2013/03/17

利益モデル1. 顧客ソリューション利益モデル その1


スライウォツキーの利益モデル、その1が「顧客ソリューション利益モデル」だ。
顧客ソリューション利益モデルとは、ただ製品やサービスを販売するのではなくソリューションを提供することにより、利益を生み出すというビジネスモデルだ。

ソリューションという言葉ほど、一人ひとりが異なる意味で使っているビジネスワードはない
多くの企業が「当社は最適なソリューションを提供します」と言いながら、ソリューションの意味が分かっているのだろうか?という場合がままある。
まずソリューションとはなんぞやということを考えてみたい。

コンテンツ

顧客ソリューション利益モデルについては、次の3つのパートに分けて説明してみたい。

  • ソリューションとは何なのか?
  • 顧客ソリューション利益モデルとは何か?
  • 顧客ソリューションモデルが適用できる業界・業種

ソリューションとは何なのか?

たまに勘違いされるのだが、ソリューションとは製品とサービスの組み合わせた商品という意味ではない。
たしかにソリューションは製品とサービスがセットで提供されることがほとんどだ。
だが、製品とサービスをパッケージ化することがソリューションなのではない。
お客様の問題解決をしようとした結果、製品とサービスの組み合わせが必要になってしまうのがソリューションだ。

また、ソリューションを単一の製品とサービスを組み合わせたパッケージ商品をソリューションと呼んでいるケースも見受けられるが、これも正しくない。
スライウォツキー氏の顧客ソリューション利益モデルの考え方では、ソリューションが企画型のパッケージ商品であることはありえない。
なぜなら、ソリューションは顧客ごとに異なる業務を徹底的に理解し、一社一社に最適な商品(ソリューション)を顧客ごとに構築することだからだ。


顧客ソリューション利益モデルとは何か?

顧客ソリューションモデルは言うまでもなく、ソリューションを提供することによって利益を享受するという利益モデルだ。
まず、一般的なビジネスモデルとの違いを、利益獲得の仕方の違いから説明しよう。

商品を調達して販売するという一般的な販売ビジネスでは、商品を1ユニット販売すると利益(限界利益)が発生する。
販売ビジネス全体の利益は販売した商品の利益率×販売した商品数という事になる。
期中に限界利益が積み重なり、固定費を超えた時点から経常利益が出始めるというモデルだ。



図を見ていただくと、利益曲線がリニアに増えていくのが分かる。
これは単純化しすぎた例ではあるが、商品の仕入れ販売ビジネスの利益の増え方はこの図の通りである。

ただし、仕入れ販売ビジネスの問題は、この利益曲線を作り出すのが難しいということにある。
単純な製品販売になると、よほど優れた製品でなければ差別化が難しく、競合製品との価格競争により思うように利益が出ないことがほとんどだ。
しかも、時間経過に従って利益率がどんどん落ちてくるのが現実なのだ。


顧客ソリューションモデルでは、顧客からの受注はいくつかのフェーズに分けられ、最初のフェーズでは赤字を出しつつも最終的に利益を回収するというビジネスモデルだ。
まずは新たな顧客との取引を始めるためのフロントエンド商品を販売する。
フロントエンド商品は顧客がためらわずに購入できるものでなければならず、その商品を利用するのに顧客が多大な労力を必要としないということと、利益率が薄くて構わないから商品と価格のバランスが競合製品よりも優れていることが条件だ。
取引が始まった新規顧客にソリューション営業を送り込み、顧客の課題を調べあげ、その課題を解決するソリューションを作りこむ。
前提として、自社のソリューションが課題を解決することで、顧客が自社に支払うコストよりも大きな改善が見込めることが最低条件だ。
この時点ではソリューションの作りこみに対して顧客へ対価を請求できないので、コストだけが積み上がっていくことになる。

最終的にバックエンド商品であるソリューションの契約を獲得すると、利益曲線が上向き始める。
ソリューションの価格はソリューションのパーツそれぞれのコストを束ねたより大きいものであることが条件だ。
また、一度そのソリューションを利用し始めることによって、顧客が容易に別のソリューションへスイッチできないので、安定的に利用料を得ることができる。
一方、最もコストが掛かるのはソリューション開発段階なので、限界費用が下がり、時間が経過するほど利益が積み重なることになる。



図の通り、顧客ソリューション利益モデルでは、ビジネス開始当初から利益曲線はマイナスの領域にあり、取引が増えて経過するほど利益率が改善して行く。
そして重要なのが、前に上げた仕入れ販売ビジネスと違ってこの利益曲線をキープしやすいということだ。
ソリューションは顧客個別のフルオーダーメイドなので、顧客は別のソリューションへ容易にスイッチすることができない。
フルオーダーメイドされたソリューションはあまりにしっかりとビジネスモデルの中に組み込まれていて、ソリューションの変更には多大な事業プロセスの変更が伴うからだ。
これがソリューション利益モデルが高い利益率を上げるカラクリだ。 


次回は顧客ソリューション利益モデルが活用できそうな業界について見てみよう。


後半:
利益モデル1. 顧客ソリューション利益モデル その2


 








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1 件のコメント :


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