2012/12/04

吉野家の「極」 低価格路線原点回帰は吉と出るか?


吉野家ホールディングスは超低価格牛丼専門店「築地吉野家 極」という業態を今後3年間で100店舗まで増やすと発表しました。
これは十割そばなど新たな活路を見出そうとしていた吉野家の驚くべき原点回帰です。

背景には安価な米国産牛肉の輸入にあるようです。
BSE発生による安価な米国産牛肉の輸入減は、吉野家を低価格牛丼屋トップ争いから退ける直接的・間接的な原因になりました。
しかし、月齢20ヶ月以下の米国産牛肉しか輸入しないとしていた措置を緩和し、月齢30ヶ月以下まで拡大することにより米国産輸入牛肉の価格が大幅に下がることになりそうなのだとか。

このタイミングで吉野家は低価格牛丼競争に原点回帰し、シェアの巻き返しを図ったのです。
低価格を徹底し、既存店よりも狭い敷地で出店コストも4割下げました。
ライバル店舗の商圏に出店し、正面から顧客を奪いに行く戦略のようです。

果たしてこの戦略は上手くいくのでしょうか?

まずこの業態のKFSである価格ですが、吉野家が価格的優位性をキープするのは難しいといえます。

築地吉野家極の並盛は250円でライバルであるすき家・松屋は280円。
ライバルよりも10%以上安くなりますが、すき家・松屋もしょっちゅう並盛250円の期間限定キャンペーンをやっているので、価格自体にはインパクトがありません。

吉野家が低価格の拠り所としている牛肉の調達価格の低下は、決して吉野家だけを利する訳ではなく、ライバルにも恩恵があるでしょう。
提供価格はすぐに追いつかれてしまう可能性が高いでしょう。

しかし、出店コストが4割低いということは大きなメリットかもしれません。
限界利益(売上−変動費要素の原価)が同程度であれば、出店費用の減価償却が低いほど利益を出しやすくなりますから。

そういった意味では、結局最大手3社が同じ牛丼並250円に追いついたとしても、吉野家は競合他社よりも利益を出せるでしょう。
しかも、十割そばのような別業態でリスクヘッジができるので、耐え忍ぶ戦いには比較的強いかもしれません。

あ、でもそれならより幅広い業態のゼンショーのほうが強いですね。
やはり吉野家にとっては厳しい戦いになりそうです。



吉野家は改めて低価格牛丼チェーンの本質機能である安さで勝負を仕掛けてきました。
低価格を武器にライバル店から顧客を奪えるかもしれませんが、同じようにライバル点がさらに低価格で勝負を仕掛けてきてさらなるデフレスパイラルに陥ってしまうのではないでしょうか。

消費マインドが冷えてきた時にこそ強い低価格牛丼チェーンのはずが、大手3社ともに業績が振るいません。
低価格だけではそろそろ限界にきているのではないかと思います。

このチキンレースから抜け出るとしたら、独身男性にターゲットを絞った吉野家と松屋ではなくて、ファミリーやグループ顧客をターゲットにしているすき家ではないかと予想しています。

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