2012/12/24

明示的にベネフィットを提示することのリスク

マーケティングの基本的な機能は、自社商品を見込み顧客に認知してもらい、ベネフィットを理解してもらうことです。
当たり前の話ですが、知らない商品を欲しくなることはないですし、その商品が自分にとってどのようなメリットがあるかを理解しなければ購入意欲は湧きません。

もちろんベネフィットを理解してもらわないことには購入してもらえないのですが、いつでもストレートにベネフィットを明示すれば良いということではないようです。
一つ事例を見てみましょう。


ブリヂストンはこれから可処分時間が増えるシニア向けに「ファイズ」という新たなゴルフクラブのブランドを立ち上げました。
http://phyz-golf.com/

ゴルフクラブにかぎらず、シニア世代向けに「シニア向け」というネガティブなキーワードで明示的に訴求するのはNGであることをブリヂストンは理解していました。
そこで、ブリヂストンはターゲットを明示的にしておきつつも「シニア向け」のようにネガティブなニュアンスを含まない言葉を使うことにしたのです。

日経MJ 2012/12/19 P.1―――――――――――――――――――――
ブリヂストンスピーツモファイズでは、うたい文句を「ゴルフを楽しむ大人」とした。 (中略) シニア向けはうたわずとも「高齢者に配慮した」機能のクラブを使うことを知られたくないのでは、とブリヂストンスポーツはみる。「大人」というフレーズに「シニア向け」を敏感にかぎとった人がいる可能性もある。
――――――――――――――――――――――――――――――――


実際にドライバーの商品説明を見ても、懸命に筋力が衰えたシニア向けというニュアンスを消しつつも機能性をアピールするように配慮しています。

ファイズの商品説明から―――――――――――――――――――――
新設計により、クラブの重心位置を手元側へポジショニング。クラブ全体のバランスがいいから振りやすい。振りやすいから気持よくスイングできる。
――――――――――――――――――――――――――――――――


一方ライバルでのタイトリストは、飛距離や若々しさ、パワフルさを表現しています。

タイトリスト商品説明から―――――――――――――――――――――
さらなる低・深重心。スイートエリアを拡大するカップフェース。「飛び」にこだわった新・ウエイト設計の「VG3 ドライバー」が登場。
――――――――――――――――――――――――――――――――


男性は見た目だけでなく機能性を重視するという傾向があるので、ファイズも男性の機能性というベネフィットを刺激しようとしたマーケティングプランだったのかもしれません。
しかし、筋力の衰えを機能でカバーするクラブを使っていると周りに見られてしまうことへの忌避感が想定以上に強かったのでしょう。
そういうプライドを傷つけないよう十分配慮したつもりだったのでしょうが、迂回しきれなかったということですね。

現時点ではまだファイズのマーケティングが失敗だったと言い切れる状況ではありませんが、このように明示的にベネフィットを伝える際にはターゲットがどのように受け取るかを意識しなければならないという教訓が得られます。
ベネフィットを明示するマーケティングメッセージを送るときは、相手にどう受け取られるのかを十分検討しましょう。

 にほんブログ村 経営ブログへ
 
 

0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...