2013/02/13

歴史的人物に学ぶ起業家の資質



人はなぜ歴史上の人物に起業家の資質を学ぼうとするのだろう。
ビジネス書をよく読む方はお分かりだと思うが、歴史で名を馳せた人物に起業家としての資質のヒントを得ようとする試みは多い。
最近の例で言えば、ソフトバンク創業者の孫正義氏が坂本龍馬に学び、平成の坂本龍馬たらんと過去の英雄を自らのロールモデルにしている。

歴史上の人物に学ぼうとすること自体は今に始まったことじゃない。
歴史に名を残した人物が、さらにそれ以前の歴史に学んで事を成した人たちも多い。
それだけ、歴史に学ぶということは競争や人心掌握、事業の成功といった野心的な目標を達成するための秘訣を学ぶのに効率がいいのだろう。


例に習って、いく人かの歴史的人物を取り合えて起業家に必要な資質を考えてみよう。


項羽と劉邦

三国志以前の楚漢戦争で活躍した2人の武将だ。
両名とも楚と漢という帝国を作り上げた歴史に名だたる武将だが、それぞれの成功パターンは全く異なる。

項羽は自分の能力でのし上がってきたタイプだ。
自分の能力を過信して余りある実力の持ち主で、周りがその能力に惹かれてついてきた。
しかし、項羽は自分の武力を信ずるあまり、知略を練ることの重要性を軽視し、また部下を正当に評価して遇してやらなかったために人心が離れていったため自らの死を招いた。

項羽タイプはまさに自分の力でどんどん会社を大きくするイケイケドンドンな起業家だが、ビジネスモデルに継続性がなく、周りに敵を作り自滅してしまう危険性を示唆している。
起業家でないにせよ、自分がこのタイプに当てはまると思うのならば、知略に思いを巡らせ、周囲の人々に対してフェアであるか自問したほうがいいだろう。

劉邦は全く逆のタイプだ。
これといった能力もなくただの田舎のゴロツキだったが、周りの人間が手を差し伸べずにはいられない愛嬌があり、周りの人々に助けられて漢帝にのし上がった。
ある意味中国版アンドリュー・カーネギーだ。
劉邦は蕭何という参謀によって打倒秦王朝のアイコンに祀り上げられた。
蕭何のような参謀がいなければ、決して名を残すことはなかっただろう。

劉邦が最終的に項羽を打ち破って漢帝国を流布したところを見ると、最終的に天下を取るのは周りを味方に付けた人物だということが分かる。
これは歴史上何度も繰り返されてきたパターンだ。
一気果敢に社会的インパクトのある変革を起こすのは項羽タイプの人間かもしれないが、より大きな歴史的うねりを創りだすのは劉邦のような周囲の力を使った人物なのだ。


坂本龍馬

坂本龍馬も周囲の人間に愛される愛嬌のあるタイプで、多くの助力者の力を得て大政奉還を成し遂げ、また日本を虎視眈々と狙う諸外国から日本の独立を守った。
一見劉邦と同じタイプに見えるが、同じ維新志士の誰よりも壮大な理想を持ち、その理想を実現するための戦略を持っていた。
そしてその戦略を実現するための知略も持っており、ただの祀り上げられるタイプではなかった。

孫正義氏も言っているが、坂本龍馬はビジョンを持つことと、それを実現するための明確なプランを持っていることの重要性をその生き様に示している。
ビジョナリーなだけでなく、冷静に状況を判断し(刀ではなく鉄砲と戦艦が必要)、そのための必要なものを考え抜き(維新志士の数よりも金)、実現方法を実行してきた(亀山社中の創業)。
現代のビジョナリーな名経営者タイプで、多くの起業家が目指すべきタイプと言える。


孫正義

まだ存命中の方であるし賛否両論があると思うが、間違いなく起業家として素晴らしい実績を残している。
そしてコンプレックスをバネにして「なにクソ根性」でのし上がってきた、ある種現代に特徴的なタイプの起業家だ。
孫正義氏は在日中国人の二世として日本で生まれ育ったため、幼少の頃から様々な差別に会い、決して恵まれた幼少期ではなかったようだ。
同氏だけでなく、貧しい生い立ちや差別などの経験をバネに一代で大成功する起業家が多い。

このタイプの起業家たちは、普通の生い立ちの人物では太刀打ち出来ない様なバイタリティを持っている。
特殊な経験に基づくキャラクターなので、一般人が真似をするには難しい。
あくまでも一般的な家庭に生まれ、一般的な幼少期を過ごしてきた人物は孫正義氏よりももっと平凡な過程に生まれ育った偉大な経営者をロールモデルにしたほうが良い。


項羽と劉邦 (上) (新潮文庫) 竜馬がゆく (新装版) 文庫 全8巻 完結セット (文春文庫) あんぽん 孫正義伝





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