2013/01/06

マックのEnjoy!60秒サービスキャンペーンの狙い



日本マクドナルドは1/31まで、ENJOY!60秒サービスなるキャンペーンを開始しました。期間中のお昼の時間(11:00〜14:00)、注文完了から商品の受取までに60秒以上経過したらバーガー類無料のクーポンを配布するというキャンペーンです。

お客からすると、昼の回転が早くなるのは嬉しいことですし、60秒過ぎてもクーポンが貰えるというのはどちらに転んでもハッピーな提案であるように思われます。
昼食を購入するのにかかる時間は会社員である私にとっては重要です。
明確に決められてはいないものの、昼の休憩といえばやはり1時間という暗黙の了解があるので、昼食を買うのに無駄な時間を使いたくないわけです。
それ故に、長蛇の列ができている店は避けることになります。


話をもとに戻しましょう。

このキャンペーンの狙いは何でしょうか?
マクドナルドはこのキャンペーンを行うことで、どのような結果を求めているのでしょうか?
考えうる目的についていくつか考えてみましょう。


1. ゲーミフィケーションによる集客
どんな形であれ、キャンペーンは人目を集めることが目的です。
Enjoy!60秒キャンペーンも本質的には珍しいことをやって足が遠のいているお客様にマクドナルドに来てもらおう、というのが目的でしょう。

これまでのマクドナルドのキャンペーンはクーポンの配布や100円マックのリリースなどに偏っていました。
マクドナルドを訪れる顧客は価格に敏感な人達がほとんどでしょうから、値引きキャンペーンは間違っていません。

しかし、おそらく値引きキャンペーンの反応が悪くなったのでしょう。
60秒以内というスピードを売りにして私のような昼食を買うまでの時間を気にする顧客をターゲットにしつつ、60秒を超えたらクーポンを配布するというゲーム要素を取り入れたキャンペーンを打って集客を目指しているのでしょう。


2. 昼間の回転率向上による増収
マクドナルドではオペレーションの指標を数値化して見える化していることで有名です。
例えば、これはちょっとオペレーションの数値化とは違いますが、注文を受けてから提供までの時間を1秒早くすると売上が8億円向上するというデータがあるそうです。
細かい話をすると相関関係にすぎないんじゃないか、とかABテストがされているのか、など疑問はあるものの、スピードアップが売上アップのキーになっていると認識しているようです。

「注文を受けてから60秒以内に提供します」と顧客に対してコミットする効果は、マニュアルにそのように書くより数段効果が高いでしょう。
マニュアルに60秒以内に提供せいよと書いているだけでは、忙しい時間帯では仕方ないという考えになってしまいがちです。
しかし、目の前の顧客が60秒以内に出てくる前提で待っているとプレッシャーが違います。
顧客からのプレッシャーを活用して回転を早くしようという目論見が見受けらます。


3. クーポンによる再来店効果
顧客にとって、60秒を超えてもバーガー無料クーポンが貰えるのであればラッキーなわけです。
しかし、これはマクドナルドにとっても同じ事でしょう。

マクドナルドのコスト構造を見ると、原価と調理にかかる人件費を考えてもバーガー類よりもポテトやドリンクなどのサイドメニューの原価率が高くなっています。
バーガーをタダにしてしまっても、サイドメニューを同時に頼む人が多いでしょう。
ドリンクかポテトを同時に頼んでもらえればバーガーの原価を補ってさらに利益が出る計算なのですから、それほどマクドナルドにとってもデメリットなわけではありません。

少し考え方を変えると、再来店にかかるマーケティングコストはバーガーの原価だけということになります。
マスにテレビCMを打つよりよっぽど効果が高く安価だと思います。


このように、Enjoy!60秒キャンペーンはどちらに転んでも顧客にとってもマクドナルドにとってもメリットがあるキャンペーンになっているという点では優れたキャンペーンだと思います。
しかし、60秒以内に出さなければいけないというプレッシャーが悪い方向に働いているケースもあるようです。

時間のプレッシャーにより作業が雑になり、包装やバーガーの作りが雑になってしまった写真がSNSにアップされています。
こうした粗相がすぐに広まってしまうスマホやSNSといったプラットフォームがあることは、このキャンペーンの大きなリスク要因になるでしょう。

このキャンペーンがどのような結果を招くのか、楽しみにしています。

マクドナルドの経済学

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photo credit: _skynet via photopin cc

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