2013/12/31

キャリアはプロセス型とナレッジ型のスキルで磨く


2013年の最後の日ということで、皆様も今年の反省と来年の目標を考えているところでしょうか。

今年は個人的に、初めて転職をしたということもあって色濃い一年だった。初めて転職して思い直したことは、やはり人間ずっと同じ会社にいるものではないなということ。みんながみんな転職したほうが良いというわけではないが、少なくとも仕事と人生の両方を楽しみたいに人にとっては転職はマストだろう、と。


今年転職して8ヶ月、最も痛感したのは一人ひとりがキャリア形成に対して能動的に取り組んで自分のスペシャルティを持つことの重要さ。そしてそれを活かすこと。

私は以前のIT業界とは全く違う人材業界の事業会社に、同じ事業企画・開発という役割で入社した。つまり、業界知識はゼロではあるが、そのポジションに求められている役割のプロフェッショナルとして転職したのだ。当然入社してからの数ヶ月は人材業界の常識をキャッチアップしつつ、事業開発ということで人材業界最先端のビジネスモデルを考えなければならなかった。いくつかビジネスアイディアは提案してみたものの、すでに試されて失敗したものや、実現性の観点から既に却下されたものが多かった。付け焼き刃の知識ではなかなか的を射た企画を出すのは難しい。実現性の低い突飛なアイディアになってしまうか、既存ビジネスの延長線にすぎない、新規事業というより既存事業の新規商品や新規企画レベルの粒感のものになってしまうことが多かった。

事業企画という観点ではもっと時間をかけて業界の知識を吸収しつつ、どっぷり業界に使っていない人ならではの発想を大切にして両者を近づけていくというプロセスが今後必要になるのだと思う。


その一方で、新規事業を開発するというプロジェクト推進では役に立つことができた。これは以前IT企業時代に新規事業開発経験から身についていたスキルを、人材業界でも水平展開することができたということだ。プロジェクト推進のようなスキルはプロセス型のスキルなので水平展開ができる。プログラミングや財務スキル、経営スキルもプロセス型のスキルと同じなので水平展開できるスキルと言える。今後はこうしたプロセス型のスキルを習得してアピールできることが個人のキャリア形成にとって不可欠だろう。


じゃあIT企業で身に付けたナレッジ型のスキル、私の場合はITインフラのスキルだが、これが役に立たなかったかというと、まったく正反対で大いに役立った。得てしてナレッジ型のスキルは垂直的で、その業界の中で転職しないことには活かされないと思われがちだがそんなことはない。卑近な私の例で恐縮だが、人材業界でも新しい事業を検討するときにIT抜きに考えることはできない。むしろ新しい事業を考えようとすれば、9割のアイディアは自ずとITのちからを借りたビジネスアイディアになるものだ。私のITインフラスキルはIT業界の中で言えば初歩レベルのものだが、これが人材業界で新規事業を考えるときに求められるレベルとしては必要十分で大きな強みになっている。

だがこうしたナレッジ型のスキルはただ持っているだけでは相手に伝わらないので、自分でそのナレッジ型スキルがどう役立つのか、きちっと採用面接の場なりで説明できなければならない。このあたりは私もキャリアコンサルタントに非常にお世話になった部分だ。


散発的な文章になってしまったのでまとめると、仕事をライフワークとして楽しんでやりたい人は良い転職を重ねて経験の幅を増やしましょうということと、自分のプロセス型のスキルとナレッジ型のスキルを整理して、最終的なゴールを見据えて何を身に付けていくべきか考えましょうということ。キャリア形成なんて言うと漠然としていてわかりにくいが、この二つに分解して自分を棚卸しすること。そして、数年〜数十年の長期目標、それから来年の目標へと落としこんで努力していきましょうということ。

来年も皆さんへハッピーなビジネスライフが待っていることをお祈り致します。
 
 

本当のおもてなしと言えるサービス

滝川クリステルの「お・も・て・な・し」じゃないけど、日本では最近「おもてなし」という言葉が必要以上にフィーチャーされすぎている気がする。そもそもおもてなしってゴリ押しするようなものではなくて、こっそり気持ちを込めて奥ゆかしくやるものじゃなかったっけ、とも思うのだが。

おもてなしの本質論はともかく、おもてなしを感じるサービスや企業に対しては、やはり贔屓にしたくなる。というか、実際に何度もリピートして利用してしまう。

ビックロ新宿のメンズフロアの空調温度設定が低い

ついこの間肌で感じた「おもてなし」がこれだ。1Fや女性フロアは明らかに空調が暖かかったのに、メンズフロアだけ明らかに涼しかった。3,4度は違っただろうか。この時期みんな着込んで厚着だというのに、やたら店舗の中が暖かくて汗だくになることが、汗かき系男子にはよくある。一般的に男性は女性よりも汗かきなのだから、これくらいの簡単な配慮はすぐできるというのにやっていない商業施設だらけだ。

外に来ていく服はともかく、部屋着やちょっと近所に買い物に行くようなときはよくユニクロを着ている。やっぱり値段と商品の品質を比較すると、明らかにコストパフォーマンスが高いのだ。商品にも垣間見える細部に神経の通った商品づくりは、フロアの温度設定というおもてなしの心にも現れているのだろう。

ルノアールで何回もお茶を交換してくれるサービス精神

もう一つ私がよく利用するサービスで感心するのがルノアールだ。ルノアールについては以前のエントリーでも書いたことがあるが、普通のカフェと違いコーヒーを飲みながら読書や商談をする喫茶”室"なのだ。あまり長時間居座るのは明らかに迷惑だが、パソコンや資料を広げていても店員さんは迷惑がることなくサービスしてくれる。しかも、こちらが長時間いることを前提にしているので、頼んだコーヒーを飲み終わってもおかわりにお茶を持ってきてくれるのだ。

これは素晴らしい「おもてなし」ではないだろうか。どのカフェでもちょっと書類開いて仕事していたところで、肩を叩かれて出て行けとは言われない。だが、口だけで「ごゆっくりどうぞ」と言われるよりも、ルノアールのように何度もお茶を出してくれる方が、行動からゆっくりしていって構わないということが分かって気持ちが良い。

タイの空港の入管で配布しているSIMカード

私はタイに行ったことがないので真偽を確かめることはできないが、タイの空港の入管でSIMカードを配布しているそうだ。SIMフリーの携帯やスマートフォンを持っていれば、空港で直ぐに連絡がとれるということだ。

これはとても良く考えられているおもてなしだ。空港についたら現地でアテンドしてくれる人に連絡を取ることもあるだろう。ホテルに連絡をとることもある。特に初めてタイに来て不安な人にとってはとてもありがたいサービスだろう。

参考: 中国人観光客が急増中のタイ 日本にない嬉しい「サービス」 (中国ビジネスヘッドライン)


今後おもてなしという言葉に代表される細かいところまで気の利いたサービスが企業の成長の条件となるのなら、これらの企業や国が伸びていくことだろう。
 

  

2013/12/29

スタートアップ業界が新しい動きを見せ始めた2013年

スタートアップ

Tech Crunch Japanで2013年にイグジットに成功したスタートアップ企業10社のリストが発表された。

株式公開でエグジットしたスタートアップも多いものの、時価総額はまだまだ百数十億円から350億円程度と米国でエグジットしたスタートアップに比べると小さい印象だ。それでも日本におけるスタートアップ企業の環境は良くなってきていることが伺える。

エグジットだけでなくスタートアップ企業への投資環境も良くなってきている。スタートアップ専門メディアのThe Startupによると、2012年に1億円以上の資金を獲得したのは33社であったのに対し、2013年は70社に及んだという。対前年比212%に及び、スタートアップ企業が資金を得やすい環境に成熟しつつあることが分かる。

また、日経新聞でも12/28の記事で、ソニーや日産など10社を超える国内大手企業が合同で米国シリコンバレーのVC・インキューベーターに3億ドル規模の資金提供を行うことが報じられた。VCやインキュベーターと協力し、いち早く最先端の技術を使ったベンチャーを発掘して自社に取り込もうという大企業の思惑が見える。これまで日本の大企業は自前主義が強すぎるため、資金や人材といったリソースは潤沢にあったものの本当に新しいと言える技術革新は少なかった。しかし、R&Dをスタートアップにまかせて大企業は製品化・事業化に徹するという米国IT業界のようなエコシステムを築くことができれば、日本の大企業のイノベーションサイクルが早くなるだろう。

日本のテクノロジー系大企業には、さっさと時代遅れになった垂直統合モデルを捨て去って、スタートアップをやVC・インキューベーターを交えたエコシステムの新しいイノベーションモデルを作り上げていってもらいたい。そして日本でももっとスタートアップ偉業が元気になれる環境が整って欲しい。
 
  

2013/12/28

ビジネスプロデューサーに求められる拡散思考と収束思考 2/2

拡散思考と収束思考


■アイディアを収束させる思考

次に事業企画における収束思考を考えてみる。
収束思考とは、拡散して生み出したアイディアを実現性や方向性というフィルターでふるいにかけて絞り込むことだ。事業企画という観点では少なくとも次の5つの観点で絞り込んでいく必要があるだろう。

・ニーズがあるか 
これはとてもベーシックな話で、その生み出したアイディアを本当に欲しがる人がいるの?という問いを試すことだ。これはアイディアの拡散に熱中しすぎると、熱中のあまり本当に顧客のニーズがそこにあるのかという検証がなされないままアイディアの実行に突き進んでしまい、なまじ商品化されたとしても全く売れずプロジェクトがポシャってしまう。本当にそこに顧客のペイン(課題)があるのかという検証は決して忘れてはいけない。

ニーズをどのように検証するかといえば、既存事業ドメインから大きくハズレないなら顧客へのヒアリングが簡単でありながら信頼がおける。全く新しい事業領域なら外部調査会社を利用したアンケートなども考えられる。だがこれらの方法は新しいアイディアの紹介の仕方や諸々の状況による顧客の反応に左右されてしまうので、信頼性に疑問を感じることもある。いちばん確実なのは実際に商品を売ってみるテストマーケティングだが、投資が必要だ。

・実現できるか
これは諸刃の剣とも言える観点だ。売上数億円の企業が、何百億円もの投資が必要な事業アイディアを出すのは実現性という観点から難しい。だから小さな企業で事業開発アイディア生み出そうとすると、自然と担当者の頭のなかで大規模投資が必要な案件がフィルターされてしまうことだろう。これは実現性から言えば正しいのかもしれないが、大企業とジョイントベンチャーを組んだり、ウルトラCのアイディアで実現できたかもしれない。むしろ、スタートアップ企業がマーケットを変革するようなビジネスを生み出すのは、どう考えても非現実的なビジネス構想を突飛なアイディアと方法論で実現させたときだ。

それは現実的か?というフィルターは確かに重要だ。だが、拡散思考の早い段階であまりに強くそのフィルターをかけてしまうと、インパクトのあるビジネスが生まれなくなってしまうことを認識すべきだ。

・換金化できるか
そのアイディアをどうやったら換金化できるのか?という問も忘れてはならない。Web系のスタートアップを見ていると、まず何はなくともユーザーを獲得することにだけ集中し、換金化を考えていないことが多い。確かに超巨大になったWebサービス、例えばFacebookやTwitterは初めから換金化の方法について具体的なイメージは持っていなかったが、今ではIPOし大成功しているというケースもある。だが、その裏で結局ユーザーを集めたものの、換金化が上手くいかずに潰れたスタートアップがどれだけあるだろうか?

BtoCのスタートアップなら換金化は後回しでも上手くいくケースはあるのかもしれないが、基本的に事業アイディアの中に換金化の方法は組み込まれているべきだ。

・スケールできるか
単純な話、いくら利益率が高くて客単価が高くとも、そのビジネスモデルがまったくスケールできない(拡張できない)のではすぐに売上が頭打ちになってしまう。顧客単価が1億円のビジネスモデルだとしても、この世で10社しかその商品を欲していなければ、それ以上売上も利益も伸びることはない。これはあまり魅力のない事業アイディアだ。

とは言うものの、小資本少人数でこうしたビジネスを回していれば利益率が高くて社長や役員はウハウハかもしれない。それに狭いマーケットには参入者が現れることも少ない。だが低価格で攻める競合が現れたら一発で事業が破壊される。

これはその会社の考え方次第かもしれないが、基本的事業企画担当者としては、スケールできるビジネスを求めるべきだろう。

・社会にとって良いことか
最後に忘れてはいけないのは、その事業アイディアが本当に社会にとって良いことかという観点を忘れないこと。いくら顧客企業が喜んで自社も儲かって株主が大喜びしても、最終的にその事業が顧客企業の先にいる消費者を搾取するようなビジネスであった場合、自分の事業アイディアがその消費者を搾取しているのだ。それは本当にあなたがやりたかったことだろうか?自社や株主が儲かれば、消費者を搾取しても構わないのだろうか?最終消費者も喜んでお金を払う事業アイディアが最も優れている。

ビジネス的良心を失ったビジネスプロデューサーには決してなってはいけないと私は思う。


事業アイディアの収束的思考では、これらのフィルターをかけて実現性やスケーラビリティを検証しつつ、アイディアをスライドさせたりピボットさせたりしながら、実現性があって社会的インパクトがあって儲かる新しい事業を探すのだ。これは脳みそがヒリつくほど左脳的思考で考えきらなければならない。

■拡散と収束をプロセス化する

新しいアイディアでありながら実現性かつ社会的インパクトかつ儲かる事業アイディアを稲妻のように突然思いつきで出せる人も天才も少数いるだろう。だが、これは到底真似できるものではないし、リプロデュース(再現)できるか分からないものだ。リプロデュースできなければただの一発屋であり、プロフェッショナルではない。事業企画のプロフェッショナルとは、優れたアイディアをリプロデュースできる確率を極限まで高めた人のことだ。

プロセスを拡散→収束という型に落としこんでいく。この型を意識して、今自分がどのプロセスを担っているのかを意識して頭を使うのだ。あまり頻繁に拡散と収束を繰り返していくと良いアイディアは生まれないからだ。

優れた事業企画をリプロデュースするには拡散思考と収束思考をそれぞれに強化することが重要だろう。まずはアイディアを生み出すために多くの情報を取り入れて、それらの情報を回して有機的に組み合わせて新しいアイディアを次々と生み出していく。そして生み出された新しいアイディアを様々な収束志向の観点で切り出し、ロジカルに、数字を用いて1つひとつ検証していく。これが事業開発のプロフェッショナルに求められるスキルとスタンスだ。
 
  

ビジネスプロデューサーに求められる拡散思考と収束思考 1/2

拡散と収束の思考

職場の仲間や友人と事業構想の話をしていて、たまに全く話が噛み合わないという事態が発生することがある。お互い全く違う観点で話をしていて、どこまでも話が平行線になってしまって生産的な議論にもならず、フラストレーションのたまる会話になることがよくあるのだ。

なぜこのようなすれ違いが発生するのかというと、多くの場合片や「拡散型」の話を、片や「収束型」の話をしていて議論が噛み合わなくなっているということが多い。事業企画開発を生業とする人間にとっては、この拡散型と収束型の思考の使い分けができることは必要不可欠だ。二つの方向性の異なる思考を使い分けることができて、初めて斬新でありながら地に足の着いた事業企画ができる。だが、前述のように議論をしている二人が、自分と相手がどちら側の思考をしているかに気付かず不毛な議論をしているのが現実なのだ。

■思考の拡散と収束は呼吸と同じ

まず大前提として認識すべきことは、拡散的思考と収束的思考は同時にはできないということだ。息を吸うことと吐くことが同時にできないのと一緒で、どちらも同時にしようとすれば呼吸ができなくなってしまう。だから、拡散的思考と収束的思考は明確に分けて順番に行うことが不可欠だ。

そして、ほとんどの全ての企画という作業に共通するが、事業企画をする場合は思考を拡散してアイディアを出し、その後収束的思考で事業アイディアを収束させていく。これが鉄則だ。十分にアイディアを拡散させずに収束を行おうとすれば、現実的だが大して儲かりもしない、社会的インパクトも持たないショボイボツ企画にしかならない。

事業を想像するなら、まずは思考を拡散してそれから収束する。これを忘れてはならない。

■アイディアを拡散させる思考

次にアイディアを拡散させる思考について考えてみたい。事業企画における拡散思考とは、過去のビジネス経験から見聞きしたこと、ケーススタディで学んだ他業界含むベストプラクティス、自社の事業の顧客の声など、様々な情報の断片をつなぎあわせて新しいコネクションを作り出すことだ。

アイディアは決して全く新しいものをゼロから創造することではなく、既存のものの新しい組み合わせ方だ、ということは誰でも一度は聞いたことがあるんじゃないだろうか。全くのゼロから何かを生み出せるのは本当の天才なので、それは天才に任せておけばいい。過去のビジネスモデルや他業界のビジネスモデルの要素を切り取ったり、減らしたり、つなぎあわせたり、スライドさせたりしながら新しいアイディアを作り出していく。そのプロセスは生み出すと言うよりは作り出すといったほうが近いのかもしれない。

アイディア拡散思考法の一つにフィリップ・コトラーの水平思考法という体系化されて使いやすい思考方法があるので、参考にしていただきたい。

 

  

Popexpertに見るオンラインコーチングの可能性

Popexpert

ビジネス書籍をよく読む人は、欧米のエグゼクティブがコーチングを上手く利用して実績を上げていることをご存知だろう。欧米企業のエグゼクティブ達は自費でコーチングを受ける場合もあれば、会社としてコーチを雇ってコーチングをエグゼクティブに提供することもあるようだ。ともあれ、日本と比べて欧米でコーチングが浸透している事が分かる。

本で得た知識にすぎないのだが、コーチングとはどのようなものかというと、コーチとの対話を通じて多岐にわたる自分の課題を解決していくことだ。この課題にはエグゼクティブならば会社の課題の解決が含まれるし、他にも特定のスキルの育成や、人生をより楽しむという課題も人によってはあるだろう。友人でも知人でもない相手ということで、自分の抱えている課題やそれに対する感情などを隠すこと無く吐露できるのかもしれない。


最近ではこのコーチングをPopexpertというスタートアップ企業がオンラインで完結させる仕組みをサービス化している。コーチングというサービスの要素を考えると、基本的には1対1の対話であり、Skypeのようなオンラインコミュニケーションツールとの相性は良さそうだ。PopexpertはただのvoIPのコミュニケーションツールではなく、コーチのマーケットプレイスやスケジュール機能、決済機能を持たせることによってコーチングプラットフォームに作り上げている。実際に利用している人の声を聞かなければ分からないが、音声と相手の表情を見るためのカメラがあればコーチングに必要十分だろう。

欧米では比較的コーチングが普及してきているとはいえ、まだ一般社員が当たり前に受けるようなものではない。本質的にはまだまだニッチなマーケットだ。そして値段も高い。サイトを見ると1セッションあたり$50〜$250程度と結構幅広く、日本ならちょっとしたカルチャースクールの月額に相当する値段設定である。初回レッスンは半額で受けられ、しかも今なら登録時に$100分のディスカウントを受けられるようだが、それでも初めて使う抵抗感と2回目以降に正規の値段を払う抵抗感は少なくなさそうだ。高単価商品でありながら、いかにユーザーに初回利用してもらい、そして再利用してもらうかが成功の分かれ道になりそうだ。


個人的には日本にもオンラインコーチングサービスは数年後に流行り始めるのではないかと思っている。いまフリーランスや個人としてビジネスに携わる人が増えており、そのための環境、例えばクラウドソーシングサイトやグループウェアなどのフリーランサーが仕事を円滑に勧めるためのツール類が急速に充実してきている。フリーランスや個人のビジネスパーソンが増えてくると、経理処理やキャリア、ビジネスの広げ方を相談する相手が必要になってくるだろう。その場所をオンラインコーチングが担うのではないだろうか。
 

  

2013/12/26

ユザワヤとStores.jpの理想的な事業マッチング

Stores.jpスタートキット

手芸用品店のユザワヤとStores.jpが提携を発表した。ユザワヤは手芸用品の品揃えでは恐らく国内ナンバーワンの小売店で、手芸好きの人なら一度は行ったことがあるだろう。私も一時期革細工にハマっていた時によくお世話になった。一方、Stores.jpはCtoCのネットショップを簡単に作成できるサービスを提供している、今勢いのあるスタートアップだ。

この2社の提携内容はというと、(1) 手芸作品専門のCtoCマーケットプレイスのユザワヤマーケット開設、(2) Stores.jpのマーケット開設キットの販売、(3) ユザワヤが要する手芸ファンのSNS「ユザワヤフレンドクラブ」との連携の3点だ。この内容を見ても、稀に見る取り合わせの良い2社の提携だ。

前述のとおり、ユザワヤは手芸ファンの間では非常にメジャーな店で、自分で手作りした手芸品を販売することに興味のある消費者がたくさん集まる場所だ。そんな人達にとって、自分たちの商品を販売して世の中に知ってもらいたいという願望を持っている人は多いだろう。しかし、手芸ファンの層はあまりネットリテラシーが高くないであろうことは容易に想像できる。そんな手芸ファンにとってとても簡単にネットショップを解説することができるStores.jpは取り合わせが良い。しかも、手芸ファンの総本山であるユザワヤがマーケットプレイスを開設すれば、出展者・購入者ともに利用者を集めやすい。


また、Stores.jpのマーケット開設キットというソフトウェア・パッケージ(エントリーのトップ画像参照)をリリースするのも面白い。恐らく利用者がPCやネットに馴染みがない人たちであることを想定し、システム利用料というよく分からないものにお金を出したくないという彼ら彼女らの心理に配慮して、あえて物理的なパッケージを作ったのだろう。話はそれるが、ネット回線のスピードが早くなりもはやソフトウェア販売はダウンロード販売で事足りるのに未だに大きなパッケージでソフトウェアを販売しているのは、実体があるものでないとお金を出したくないという新しい価値観についてこれない人達のためだ。

手芸ファンは女性が多く、しかもシニアなファンも多いだろうからパッケージを用意したのは妥当な選択だと言えるだろう。また、今後はユザワヤマーケットへの出店実演会のような催し物がユザワヤ店舗で開かれて、手芸ファンを取り込んでいくことだろう。


提携の仕方としては、地味というか、派手さはないのだが、手芸ファン、ユザワヤ、Stores.jpの三方良しが実現されたシナジーのある業務提携だ。
 

  

スタートトゥデイのWEARがもたらすかもしれない市場変化

スタートトゥデイのWEAR

スタートトゥデイは今年の10月31日にWEARという新しいサービスを提供し始めた。主に店頭のアパレル商品についているバーコードをスキャンしてゾゾタウンの中から検索してくる機能、そしてその商品の着こなし例を提示してくれる機能、そして自分が持っている服をデータベース化し、日々の自分の着こなしも保存できるマイクローゼット機能だ。

前者のバーコードスキャン機能はよくあるO2O(この場合offline to online)を補助する機能で、客を奪われる商業施設から物議を醸しだされている機能だ。実店鋪で商品をスキャンしてゾゾタウン経由で購入しても、ユーザーがスキャンを実行した商業施設にお金を落とすような仕組みにしている。だが、ほとんどの商業施設が猜疑心を持っており、有名な商業施設ではWEARを取り入れているのはパルコぐらいだ。

バーコードスキャン機能によるO2Oとマネタイズは分かりやすいモデルであるが、本当に台風の目になりそうなのはマイクローゼット機能だ。マイクローゼット機能がどのような可能性を持っているかについて考えてみたい。

雑誌化

これまでアパレル雑誌は、ある意味編集者が流行をユーザーに押し付けるようなところがあった。だが、WEARのおかげで誰もが手軽に自分の着こなしを共有できるようになると、おしゃれな人達が自らのフォロワーを持つようになりこのプラットフォーム上に無数のファッション雑誌を生み出すことになるだろう。

そうなればしめたもので、オシャレリーダーのコーディネート商品を簡単に購入できる仕組みを付けて、ゾゾタウンへ流入させることができる。いわば雑誌を出版している会社が雑誌に掲載している全ての商品を販売するようなものだ。マネタイズも容易だろう。
また、雑誌の広告のように、宣伝費用を支払った企業の服が含まれる着こなし画像は上位に掲載するといったような方法で、アパレル企業にマーケティングツールとして提供し、さらなる換金化をも可能だ。

製造工程の逆転

WEARはもしかしたらこれまでのファッション業界の流れを大きく変えるかもしれない。

従来は雑誌がトレンドを伝える→トレンドに合わせてメーカーが商品を開発する→消費者がトレンド商品を購入する、というのがこの業界の主流の流れだ。消費者は本質的に受け身で、店舗で見つけたものから選択することしかできず、アパレル企業もまた売れるか売れないか分からない状態でデザイナーを信じて商品を製造するしかなかった。
だが、WEARというプラットフォームが普及すれば、こういうトップスにこういうボトムスを合わせたいという消費者のニーズを商品製造前にデータから分析することができるようになるだろう。そうすれば消費者はアパレル商品の製造に間接的に影響力を持ち、自分が本当にほしい商品を手に入れることができるし、アパレルメーカーも製造前から売れる商品を売れるだけつくることができ、廃棄ロスを減らして利益率を高めたりセールによる在庫処分を減らして商品単価の低下を防ぐことができる。また、こんな商品が欲しいといっている消費者へ、企業から1to1マーケティングでプッシュすることができるだろう。
 
 

2013/12/25

ランサーズの試み「マイチーム」機能

クラウドソーシングと言えば、昨今のHR業界の中で最も勢いのあるトレンドの一つだ。国内プレイヤーではランサーズやクラウドワークスが存在するが、ランサーズが新しい試みを開始した。
それは、これまで基本個人対個人、ないし企業対個人で受注側が必ず個人であったが、チームで受注することができる仕組みができあがった。


受託開発型ビジネスを喰う

このニュースの何がすごいのかというと、これまで仕事の発注が対個人であったことに起因してどうしても小粒な発注にならざるを得なかったクラウドソーシングだが、今後ランサーズではもっと大規模な開発やプロジェクトの外注も可能になるということだ。例えば、あるウェブサービスのアイディアと資金を持っているが他は何も持っていないという人であれば、開発者、デザイナー、ディレクター(PM)のチームにまるっとサービスの作成をアウトソースすることができるということだ。普通の受託開発型のIT事業者へ発注するよりも大幅に安く同等の納品物を獲得することができるだろう。

個人評価の重み

チーム機能解禁によって生み出されるであろう他のメリットの一つは、個人評価の重要度の高まりだろう。

記事によると、マイチーム機能では複数のプレイヤーと協力して受注・作業を行うことができるが、チームメンバーは元々の知り合いでもいいし、会ったこともない人達とのコラボレーションも可能だ。初めての人達とチームを組むようになると、一人ひとりのスキルや実績というのがチームメンバーに加えるか否かの重要なバロメーターになる。するとこれまでにも増して、ランサーズ上での発注者の評価と実績が重要度を帯びてくる。

発注者からの評価と実績の重要性が高まると、ランサーズ上でのビジネスのレベルが高まることになるだろう。特にシステム開発系の案件では、高単価商品の受注のためにチームとしての受注を望む人が増えるはずだ。チームメンバーとして迎え入れられるためには他の同等のスキルを持つ人達よりも優れた実績と評価が必要になり、ランサーズというプラットフォームの中でさらなる競争が生まれ、登録しているフリーランス同士の競争が激しくなる。


マイチーム機能の実装によって、今まで取り込めていなかった高単価・高付加価値の案件を取り込むことができるようになる。これはクラウドソーシングの領域を大きく前進させることになるだろう。また、フリーランサーの経験も多様化し、競争性が高まることで品質の向上にもつながるかもしれない。
 

  

2013/12/22

大きなポテンシャルを秘めたLINE MALL

LINE MALL

チャットアプリのLINEがECに本腰を入れはじめた。LINE MALLという個人・企業が手軽に商品を出品できるECプラットフォームアプリを、まずは12/20からAndroid向けに提供を開始し始めた。まだプレオープンの状態であり、グランドオープンは来年春を予定している。

ネットビジネス界隈では既に大きな話題になっているLINE MALL。LINE MALLがどんな強みを持っているのか考えてみたい。

■膨大なユーザーベース

まずLINEがECを開始することのメリットは、何よりもLINEのユーザーベースを利用できることにある。

LINEは国内だけでも5000万ユーザーという、国民の40%以上にのぼるシェアを有している。国内のスマートフォン所有者は5000万人強と推測され、LINEは国内スマートフォン所有者の90%が利用しているとも言われている。また、海外に目を向ければ3億ユーザーというこれまた膨大なユーザー数が存在する。特に最近消費意欲が高まってきている東南アジア圏のユーザーが多いのもECとのシナジー効果が見込める。

日本でLINE MALLと同じくCtoC、BtoCの両方を兼ね備えるECプラットフォーム最大手といえば、ヤフオクだろう。ヤフオクは2013年現在ユニークブラウザベースでは2700万人が利用しているようだ。複数端末・複数ブラウザを使用している人やクッキー拒否も考えれば、実利用者数はもっと少ない。ヤフオクは15年かけてこのユーザーベースを獲得してきたが、LINEは現在の国内ユーザーの3割から4割くらいのユーザーに使ってもらえれば同じ規模のユーザーベースを獲得できる。Yahooの何分の一かの時間で同じ規模を獲得するのに十分な実現性を持っている。

■ユーザー負荷の少ないシンプルな設計

LINEが持つ国内5000万と全国3億のユーザーベースを活用できるか否かは、ユーザーの負荷をいかに下げられるかにかかっている。そういう観点でもLINE MALLには成功の予感を感じさせる。

例えば、LINEユーザーがLINE MALLを使い始めようと思ったら、一切何の審査もなく思い立ったらすぐに利用し始めることができる(企業の出品は除く)。最近はヤフオクの条件が緩和されたが、以前はクレジットカードを登録して月額利用料を払わなければ、出品はおろか5000円以上の入札もできなかった。LINE MALLではこういっためんどくささとは無縁で思い立ったらすぐに出品ができるらしい。

審査なしで誰でも出品できるとなると、逆にヤフオクでも横行した詐欺が気になるところだ。だが、LINEは後発だけあって利用者のリスク回避を十分に考えている。LINE MALLでは出品者への入金を、商品が購入者に到着するまで差し止めるという仕組みを採用している。(下図参照)

■LINEポイントの連携があるか?

LINEの発表によると、このアプリは商品を十分に吟味して購入するような「指名買い」ではなくて、衝動買いを誘う「発見型」のモールにすることを目指しているようだ。単価は比較的少額になるだろうが、このサービスがコンビニでも販売しているプリペイド式LINEポイントと連携しだすと強い。

LINEの利用者は高校生や大学生など、クレジットカードを持たない世代のパイが大きい。そして、一点ものの低単価商品のウィンドウショッピングも高校生や大学生との親和性が高いと思われる。だが、現在のところLINE MALLはこうしたターゲットにはハードルの高いクレジットカード決済やPay-easyなどの決済にしか対応していない。これがコンビニで購入できるプリペイドポイントにまで広がると、利用者の裾野が大きく広がる。グランドオープン時にはLINEポイントでも決済できるようになるのではないだろうか。


LINE MALLはLINEの膨大なユーザーベースと利用しやすいしくみでもって、巨大「一点モノウィンドウショッピングモール」になる可能性が十分にあると思う。いよいよLINEが本格的に換金化に乗り出したというところか。

2013/12/21

堀江貴文のゼロ

堀江貴文 ゼロ

2013年の11月に出所した堀江貴文氏の「ゼロ」を読んだ。もともと私は堀江氏の合理的でありながら事業に対して熱意のある考え方が好きで、ライブドア事件による執行猶予なしの懲役刑は不当だと思っている。いわば、堀江貴文のファンだと言っても間違いではないだろう。

その堀江氏が出所後に書き下ろした本が「ゼロ」だ。これまでに堀江氏が書き下ろした本を何冊か読んでいるが、どの本でも強気の姿勢を崩さず同氏が正しいと思っていること(彼の言っていることは実際正しい)をズケズケと主張するような本であった。だが、この本ほど彼の人間性が分かる本はないと思う。そしてこの本を読んでようやく彼が普通の人間なんだということを認識して何だかホッとしたような感覚を得た。

私が手本とするビジネスパーソンの一人である堀江氏の「ゼロ」から、いくつか共感できるフレーズを取り上げてみたい。

「ゼロ」P.95

そして経験とは時間が与えてくれるものではない。
だらだらと無駄な時間を過ごしたところで、なんの経験も得られない。
なにかを待つのではなく、自らが小さな勇気を振り絞り、自らの意志で一歩前に踏み出すこと。
経験とは、経過した時間ではなく、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていくのである。

これは私が常に気に留めている言葉でもあり、同じ考えが堀江氏から語られていることに嬉しくなってしまった。
誰でも年をとっていけば多くのことを「体験」する。だが、その体験は自発的な行動から得たものでなければ自分の血肉にはならず、ただの「体験」止まり。自発的に動いて得た「体験」は、それが大成功でも失敗でもいまいちでも、大きな「経験」というものになる。

体験をいくら積んでも自慢にならないし、体験だけを積み重ねた年寄りは尊敬に値しない。年上だが目上ではない。若くても経験を多く積んでいる人は年上ではなくても尊敬の対象になる。それが分からず体験だけはたくさんあってえばり散らしている大人はダサい。そんなダサい大人になりたくなかったら、自分で動き出すしかない。

「ゼロ」 P.130

人は、本質的に怠け者だ。長期的で大きな目標を掲げると、迷いや気のゆるみが生じて、上手く没頭できなくなる。
そこで「今日という1日」にギリギリ達成可能なレベルの目標を掲げ、今日の目標に向かって猛ダッシュしていくのである。

成功体験は人それぞれのもので、必ずしも誰かの成功体験が自分にとって良いガイドになってくれるとは限らない。むしろ毒になることすらあるだろう。それでも絶対に正しい成功のセオリーがあるとしたら、「今ここで、この瞬間を頑張る」ということだろう。数年後、数十年後にこうありたいという目標を書くことは誰にでもできる。目標さえ書き出せば叶ったも同然という自己啓発が跋扈しているが、大きな目標を書くことが意味を持つのは、それを達成するために今日、今することが明確に分かっていて実践できる人だけだ。

今日も明日も自己啓発セミナーに行くことは自分の未来に少しも近づいていかない。それよりも今やりたいことに没頭して、今この瞬間できることを先延ばしせずにやること。それが堀江氏を優れたビジネスパーソンにしたのだ。

蛇足ですが

私の考えでは、堀江氏が訴訟や懲役でビジネスに関わることができなかった期間は、率直に言って日本の大きな損失だと思う。投資ファンドが主要な事業だったライブドアは、贔屓目に見てもあまりイノベーティブでも社会的意義のある企業だったとは思わないが、堀江氏の事業に対する考えはライブドア時代よりももっとスケールが大きくなり、人類に貢献するものに変わってきている。すさましい実現力を持つ堀江氏のことだから、きっと大きな実績を作り出すだろう。堀江氏のさらなる今後の活躍に期待したい。
 
  

シリコンバレーのStartup起業家たちと話して気付いた「腹落ち感」の重要さ

スタートアップ

仕事柄、シリコンバレーの起業家たちと電話会議で話をすることがある。その会社の概要やビジネスモデルをヒアリングして、ビジネスの組み方をディスカッションしている。
シリコンバレーの起業家と言えば、頭が良くて精悍な優れた人達だというイメージを持つ人が多いだろう。実際頭の良い人が多いのは間違いないのだが、そんな優秀な起業家たちが作ったビジネスモデルには大きな優劣があったりする。


優れたStartupはビジネス戦略に無理がなく、大きな収益を得るまでの絵がリアルでキレイにできている。一方、いまいちなStartupは、コンサル的なフレームワークで見れば明確なターゲティングやポジショニングがなされているのだが、いまいちパンチがないビジネス戦略なのだ。

イケてないStartupは一見すごくイケているように見える。彼らはマーケットの事をよく理解しており、他のStartupプレイヤーがみんな大手を取りに行っているから自分たちはSMB(中小)を取りに行く、というようなコンサル的に言えば大正解なビジネス戦略を掲げている。だが、こういうStartupはプロダクトもそつなく磨かれていて全く問題ないようにみえるのだが、いまいちブレイクしない。いまいちグッと来ない印象がそのまま結果にも現れているような感じがする。

一方、ガッツりブレークしているようなStartupは、マーケットがこうだから、とかみたいな大上段なところから入ってこない。彼らはもっと顧客の本当の課題を把握していて、それに対するソリューションの提案が明確なのだ。マーケットがどうだから、とかではなくて顧客の一番の課題に対して直球ど真ん中に豪速球を投げ込もうとするのだ。他の競合が入っていようが、自分たちがもっと優れたソリューションを作り出せばリプレイスできる。マーケットに気を取られるくらいなら、レッドオーシャンでも競合をひっくり返すモノを提案すればいい。そんな単純で難しいことを実際にやってのけるのだ。


ちなみに、Startup起業家に、「今のマーケットはこうで、このポジショニングのプレイヤーが不在なので、私たちはこのマーケットを取りに行く」というプレゼンをする人はいない。そんな野心がなく大人びた大企業の正解のような答えにカネを出してくれるVCはいないからだ。

閑話休題。シリコンバレーのStartupといえば、その多くがWebやモバイルのサービスで、私が接触する企業もその類だ。新しいマーケットではあるのだが、儲かるビジネスモデルはほぼ固まっている。抽象化して言うと、まず何らかのWebサービスかモバイルアプリで大量にターゲットカスタマーを集客し、その集客したカスタマーを企業クライアントへ売り込む。あるいはそのカスタマーそのものから直接課金する。そのどちらかだ。

こうしたビジネスモデルにおいては、(1)カスタマーを集める、(2)お金を払ってくれるカスタマー/クライアントへバックエンド商品を販売する、という二つのステップが必要だ。優れたビジネス戦略を持つStartupのビジネスモデルを聞くと、抽象的な表現で申し訳ないのだが「あー!たしかにこれは買う人がいるわ」、と腹落ちするのだ。一方、イケてないビジネスモデルの場合、確かにマーケティングのフレームワークで考えるとあなたの言っていることは正しいのだけれど、なんだか売れる気がしない、という感覚が働く。


なんだか全体的に抽象的な話になってしまったけれど、Startup起業する場合であっても、企業の中で新規事業を起こす場合であっても、この「明らかにうまくいくよね」という腹落ち感のあるビジネスモデルを構築することが重要なのだろう。
 
  

2013/12/20

女性社員を育てるということ 2/2

女子社員マネジメントの教科書

日本企業の待ったなしの課題である女性活用。最近読んだ「女子社員マネジメントの教科書」(田島 弓子著)から女性活用のヒントを見出したい。

■叱るために叱らない

女性は仕事と自分自身が感情で直結しているということは前回のエントリーで書いた。仕事に真面目な頑張り屋にありがちなのは、結果が思うように出なくなったり仕事が忙しくなってくると「私がこんなに頑張ってるのに!」とか、「周りは全然私のことを分かってくれない!」と感情的になって自分の殻に閉じこもって周りが見えなくなってしまう傾向だ。果たして彼女たちの感情をそばだてることなく、失敗を注意して行動を改めさせるにはどうしたらいいのだろうか?

相手が男性社員であれば、「努力の方向が間違っているぞ」とか「周りが見えいていないぞ」という直接的な叱責をするマネージャーが多いだろう。そしてそれで大抵の男性社員には理解してもらえる。だが、女性に同様の直接的な叱責をしたら、恐らく感情的な反論に遭うことになるだろう。

女性は男性よりも組織的な集団行動の経験が少ないため、こと仕事においては他人目線ではなく自分目線に執着してしまう。だから「周りが見えていないぞ」なんて叱り方をしても、彼女たちは自分目線なので「見えてないのはみんなの方だ!」と考えてしまうだろう。

著者によるとそんな彼女たちに正しく自分と周りの関係を認識してもらうには、まず彼女たちが自分なりに頑張っていることを認めてあげることが大事だという。まず頑張っているのを認められたいという彼女たちの承認欲求を満たし、彼女たちに冷静さを取り戻してもらうことが第一のステップだ。それから初めて「みんなが心配しているぞ」とか「予定より遅れているけど何があったの」と声をかけて、周りの視点から見た自分を自覚してもらう。必ず承認欲求を満たしてあげてから問題に気付かせてあげるのが重要なのだ。

■指示待ち人材から自分で考えて行動する人財へ

良し悪しではなく、日本人女性は積極的に自分で考えて行動するのではなく、受け身の育て方をされてきた人が圧倒的に多い。その結果、優秀な女性社員はお願いされた仕事はきっちりこなしておつりがくるほどなのに、自分で必要な仕事を見つけ出して行動することが苦手であることが多い。

これを女性の能力が低いから、と判断してはいけない。彼女たちはその方法を知らないだけなのだから、それを教えてあげるのがマネージャーの勤めだと思わなければいけない。

マネージャーは彼女たちの自分で考える能力を引き出すために、ここまでしたらもっと良いアウトプットになっていたね、というヒントを出し続けてあげる必要がある。例えば、あるマーケットの主要企業を調べるよう女性社員に指示した場合、彼女は探し出した企業の社名を並べただけのリストを持ってくるかもしれない。そんなときは、「新しい事業のマーケットを知りたいのだから、売上がわかるといいね」とか「これらの会社のマーケットシェアがわかると目標が立てやすいね」など、もう一歩進んで考えたらこういう答えに辿り着くよね、ということを教えてあげるのだ。女性社員は真面目で一生懸命な人が多いのだから、やり方さえ分かればグングン伸びてくるはずだ。


言葉で説明してみると、女性を活躍させるのはさほど難しくないように思える。だけど、実際に周りが見えなくなってカリカリして悪影響を周囲に与えている困ったちゃんに、「頑張っているね」と承認欲求を満たしてあげる言葉を掛けるのは思っている以上に難しい。

男性と女性には根本的に違いがある。男は頭では女性の特性を理解していても、感情でどうしても上手く処理できず言動の端々に「どうしてそんな考え方するんだ?」というネガティブな感情が表れ、それが敏感な女性に見破られて険悪なムードになる。原理は夫婦喧嘩と全く同じだ。女性活用という課題を持つ男性マネージャーも女性マネージャーも、精進あるのみだ。
 
  

女性社員を育てるということ 1/2

女子社員マネジメントの教科書

今の時代、女性活用というキーワードは企業の人材育成の中で重要なトピックとして扱われる。競争がより厳しくなる中、プロフェッショナル人材の質と量のレベルアップに企業の生き残りがかかっている。

私も女性含むチームメンバーの育成を担う身としてヒントを得るために、「女子社員マネジメントの教科書」(田島 弓子著)を読んだ。そのなかで様々なハッとする発見があったのでシェアしてみたい。

■仕事と自分自身が感情でリンクしてしまっている

本の中で語られていたことで、一番納得感があったのはこれだ。自分の身の回りにいる女性社員にも、仕事のダメ出しに対してついムキになって反論をしてしまう人や必要以上に絶望して落ち込んでしまう人がいるのだが、彼女達がこんな反応をしてしまう理解できた。

女性にとって、自分が行った仕事に対する評価は自分自身の人間性に対する評価とイコールであるため、仕事にダメ出しされると自分という人間が否定されたように感じてしまうのだそうだ。だから男性社員よりも落ち込んでしまったり、拒絶反応として怒りを感じることが多い。また、一般的に男性と比較して自分の能力を過小評価する傾向にあるため、男性に大して普通の叱り方でも、女性は立ち直れなくなってしまうほどのダメージを受けることもある。そんな自信の無さに起因して、上司から仕事を任されるときも100%の自信がないと「私にはできません!」という反応をしてしまうので、男性上司がこの人はやる気がないんだ、と誤った判断を下してしまう。

こうした女性の特性への対処法としては、感情的に叱らないということが一番大事。女性は共感力に優れているので、上司の顔色を見れば自分の仕事に対して不満が分かる。だからあえて叱り飛ばすような事をする必要はない。ただ淡々と何が悪かったのかを指摘し、どうすれば問題を解決できるかという前向きなトーンで話を締めくくることが重要なのだ。そうすれば、女性社員も必要以上に萎縮したり、自分を責めることはなくなり解決への迅速なアクションにつながる。

■ルールの中で仕事することに慣れていない

これも目から鱗が落ちたフレーズだ。著者の田島氏によると、男性は子供の頃から野球やサッカーなどの団体競技に参加することが多く、また、音楽好きな文化系だったとしてもバンドをやったりと、何かと複数の人でひとつの目的のために努力をする機会が女性より多いというのだ。だから女性よりも自分が組織においてどういう役割を求められているかに敏感で、そしてその役割を全うすることに疑問を感じることもなく、むしろそれに誇りを持つ。一方女性は、ある目的のために組織で行動するという経験が少ないため、「これやっておいて」とか「この仕事を頼みたい」という上司からの言葉に対して「なんで私が?」という反応をしてしまうのだという。

これも決して良し悪しというものではなく、そういう経験による違いがあるのだということを理解しなければならない。著者によれば、女性に対しては男性に仕事を依頼するときよりも時間をたっぷりかけてその目的を説明し、なぜその人がやらなければならないのかを明確に説明してあげるとよいとアドバイスしている。この処方箋は同じく組織で目的を達成するという経験が少ない最近のゆとり世代に対しても有効なのかもしれない。

いちいち説明するのは骨が折れると思うかもしれないが、前項で述べたように仕事と自分が感情でリンクしている女性は一度責任感を持って取り組むと、男性にはとても敵わない責任感をもって仕事を最後まで全うしてくれる。このような違いを理解して、女性の良い所、男性の良い所を上手く活かしていけるのが、これからのマネージャーに求められる姿なのだろう。
 
  

2013/12/18

好評の新メニュー「牛すき鍋膳」は吉野家を苦しめる

牛すき鍋膳

12月初旬、吉野家から「牛すき鍋膳」という、牛丼と比較すると高価格でちょっと豪華なメニューがスタートした。一人用の鍋に牛すき鍋が提供され、安い・早い・うまいの吉野家としては高価な580円の戦略的メニューだ。
Webで「牛すき鍋膳」を検索すると、美味い!だとかコスパが高い!というコメントが多く、初速は悪くないようだ。だが、安い・早い・うまいの手軽軸の吉野家が、あまり安くない・ゆっくり・うまいのメニューを出すことは、果たしてどのような結果をもたらすのだろうか?

Newsポストセブンでは、吉野家が牛すき鍋膳を販売開始した狙いについて触れられている。

Yahooニュース 2013/12/17ーーーーーーーーーーーー
「吉野家がゆっくり食べられるメニューを出しているのは、会社帰りのサラリーマンの“チョイ飲み需要”も狙い、ビールを注文してもらって客単価を上げようという戦略がミエミエです。
例えば、中華食堂の『日高屋』はキリンの生ビールを安価で提供し、客はまず餃子をつまみに生ビールを1杯、それから食事をする人が増えたために客単価が上がって業績は絶好調。吉野家もそれと同じようなスタイルに変貌させたいと思っているのかもしれません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ある調べによると、280円の牛丼並盛りは原価率が7割近くに及び、一杯辺りの粗利は10円以下でほとんど利益が上がらない仕組みになっているという。どの牛丼チェーンも、利益の源泉はトッピングやセットメニューだ。そんなギリギリの線を行ったり来たりしているような業態では、利益率の高いメニューが売れてさらにビール一杯まで飲んでくれるとなれば飛びつきたくもなるだろう。


だが、これはあくまでも短期的な話であり、長期的に見た時の影響はネガティブに働くと私は思う。
吉野家や他の牛丼チェーンに訪れる客は、早い・安い・うまいのうち、特に前2つに敏感に反応する客だろう。「うまい」については、低めの及第点さえ超えていればそれで良い。それが牛丼チェーンに訪れるお客の平均的プロファイルだ。最初のうちは物珍しさに牛すき鍋膳を食べることもあるだろうが、このメニューは彼らの早い・安いに対する要求を満たしてはくれない。

今のところは話題性で牛すき鍋膳を食べに来る人も多いが、お客が慣れてくると同じ値段を出すなら他のファストフードや食堂が競合になってくるだろう。そうすると吉野家の牛すき鍋膳がどこまで魅力的であり続けることができるのか疑問だ。


また、ピークの混雑している時間帯に牛すき鍋膳を食べるお客が多かったら果たしてどうなるだろうか?ある調べでは、牛丼に比べて牛すき鍋膳では顧客一人あたりの食事にかける時間が2倍になるらしい。昼の混雑時間帯に回転率が半分に落ちたら、売上も数十%単位で落ちるだろう。それだけ売上が落ちればいくらメニューの利益率が高いとはいえ、全体として利益が落ちる可能性も高い。


単刀直入に言って、吉野家の「牛すき鍋膳」は短期的に利益を押し上げるが、安い・早い・うまいという牛丼チェーンの基本的価値を裏切ったことによってお客が離れていくだろう。そして、まあまあ安い・あまり早くない・うまい、という八方美人的なバリュープロファイルではどの顧客にも刺さらない。
この企業を一言で言うと「〇〇」である、というブランドを裏切った企業の行く末は暗い。

関連エントリー:
2012/12/4 吉野家の「極」 低価格路線原点回帰は吉と出るか?
2013/10/25 ネイルサロンの早い・安い・うまいを実現するアート
 
 

2013/12/17

クラウドを生活密着型サービスに活用するKeyMe

KeyMeキオスク

だれでも会社や学校に鍵を忘れてきてしまって家に入れないだとか、鍵を落としてしまって大家さんの世話になるなんて経験をしたことがあるだろう。一日の仕事から開放されてやっとのことで家の玄関についたら、かばんのいつもの場所に鍵が入っていない。その時の怒りとも絶望とも言えないあの感情は筆舌に尽くしがたい。そんな状況から救ってくれるサービス(今のところ米国のみで利用可能)がKeyMeだ。


KeyMeは自分の部屋の鍵をデータ化してクラウドに保存し、いざというときにその鍵データから合鍵を作成できるというサービスだ。

まず、利用者はApp StoreからKeyMeのアプリをダウンロードし、鍵の印影を撮影する。するとデータがクラウドにアップロードされ、鍵の作り(ギザギザ部分)が数値データに置き換えられる。ちなみに、鍵のギザギザはランダムではなく、切り込みの形や深さに規則性があり数値に置き換えることができる。なので、ロックスミスは鍵の数値データさえ分かれば鍵を複製することが可能なのだ。

万が一鍵を紛失してしまったら、このクラウドに保存した鍵のデータを取り出して鍵の複製に利用することができる。鍵の複製はNew Yorkのいくつかのセブンイレブンに設置されている専用キオスク端末(上部の画像)で作成するか、後日メール便で、もしくは当日中に鍵屋にデリバリーしてもらうことができる。鍵を紛失してロックスミスを呼び、その場で解錠作業をしてもらうとアメリカでは数百ドル取られるそうだが、鍵データを渡して合鍵を届けてもらえば、そのコストを60-80%抑えることができるそうだ。

ちなみに、単純な昔ながらの鍵だけに対応しており、最近日本では主流になりつつあるディンプルキーには対応していない。これはディンプルキーの写真を数値データに置き換えるのが難しいという技術的な問題のせいなのか、アメリカではディンプルキーがマイノリティだからなのかは分からない。


KeyMeのサービスは固定費は取らないようで、鍵のデータをクラウドから取り出して使用する際に9.99ドルかかる。果たしてこのビジネスモデルは成立するのだろうか?
鍵を失くす、または忘れてしまってロックスミスを呼ぶ確率は、高く見積もっても3年に1回程度だろう。すると、1000人登録者がいてようやく1日10ドル、つまり月300ドルの売上が発生する。たとえ10万人が登録したとして、やっと月の売上が3万ドルに達成する程度なのだ。よっぽど生活のインフラとして誰もが当たり前のように利用するものにならない限り、スケールしないビジネスモデルだ。

とは言うものの、経費はほとんどかからないし頻繁なシステムのアップデートも必要ないので、売上がほとんど利益に直結するビジネスモデルでもある。また、ユーザーからの直接の売上だけでなく、ロックスミスがKeyMeの依頼で合鍵を作成、デリバリーした際の売上手数料があるだろうから、もう少し売上はあるだろうか。派手ではないが、一旦インフラとして定着すればユーザーがサービスを切り替える可能性も低く、利益率が非常に高い美味しいビジネスになりそうだ。

だが、一方で生体認証によるロックや暗証番号によるロックが普及すると足元を救われる可能性を秘めている。それになんらかの理由で情報が流出した時の訴訟リスクは大きい。


KeyMeは鍵のデータという非常に機密性の高い情報をクラウドに預けるビジネスモデルが成立しているのが面白いところだ。セキュリティを確保するためにハイレベルな本人認証プロセスを設ける、必ずキーホルダーなどの付帯物から外して白い紙の上で鍵の印影を撮影するという条件を持たせることでその鍵の所有者であることを担保する、といった対策が取られている。とはいえまだまだ安心できるレベルではないだろう。
クラウドの情報機密性が名実ともに安全であることが担保されれば、そのうちデジタル化された遺言状や土地権利書を保存するクラウド貸し金庫のようなサービスが生まれてくるのかもしれない。
 
 

2013/12/15

シニア向けクレジットカードのTrueLink

True Link

シニアビジネスは今大きな注目を浴びている。世界的に高齢化が進み、大きなマスターゲットになるからだ。しかもお金を使わずに貯め込んでいるシニアが日本には多いため、マーケットとして大きな期待がある。今後シニアやその家族の課題を解決するソリューションが世に生まれればビッグヒットする可能性を秘めている。

その一例が、年老いた父母を詐欺から守るTrue LinkというStartupだ。


どうしても人間年老いていくと判断力が衰えて詐欺に合いやすいという事実は、老人を対象とした詐欺が多いことからも明らかだ。そして、そんな年老いた父や母と離れた場所で暮らす多くの息子・娘たちは、年老いた親が詐欺に合わないか心配しているだろう。True Linkはそんな課題に応えるソリューションだ。

True Linkのサービス内容

True Linkはプリペイド式のクレジットカードだ(それはデビットカードじゃないのか、という議論はさておき)。このクレジットカードを年老いた両親に渡し、日々の支払にTrue Linkクレジットカードを使用してもらう。

True Linkは詐欺の疑いやその他問題のあるクレジットカード加盟店のデータベースを保有しており、プリセットされた保護フィルターをかけて詐欺の疑いのある店舗からの決済を拒否する。さらに店ごとの決済の可否をカスタマイズしたり、決済の最大金額を設定することができる。詐欺に引っかからない限り年老いた両親は何も不便なくクレジットカードで買い物を楽しめる。もちろん怪しい店舗で両親が決済をしたら、息子達は即座にアラートメールを受けることができる。

これらのサービスを年間20ドルという安価な利用料で使用できるのがTrue Linkのサービスだ。数百万円のリフォーム詐欺に合う可能性を排除できるのなら、安いものだろう。

創業者がこのサービスを作ったきっかけ

このようなありそうでなかったサービスはどのようにして生まれたのだろうか?CEOのKai Stinchcombeが語ったそのきっかけが面白い。

彼には92歳の年老いた祖母がいるのだが、それなりに裕福なのかよほど慈悲にあふれているのか、募金やチャリティの誘いが多かった。そして気づけば一ヶ月に75枚の小切手を切ってチャリティに募金するという事態になっていた。小切手は一度切られてしまえばどうやっても取り戻すことができないため、泣き寝入りになってしまった。そんな状況を見かねた彼の家族は、92歳の祖母から小切手帳を取り上げるしかなかったのだそうだ。Kaiはそんな経験から、お年寄りの自発性を奪うようなことをせざるを得ないことに問題意識を感じ、このサービスを立ち上げたという。


詐欺業者や問題業者のデータベースという集合知を利用した詐欺防止の発想は面白い。そして保守的な金融業界で、実現するための仕組みを作り出したことも。発想として驚嘆するというほどものではないけれど、誰も形にできなかったことを形にしたサービスだ。

日本ではStartupがクレジットカードを発行したり、利用者の用途をモニタリング・分析してアラートを出す、そして本人以外の家族がその決済をブロックする、というのは何かと規制に引っかかりそうだ。それにお年寄りのクレジットカードアレルギーも未だにある。だからTrue Linkがそのまま受け入れられる可能性は低いだろう。だからこそ、クレジットカード以外の方法でお年寄りの自発性を損なわず、安全なペイメントの仕組みがあれば、きっと大流行するはずだ。
 
  

2013/12/14

ビジネスパーソンがブログを書き続ける理由 2/2

ブログ

前回のエントリーに引き続き、ビジネスパーソンがブログを書き続ける理由について。

今回のエントリーでは中でも私がブログを書き続けいている理由の一番重要な2つを述べてみたい。これらが目的やモチベーションとなって、今まで毎日ブログを書いてきたし、これからも書き続けるのだ。

書く力の養成

私がこのブログを書き続ける大きな理由の一つでもあるのが、この書く力の養成という観点だ。ビジネスパーソンにとっては「書く」という能力は、企業のどのレイヤーにいるときでも必要不可欠なスキルだ。あまりにも普遍的すぎるスキルなのでビジネス書では見落とされていたりする能力でもあるのが不満なのだが。

例えば一番下っ端の平社員であれば、その仕事の重みの半分近くは正しいタイミングでのホウ・レン・ソウだ。タイムリーに素早く報告書を仕上げるにも、報告書の内容をできるだけ簡素にしてわかりやすい文書にするにも、書く力が必要だ。最初に平社員から次のステップに上がれるか、それとも平社員であり続けるかの大きな境目が書く力にあると言っても過言ではないだろう。

何より簡潔で分かりやすい文書を書けるということは、同じように簡潔で明瞭な思考ができるという証左に他ならない。口頭で理路整然と説明できる能力も書く力とある程度比例するだろう。だから書く力で人を選別するのはあながち間違いではない。

また、組織の上のレイヤーに上り、トップになったとしてもやはり書く力は必要だ。本を書くこともあるだろうし、自分のメッセージやビジョンを組織の全てのレイヤーの社員に伝わり、行動につながるようにコミュニケーションしなければならない。このとき書く力、ひいてはトータルな国語力が必要だ。

この書く力を鍛えるという観点ではブログは非常に良いメディアだと思う。いまや様々なブログツールが出回っているので、パソコン一つあればどこでもブログを執筆できる。それにコメントやアクセスログを見れば自分の文書が他人から見られていることが分かり、それが大きなモチベーションになる。

学びをアウトプットする場

私がブログを執筆する目的の中で重要だと感じるもう一つポイントは、学びのアウトプットの場であるということだ。そもそもブログを立ち上げた理由がこれだ。ちょっと私がブログを書き始めることに至った理由を聞いていただきたい。

私は毎日このブログにエントリーを書いていて、もうすぐで500日=500エントリーというところだが、これを書き始める前の約2年前、私にとって学習といえばもっぱら読書やセミナーであった。今でも読書やセミナーに行ったりするのだが、当時からどうも得た知識や情報が有効活用されないまま忘れ去られているという感覚があった。すぐに行動できるノウハウなだまだしも、果たしてビジネスモデルの洞察やマーケティングといった、仕事でいつでも必要とされるわけでもない知識やスキルはどうすれば歩留まりが良くなるのかと悩んでいた。その答えが、ブログという自分がアウトプットする場を作るということだった。自分のメディアを作り、そこに付け焼き刃だったり生煮えなレベルの知識でもどんどんアウトプットして、スキルを定着させようと考えた。

読書やセミナー、勉強会に余念のない意識高い系のビジネスマンは結構多い。だけどインプットだけで終わっていると、どうしてもただの評論家になってしまう。そこから一歩でも前に進むために、ブログを書き始めたのが私のきっかけだったのだ。
 
関連エントリー:
 

  

ビジネスパーソンがブログを書き続ける理由 1/2

ブログ

ビジネスパーソンでブログを書いている人は多い。私も1年4ヶ月前くらいからブログを書き始め、今でも書き続けている。
ブログを欠いている人は多いものの、その中で執筆で糧を得ている文筆家はほんの僅かにすぎないし、ほとんどの人がブログを書く行為で何の対価も得ていない。ただの無償の労働だ。
それでも彼ら(自分も含め)がブログを書き続ける理由はなんだろうか?

自分の思いを形にしたい 

日記やビジネスマインド系のブログを付けている人は、自分の日頃考えていることや思っていることを誰かに同意してもらいたいという思いで書いている人が多いのではないだろうか。というか、あえて不特定多数に対して開かれているブログに書いている以上、誰かに読んで欲しい、わかって欲しいという欲求を否定することはできない。

また、自分の思いをブログのエントリーという形に具現化させることで満足するアーティスティックな欲求を持つ人もいるかもしれない。

セルフブランディング 

3,4年前一時期流行っていた考え方がセルフブランディングだ。セルフブランディングを行い自分を差別化することで、いわゆる普通の会社員であっても自分をある分野のプロフェッショナルとして市場価値を上げていくという考え方だ。私もセルフブランディング系の本を何冊か読んでみたが、どの本でも一様に自分のメディアを持つことの重要性を訴えていた。

役職もない普通のサラリーマンであっても、自分のメディアを持つことでその業界外の人から見れば専門的な知識やスキルを有していることを証明できる。そして、ブログをきっかけに通じてその道のプロフェッショナルとしての仕事が舞い込むかもしれない。セルフブランディング系の書籍の中ではよく聞く話だ。そこから、セミナーや講演家、そして執筆家としての道が開けるかもしれない。

実際、執筆活動や講演で生計を立てている人達はブログに始まりTwitterやFacebookなど須らくセルフブランディングに使えるツールを活用している。

セルフブランディングという考え方は一時期わぁーと流行したので怪しい情報起業と並列のものとして見られがちだが、自分を差別化するためにメディアで発信するという思想は私自身賛同できるし、もっと多くの人が実践していいものだと思う。ビジネスのプロフェッショナルが自分たちのスペシャルティをもっと全面に押し出していけば、そのスペシャルティを必要としている人達に発見され、新しい形のアライアンスが生まれるかもしれない。個人レベルでも企業レベルでも。そして本人にとっても新しい経験を積むことでレベルアップができるようになるだろう。

いつか本を出したい

前に上げたセルフブランディングの最終形の一つが、自分の本を執筆するということだろう。本を書くということは自分のブランディングをする上で非常に強力なツールとなる。

どの分野の人であれ、本を上梓したことがあると聞けば誰もがその人はその分野のプロフェッショナルだと感じるだろう。言わば箔がつく。そうすれば自分に舞い込んでくる仕事のレベルも上がるし、メディアに寄稿を求められるなど仕事の幅も広がり、さらにビジネスパーソンとして成長することができる。人脈も広がる。そしてさらに周りからの評価も高まり、昇進や転職して上のポジションへ上がるなんてことも考えられる。言わば本を書くことが通常の昇進・昇給ルートとは異なる特急券になり得るのだ。

もちろん仕事に対するプラスの効果だけではない。上手く時機を捉えたテーマの本であればベストセラーになって印税を期待できるかもしれない。また、本の著者であるということで尊敬されることもあるだろう。これも社会的生物である人間にとってはとても大きな報酬だ。

ブログを副業にしたい

ブログという自分メディアを使ったアフィリエイト広告は、会社員にとって無理なくできる身近な副業だ。副業と言えるほどの収入を得るには相応の努力が必要なので、入り口の敷居は低いものの、決して簡単な副業とは言えない。それに、アフィリエイト収入を得ることだけに特化した中身の無いブログが量産されている事実は、あまりいいことではない。

だが一方で、副産物としてのSEOという考え方や、消費者である読者をより多く惹きつけるマーケティング力という、現代のビジネスパーソンに必要なスキルが身につくこともあるだろう。


私の中ではブログを付ける理由にもっと重要な目的がある。次回ではそのことについて書いてみたい。
 
関連エントリー:
2013/12/14 ビジネスパーソンがブログを書き続ける理由 1/2
 

  

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