2012/12/12

インサイトとダイレクトマーケティングのベネフィットの伝え方


顧客へベネフィットを伝えるという目的のために、いろいろなマーケティングのメソッドがあります。

顧客のインサイトを使ったメソッドでは、顧客がある製品群の中から特定の商品を手にとって購入を決めるときに、心のなかで何が起きているか(インサイト)を突き止め、心の中にある買いたくなるスイッチを押してあげることを目的とします。
店舗で商品を見つけてから購入の意思決定にいたるまでの心の動きは消費者自身自覚していないことが多いのです。
しかし、ベネフィットを直接的にアピールしても、押し付けがましく受け取られ、却って消費者の心を遠ざけることがあります。
インサイトを使ったメソッドでは、商品のベネフィットを顧客が自ら発見するのを助けることがゴールになります。

対照的に、ダイレクトマーケティングの世界ではベネフィットは明示的に分かりやすく消費者へ多くの言葉をもって直接的に伝えるべきだとしています。
売ろうとしている商品そのものに商品力やブランド力などの価値があることが前提になりますが、ベネフィットを直接的に提示し、顧客を教育して商品に魅力を感じてもらい、購入してもらうことがゴールになります。

インサイトはベネフィットを直接顧客へぶつけるのではなくて、顧客がベネフィットに思い当たるように心のスイッチを押そうとするのに対し、ダイレクトマーケティングでは一つのベネフィットを百の言葉を用いて直接的にベネフィットを理解させようとします。


全く正反対のアプローチですが、どっちらが正しいのでしょうか?


インサイトを使った例として、桶屋功氏の著書「インサイト(ダイヤモンド社)」では、妖艶なCMで「大人向け」のグラマラスなアイスクリームというブランドイメージを築いたハーゲンダッツと、「キレテナーイ」のCMで若い男性の共感を呼んだシックのケースをあげています。

どちらも「大人向けのアイスです」「ラグジュアリーなアイスです」というブランドイメージの押し売りをしておらず、「刃が横滑りしても切れません」「男らしい人が使うカミソリです」というベネフィットを直接的にアピールしてもいません。
しかし、顧客の頭の中であたかも顧客が自分で思い当たったかのようにそのベネフィットを思い浮かべるよう、インサイトを使ってCMを作りこんでいます。

結果、どちらの商品も大分類としてはコモディティ化された商品群でありながらハーゲンダッツとシックは圧倒的な市場シェアを獲得しキープしています。

ダイレクトマーケティングの世界では、ダイレクトマーケティングのグルーの一人であるジェイ・エイブラハムは、数時間で約600万円の破格のコンサルティングを販売するために参加費数十万〜数百万のセミナーで顧客を教育します。
ダイレクトマーケティングのベネフィットを徹底的にクライアントへ教育し、自分のUSPを伝えてコンサルティングのメリットを伝えます。
ジェイ・エイブラハムは大きな富を得ています。

どちらが正しい、どちらが間違っているという二元論ではないようです。


インサイトとダイレクトマーケティングが目指すもの


インサイトとダイレクトマーケティングは正反対のメソッドに見えますが、単純にそれぞれのメソッドが得意とする商品市場の違いを表しているに過ぎないのではないでしょうか。

インサイトは意思決定にあまり深い思考を行わない、コモディティ商品である場合に有効だと推測されます。
なぜなら、コモディティ商品の購入意思決定はほとんどの場合無意識のうちに自動的に行われているからです。
無意識に意思決定を行う顧客の無意識に働きかけるインサイトのメソッドはこうした場合に効果を発揮するでしょう。

一方、ダイレクトマーケティングはこれまでに無いイノベーティブな商品や、そう頻繁に買わないコモディティ化していない商品など、顧客が十分に吟味して買おうとする商品に有効なのかもしれません。
顧客はそうした商品を注意深く観察し、どのようなベネフィットがあるのかを見抜こうとします。
なので、ベネフィットを明確に顧客へ教育するダイレクトマーケティングは効果があるのでしょう。


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