2013/02/17

B to B電子商取引プラットフォームのビジネスチャンス



インターネットが普及する以前は、新しいテクノロジーはまずB to Bで利用され、進化してからB to Cに広まることが多かった。
しかし、最近ではこの傾向が逆転し、新たなテクノロジーはまず厳しいB to Cマーケットの荒波に揉まれてからB to Bマーケットに逆輸入されることが多くなった。

例えば、かつてPCやプリンタはエンタープライズ領域でのみ使用されるデバイスであったが、ローコスト化と小型化が進んだことによってようやくコンシューマーマーケットに入ってくることができた。
しかし、電子商取引(EC)やクラウドサービス、SNSのようなテクノロジーは、逆にコンシューマー向けに普及するのを見て、ビジネス領域でも応用できないかという企業の試みによってエンタープライズマーケットへ到達した。


コンシューマーからビジネスへ広がったテクノロジーの中でも、ECがコンシューマー領域で先に普及したのは意外性があると思う。
なぜなら、企業における商取引では売買契約書や発注書、発注受書、納品書や検収書など、ひとつの取引に絡むドキュメントが個人との取引よりも圧倒的に多い。
しかも、取引証憑は7年間の保存義務を有する。
つまり、B to B商取引の方が電子化するメリットが大きいのだから、先に普及するのが当然なはずなのだ。


企業間取引でEC化が遅れた理由
なぜB to B商取引の電子化が遅れたのだろうか?
法律の整備が遅れたせいかというと、決してそういうわけでもない。
電子証憑の保管を認可したe-文書法は、98年に施行されていた。

e-文書法が施行されると、印刷周辺業界などは大いに色めき立った。
電子商取引が普及してしまえば、プリンターやプリンタ用紙の需要が大きく減ることが想定される。
倉庫業やマイクロフィルム業も影響は大きい。
だから大手プリンタメーカーなどは、早い段階からe-文書法に対応した製品やソリューションの開発に着手していた。
しかし、それでも2013年になった今でさえ電子証憑の普及はその戸口にある状態だ。


未だに企業間取引の電子化が進まない理由の一つは、電子化を推進してきた企業(特に電子化に移行することで売上が減ることを恐れた印刷関連企業)は、文書を電子化することばかり考え、取引そのものを電子化すること意識が向いていなかったからだろう。
文書の電子化ソリューションを推進する企業はERPとの連携などの付加価値を追加することに腐心した。
つまり、経理部門や購買部門に使いやすいソリューションを目指したのだ。

しかし、紙ベースで取引を行い、その紙を電子化して保存するだけではメリットがないと多くの企業は判断しているようだ。
郵送やFAX送信などの面倒な作業が残ってしまう上に、帳票を電子化するという新たな作業が増えるだけだ。

企業間商取引を電子化するためには、帳票を電子化するだけでなく取引をひと通りすべて電子化することが求められるということだ。


もう一つの理由として、前回のポストでも述べたが、各企業が自社独自のECプラットフォームを作ってしまうと、取引先は相手企業のプラットフォームの数だけ異なるオペレーションが発生してしまう面倒な事態になる。
だから、飲食業におけるインフォマートのように、その業界の中では標準として認められている共通プラットフォームが求められるのだ。
ECプラットフォームが普及する条件が業界の標準として認められていること、というのは鶏が先か卵が先か状態だが、プラットフォーム提供企業はこの難題を解決しなければならない。

さらに、インフォマートの「ASPメニュー管理システム」のように直接商取引とは関係ないが、ユーザー企業がそのプラットフォームへの依存度を高めるような利便性の高い機能を持っていることが重要だ。



まだまだ紙での情報伝達がメインな業界として不動産業界を取り上げてみたい。
不動産業ではB to BとB to C両方の側面がある。

個人向け賃貸ではSuumoやアットホームなどのポータルサイトのおかげで電子化が進んでいる。
北海道から上京してくる人もわざわざ現地の不動産屋に行かずとも物件探しが簡単にできるようになった。

しかし、不動産企業間のやり取りは未だに紙ベース、FAXベースが多い。
賃貸物件の仲介では、他の業者の管理物件を紹介することがあるが、空き室情報や現時点での申し込み状況などの細かい情報は管理業者だけが持っていて、紹介業者は都度電話で確認することになる。
さらに、他業者管理物件だと内覧の承諾をとるためにわざわざ内覧依頼書をFAX送信しているのだ。
印刷コストも通信費も無駄が多い状況だ。

物件の情報だけでなく、入居情報や申込状況、内覧の申し込みもすべて一つのシステムで利用できるようなプラットフォームがあれば、きっと不動産業界での電子商取引も普及するだろう。
逆に、受発注だけを電子化するシステムでは、その他の紙ベース業務がそのまま残ってしまう。
すると、不動産業者は導入のメリットを感じず、普及しない可能性が高い。


このように、業態・業種に特化したECプラットフォームは大きなビジネスチャンスがある。
ただ、普及するためには帳票を電子化する、受発注を電子化する、というパーツパーツでの提供ではユーザー企業の指示を得られない。
ユーザー企業がそのシステムを使うことによって商取引プラスアルファの付加価値が得られるシステムならば支持を得られるだろう。




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photo credit: alles-schlumpf via photopin cc

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