2013/01/13

懺悔します。アセットがないのにビジネスモデルだけを真似てしまった悪例


私はとあるIT企業で新規事業企画兼マーケティング&セールス兼エンジニアのようなことをしています。
部門のミッションは新規ビジネスの作り出しとそれを軌道に乗せること。

新しいビジネスを作り出すポジションにいることは売れしいのですが、いかんせんチームに事業企画経験者がいないことがまずかった。
いや、正確に言うと、この会社には能動的にビジネスを創りだした経験もなければその経験者もいなかった。
そんなわけで、身から出た錆というか、企画・承認されたビジネスを2年ほど回しそれなりに実績も出てきたビジネスがピンチなのです。

その問題点は、そのビジネスモデルの屋台骨となる資産を持っていないにも関わらず、ビジネスモデルだけを真似てしまってビジネスをスタートさせてしまったことだ。


少し事情を説明させていただきたい。

私が所属している新規事業企画部門では、この会社のアセットを生かしてこれまでにない新しい事業の柱を立てるというミッションを帯びていた。
ITサービスと特定業種向けシステム開発を提供している当社としては、なかなか新しいビジネスモデルを生み出すのは難しかった。
親会社が親方日の丸的なドメスティックな会社であったことも、既存ビジネスとは違う新たなビジネスモデルを作ることのハードルを上げていた。

そんななかで当社はスマートフォン・タブレットに新たな活路を見出したのだ。

その一環として、パートナーからソフトウェアの提供を借り受けて、ソフトウェアをホスティングするサーバ環境もこれまた借り受けるという、パートナービジネスに重点を起いたSaaSサービスを展開した。
顧客数の伸びはそれなりに順調であった。
業界そのものが右肩上がりに伸びる状況であったからだ。
だが、ある程度ホスティングをしてから壁にブチ当たってしまったのだ。

どういうことかというと、SaaSサービスを提供しているのに、ソフトウェアもサーバ環境も自社に有していないというビジネスモデルに限界に早々にあたってしまったのだ。
ソフトウェアの開発部隊を自社に有していないので、顧客とソフトウェアベンダーとの間で右往左往し、サーバ環境も有していないのでサーバ環境提供会社と顧客の板挟みになり、社内リソースの調整に多大な浪費が生まれることになった。


アウトソーシングはオフバランスという点では多大な効果があるが、マージンは自然と低くなる。

具体的にはソフトウェアを自社開発でSaaS化している会社と比較すると、そうした会社は複数年単位で投資回収計画を考えることができるが、アウトソーシングをしている当社の場合単年度でビジネスの収益を判断されることになる。
当社の場合、ソフトウェアを仕入れている以上、限界利益はどうしても低くなるので、その中でサポート費用を捻出することになる。
その結果、サポート費用が限界利益を圧迫する。
パートナーモデル故の損益分岐点の低さも、限界利益の低さ故、非常に厳しいラインになってしまうのだ。

これがソフトウェアではなくサーバ環境であっても同じ事態に陥っていただろう。
ソフトウェアかサーバ環境どちらかを自社のアセットとして有していれば、中期での投資回収を考えなければならない一方、限界利益は高くなっていた。


問題はつまり、アセットを持っていないにもかかわらず、他のSaaSベンダーのビジネスモデルだけ輸入してしまったということだ。
だが、最初に言い訳だけさせてもらいたい。
ソフトウェアもサーバ環境も、どちらのアセットも有していないことは初めか織り込み済みであったのだ。

しかし、予想外だったのは、そのサポートにかかる費用だったのだ。
いや、ソフトウェアもサーバ環境も有していない代償はサポート費用に跳ね返ってくることも理解していた。

アセットを持っていないことの問題点は初めから理解していた。
だが、実際に手を動かしてみるまで、そのリスクがどの程度のインパクトを持って具現化するかはわからなかったのだ。

これは私と私が所属する部門の経験不足、知識不足に問題があったことは間違いない。
しかし、これが具体的にどの程度の負担になるか、いったい誰にわかっただろうか。
私としては、技術的・知識的な問題があったとは思うが、負担の規模を正確に判断できる人がいたのだろうか。

こうした問題はどんな新規事業でも起こりえることは間違いない。
この問題のインパクトを最小限に抑えることは間違いなく必要だし、新規事業企画部門メンバーの責務であると思う。

一方、予めこうした問題のインパクトを完全に予想することは不可能だとも思うのだ。
そして、一番重要なのは、いかに早く正確にこうした問題を軌道修正できるかなのだ。
 
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