2013/02/28

情報を消費するということ


直前のニ稿で、ほぼ同じ情報ソースを元に、2つの異なる主張を展開してみた。


あなたはどちらの主張をより真実に感じただろうか。
恐らく貴方自身が持っている主義主張と双方により真実味を感じたのではないだろうか。
実は私も書いていて、自分の主義主張と合う論評のほうがスムーズに筆が進んだ。

どこかで聞いた話だが、人は人の話やそれこそ新聞などのメディアを消費するときには、自分の主義主張を裏付ける情報しか耳に入ってこないという。
これは購買行動でも同じ事だ。
少しでも欲しいな、という気持ちが根ざすと思わされたら、あとのセールストークはすべてその商品を買うべき理由になってしまう。


今日の学び
・真実は一つでも伝え方によって百の論評ができる
・批判・批評は一つの側面にすぎない






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ジャーナリズム亡国日本


「国境なき記者団」という国際機関が発表した世界メディアランキングというものがある。
その国のジャーナリズムを、言論の自由が確保されているか、情報は公平かといった指標で評価し、国ごとにランキングをつけたものだ。
このランキングによると、民主主義の歴史が長いはずの日本がなんとも無念な51位にランキングされている。

51位という不名誉なランキングの原因として、記者クラブの存在が強く影響しているようだ。
メディアは言論の自由という権利を曲解してよく攻撃的な権利行使をする。
しかし、一方では記者クラブという主要メディアの寄り合い所帯がニュース性のある情報を独占する。
果たしてこれが成熟した民主主義のジャーナリズムだろうか?

しかし、問題は情報を発信する側だけにとどまらない。

日本の新聞は実は世界1位(読売新聞 1000万部)と2位(朝日新聞 750万部)の発行部数を誇っている。
これはそれだけ日本の新聞が優れているというわけではなくて、日本では異常に全国紙が強いのだ。
一方、欧米では地方紙が一般的なために、一紙の発行部数はさほど多くはない。
日本と欧米を比較して日本で圧倒的に全国紙が普及しているのは、日本国民が他の人と同じ情報を求めている、という性質が原因となっているのだろう。

日本人はジャーナリズムの生産と消費の両面で脆弱だと言わざるをえない。


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2013/2/28 情報を消費するということ





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新聞強国日本!


日本は正解一の新聞発行数を誇っていることをご存知だっただろうか?
2011年の新聞ランキングでは、1位読売新聞 1000万部、2位朝日新聞 750万部、3位はインドの新聞The Times of India 380万部となっている。
4位にも毎日新聞 350万部が入るなど、トップ10のうち5つも日本の新聞社が占めているのだ。

日本は人口のわりには明らかに新聞の発行部数が多いことが分かるが、これにはいくつか理由がある。
一つは識字率の高さだ。
日本人の識字率は99.8%に達し、世界的に見てもトップランクだ。
そして、学校でも家庭でも、幼い頃から子供に読書をさせるという教育習慣が一般化されている。
それが新聞の読者の多さにつながっているのだろう。

日本の優秀な人材の厚みを表す一端といえないだろうか。


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2013/2/28 情報を消費するということ






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photo credit: ShironekoEuro via photopin cc

2013/02/27

高野山真言宗のドタバタ劇に思う

宗教法人である高野山真言宗が6億8千万円の損失を出したことがニュースになっていた。
参考:Yahoo!ニュース(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130227-00000033-mai-soci)

6億8千万円の損失を出したことも驚きだが、資金30億円を運用していることに驚いた。
ちょっとした投資会社じゃないか、と。
お布施は非課税なのでそのまま全額運用にまわせるし、投資家のように運用成績や投資家への還元を口うるさく言われることがない。

まあそれでも今回の運用損を契機にトップが解任されてしまったらしい。
この辺り、宗教法人も資本主義となんら変わらないんだなあ。




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iPS細胞に見る技術活用の発想転換


iPS細胞と聞けば、昨年ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中教授をすぐに思い出す人も多いだろう。
再生医療時代の幕開けに、iPS細胞の技術に期待が高まっている。

iPS細胞を再生医療の現場で実用化するにあたって、まだまだ課題が沢山あるのが現状だ。
その中でも重要の課題の一つが、iPS細胞にかかる時間とコストだ。
再生医療を必要とする人がiPS細胞を活用した治療を求めたとして、細胞の培養に2〜4ヶ月かかり、費用も数百万単位でかかる。

その解決策として期待されているのが、iPS細胞バンクだ。
iPS細胞バンクでは予め健康な人の細胞からiPS細胞を培養しておき、いざ必要とする人が現れた時にすぐに使えるようにしておく。
安定的にまとまった数の細胞を培養していれば、コストも下げられるということだ。


さて、こうした取り組みは偏に再生医療で患者を治療する目的から生じているのだが、早くもこの分野でビジネスの広がりが出てきている。
iPS細胞を再生医療以外のビジネスに活用しようというのだ。

人体の様々な細胞に変化できるこのiPS細胞。
あなたはどのように再生医療以外のビジネスに活用することを考えるだろうか?


実は製薬業界がiPS細胞に熱視線を注いでいる。
医薬品の開発には10年以上の時間と数十億円、ときには数百億円の投資が必要とされている。
その中でも人体に対する影響を測る臨床試験にかかっている時間とコストは少なくない。

人体への影響を詳しく調べるには人に新薬を投与しなければならない。
しかし、いきなり人に投与するわけには行かないから、その前段階で動物実験を行ったり、ヒト細胞の提供を受けて研究を行う。
もしもiPS細胞が今よりも数段安く手に入るようになれば研究開発にかかる時間とコストは大きく削減出来るだろう。

他にも物質の人体に対する毒性を測ったり、病気の解明にも活用できる可能性を秘めている。


今日の学び

・新しい技術や素材は、当初の目的以外の使い方がないか探してみよう。そこにビジネスチャンスが眠っているかもしれない。

メインストリームで強大なナンバーワン企業があったとしても、思わぬところにビジネスチャンスがあるかもしれない。
そんなビジネスチャンスを常に探し続ける視点を持とう。





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photo credit: Raymond Larose via photopin cc

2013/02/25

050PlusとFUSION IP-Phoneに見る戦略的防衛戦の難しさ



050Plusとは、NTTコミュニケーションズが提供しているスマホ向けIPフォンサービスだ。
IPフォンはVoIPというプロトコルを使った音声通信で、インターネット回線を通じて音声の転送を行う電話といったところ。
インターネットはデータ転送の料金が安いため、IPフォン同士であれば無料なのが当たり前だし(例: LINE、Viber、Skypeなど)、IPフォンから固定電話・携帯電話への通話も割安になる。

050Plusは月々300円の固定費を払うと、固定電話へ3分8.4円、携帯電話へ1分16.8円でかけられる。
SoftBankの通話料が1分42円なのと比較すると、はるかに安い。

050PlusはNTTコミュニケーションズの肝いりの事業のようで、昨年行なっていた大々的なキャンペーンやエグザイルのCMなどで記憶に新しい方も多いのではないだろうか。
CMやキャンペーンへの力の入りようを見ると、NTTコミュニケーションがいかにこの事業に力を入れているかが垣間見える。
登録者数も2012年11月時点で90万人に達しているらしい。
減り続ける固定電話契約数を穴埋めすべく、新たな事業の柱の一つとして考えているのかもしれない。


FUSION IP-Phoneの攻勢と050Plusの防戦

スマホ向けIPフォンサービスを大々的に提供しているサービスはまだ少なく、大量の宣伝広告費をかけたキャンペーンのお陰で050Plusは順調に加入者を伸ばしていた。
宣伝で知名度を上げ一気にデファクトスタンダードを狙ったようだが、そうは問屋が卸してはくれない。
050Plusのサービスが開始した2011年7月から1年を待たずFUSION IP-Phoneのサービスが開始されたのだ。

FUSION IP-Phoneは後発らしく、050Plusの弱点を痛烈に突いてきた。
月額費用を0円にし、通話料だけで課金する料金体系で切り込んできたのだ。
しかも、通話料では固定電話への料金は大敗しているが、他の携帯電話への通話料金は同料金。
今時プライベートの携帯電話から固定電話へ通話するケースが少ないので、固定電話への通話料金は割りきったプライシングだろう。
後発だけあって、050Plusに対する顧客の不満を突く戦術が散りばめられていることが分かる。

FUSION IP-Phoneは圧倒的にキャンペーンや広告による露出が少ないが、これは料金を抑えて月額固定費を顧客へ請求せずに済むよう販管費を抑えているのだろう。
050Plusがあれだけ宣伝していれば、スマートフォン向けIPフォンという市場が切り開かれ、自然と050Plusの一番の対抗馬であるFUSION IP-Phoneにも脚光が当たることを見越しているのかもしれない。

一方、050Plusはあれだけ広告宣伝を打っている以上、回収のために月々300円というストック収入はなかなか切れないのだろう。
それに2000年に設立されたベンチャー企業であるフュージョン・コミュニケーションズとNTTコミュニケーションズでは土台のコスト構造も違う。

050Plusは通話料の安さでスマートフォン向けIPフォン市場を切り開こうとしたが、もっと安さを追求できる後発のFUSION IP-Phoneに攻め入られ、守勢に立たされている。
NTTコミュニケーションズは自分たちの強みはコスト効率性ではないのに安さで勝負を仕掛けてしまったことによるしっぺ返しを食らっている。
彼を知り己を知れば、百戦してあやうからず、だ。


今日の学び

・新たなサービスを世に出す時、自分たちよりそれを上手くやれるライバルがいないか周りを見回せ!
・新たな市場の後発二番手は、トップ企業の宣伝広告にタダ乗りしろ!


孫子曰く、攻めるときは敵の守りの薄い虚を突け、というが、フュージョン・コミュニケーションズはまさにNTTコミュニケーションズの虚を強撃した。
後から考えてみれば、NTTのコストよりよっぽど上手くできる企業があるだろう、しかも参入障壁がさほど高くないVoIPなんだし、としたり顔で指摘したくなる。
だが、新しいサービスを世に大々的に生み出そうという興奮状態にあるときに冷静な判断をするのは難しい。
だからこそこういったケースを頭の片隅にストックしておこう。


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photo credit: Tambako the Jaguar via photopin cc

仲介手数料無料の不動産賃貸仲介ポータルサイト


皆さんにも同意していただけると思うが、不動産仲介手数料は高い!
いや、不動産仲介料というよりも、敷金・礼金も重なってくるので初期費用がしんどいのだ。
敷金1礼金1だと、家賃の約4.5倍が初期にかかる。
もちろんこれらのお金は敷金の一部を除いて基本的に戻ってこない。

物件の仲介が行われると、実は2ヶ所で仲介手数料が発生する。
ひとつは、客付け仲介業者と借主の間、もうひとつが家主と元付け仲介業者の間だ。
未だにこんな無駄があるのはどうなのだろうか?

物件は今やポータルサイトで簡単に条件にあったものを探せるし、家主がポータルサイトに物件を掲載するのは難しいことではない。
こうしたマッチングと契約の代行のために仲介業者は存在するわけだが、そのために2年分換算で家賃は約17%高くなっている。
仲介の価値と2ヶ月分の賃借料が釣り合うかというと、疑問に思わざるを得ない。

不動産仲介業者は地元の駅のすぐそばに店舗を置かなければビジネスが成り立たない。
春に引っ越しを控えた人たちは、現地の駅で最初に見つけた不動産屋に飛び込むことが多いからだ。
その立地を確保するための経費が高い。


提供されている価値以上の仲介手数料が課せられている現状、仲介手数料無料の不動産賃貸仲介ポータルサイトを作ってはどうだろうか?

SUUMOやアットホームなど通常の不動産賃貸仲介ポータルサイトは、客付け業者が掲載を行う。
そして掲載された物件を見た借主が客付業者に連絡し、客付業者は家主と借主の契約を代行する。

仲介手数料無料の仲介ポータルサイトはオーナーが直接物件情報を登録し、契約書のやり取りもポータル上で行えるようにしてはどうだろうか。
ポータルサイトに画像と情報をアップするのは難しいことではないし、オーナーも物件の良いところを自分で伝えることができる。
契約もポータルを介したやり取りで完結できるのであれば、仲介手数料を完全に排除することができる。

収入源は広告収入と、トップページや特集ページへの物件掲載広告をオーナーへ販売する。
例えば、デザイナーズマンションページや30平米以上の物件などの特集ページを作成し、そこに掲載する権利を1週間単位で販売する。
Google Adwordsのようにリバースオークション形式にしても面白いかもしれない。


詐欺を防ぐために登録オーナーの審査が必要になるし、登録オーナー、利用者ともに賃貸契約への理解度が高まらないと無用なトラブルを招くかもしれない。
しかし、こうした課題もポータルを経由して締結される契約を、シンプルなテンプレートとして共通化し、サイトで利用者への教育を提供すれば乗り越えられるだろう。


とは言うものの、不動産オーナーのほとんどが年を召した地主ばかりという現状では難しそうな気もする。
だけど、掲載を代行を格安で請け負うなどすれば、仲介手数料よりも遥かに安くすることもできるだろう。
歳をとったオーナーがその程度の利益改善に興味を示せば、という話だが。




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2013/02/24

項羽と劉邦に学ぶ、リーダーシップとマネージメント



司馬遼太郎の著書、「項羽と劉邦」はご存知だろうか。
司馬遼太郎の代表作の一つで、「四面楚歌」という言葉も生まれた、紀元前200年頃に起きた楚漢戦争を取り扱った物語だ。



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この物語は、歴史上比類ない猛将であった楚の項羽と、取り立ててこれといった才能もなかったが周囲の才気あふれる武将や謀将にたすけられた漢の劉邦を描いている。
劉邦率いる漢は、直接の野戦で一度も項羽を下したことはなかったが、最終的には漢は項羽を打ち破り、漢帝国を敷いた。

武人としても武将としても圧倒的に優れていた項羽が、これといった才覚を備えていない劉邦に敗れたという史実には、ビジネスに繋がる多大なヒントがある。
この古典に学び、リーダーシップやマネージメントについて学んでみよう。


能力のある家臣を褒賞・重用しなかった項羽
項羽が失敗した理由としてまず責められるべきは、自らの血縁やシンパだけを褒賞し、不公平な待遇を処したことにある。
項羽は秦の名将・章邯を打ち破り秦帝国を転覆させたが、その際に多くの武将が輝かしい功を立てた。
しかし、項羽は自分の親族や自分とともに前線で戦った武将ばかりを褒賞し、参謀や裏働きをした武将たちにほとんど報いなかった。

一方の劉邦は、自分が武将として才覚を持っていないことを自覚していたため、周りの声を良く聞き、実績がなくとも才覚のある者を厚遇して兵を与えた。
こうして劉邦は漢帝国を築くのに大きな役割を負った張良や韓信を得た。

今の時代でもよく言われることだが、実力と志のある人物にはそれ相応の仕事を与え、報酬も与えなければ優れた人材はすぐに会社を去ってしまう。
これは2000年以上も前から当たり前のように繰り返されてきた失敗なのだ。


自分の実力だけでのし上がってきた項羽、周りの実力だけでのし上がってきた劉邦
上でも触れたが、武将としての実力派圧倒的に項羽が優れており、劉邦は一度も野戦で項羽に勝ったことはなかった。
項羽が前線にいる限り項羽軍は一度も敗れたことがないが、ついに天下を取ることはできなかった。

結局、項羽軍は項羽の超人的な武力に依存していたため、戦術レベルでは常勝していたが、戦略レベルで何人もの賢者の意見を聞き入れていた劉邦には勝てなかった。
この点、常に劉邦のほうが高い視点を持っていたと言える。
劉邦が項羽に勝てたのは、劉邦が項羽と比べ物にならないほど兵糧の重要さを理解し、兵糧の確保を徹底したことに依拠していた。
項羽は兵糧の確保を甘く見ており、結果的に飢えた兵卒が離れていき、項羽軍は弱体化して最後には孤立してしまった。

戦術での100勝は戦略での1勝に劣るのだ。


唯一の参謀であった范増を失って以降、項羽は正面から武力で相手を攻め滅ぼすという自分の価値観と同じタイプの武将ばかりを自軍に置いていた。
その中で頂点に立つ項羽に文句を言うものや、策略を提案するものはいなかった。
このため項羽軍は戦略的な動きというのは一切無く、武力でもって相手を正面から強撃するという戦いばかりを繰り返していた。
その結果、劉邦たちに兵糧を運ぶ手立てを絶たれ、それが敗北の決定的な要因になってしまった。

このように多様性を失った集団は、簡単に敵の策謀の前に堕ちてしまう。


項羽は人心を得られず、劉邦は人心を得たことで漢帝を敷くことができた、というのが楚漢戦争から学べる哲学の真髄だ。
どれだけ超人的な個人であっても、大きな志を成し遂げるには1人の才能では足りない。
それよりも超人的な10人の才能をまとめる1人のリーダーやマネージャーが必要なのだ。 





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2013/02/23

アメブロの成功は芸能人とSNS機能



サイバーエージェントという会社をご存知だろうか?日本で一番会員数の多いブログサービス、Amebaブログ、略してアメブロを提供しているベンチャー企業だ。
会員数はなんと2500万人に昇る。
単純計算で、日本人の5人に1人がアメーバユーザーという計算だ。

サイバーエージェントはネットベンチャーの中でも代表格で、アメブロを含むSNSサイト運営、ネット広告、ネットメディア事業などで1400億円の売上を上げている会社だ。
ブログ・SNS事業単体での売上も約250億円という大きな売上をあげている。
会社が設立されたのは98年で、まだ15年程度の若い会社だ。
アメブロが開始されたのは2004年で、まだ10年にも満たない。


アメブロがなぜ日本で一番多くのユーザーを獲得できたかというと、明確な2つの戦略によるものだと私は見ている。
どの業界でもシェアを獲得する戦略として参考になるので、アメブロの戦略を見てみよう。


圧倒的な芸能人ブログ数
アメブロのサイトを見ていただくとわかると思うが、芸能人ブログの数が他のブログサービスを圧倒している。
芸能人がファンと交流を持つ場として、最近はブログとTwitterが欠かせない場になってきている。
芸能人ブログはどのブログサービスを使っても構わないはずだが、なぜだが圧倒的にアメブロを利用している人が多いのだ。

なぜこんなにもアメブロには芸能人ブログがこれほどまでに多いのだろうか?
ちょっと調べてみても答えはわからなかったが、芸能人ブログというカテゴリを作り、ランキングを儲けて賑やかしていたり、芸能人ブログのコメント関しをアメーバが運営しているからかもしれない。
特にコメント管理はいわゆる炎上を防ぐために重要で、本来事務所が自分たちで行うか委託しなければいけないところをアメーバ運営が担当してくれるので、芸能人ブログとしてアメブロは使いやすいのだろう。

さて、ではなぜ芸能人ブロガーが多いことが一般ユーザーを2500万人も集める推進力になったのだろうか?
まず、アメブロに対する親近感が高まったということが上げられる。
アメブロに限らずどのブログサービスもそうだが、各ブログサービスはブログのレイアウトにそれぞれ特徴があり、アメブロで作ったブログはすぐにアメブロだと分かる。
(ちなみにBlogger.comはあまり癖がなくてニュートラルなデザインなので、私はBlogger.comを使ってます)
芸能人ブログに親近感を持った人たちがブログを始めようとした際に、アメブロを初めに候補に上がるのは不思議なことではない。

もう一つの理由として、ネットワーキング機能がある。


アメブロのネットワーキング機能
アメブロが会員を獲得するのに貢献したもう一つの要素が、アメーバで提供されているネットワーキング機能だ。
代表的なのが「ぺた」や「読者になる」という機能だ。

「ぺた」はアメブロ会員が、他のアメブロ会員のブログに足跡を残す機能で、あなたのブログを見ましたよ、という足あとを残す機能だ。
Facebookで言えば「Like」ボタンに近い。
「読者になる」ボタンはその名の通りで、そのブログの読者になる機能だ。
面白いのは、読者になるとその相手のブログに自分のユーザー名とブログ名が表示されるという機能だ。
読者になるというのは相手のブログが気に入ったという意思表示でありながら、相手のブログから読者を自分のブログへ誘導する手段になるという2面性を持っている。

これら「ぺた」や「読者になる」機能により、閲覧しているユーザーにもブログへ参加する方法と動機を授けた。
そしてブログライターからすれば反応があれば面白くなってくるので、より充実したコンテンツを作ろうという好循環に入る。


このように、アメブロは芸能人ブログという視聴者を惹きつけるコンテンツを獲得するために全力を傾けた。
そして、アメブロに寄ってきたユーザーをアメブロに定住させるためにネットワーキング機能を設けた。
アメブロが成功した理由はこの程度の当たり前といえば当たり前の事を行ったことによる。
しかし、この単純な「当たり前」をブログ黎明期に見抜き、徹底することによってナンバーワンの地位を築いたのだ。






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2013/02/22

異業種間アライアンスの勃興


アライアンスビジネス。
他の事業会社とともに一つのサービスや商品を提供する共同事業を意味する。
はるか太古の昔からアライアンスという考え方はあったが、最近その意味合いが急激に進化し、またアライアンスの重要性も急激に増してきている


最近のアライアンスの変化というのは、全く業界や事業内容が違う会社同士のアライアンスが急激に増えていることだ。

以前は、一つの業界やバリューチェーンの中で違う役割をもつ会社が共同事業を行うことが大半だった。
例えば、ソフトウェア受託開発のビジネスであれば、顧客を持っている大手ソフトウェア開発会社が顧客との折衝を行い、開発要件をまとめ、設計書を作る。
その開発は下請けのソフトウェア開発メーカーやさらにその下請けのメーカーに委託される。
これら複数の企業がコラボして、最終製品を作り上げていた。

ところが最近のアライアンスでは、異業種でもともと全くつながりのないビジネスどうしがアライアンスを組み、新しいバリューを提供しようというケースが多いのだ。

例えば市進ホールディングスは学研ホールディングスとコラボして塾を通所介護事業を始めた。
市進といえば、中学・高校受験向けの学習塾大手だ。
学習塾は子供の減少により構造的な市場の縮小に喘いでいる。
規模の縮小に伴い空き教室も出てきたので、 不動産や人材というアセットを有効活用するために、通所介護ビジネスのフランチャイズ経営をしている学研ホールディングスとアライアンスを組んだ。

駅前で靴磨き・修理の小型店をチェーン展開しているミスターミニットは佐川急便とアライアンスを組み、宅配靴修理サービスを始めた。
利用者が靴修理を申し込むと、佐川急便が利用者宅まで引き取り、佐川急便倉庫内のリペアセンターでミスターミニットが修理し、佐川急便が利用者宅まで返送するというサービスだ。
ブーツなどの大型の靴や、複数の靴をまとめて修理したいユーザーに受けているようだ。

タワーレコードとセブンイレブンがコラボレーションし、タワレコのネットショップの支払いと商品受け取りをセブンイレブンで行えるようになった。
セブンイレブンの流通網とタワレコの商品力を生かしたコラボレーションで、ネットショッピングに不安を感じている人でも対面での支払い・受け取りなので安心できるというメリットがある。


これら3つの事例のように、異業種間でアライアンスを組んで新しいサービスや商品を生み出す事例が増えている。
これまでは大企業はすべて自前主義で必要な部署や機能をそろえ、満を持して新しい商品やサービスを開発することが多かった。
これからは事業運営の中に、必ずアライアンスという要素が入ってくることになるだろう。
そうすると、今後アライアンスパートナーを仲介するような新たなビジネスやプロフェッションが生まれてくるのかもしれない。




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photo credit: Drewski2112 via photopin cc

2013/02/21

不動産仲介業という特殊なビジネスモデル

確定申告の時期ということで所有物件の申告をしなければいけなかったり、引越しを考えているので物件探しをしたりと、なにかと不動産に縁のあるこのごろ。
不動産業界というのは全体的に特殊なビジネスだし、業界の雰囲気も独特だと感じさせられる。

不動産業界の何が特殊かというと、建売や不動産を所有する会社もあるが、市場参加者の多くが個人であり、個人の資産である不動産を中心とした業界であるということだ。

不動産業界の中でも特に特殊な存在だと私が感じるのは、仲介業者だ。
不動産仲介業者には売買の仲介と、賃貸の仲介がある。
仲介業者のビジネスモデルは、買主と売主、あるいは貸主と借主の間で不動産の売買や賃貸契約の成立を仲立ちするビジネスだ。
物件は買主の物なので、何か付加価値を高めるような企業活動は行わない。
つまり、自分たちで商品を生産することもなければ、人的リソースを投入して付加価値をつけることもない。
シンプルに物件という他人の資産の売買または貸借を仲介することで生計をたてるいわゆるブローカーだ。

不動産業界の特殊性は、その業界にいる人達もよく口にする。
しかし、それでも不動産業、その中の一例としての仲介業でも、ビジネス全体の一部に光を当てると、意外と似通っている業界は多いのだ。


他人の資産の売買を仲介するブローカーという視点で見ると、実は証券会社に似ていることが分かる。
上場企業の証券という資産を売りたい人と買いたい人の間をとりもち、そこに手数料を課すことで事業を成立させている。
扱える証券、または物件はどこの業者でも基本的に一緒なので、扱っている商品以外で差別化を図らなければならない。
それが証券会社の場合はアナリストのレポートだったり、証券を売買するためのウェブツールの使い勝手だったりする。
不動産仲介業者としては、証券会社が行なってきた企業努力を参考事例として自社の差別化に活かすことが出来るだろう。


さらに、少し視点を変えてみると、不動産仲介業はお見合いサイトや結婚仲介業のようなマッチングビジネスと共通する部分も多い。
賃貸マンションを探している人は、人それぞれ違ったニーズを持っており、物件もそれぞれ違った価値を持っている。
仲介業者の腕の見せ所は、顧客の本質的なニーズを引き出して、それにマッチする物件を紹介することだ。
物件を結婚相手に変えれば、全く結婚仲介業と同じであることが分かるだろう。


「個人や企業が所有している不動産という資産を売主と買主の間で、または貸主と借主の間を仲介する事業」という定義をしてしまえば、不動産仲介業は唯一無二の特殊な業界になってしまう。
しかし、一般化・抽象化して思考の次数を上げて考えると、実は似たような業界は少なくない。
自分の会社が属する業界が特殊だと思ってしまうと、そのたこつぼのような業界から抜け出す事業モデルの発想は難しい。
次数を上げて共通点のある他の業界を見出し、参考にすることによってイノベーションが起こせる可能性がある。
特に、不動産仲介業のようにビジネスモデルが長い間進化していない業界にこそチャンスが有る。






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photo credit: Neil Kremer via photopin cc

2013/02/20

社団法人「移住・住みかえ支援機構」のビジネスモデル



ついつい人に話したくなるようなおもしろいビジネスモデルを見つけたので、ついつい紹介してしまおう。
そのビジネスモデルの持ち主は、社団法人「移住・住みかえ支援機構」という一般社団法人だ。
簡単に言うと、マイホームを貸したい人からマイホームを借り上げ、借りたい人に貸し出すというもので、普通の賃貸と一見変わらない。
ではその詳細を見てみよう。


ビジネスモデル解説
まず、移住・住みかえ支援機構(JTI)のビジネスには、貸主、借主、JTIの3つの登場人物がいる。
貸主は、原則として50歳移譲で持ち家を持っている人。
貸主が退職や移住のため今の自宅を引き払って別の場所に住まおうとしたとき、普通は持ち家を売却することになる。
何十年も経った一軒家は土地の値段しかつかないことが多く賃貸するのもなかなか大変だが、JTIは住宅をなんと終身で借上げて、しかも借りたい人が居なくて空き家の状態でも最低賃料を支払ってくれるという。

そんなに貸主に有利すぎる話はどうもおかしい、貸主へ支払う賃借料が不当なほど安いんじゃないの?と勘ぐりたくなる。
貸し出すときの家賃は周辺相場の8〜9割ということなので、恐らく相場の5〜7割を貸主に還元しているのだろう。
空き家状態でも査定された賃料の85%が支払われる。
もちろん貸主としてはJTIを通さずに貸したほうが収益は高いが、やはり客付けできなくても賃料が支払われるというところに魅力があるのだろう。

なお、借主にもメリットがあり、まず敷金がない。
それにある程度DIYで壁紙の変更などもできてしまうということで、借り家ながら自宅のように使える。
それでいて周辺相場より10〜20%安いということなので、マイホームを買う資金は無いが子育て中で広い家が欲しい若い家族なんかには大いにメリットがありそうだ。


なぜ家賃保証ができる?
集客できなくても賃料が支払われるからくりはどこにあるのだろうか?
ホームページの説明によると、もちろん借主からの賃借料と貸主への賃借料の差額による営業収益が本丸だが、高齢者住宅財団の基金や協賛事業者からの基金がバックにある。
事業収益と国や事業者からのバックアップで安定した運営が可能になっている。


国の基金の裏付けでシニアでもローンが組める
財団法人の基金という国の後ろ盾があることにより、JTIにマイホームを貸している貸主はひとつ大きなメリットがある。
それは、賃料収入を担保にして定年後のシニアでもローンが組めるということだ。
土地が安い場所では特に持ち家の担保価値が低くなるので、賃借料を担保にしたほうが大きなローンを組めるだろう。

やはりというかなんというか、JTIと提携して賃借料を担保にローンを貸し出しているのは、リテール向けの商品開発で有名なスルガ銀行だけだそうだ。


JTIのビジネスモデルはいかがだっただろうか。
事業モデルは家賃保証会社に似ているが、国の基金をバックにつけて貸主に家賃保証以外のベネフィットを提供したところにこのビジネスモデルのツボがある。
あまり利益を追求していない公共性の高いビジネスなのだろうが、高齢化によってこれから増えるであろう誰も住まない高級住宅問題を解決する、社会的意義のあるビジネスだ。





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2013/02/19

企業と個人の文化摩擦を起こさないために

私事ですが、転職に成功しました。
このブログのタイトルの通り、毎日ビジネスアイディアを世の中に生み出すがごとく新しい事業の立ち上げに携わりたいという思いから、新規事業開発で名のある企業に転職しました。

現職に対する不満はゼロではないけれど、自分の目指すものにさらに一歩近づくための転職だった。
条件面でも申し分の無い、このご時世にまことありがたい話だ。

それはさておき、私の現職の会社はもともと外資系で、内資系企業に買収された。
私は一つの会社にありながら外資と内資の会社を経験するという、結構稀有な環境にあった。
そんな中で、私は国内企業のカルチャーに馴染めないのもあってこの会社を後にする。

馴染めないと言っておきながらこんなことを述べるのはなんだが、内資と外資は決して相反する概念ということではない。
ある価値観のものさしの上での「傾向」や「偏り」に過ぎず、白黒、イチゼロのようにデジタルに分けられるものではない。
内資の企業でも、数値で個人成績を評価して信賞必罰を徹底している所があれば、外資でも数値目標よりプロセス目標や質的な目標達成を重点的に評価する企業もある。
内資だ外資だと単純に分けられたものではない。

もしもあなたが就職活動や転職活動にあって、内資と外資のどちらが自分に向いているのか、あるいはどのような企業文化が向いているのかに悩んでいるなら、一言アドバイスをしたい。
ちなみに、私のアドバイスは最小限の労力で最大限の利益を得たい人たちには参考にならないと思う。
経済的にも社会的にもインパクトの高い事業に携わり、社会に貢献したいという人には多少の指針になるだろう(と願っている)。


私の考えでは、会社と自分のマッチングで一番重要な指針は、「マネージャーがどれだけ部下に責任を与えるか」だ。

一般的に言って、エネルギッシュで若いうちから責任のある仕事を任されて成長したいという人は、ガンガン部下に責任を移譲する企業文化が向いているだろう。
少しチャレンジングな仕事でも部下に任せてチャンスを与え、上手くいけば手柄を認めてくれるし、失敗してもマネージャーがしっかり骨を拾ってくれる企業がいい。
こうしたカルチャーは外資系や創業から〜10年や20年程度で社員の平均年齢の若い内資に多いだろう。

このタイプの人は、こうなりたいという将来像や野心を持っていて、何か難しい仕事を任された時の心の中で「なんで俺が!」ではなくて「なんだこれ、面白そうじゃん!」という第一声を上げる人だ。


一方で、しっかりした研修環境の中、与えられたことをきちっとこなしたいという考えの人は、新入社員研修に数ヶ月を割り当てるような会社を見つけると良いだろう。
研修プログラムがしっかり組まれ、ジョブディスクリプションが明確で、求められた範囲で結果を出せば評価される。

しかし、減点主義で失敗には厳しいので、上司の傘に隠れて裏方に徹することができる人が向いている。
こうした会社にフィットすれば、それなりの給与を得てワークライフバランスの取れた生活ができるだろう。

会社を評価する軸は、上記であげたような権限と責任の委譲以外にもいろいろあると思うが、私としてはこの軸で企業をジャッジすると、その企業の他の価値観もあらかた想像がつく。


就職や転職に失敗しないために企業と自分の間で文化摩擦を起こさないことは重要だ。
これから就職活動や転職活動を行う人は、自分の考えや特性をよく棚卸しして、自分とフィットするカルチャーを持つ企業を探すべきだ。
給与などの条件面はあとからついてくることがあっても、企業文化はそうそう変わらない。
買収されてからも3年くらいはなかなか変わらないものだ。

そして最終的には、直属のマネージャーの影響がとても大きいことは間違いない。
もし就職先・転職先の直属のマネージャーがわかるなら面談でその人の人柄をよく見ておくこと。
正しい価値観を持っている人であることを見極めよう。



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2013/02/17

B to B電子商取引プラットフォームのビジネスチャンス



インターネットが普及する以前は、新しいテクノロジーはまずB to Bで利用され、進化してからB to Cに広まることが多かった。
しかし、最近ではこの傾向が逆転し、新たなテクノロジーはまず厳しいB to Cマーケットの荒波に揉まれてからB to Bマーケットに逆輸入されることが多くなった。

例えば、かつてPCやプリンタはエンタープライズ領域でのみ使用されるデバイスであったが、ローコスト化と小型化が進んだことによってようやくコンシューマーマーケットに入ってくることができた。
しかし、電子商取引(EC)やクラウドサービス、SNSのようなテクノロジーは、逆にコンシューマー向けに普及するのを見て、ビジネス領域でも応用できないかという企業の試みによってエンタープライズマーケットへ到達した。


コンシューマーからビジネスへ広がったテクノロジーの中でも、ECがコンシューマー領域で先に普及したのは意外性があると思う。
なぜなら、企業における商取引では売買契約書や発注書、発注受書、納品書や検収書など、ひとつの取引に絡むドキュメントが個人との取引よりも圧倒的に多い。
しかも、取引証憑は7年間の保存義務を有する。
つまり、B to B商取引の方が電子化するメリットが大きいのだから、先に普及するのが当然なはずなのだ。


企業間取引でEC化が遅れた理由
なぜB to B商取引の電子化が遅れたのだろうか?
法律の整備が遅れたせいかというと、決してそういうわけでもない。
電子証憑の保管を認可したe-文書法は、98年に施行されていた。

e-文書法が施行されると、印刷周辺業界などは大いに色めき立った。
電子商取引が普及してしまえば、プリンターやプリンタ用紙の需要が大きく減ることが想定される。
倉庫業やマイクロフィルム業も影響は大きい。
だから大手プリンタメーカーなどは、早い段階からe-文書法に対応した製品やソリューションの開発に着手していた。
しかし、それでも2013年になった今でさえ電子証憑の普及はその戸口にある状態だ。


未だに企業間取引の電子化が進まない理由の一つは、電子化を推進してきた企業(特に電子化に移行することで売上が減ることを恐れた印刷関連企業)は、文書を電子化することばかり考え、取引そのものを電子化すること意識が向いていなかったからだろう。
文書の電子化ソリューションを推進する企業はERPとの連携などの付加価値を追加することに腐心した。
つまり、経理部門や購買部門に使いやすいソリューションを目指したのだ。

しかし、紙ベースで取引を行い、その紙を電子化して保存するだけではメリットがないと多くの企業は判断しているようだ。
郵送やFAX送信などの面倒な作業が残ってしまう上に、帳票を電子化するという新たな作業が増えるだけだ。

企業間商取引を電子化するためには、帳票を電子化するだけでなく取引をひと通りすべて電子化することが求められるということだ。


もう一つの理由として、前回のポストでも述べたが、各企業が自社独自のECプラットフォームを作ってしまうと、取引先は相手企業のプラットフォームの数だけ異なるオペレーションが発生してしまう面倒な事態になる。
だから、飲食業におけるインフォマートのように、その業界の中では標準として認められている共通プラットフォームが求められるのだ。
ECプラットフォームが普及する条件が業界の標準として認められていること、というのは鶏が先か卵が先か状態だが、プラットフォーム提供企業はこの難題を解決しなければならない。

さらに、インフォマートの「ASPメニュー管理システム」のように直接商取引とは関係ないが、ユーザー企業がそのプラットフォームへの依存度を高めるような利便性の高い機能を持っていることが重要だ。



まだまだ紙での情報伝達がメインな業界として不動産業界を取り上げてみたい。
不動産業ではB to BとB to C両方の側面がある。

個人向け賃貸ではSuumoやアットホームなどのポータルサイトのおかげで電子化が進んでいる。
北海道から上京してくる人もわざわざ現地の不動産屋に行かずとも物件探しが簡単にできるようになった。

しかし、不動産企業間のやり取りは未だに紙ベース、FAXベースが多い。
賃貸物件の仲介では、他の業者の管理物件を紹介することがあるが、空き室情報や現時点での申し込み状況などの細かい情報は管理業者だけが持っていて、紹介業者は都度電話で確認することになる。
さらに、他業者管理物件だと内覧の承諾をとるためにわざわざ内覧依頼書をFAX送信しているのだ。
印刷コストも通信費も無駄が多い状況だ。

物件の情報だけでなく、入居情報や申込状況、内覧の申し込みもすべて一つのシステムで利用できるようなプラットフォームがあれば、きっと不動産業界での電子商取引も普及するだろう。
逆に、受発注だけを電子化するシステムでは、その他の紙ベース業務がそのまま残ってしまう。
すると、不動産業者は導入のメリットを感じず、普及しない可能性が高い。


このように、業態・業種に特化したECプラットフォームは大きなビジネスチャンスがある。
ただ、普及するためには帳票を電子化する、受発注を電子化する、というパーツパーツでの提供ではユーザー企業の指示を得られない。
ユーザー企業がそのシステムを使うことによって商取引プラスアルファの付加価値が得られるシステムならば支持を得られるだろう。




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2013/02/16

顧客のニーズを徹底的に捉えるインフォマートのビジネス



インフォマートはB to B企業間の電子商取引プラットフォーム事業を展開している。

企業間の取引は、かつては受発注書や検収書を郵送したりFAXするのが主な方法だったが、最近ではメールやインターネットを使った専用プラットフォームを使うケースも多くなってきた。
しかし、専用プラットフォームというのはAmazonや楽天に近い操作感のB to B用のECショップのようなものだ。
専用プラットフォームはソフトバンクBBや大塚商会のような多くの流通業者が提供している。
こうした専用プラットフォームが不便なのは、もし売り手企業が用意したプラットフォームを使うとすると、買い手企業は受発注業務のパターンが取引先の数だけ増えていき、購買部門や経理部門の負担が増していくことになる。

発想を転換すると、相手がどの企業でも利用できる共通商取引プラットフォームがあれば、受発注業務が飛躍的に効率化できる。
この発想は特に欧米で支持を受けていて、SAPグループのAribaなどが有名だ。
インフォマートはこのB to B電子商取引プラットフォームを国内飲食業界向けに提供している。


インフォマートが受け入れられた理由
電子商取引プラットフォームの提供は明らかにメリットがあるので、顧客に受け入れられて当然のようにも見えるが、そんなに簡単なことではない。
タイムリーで正確な受発注は飲食業にとっては非常に重要なことなので新しい受発注の方式を受け入れるのは不安があるだろうし、買い手でも売り手でもない第三者が提供することに対する抵抗もあるだろう。
それでもインフォマートが支持を得られた理由には、徹底的に顧客の利便性を追求した点にある。

最近インフォマートが開始した新しいサービスを例に見てみよう。
従来のサービスではインフォマートの電子商取引プラットフォームを利用すると、食材の受発注とその食材の原産地やアレルギー情報も自動的に取得できる仕組みだった。
顧客である店舗から食材単位だけではなくて、その食材を使用しているメニュー単位で原価やアレルギー情報を知ることができたらいいのに、という声に答えて新たに追加されたサービスだ。

日経MJ 2013/2/13 P.15−−−−−−−−−−−−−−−−
インフォマートが1月から飲食店を対象に始めた新サービス「ASPメニュー管理システム」が好評だ。料理の原価や原産国情報などを食材単位ではなくメニューごとに管理・更新する。入力や更新も手間がかからず、業務効率化につながるという。導入企業は50社を超えた。

飲食店では飽きられないために頻繁なメニューの見直しを迫られている。だが、中小規模では原価や原産国、アレルギー情報などの細かな管理は手間と人件費がかさみ、手が回らないという例は珍しくない。

使い方は簡単だ。最初に料理ごとに使う食材と分量を登録しておけば、原価を自動的に算出し、アレルギー情報なども示される。仕入れ発注するたびにメーカーから提供される価格変動などの最新情報が反映され、飲食店側は更新の手間がかからない。

調理工程を管理しやすくなるメリットもある。中小店では「料理長が口頭で説明しても、他の料理人がうまく料理を作れないという店も珍しくない」(同社)。ASPメニュー管理システムは、料理の調理手順を写真付きで登録することもできる。料理人による調理方法や盛り付けのばらつきがなくなり、料理の質が安定すれば、顧客サービスの向上にもつながる。
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インフォマートの電子商取引を使用していた飲食店は、始めはそれだけで満足していたが、結局メニューごとの原価計算は手で仕分けしなければならないという課題を抱えていた。
飲食店側がインフォマートに相談を持ちかけ、この課題に対する解決策となるサービスをインフォマートは形にしたのだ。

インフォマートはターゲットを飲食業界に定め、飲食業の店舗とサプライヤーの課題にひたすらに答えてきた。
その結果飲食業界の電子商取引で3万社以上の顧客を獲得している。


新規性商品と成熟商品:ブランディングの違い
インフォマートの例を見ると、あるマーケットにとってまだ新しい商品カテゴリーでは、まずは顧客の要求に応えて支持を得ることが重要であることが分かる。
認知を得るための多少の広告宣伝は必要だが、自社商品のポジショニングを気にかける必要はない。

前回までのポストではヤンミ・ムン教授の著書を元に、成熟商品カテゴリーではその他大勢から浮かび上がらせるブランディングの必要性を説いた。


しかし、あくまでもこれは成熟商品カテゴリーでのポジショニングの話であり、新規性のある商品では別の話だ。
例えば新規性のある商品がホスタイルブランディングをしてしまったら、誰も手に取らない商品になってしまうだろう。
新規性のある商品の場合は奇異なブランディング戦略を使わずに、顧客の課題解決に集中しよう。




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2013/02/15

成熟カテゴリーから脱出するためのマーケティング2


成熟してしまった商品カテゴリーの中で、自社製品を輝かせるにはどうしたらいいのだろう?
そんな問いに答える3つのブランディング戦略のうち、一つが「リバースブランド」だということは前回のポストで説明した。



リバースブランドとは、通常その商品カテゴリーの中では当然消費者に提供されている機能や価値を当たり前のように除去し、代わりに消費者が期待してもいなかった価値をたっぷり提供するブランドのことだ。
IKEAはその代表格だ。
配送もしない(しても高い)、組立も自分でしなければいけない、組立も簡単じゃない。
しかし、北欧の洗練されたデザインファニチャーが驚くほど安い価格で手に入る。
ちょっと高価なソファを買う値段で、センスのいいリビングファニチャー一式が揃ってしまうのだ。


今日は残りの2つのブランディング戦略を見て行きたい。
もちろんこの理論はハーバード・ビジネススクール教授のヤンミ・ムン氏の著書「ビジネスで一番、大切なこと」で解説されていることの焼き直しなので、興味を持ったのなら是非原典を読んでほしい。


ブレークアウェーブランド
ブレークアウェーブランドは、その名前からはちょっとどういうものか想像しにくい。
単刀直入に説明すると、本来の商品カテゴリーとはことなる枠組みを消費者へ提示し、消費者に違う商品として認識してもらうブランディングだ。
余計分かりにくくなっただろうか?

実例と共に考えると分かりやすい。
原書でも使われているAIBOの例だ。
AIBOとはなんだろう?ロボット?ペット?おもちゃ?人間が越えてはいけない禁忌の壁?
恐らくほとんどの人が犬型ペットロボットだと答えるだろう。

ではロボットにはどんなイメージがあるだろうか?
主人の依頼に対して忠実に、確実に役目を果たす万能機械のイメージではないだろうか。
少なくとも、そのロボットが有している機能の範囲では、いつも100点の結果を出してくれるという期待を持つだろう。

ところがAIBOの人工知能は発売当時はまだまだ未熟で、想定とは違う反応を示したり、全く反応を示さなかったりもした。
これは「ロボット」としては致命的な欠格で、リコールして回収するレベルかもしれない。

しかし、AIBOを買った人たちの反応はどうだっただろうか?
彼らはまるで本物の「ペット」を相手にするように、想定と違う反応を返すAIBOを気まぐれだと思ったり、反応を示さないことに対して今は機嫌が良くないんだと言って、顔をほころばせた。
本当の犬を見るようなやさしい目で。


これがブレークアウェーブランドの威力だ。
消費者に、本来とは違う別のカテゴリーだと思わせて、得意な商品だと認識させる。
あるいは消費者の頭のなかに新しい部屋を作り、新しいカテゴリーだと認識させる。
ブレークアウェーブランドに成功した商品は、そのカテゴリーの中で唯一の商品になるのだ。


時計という成熟したカテゴリーからファッションというカテゴリーに移住したスウォッチもブレークアウェーブランドだ。
1983年に発売されてから現在まで、自ら切り開いたファッションウォッチというカテゴリーに君臨し続けている。
ブレークアウェーブランド戦略はこれだけ大きな成功を遂げる可能性を秘めている。


ホスタイルブランド
ホスタイルは英語で「hostile」とつづり、敵意のある、とか敵対する、という意味を持つ。
ホスタイルブランドはその意味の通り、良くも悪くも(ほとんどの場合は悪い)消費者に対して激しい感情を引き起こさせ、自社製品に消費者の目を向けさせる手法だ。

分かりやすい例をあげると、イタリアのファッションブランド、ベネトンだ。
ベネトンはブランド広告のクリエイティブに骸骨を持った兵士やエイズ患者の写真を使うなど、ショッキングな映像と自社のブランドを紐付ける広告活動をしてきた。
最近の例だとこんなのがある↓↓↓

商品があふれ、商品の数だけ広告にあふれている現代では、まずは消費者の意識に上り、さらに記憶してもらうということがとてつもなく難しくなっている。
消費者の要求に応えれば応えるほど他の競合製品との差別化要因が失われ、結果的に消費者から忘れ去られていくという皮肉な状態だ。

そんな中では、まずトゲトゲしい敵意のある感情でも構わないから、まずは消費者に強い感情を引き起こそうというのがホスタイルブランドの戦略だ。
もちろんただ単純にショッキングであればいいという訳ではない。
ベネトンの広告はある種の政治的なメッセージも含まれているが、それはその広告を見ても(むしろ、そんな広告だからこそ)ベネトンを着たいというリベラルな人を顧客としたいからだ。
ショッキングな広告のメッセージに賛同してくれる人がベネトンが求める顧客なのだ。


Appleもホスタイルブランドの代表格だ。
iPhoneのホームボタンは何時までたっても一つだし、NFCも搭載されない。
マウスのボタンも何時までたっても一つだ。
Appleの製品に説明書なんて入ってないし、初心者ガイドなんて期待すべくもない。
それでもAppleが使いたい人が使えばいいという明確なスタンスは、傲慢だけれども最高にクールだ。
Appleユーザーどうしでは、「分かってるね」という何か言い知れない連帯感を感じるのだ。



成熟してきた商品カテゴリーから抜きん出るための3つのブランディング戦略について解説してきた。
無論、成熟カテゴリーから抜け出す方法が3つしかないと言っているわけではない。
しかし、自社の製品をなんとか差別化したいという悩みがあるならば、これらの方法を検討してほしい。



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