2013/03/20

利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その2


前回の投稿では製品ピラミッド利益モデルの説明をした。
→ 2013/3/18 利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その1

提唱者のスライウォツキーも「ザ・プロフィット」の中で述べているが、製品ピラミッド利益モデルを適用できるビジネスはさほど多くない。
正確には、適用できるビジネスが少ないと言うよりも、製品ピラミッドというシステムをしっかり構築できる戦略と戦術に優れた企業が少ないというべきだろう。

ピラミッドの最下層で価格競争力に優れた製品を提供してる企業は沢山あるが、ピラミッドの最上部にある利益率の高い高級ブランドも合わせて持っている企業は少ない。
また、最下層のエントリーブランドの価格競争力やブランド力が中途半端でファイアーウォールとしての機能が弱く、競合の侵入を許してしまっていることもある。
逆に、高価格帯の高級ブランドだけを所有しており、庶民的な製品ラインを持っていない企業も沢山ある。
こうした企業は皆製品ピラミッド利益を得られる可能性を秘めていながら製品ピラミッドを築くという戦略を持っておらず、みすみすもっと利益を上げられるチャンスを逃しているのだ。


今回は、製品ピラミッド利益モデルが適用できるビジネスについて考察してみたい。

コンテンツ

   * 製品ピラミッド利益モデルの構造(その1)
   * 製品ピラミッドが適用できるビジネスは?
   * 製品ピラミッドはどこから築くべき?(次回)


製品ピラミッドが適用できるビジネスは?

製品ピラミッド利益モデルが構築できるビジネスに何か共通点はあるだろうか?
しっかりと階層化された製品ピラミッドを築けている企業の例は、スウォッチの時計、マテルのバービー人形、GMの自動車、Fenderのギターなどだ。
いずれの製品ラインナップにも共通するのは、B to Cの製品であるということだ。

製品ピラミッド利益モデルで成功している企業がB to C企業である理由は、このモデルが前提とするある一つの条件があるからだ。
それは、製品階層ごとに異なるニーズを持って商品と向き合う顧客層が存在しているということだ。

例としてガソリンを考えると分かりやすい。
ガソリンは軽油、レギュラー、ハイオクという3段階の商品が用意されているが、どの商品を選択する顧客も基本的なニーズは変わらない。
つまり、車を動かしたいというニーズだ。
どの油種を選ぶかは乗っている車に左右されるが、ガソリンに対するニーズの違いで左右されるというわけではない。
だから、軽油よりハイオクの方が極端に利益率が高いということもない。

一方、製品ピラミッドのモデルケースとしてよく取り上げられるスウォッチ・グループを取り上げてみよう
スウォッチ・グループが有する製品ピラミッドのエントリーブランドはファッション性に優れ、価格が安いスウォッチだ。
初めてスウォッチが販売されたころは、消費者にとっての時計は一つか二つ、しっかりとした高価なものを長く大切に使う宝飾品のようなものだった。
しかし、スウォッチは洋服のコーディネートの一部であるように毎日付け替えることができる優れたデザインといくつも購入できる低価格で、時計を初めて購入する若者を取り込んだ。
そして初めてスウォッチを購入した若者が成長と所得の増加とともに次のステージに進むことを促すように、ミドルレンジ、ハイレンジ、プレステージ・ラグジュアリレンジのブランドが用意されている。

スウォッチ・グループはベーシックレンジであるスウォッチを含め、4つのブランドレンジとそこに含まれる18のブランドを有している。
それぞれのブランドレンジの商品を購入する顧客は皆違うニーズと特徴がある。
ベーシックレンジのブランドを求めるのは初めて時計を購入する所得の少ない若者。
ミドルレンジ、ハイレンジは社会人になり、今までの安くてプラスチッキーな時計を卒業し、少ししっかりした時計を持ちたい青年。
プレステージ・ラグジュアリレンジはビジネスで成功して所得も高く、自分たちの成功を時計で表現したい大人な男性、というように。

スウォッチ・グループの製品ピラミッドに取り込まれる人々のニーズを見ていただければわかるが、上層に行けば行くほど製品の本質的価値(時間を伝える)よりも情緒的価値(良い時計を持ちたい、成功の表現)に重点が移動していることが分かる。
誰もが認める情緒的価値があるからこそ、不当とも言えるほど利益率が高い製品でも人々は購入する。
一人の顧客が時間とともに製品ピラミッドを登っていくようにデザインされていることも重要だ。

B to Bでは純粋に価格と機能のバランスで製品が選択され、情緒的価値が重視されることはない。
さらに、顧客の予算に合わせて複数のブランドやラインナップが存在することはあるが、顧客が会社の成長とともにより高価格なブランドへ進むということもない。
これが製品ピラミッド利益モデルがB to Cでしか見られない理由だ。


ここまで見てきたように、製品ピラミッド利益モデルが適用できるのは、
1. B to Cモデルであること
2. 情緒的価値により購買意欲を喚起できる商品であること
が前提となる。


次回は製品ピラミッドをどこから築くべきかについて考えてみよう。


同テーマのエントリー:
2013/3/18 利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その1
2013/3/21 利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その3

関連記事:
2012/10/21 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 1
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 2
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 3



 








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