2013/03/21

利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その3


製品ピラミッド利益モデル解説の3記事目。
一回で終わらせるつもりが思いのほか長くなってしまったが、今回は製品ピラミッドをどこから築くべきかという事に触れて、製品ピラミッド利益モデルの総括としたい。

コンテンツ

   * 製品ピラミッド利益モデルの構造(その1)
   * 製品ピラミッドが適用できるビジネスは?(その2)
   * 製品ピラミッドはどこから築くべき?


製品ピラミッドはどこから築くべき?

ある企業が製品ピラミッドを築くことで利益を増大させようと考えた時、その企業はどのような手順でピラミッド建設を進めるべきだろうか。
実際に製品ピラミッド利益モデルを構築した企業に学んでみよう。


■□エントリーブランドから組み立てる□■
エントリーブランドの製品からスタートして製品ピラミッドを作ることに成功したのがスウォッチ・グループだ。
スウォッチ・グループの成り立ちは非常にややこしいのだが、正確にはスウォッチからスタートしてオメガのようなラグジュアリーを開発してきたというわけではない。
1983年にスウォッチを販売開始して以来好調であったスウォッチと、他のスイスラグジュアリーブランドが1998年に合併した結果、スウォッチの上に中級ブランド、高級ブランドという階層が生まれたのだ。

スウォッチが幸運であったのは、中級ブランド、高級ブランドが製品・顧客・ブランドの全てを引き連れて合流してきたということだ。
普通あらたなブランドを構築し、市場で定着させようとしたら数年以上かかるし、それが高級ブランド志向であればあるほどブランド構築に必要な時間は長くなる。
しかし、既存ブランドを組み合わせて製品ピラミッドを作り出せば、ピラミッド構築のための時間が大幅に削減される。

スウォッチのケースを見ると、エントリーブランドからスタートして中級、高級ブランドを立ち上げてピラミッドを築くことができそうだ。
ただし、スウォッチ・グループのように合併やM&Aで中級・高級ブランドを獲得しない限り、ブランド開発のための膨大な時間と資金がかかることになるだろう。


もう一つ、マテル社のバービー人形を取り上げてみたい。
マテル社の製品ピラミッドでは、競合他社よりも安い子供向けバービー人形がファイアーウォール製品としてエントリーブランドに位置づけられていて、昔バービー人形で遊んだコレクターズ向けの200ドル程度の高価なバービー人形シリーズが利益を上げる高級ブランドを構成している。
バービー人形が発売された1959年ごろは、マテル社の経営者も子供向けの安価な商品をファイアーウォールにして市場を独占し、大人向けのコレクターズ商品で利益を出そうなどとは考えていなかっただろう。
昔バービー人形で遊んだ大人達という資産を発見したことにより、コレクターズ向けバービー人形というドル箱商品の発想に結びついた。
マテル社のバービー人形も、エントリーブランドから高級ブランドを生み出した成功例といえるだろう。


■□高級ブランドから組み立てる□■ 
市場の中で高級ブランドの位置づけからスタートし、エントリーブランドも立ち上げて製品ピラミッドを構築して上手くいったケースもあるようだ。

例として提示したいのが、プロミュージシャン向けのオーダーメイドギターを作成しているESPだ。
プロアーティスト向けのESPブランドから開始し、エドワーズ、グラスルーツという廉価版ブランドを展開している。
特にビジュアル系のアーティストに強く、ビジュアル系プロバンドに憧れるギター小僧ギター少女の初心者を5万円前後のグラスルーツで取り込み、10万円〜程度のエドワーズへ導き、最終的にプロレベルになればESPの数十万のギターに到達するという仕組みだ。
ファイアーウォールブランドであるグラスルーツは、製品単体の価値では他を圧倒するほど安いわけでも品質が良いわけでもないが、ビジュアル系バンド御用達という付加価値でもって特定セグメントの顧客を取り込み、ファイアーウォールとしての機能を全うしている。

ESPのように本体である高級ブランドを毀損しないよう廉価版ブランドを全く別名のブランド名で開発すれば、高級ブランドからスタートして製品ピラミッドを構築することは十分に可能なようだ。


結論としては、製品ピラミッド利益モデルを構築するにあたって、決まった手順というのはなさそうだ。
エントリーブランドからスタートして高級ブランドを開発する場合には、高級ブランドの顧客は誰でどのようなベネフィットを提供するのかをしっかり考えてからブランド開発をしないと、下の階層から上の階層に繋がらないちぐはぐなピラミッドになりかねない。
一方、高級ブランドからスタートしてエントリーブランドを新たに開発する場合も、新たに開発するブランドが今の高級ブランドを毀損しないように注意すること、そして高級ブランドと一致する顧客をターゲットとしたエントリーブランド開発が必要だ。


前回記事:
2013/3/18 利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その1
2013/3/20 利益モデル2. 製品ピラミッド利益モデル その2

関連記事:
2012/10/21 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 1
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