はポジティブな相関がありますが、品質が伴わない場合、期待値と継続購入は負の相関になるというシーソーのような関係にあります。


この上がりきったシーソーを一気に地面にたたきつけられたのが今回の選挙で惨敗した民主党だと思います。

2009年に国民の期待を背負い308議席獲得して政権交代に成功したものの、負の遺産はあったものの実務能力が足らずに国民の期待を裏切ることになり、逆に300近くの議席を自民党に奪われる結果となりました。

これは良くも悪くも、民主党が国民の生活を改善するというベネフィットを過度に喧伝し、期待値を上げすぎたことに原因があるでしょう。

政権交代前に自民党が提供していたベネフィットに対し、国民が感じていた不満に対するソリューションを民主党が提案し、国民の期待値を高めました。
国民は、なんだか良さそうな新商品を引っさげてきた民主党からとりあえず購入してみました。

しかし、結局購入した製品が期待値よりも品質が劣るものだったので、もうここからは購入しない!という顧客が続出してしまったのです。
それを露呈したのが今回の選挙でしょう。

期待値を上げなければ誰も購入してくれませんが、初回購入だけを目指して分不相応に期待値を上げてしまうと、結局それが首を絞めることもあるというお話です。

マーケティングの原則が政治でも通用するよう、民主党の失敗はビジネスの世界でも発生する可能性があります。
マーケティングが優れた会社は顧客の期待値をコントロールすることが長けているでしょう。
しかし、実際にその会社が提供している商品、ひいてはUSPが顧客の期待値を下回ると、悲惨な結果が待っているでしょう。

顧客の期待値は上げすぎれば良いというわけでもなければ、下げれば下げるほどよいというものではない、デリケートなものなんですね。


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2012/12/17

クリスマス商戦は安さを売りにすべきか?



いよいよ今週末がクリスマスの週末ということで、街中クリスマス一色ですね。
私もご多分に洩れず町中をクリスマスプレゼントを探し歩いてたのですが、あることに気付きました。

みんな判で押したように店内にあちこちに「クリスマス・セール」のポスターや旗?みたいなものを飾っているのですが、値引き以外に具体的な販促がなされていないのです。
クリスマス・セール20%引き!のようなPOPを出している店舗もありますが、その商品普段から20%引きじゃなかったっけ?というような雑な販促が多い気がします。

客側に買う動機があるから、それを触発するような「クリスマス・セール」のポスターと若干の値引きがあれば十分ということでしょうか?
それはそれで正しいかもしれませんがクリスマスプレゼントを探し求める人々の心理を考えるともっと他のベネフィットを訴求すべきではないでしょうか。


■ 安いモノをプレゼントしても満足感は減らない?

プレゼントする商品が普段よりお得に購入できれば、それは確かに金銭的には特をしているかもしれません。
しかし、大切な人にプレゼントを探している人にとって、普段より安く売っているものをプレゼントするのが気持ちいいことでしょうか?

もちろん人によっては自分も相手も得してwin-winだ、という合理的な人もいるでしょうからあながち安売りも間違ってはいません。

でも、安いものをプレゼントしたことに後ろめたさを感じる人もいるのではないでしょうか?
そんなに人にとって、安売りされた商品を選択することはその店舗を利用した満足度を下げることなるのではないでしょうか?

そう考えると、プレゼントする商品は変に値引きされていないほうがいいのかもしれませんね。
ただ、当然ながらいつも安いものが高く売っているだけでは損した気分になるのでダメです。


■ 本当のベネフィットは、良い物をプレゼントしたという実感

クリスマスプレゼントを販売する店舗がお客様に提供すべき本当のベネフィットは何なのでしょうか?
私はプレゼントを送る側のお客様が、「良いモノをプレゼントしてあげた」という満足感を得ることだと思います。

そう定義すると、クリスマスプレゼントを販売している店舗がすべき行動は安売りではありません。
むしろ、普段より定価に近い高い値段で良いので、プレゼントを買うお客様の更に先にいるプレゼントを受け取るお客様をもっと満足させるサービスがあると良いでしょう。

例えば、ブランド物の財布を販売しているのであれば、普段財布を包む化粧袋よりも高級なベルベットの化粧袋で包むとか、高級ウィスキーであれば樽型のケースに入れるだとかが考えられます。
プレゼントの商品を売るのではなく、クリスマスに素敵なプレゼントを贈って喜ばれる、というイベントを売るべきなのです。


なんてことを大切な人に贈るプレゼントを探しながら考えていました。
ボーナスが厳しかった冬だけど、喜ばれるんだったら高くてもいいかな?と思っちゃうんですよね。
と言いつつ、お手頃な商品にも惹かれている自分が・・


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2012/12/16

顧客密着型サービスを仕組み化する POSシステムを使った飲食店


マクドナルドや牛丼チェーンのように圧倒的な低価格でもなく、ミシュラン・ガイドで星がつくような圧倒的な品質を誇るわけでもないレストランが世の中には無数存在しています。

こうした特徴ない飲食店は立地でしか差別化することはできないのでしょうか。


低価格でも品質でも競合に勝てないレストランが競争を優位に進める方法がもう一つ存在します。

それは、圧倒的な顧客サービスでお客様にまた来てもらいたいと思ってもらうことです。

お客様に、「あそこは気がきくし、私のお店って感じがするからまた行きたいなぁ」というベネフィットを感じてもらうことです。


そんなサービスをITシステムと人のスキルで具現化している例を見てみましょう。


東京南青山の高級イタリア料理店ではPOSシステムに詳細な顧客情報を登録して「気が利いた」顧客サービスに役立てています。

POSシステムには顧客の属性情報や注文した料理の情報だけでなく、注文したお酒の銘柄や食べる速度まで記録しています。

これだけ細かい情報を集めるレストランも少ないと思いますがこうした情報を集めるだけでなく、情報を活用する仕組みがしっかりルール化されているのです。

例えば、次回来店時に注文したワインが初回よりも高級なワインであれば、初回のワインに満足していただいているという仮設を立ててワインの提案に活かすというルールがあります。


ただただ注文履歴を集めるだけでなく、それらをどのように使うかがルール化されているから従業員が誰でも均一で質の高いサービスが提供できるのです。

集めた情報をどのように使うかが定義されていなければ、結局ベテラン頼みのサービスになってしまいます。


もちろんPOSというITシステムだけに頼るのではなく、人にしかできない気遣いも大切にしています。

例えば予約時に、例えばプライベートな食事なのか接待なのか、社内の食事会なのか、という利用用途を聞き出し、誰を一番もてなすべきなのかというのを事前に把握して当日のサービスに活かしています。

その聞き取りができていなければ、最初の乾杯の際に観察してどのような用途なのかを理解し、順次サービスに活かしていくのです。



このように、優れた密着型サービスで差別化しているレストランはITと人による優れたサービスを生み出す仕組みが存在しています。

システムも情報を入力して取り出すだけでなく、どの情報を使って何を判断し、そしてどのように行動すれば良いのかがルール化されています。

こうした仕組みがあるので、入社間もないような人もベテランもサービスのばらつきが無く質の高いサービスが提供できます。

そして、ベテランが流出すると同時に顧客も流出してしまう事態を防げるのです。

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今後求められるのはベンチャーか?中小企業か?


最近読んだ本、「起業工学(幻冬舎ルネッサンス)」では旧松下電器の経営幹部による起業に関する議論や自分たちの新規事業創出体験が語られています。

その中で印象的だったのは、ベンチャーと中小企業の違いです。

ベンチャーは起業が目的でも継続が目的でもなく、大きな成長を目指しています。
シリコンバレーでは明確にエグジットを目標としており、起業家も投資家もバイアウトやIPOで数百億の利益を狙っています。

一方、伝統的な中小企業はゆるやかな成長、あるいは無成長でも良しとしているように見受けられます。
そして、継続を目的としている経営が多いのではないでしょうか。
成長はしなくてもいいから社員を養える利益があればいい、と。
伝統的な中小企業のオーナー社長はシリコンバレーのベンチャー企業とは違い、基本的に会社の売却は考えていないでしょう。


このような経営上の違いもありますが、ベンチャー企業と伝統的中小企業では、経済の中で果たす役割も異なっています。

ベンチャー企業は大企業がリスクを取るのを恐れて手を出せない技術やイノベーションに挑戦して新たな市場や技術を生み出すという役割を担っています。
そして、全く新しいベネフィットを顧客へ提供できるようになるのです。

医療ベンチャーが分かりやすい例でしょう。
最近はやりのIPS細胞は新たなベネフィットを生み出すベンチャーの好例で、これまで投薬による治療やオペによる患部の切り取りしかできなかった治療に対し、組織を再生させる再生医療の可能性を提供してくれます。
医療を受ける消費者に新たなチョイス、しかも体に対して非破壊な治療方法を提供してくれるのです。

最終的には大企業に買われるかもしれませんし、プロの経営者によって独自に会社を大きくしていくかもしれません。
どちらにせよ、ベンチャーが社会に提供するのは急速な成長による経済活性化と新しいベネフィットの提供なのです。

一方ファイミリービジネス的な中小企業は、急成長や新たなベネフィットに集中しているわけではありません。
大企業では採算が合わないような機械部品の製造やニッチな商品で大手企業とは差別化してビジネスを行なっているケースがほとんです。
大手のサプライチェーンとして、または大手では拾い切れない社会のニーズを提供しているのが中小企業と言えるでしょう。

さて、今日本経済に求められているのは、ベンチャー企業か中小企業かという議論ですが、もちろん前提としてどちらも無くてはならない存在です。
しかし、どちらがいまクリティカルに重要かといえばベンチャーでしょう。

起業工学―新規事業を生み出す経営力
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2012/12/15

強すぎる競争心が生み出す弊害


前回のポストではビジネスプロデューサーに必要な10の要素を考えてみました。
もちろん必要な要素がたった10でいいのかといえばそういうわけでもなく、他にも重要な要素はたくさんあります。

例えば、競争心というものがあげられると思います。
社内でビジネスプロデューサーとして業務をしているのであれば、他の事業企画担当者や企画部門をライバルとして抜きん出ようという競争心がより高いパフォーマンスを生み出す源泉になるでしょう。

一度サービスを世の中に出せば、よほど特殊な条件が重ならない限り、他社との競争になります。
市場が限られている以上、正面衝突になるにしろ部分的な競合にしろ、競争で相手を打ち負かして勝ち残っていかなければ事業は衰退しなくなってしまうのです。

競争心は車にとってのガソリンのように、ビジネスプロデューサーにとって必要不可欠な燃料ではありますが、競争心が過ぎることには注意を払わなければいけません。

まず、強すぎる競争心や敵愾心は冷静な判断力を奪います。
これは競合に対する過剰な競争心だけでなく社内競争相手に対してや、2代目社長であれば先代社長への強烈な競争心がビジネス的に見て不可解な行動に駆り立てるケースを良く見ます。
シャープが液晶ディスプレイへ過剰な投資をしたため、いま経営危機に瀕しています。
理由はいくつかあるでしょうが、その一つにサムスンやLGに対する強烈な競争心やものづくりに対する過剰なこだわりに原因があったといえるでしょう

さらに、行き過ぎた競争心で冷静な判断力を失うと、相手に勝ちたいがために間違った手段を使ってしまうかもしれません。
間違い方にもいくつか種類があるでしょうが、その一つはビジネス戦略にそぐわない行動を短期的な売上や利益の増加のために行なってしまうことです。
これは一般社員よりも数字を背負っている管理職や社長クラスが起こしやすいのかもしれないですね。

もう一つパーソナルな間違いを犯してしまうかもしれません。
プライドが高い人間が、周りと比べて自分の優秀さを認めさせようとするとき、周りと摩擦が発生しやすくなります。
周りの無能な人間には任せられない。自分が結果を出さないと、という考えになってしまうんですね。
周りの人の協力なくして一人よがりに事業を立ち上げられるはずがありません。

このあたりは自分が犯した間違いから学びました。
みなさんも強すぎる競争心はほどほどに。

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2012/12/13

Plazaの戦略 商品高回転で化粧品売場の鮮度を保つ


以前店舗が顧客に提供するベネフィットの一つはサービスだという話をしました。
「ここで買った商品は何かあってもここで何とかしてくれる」、「ここでなら安心して買える」、というのがお客様が感じるベネフィット=お客様の心の声です。
手厚いサービスによる安心感というベネフィットは、多少高くても安心して長く使えるモノを買いたいという顧客を集めたい店舗が取るべき差別化軸です。

また、ディスカウントストアに代表される、「ここでなら絶対に他より高いことはないはず」、「ここで買えば損しない」、というのもサービスとはまた別のベネフィットです。
こうしたベネフィットを提供する店舗は、価格に敏感な主婦層や収入が低い顧客層を集める差別化軸になります。


一方、若い女性向けの雑貨で有名なPlazaは、小売店が提供できるもう一つのベネフィットの例を提示しています。

Plazaの店舗入ってすぐの一番目立つ場所をプロモーションスペースというそうですが、ここには若い女性向けの化粧品がラインナップされています。
売上でも利益率でもPlazaの主力商品だそうです。

この主力商品を、なんと2週間で1周するほど高回転で商品の入れ替えをしているのです。
なぜこれだけのスピードで商品の主力商品の入れ替えをするかというと、お客様に「ここに来ると何か新しい発見がある」、「なんか新しいモノ出たかな〜」という新鮮さを提供するためなのです。

Plazaの扱う商品一つ一つはそれほど高価なものではなく、他で買えない商品ばかりを扱っているわけでもありません。
かと言ってディスカウントストアやネットショップと低価格競争するつもりもありません。
そこで若い女性の好奇心を刺激する、いつも新しい発見があるというベネフィットを提供することにより、価格を下げずに、さほど独自性がない商品でも集客できるのです。

Plazaではこのベネフィットを提供するために、全社レベルでの戦略を徹底しています。

ひとつは店舗主導でプロモーションスペースの商品決めるという仕組みです。
店舗によって顧客層が微妙に違うでしょうから、本部で商品展開を決めてしまうよりも顧客に魅力のある商品が提供できる可能性が高まります。
さらに、顧客の反応をダイレクトに見ることができるので、素早く商品のラインアップに新たな変化を起こすことができます。

こうした店舗主導の商品選択を推進するため、各店舗の店員が随時取り扱いたい商品を提案する窓口を本部に設けています。
掛け声だけでなくこうした仕組みを設けることにより、戦略と販売の現場を結んでいる好例ですね。

さらに、ラインナップの鮮度を保つためにメーカーと結託してどんどん新しい商品を売り場に出しています。
メーカーからすると、新商品のテストマーケティングやブランド育成の場になるため、よりPlazaとの連携を強化することを選ぶでしょう。
こうしたメーカーとの強い協力関係が資産になり、強みになっていくのです。

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ビジネスプロデューサーに必要な10の要素

私は今新たなフィールドで経験を積むべく、転職活動をしているのですが、先日面接の中でビジネスプロデューサーに必要な10の要素は何か?」という質問を受けました。

その場は何とかその時思いつくベストな回答で切り抜けましたが、興味深い質問だったので、今一度深く考えてみます。


1. 行動力
私の中ではビジネスプロデューサー=起業家という図式が成り立っています。起業家に一番求められるのが何かといえば、行動力でしょう。

2. 早い決断力
新しいビジネスを立ち上げる時、ある程度予測は立てるものですが、基本的にやらなきゃどう転ぶか分からないものです。
とりあえずやってみて、その結果を受けて修正していくのが成功への近道です。
急がば回れとはよく言ったものですね。
これはビジネスプロデューサーとしてまだまだ浅い経験しかない私からしても間違いありません。

3. 鳥の視点
ビジネスを立ち上げる立場にいる以上、商品作りだけに没頭しても営業だけに力をいれてもダメです。
全体を見て、いま市場では何が起きているのか、これから何が起きるのか、自分たちはどうすれば良いのか、ということを俯瞰的に見れなければ、正しい判断は出来ません。

4. 蟻の視点
前項の鳥の視点に矛盾するように見えますが、目の前のタスクに集中してしなければ、俯瞰的な視点で生み出した戦略は絵に描いた餅に過ぎません。
戦略を価値のあるものにするには、それを精度高く徹底的に実行する蟻の目が必要です。

5. 巻き込み力
当たり前の話ですが、新しい事業を一人で立ち上げるのはほぼ不可能です。
一人で立ち上げるのも不可能ではありませんが、できるとしても小さなビジネスになってしまうでしょう。
特に会社の中で事業を立ち上げるのであれば、数多くの助力者の強力を必要とします。
助力者を集めるための人間的魅力があればあるほど、事業立ち上げがしやすくなるでしょう。

6. 政治力
巻き込み力と関連している能力です。
周りを巻き込むにはその人の人間性や魅力、ビジネス力などが必要になります。
なかでも、こういった企業家・ビジネスプロデューサーの能力として無視されがちなのは政治力です。
決して汚いことをするというわけではなく、集団で物事を円滑に進める技術が必要なのです。

7. セルフラーニング
私の概念では、ビジネスプロデューサーは業界、製品、ものづくり、サービスに限らず新規事業を立ち上げるプロフェッショナルです。
このような人物には、新たな分野に対する業界知識や専門知識、はやり廃れなどを迅速にキャッチアップする能力が求められるはずです。

8. 発見力
ビジネスチャンスを見つける能力は、その業界におけるビジネスの可能性=スイートスポットを見つける能力です。
床屋という歴史が古く長年変化のない業界で、多くの人々に指示される新たな業態を発見したQBハウスのように、凝り固まった業界でもビジネスチャンスは存在しています。
これを発見できる能力は不可欠です。

9. 失敗力
失敗力というと、なんだか失敗なんて気にしないという楽天的な人格を持つことに見えてしまうかもしれませんが、ここで言いたいのは、楽天的であることよりも、しっかり失敗を受け止めて、なぜ失敗したのかを分析し、そこから素早く学ぶ能力です。
何度失敗してもいいさ、という心の余裕は大事ですが、外的は必ずしも失敗に寛容ではありません。

10. 執念
最後に、ビジネスプロデューサーに最も重要な要素は執念だと信じています。
早く決断して大量に行動を起こし、失敗から学んで行動を改善する能力があったとしても、それを成功に向かわせる原動力は成功への執念だと思います。
執念があってこそこうした能力は磨きがかかり、スピードもついてくるのです。


これが私の経験や学習から得た、暫定的な答えです。
皆さんはどう思いますか?

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