2013/01/21

魚を2倍売る方法


商品を変えなくても、価格を変えなくても、売る場所を変えなくても、プロモーションの方法を変えるだけで、魚という爆発的に売れることも売れなくなることもないコモディティ商品が2倍も売れてしまうというお話を紹介しましょう。

首都圏で商業施設内の魚売場を展開するある水産業者は、鮮魚店のプロモーションを変えることで特定の魚の売上を2倍にすることに成功した。
何か特別なことをしたというわけじゃない。
彼らがしたのは、顧客の目線で顧客が知りたい情報を分かりやすく伝えるというだけのこと。
基礎中の基礎。マーケティング101で学ぶことだ。

普通の魚売り場では、その魚がどこ産で価格はいくらなのか程度の最低限の情報だけが表記されている。
そんな業界にあって、顧客目線のプロモーションをすると2倍売れてしまうのだ。


日経MJ 2013/1/21 P.14―――――――――――
首都圏の百貨店などを中心に約50の鮮魚店を展開する東信水産(東京・杉並)は「調理時間」や食材の"ストーリー"など、新しい切り口に基づく売り場展開を始めた。鮮度や産地など魚自体の特徴を打ち出す従来の売り方では顧客のニーズに応えられないと判断。商品区分を顧客の関心に沿ったものに見直すほか、実際に魚を買った顧客の声を紹介するなどして、魚料理に馴染みの薄い層の開拓も狙う。
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東信水産の成功の秘密は、顧客がどういう気持で商品を眺めているかを考え、それに沿った陳列をしたことにある。
具体的には、調理にかかる時間や、調理の方法で分類して魚を陳列した。
これは温めるだけのソテー用で5分で食べられます、とか、これは10分くらいの調理が必要なムニエル用、といった陳列だ。
自分が買い物に行った時のことを考えると、確かに思わず手が伸びそうだ。


魚を選ぶ買い物客の気持ちはどんなだろう?
少なくとも2種類の人がいる。

今日はあの料理を作ろうと思って、目的買いをする人。
こうした人にとっては、魚の名前と産地と値段が書いてある札さえ見やすくディスプレイしてあればそれでOKだ。

もう一種類の人々は、料理の献立が決まらないままなんか魚料理食べたいなぁと考えながら眺めている人たちだ。
実は潜在的な需要を持つこの顧客層の存在に東信水産は気づき、彼らのニーズを射止めた結果2倍も売れたのだ。


東信水産が潜在的需要を持つ顧客層を取り込めたのは、次の2つのポイントに気付いたからだ。

一つ目のポイントは、顧客の目的を細分化することによって「何を作ろうか決めていない人々のニーズ」を発見したことだ。
売り手としては、「鯛の煮付けを作りたいわ。新鮮な鯛をちょうだい」という具体的な要求をしてくれるお客さんのほうが印象に残るだろう。
だが、なんとなくぼんやり魚売り場を眺めて立ち去っていく人たちのほうがよっぽど多いだろう。
そんなお客さんが何を考えているのかを察知し、陳列方法を変えたことで、何を作ろうか決めてない人々にとって便利な売場に変えたのだ。

二つ目のポイントは、お客さんの魚料理の知識や習熟レベルを過信しないということ。
毎日魚を三枚におろしている鮮魚売り場の店員にとっては、魚を見れば料理の献立が自然と浮かんでくるかもしれない。

でも、私のように魚料理を作れない人からすると、魚が食べたくても献立が浮かばないから諦めるのはよくあることなのだ。
だから、この切り身は刺身用とかソテー用とか書いておいてもらえると、魚料理初心者はとても助かる。
売り手は自分がプロだからこそ、素人の悩みに気付くことができないことを理解しなければならないのだ。
 
 
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photo credit: Ken Bondy via photopin cc

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