2012/12/10

シャドープランニング: エムスリーのサービスドメインから考える新事業戦略 1


2週間ほど前にエムスリーという製薬会社向けのマーケティング支援事業を主とする企業について書きました。
製薬会社にとってのエンドユーザーである医師をm3.comというポータルに集客し、そのポータルからMR君という情報発信の場を製薬会社に販売するというビジネスモデルです。

以前取り上げたリクルートがゼクシィを発展させてきた方法と同じで、クライアント企業のエンドユーザーを集め、クライアント企業が自社のサービスを使わざるをえない状況作り出したモデルケースと言えるでしょう。

この企業の新たな事業開発をするとしたらどのような新規事業を考えるかシャドープランニングしてみます。


■ ほぼ独占的地位にあるので拡大方針を狙う

まずはターゲットを製薬会社に固定したまま、新規事業開発の方針を考えてみましょう。
コトラーのマーケティング思考法で言う垂直型マーケティング(セグメンテーションとリポジショニング)と水平型マーケティング(新たな市場の開拓)のどちらの方針で行くのが良いか、を検討します。

垂直型マーケティングでセグメンテーションとリポジショニングはある製品やサービスが導入期〜初期普及期にある市場を細分化して自社に優位なポジションを作り出すことでした。
一方、水平型マーケティングは、セグメンテーションが進みすぎてもう十分な大きさのセグメントを新たに作り出せないような衰退期にある市場で有効な戦略でした。

エムスリーにはどちらの戦略が有効なのでしょうか?

結論としては、どちらも有効ではないと思います。
垂直型マーケティングも水平型マーケティングも強力な競合が多数存在することを前提としていますが、エムスリーの場合は競合しているのは製薬会社のMRです。

このため、エムスリーにとって有効な戦略は、製薬会社にとっての利便性を高め、MRやその他の社内投資をエムスリーへの予算に振り向けてもらうことです。
具体的な手順としては、製薬会社のバリューチェーンを分析し、自社がまだサービスを提供していないサービスドメインへ参入を狙います。

最終的に、製薬会社向けのサービスを垂直統合し、製薬会社専門のトータルソリューションプロバイダーを目指すのだと思います。
顧客との接点を増やして売上と利益を高め、さらに顧客をロックインすることにより競合他社が現れにくい状況を作るのが理想的ですね。


■ 顧客のバリューチェーンから事業領域を考える

同社のウェブサイトを見る限り、製薬会社のバリューチェーンにおける同社の既存サービスドメインは次のようになっているようです。
製薬会社のバリューチェーンは、製薬会社に全く縁のない私が勝手に作ったものなので、完成度は低いでしょう。
そのあたりは割り引いて見てください。


製薬会社の宣伝広告・プロモーションのフェーズでMR君というマーケティングプラットフォームを提供しています。

製薬会社が試験開発した新薬の効果や副作用についてチェックするため、治験という臨床試験を行わなければいけません。
この新薬開発におけるプロトタイピングのフェーズに対し、エムスリーは関連会社を通して治験支援サービスを提供しています。

今はまだサービスを提供していない製薬会社バリューチェーンのフェーズにあわせて、新たなベネフィットを提供する余地があります。



次回は具体的なアイディアを考えていきます。


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