2012/12/04

サイクルプラザコバヤシは商品軸?密着軸?どっちなの?


前回のポストではサイクルプラザコバヤシは優れたアフターフォローを提供する商品軸の小売店であると説明しました。
しかし、同じ記事を読み進めていると、密着軸の企業が取るような接客を行なっていることが分かります。

はたして、サイクルプラザコバヤシは商品軸、密着軸、どちらの企業なのでしょうか?
そして2つの軸を持って差別化する戦略はあり得るのでしょうか?


 前回、同店はサービスに特化した商品軸の小売企業だと分析しました。
無料で点検や整備という人的コストが嵩むサービスを提供するのであれば、商品利益率の高さが重要になります。高級自転車を扱っているのか、それとも完全に定価販売しているのでしょうか?

実は、販売している商品は一般的なナショナルブランドや海外ブランドの自転車で、他店とあまり変わらない値付けをしているそうです。

どこに秘密があるのでしょうか?

「お住まいはどこですか」。サイクルプラザコバヤシで自転車を買いに来た客に尋ねる。半径5キロメートルの商圏には坂道も多い。路地まで熟知した従業員は住所を聞いてすぐに、電動アシスト自転車を進めたり、変速の段数を選んだりできる。(日経MJ2012/11/28 P.6)

これは密着軸の企業の典型的な販売の仕方です。
安さだったらディスカウントストアの1万以下の自転車を買えばいい。高性能な通好みの自転車が欲しければモトクロスやロードバイクに特化した店に行けばいい。
安さでも性能やブランドでもなく、自分にもっとも適した製品を提供してくれることにベネフィットを感じる顧客が支持するのが密着軸の企業です。

密着軸の差別化が持つ強みは、地域密着型のビジネスで最も重要といっても過言ではない顧客開拓チャネルである口コミを誘発することです。
しかも自転車をよく利用するユーザーの一集団として主婦層があります。主婦層は口コミの影響を受けやすいセグメントなので、なおさら強力な広告効果があります。

密着軸型の販売手法により満足感が高まった主婦層のユーザーが口コミを発生させ、その結果前回も書きましたが、親子三代にわたっての付き合いや年間4000台の販売実績につながったのでしょう。

仮説として、一購入あたりの商品利益率はそれほど高くないが、リピート率が高くて安定した収益を見込めるため、人的コストが嵩む手厚いサービスを提供していても経営が成り立つ、ということが考えられます。



さて、本題ですが、サイクルプラザコバヤシは密着軸なのでしょうか、それとも商品軸なのでしょうか?

結論から言うと、どちらでもありえる、というのが答えになります。なんだか納得いかん!という声が聞こえてきそうです・・・3つの価値軸は何度も説明している通り、競合他社との差別化のために提供するベネフィットの一貫した方針です。

それはつまり、競合他社と比較して初めて提供するベネフィットに差異が生まれ、それが差別化になるのです。逆に言うと、競合他社と比較して自社がどの価値軸でベネフィットを提供しているかによって、商品軸の企業とも密着軸の企業とも言えるのです。


サイクルプラザコバヤシの例では、商圏が半径5kmの地元住民なので、商圏がかぶる自転車販売店が競合ということになります。商圏を共有する競合他社と比較して、サービスが優れているのであれば商品軸であると言えますし、競合他社が地元の道を知らずその顧客に合わせた提案ができないのであれば、相対的に密着軸企業と言えます。

一方、商圏がかぶっている競合他社は安売り販売店だけなのであれば、商品軸でもあり密着軸でもあるのです。重要なのは、競合と比較して、顧客にとって自社はどこに魅力があるのかということなのです。


自分の会社の軸を決めるときも、競合を意識しなければいけません。競合が商品で非常に優れているのに、自社も商品軸で勝負をすることは確実に勝てるとわかっていない限りはあまり効率的とは言えません。 ひとりよがり、自社本位な考え方にならないように注意しなければいけません。

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