2013/02/14

複雑化しすぎた成熟商品カテゴリーに対する顧客の反応をセグメンテーションする


出展: マーケティングis.jp
ハーバードビジネススクール教授であるヤンミ・ムン氏の著書「ビジネスで一番大切なこと」を読んでいて、面白いコンセプトを見つけた。
イノベーター理論とキャズム理論はご存知だろうか?
恐らくマーケティングに従事する人手あれば聞いたことがあるだろうし、活用しているかもしれない。
参考: イノベーター理論とキャズム理論 (マーケティングis.jp)


イノベーター理論を簡単に言うと、消費者全体のうち新しいテクノロジーや商品カテゴリーに対してすぐ手に入れたがる人から最後の最後まで手を出さない人まで、5種類のカテゴリーの人種にまとめるという理論だ。
早く手を出す人から順に、イノベーター(消費者全体の内、2.5%を構成)、アーリーアダプター(同13.5%)、アーリーマジョリティ(同34.0%)、レイトマジョリティ(同34.0%)、ラガード(同16.0%)というラベルが貼られる。
イノベーター理論の生みの親、エベレット・M・ロジャース教授によると、イノベーターとアーリーアダプターに浸透した商品カテゴリー(=全体の16%に行き渡った商品カテゴリー)は一気にマジョリティ層に普及するという。
この理論を発展させたキャズム理論は、この16%からマジョリティの渡る間に大きな壁が存在し、この壁を乗り越えるためにはそれまでのマイノリティ相手とは異なるマジョリティ向けのマーケティングプランが必要だとした。


イノベーター理論とキャズム理論は詳しくは参考サイトに譲るとして、新たな商品カテゴリーの趨勢について論じたイノベーター理論に対してヤンミ・ムン教授は、機能の追加や多様性の追求で複雑化しすぎた商品カテゴリーが急激にブランド価値を失う現象について分かりやすい理論を提唱した。
その理論を見てみよう。


まず、特定の商品カテゴリーが多様化しすぎるということについて補足説明が必要だろう。
ある商品カテゴリーが生まれた当初は、消費者は1つか2つ程度の選択肢しか持っていない。

例えばアメリカでコカコーラが生まれた当初はコーラはコーラでしか無く、それ以外に選択肢はなかった
そこに最大のライバルとしてペプシ・コーラが生まれ、今では日本ではキリンビバレッジさえコーラを製造販売している。
他社だけでなく、コカコーラ社すらダイエットコークやゼロなど、コーラというカテゴリー内で自己増殖している。
しかも、カテゴリー内での細分化は年々加速度的に早くなってきている。
その結果、消費者は増えすぎた選択肢によってブランド価値を感じなくなり、選択に対する意欲を失いうことすらある。

カテゴリー内の過度な細分化の弊害については、かの有名なマーケター、フィリップ・コトラーも言及している。
コトラーは過度な細分化への対策として、水平思考による非連続的な選択肢の創造を提唱しているが、これは以前のポストを参考にしていただきたい。
→ コトラーのマーケティング思考法
→ フィリップ・コトラーのラテラルマーケティング実践編 1
→ フィリップ・コトラーのラテラルマーケティング実践編 2


ヤンミ・ムン氏の理論に戻ろう。
同氏によると、細分化された選択肢が増えすぎた商品カテゴリーに対し、消費者は5つのパターンの反応を示す。

1. 知識豊富な「カテゴリー通」
この分類に属する人々は、その商品カテゴリーそのものに愛着を感じているが、特定ブランドに対するコミットメントはない。
むしろ、いろいろなブランドを試すことによってカテゴリー全体への理解を深めようとする人々だ。
しばしば、その商品カテゴリーの初心者にとって羅針盤となる意見を持つ人々だ。

2. 目ざとい「買い物上手」
この分類の消費者は価格反応性が高く、とにかくその商品カテゴリーの中でコストパフォーマンスを最大化したいと思っている人々だ。
基本的に、その商品カテゴリーに対して一切愛情や愛着は持っていない。
しかし、実利を求めるためカテゴリー内での比較は怠らない。

3. 関心の薄い「現実主義者」
「現実主義者」の人々はブランド間の違いに一切興味を示さない。
彼らはカテゴリー内の違いに無関心であり、必要に迫られてその商品カテゴリーに関わっているに過ぎない。

4. いやいや関わる「不本意な人々」
この人々は、できるだけその商品カテゴリーに関わりたくないと考えている。
例えば、高所恐怖症で空の移動が極端に苦手な人がどの便で東京から札幌に行くか、ということを検討している状況だ
彼らはブランドを感じるどころか、本心ではカテゴリーごと否定したいと思っている。

5. 理屈抜きの「熱心な愛好家」
この分類の人々は、細分化しすぎた市場のなかでも唯一特定ブランドに対するロイヤルティを持っている人々だ。
彼らは商品カテゴリーのなかで新たなブランドが出ても揺らがず、おなじブランドから購入し続ける。
ある意味、多すぎる選択肢が人々をこのカテゴリーに押し込める事態もあるのかもしれない。


ヤンミ・ムン氏の理論によれば、成熟しきった賞品んカテゴリーにおいて、ブランド価値を感じてくれる人々はカテゴリー5の「熱心な愛好家」だけということになる。
これは普段の生活を考えても納得感のあるところだろう。

例えば、どれだけの人が、特定のブランドのシャンプーを使い続けるだろう?
何も考えずに惰性で「Tsubaki」を買い続けることはあるだろうが、それは関心の薄い「現実主義者」であって「熱心な愛好家」ではない。
自分が「熱心な愛好家」と思えるほどの商品カテゴリーは、あっても1つか2つという人がほとんどだろう。

あなたが成熟カテゴリーに属する商品を扱う企業のマーケーターや企画職ならば、これら5つのカテゴリーのどの人たちに対してアプローチしようとしているのかを明確にすべきだろう。
そうすればターゲットへのメッセージが明確になり、打ち手も的を射た物になりやすいはずだ。
ぜひ活用していただきたい。




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