2013/01/10

なぜ先に言ってくれないの?当たり前の取り組みも伝えるべき理由




先日某百貨店の地下食品売り場へ、ワインを買いに行きました。
正月だったので、少しいいワインを飲もうと思ったんですよ。

私はさほどワインにこだわりがある訳でも薀蓄を知っている訳でもありませんが、リーファーコンテナ(低温輸送コンテナ)のワインがおいしいと聞いていたので、リーファーコンテナで輸入されたワインで探していたのです。
通常であれば、リーファーコンテナで輸送されたワインはラベルにリーファー、あるいは低温輸送と書かれています。

ですが、そのデパ地下では探せど探せど一本も見つからなかったのです。
それなりに値が張るものばかりなのになぜ?と思いつつ、あきらめて帰る前に一応店員の方にリーファーで輸入されたワインがないか聞いてみたのです。

すると、その店員さんの流暢な説明では、販売されているワインは全てリーファーコンテナで輸送されたものなのだそうです。
しかも、現地で飲むのと変わらないおいしさをコンセプトに、国内に届いてからも低温輸送と低温倉庫での保管という徹底ぶりなのだそうです。


それは素晴らしいと感心した反面、なぜそれを言わない?と疑問がわいてきました。
思わず感心してしまうこだわりがあるのだから、POPやパネルなどで堂々とアピールすればいいのに。
富裕層相手の百貨店だから当たり前という感覚なのかもしれません。
ですが、その当たり前も非消費者に伝えて初めて当たり前なんです。


このように、顧客と店側の間には常に認識ギャップがあります。
店側が当たり前だと思っていることが、顧客にとって素晴らしい取り組みやサービスだと感じることもあります。
逆に、店側が自信を持って提供しているサービスが、顧客にとってはぜんぜん物足りない場合もあるでしょう。


ある時計屋の店主が、知り合いのアドバイスにしたがって「腕時計の電池交換します」という張り紙をしたそうです。
店主はてっきり誰でも時計屋で腕時計の電池交換ができることを知っていると思い込んでいたので、電池交換しに来る客が増えるとは思っていませんでした
しかし、電池交換をしにくる来店客が増えたそうです。
お客様の中には、腕時計の電池交換をしたいというニーズを持っていながら、時計屋で交換できることに気付かない人もいるのです。


別の有名な例で、米国のシュリッツビールがわずか三ヶ月で州で5番目程度のポジションから全米1位になった話をしてみましょう。
特にこれという売りがなかったシュリッツビールでしたが、売上を向上させるためにクロード・ホプキンスというマーケターに広告を依頼しました。
ホプキンスはシュリッツビールの工場を見学し、ある取り組みを顧客に知らせるべしとアドバイスしました。

それは、ビールの水は地下4000メートルからくみ上げた天然水を利用していること、瓶は蒸気で4回も消毒されているなど、ビールの製造工程を知らなければ驚くほどの手間ですが、どのビール会社も当たり前のように行っている製造工程でした。
ビール会社にとっては別段アピールするようなものではない当たり前のことなので、どのビール会社も製造手法をアピールしたことはありませんでした。

ホプキンスのすすめでシュリッツビールが初めて製造工程を広告で伝えたのです。
大衆はシュリッツビールの徹底したこだわりの(あるように見える)製造工程に感心し、他とは違う素晴らしいビールなのだと認識しました。
その結果、わずか三ヶ月で全米ナンバーワンのビールになったのです。


前述の百貨店も、「現地で飲むのと変わらない風味」をコンセプトに色々な取り組みをしているのであれば、その努力を少なくとも売り場でアピールすべきでした。
日本では影で努力することが美徳とされる風潮がまだまだ濃いのでしょう。
しかし、商売をする上では努力を伝えることが顧客にとっても大きなメリットなんだと認識しなければいけません。 


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photo credit: thefost via photopin cc

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