2013/03/24

利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その1



今回はスライウォツキーの利益モデル22のうちの3番目、マルチコンポーネント利益モデルだ。
この利益モデルは製造業が比較的取り入れやすく、そして実際に活用されていることが多い利益モデルだ。

これまでの利益モデルの説明方法と同様、まずはこの利益モデルがどのようなものかを説明してから、実例を見てみよう。

コンテンツ

・マルチコンポーネント利益モデルとは何か (その1)
・製品ピラミッド利益モデルとの違い (その1)
・二種類のマルチコンポーネント利益モデル (その2)
・チャネル型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その2) (その3)
・商品型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その4)

マルチコンポーネント利益モデルとは何か

この利益モデルのキーとなるのは、もちろん「マルチコンポーネント」という言葉なのだが、恐らく言葉を聞いただけではピンと来ないだろう。
ここでのコンポーネントの意味は、企業が扱う個別の製品やサービス、そして個別のチャンネルを表している。

どの企業も、単一の商品を単一のチャネルで販売するだけで事業が成り立っていることは少ない。
多くの企業が複数の製品やサービスを扱っているか、複数のチャネルで営業活動をしているか、はたまたその両方に関わっているだろう。
マルチコンポーネントとはつまり、複数商品やチャネルを扱っているという状態を意味する。

じゃあマルチコンポーネント利益は複数の商品やチャネルを扱うべきだと言っているのかというと、そうではない。
各コンポーネントの利益を計算してみると、ユニットあたりの利益額はコンポーネントによって大きく異なる。
だから、各コンポーネントの利益を把握して上手くマネージメントしようというのがマルチコンポーネント利益モデルの要諦だ。


製品ピラミッド利益モデルとの違い

マルチコンポーネント利益モデルは、見ようによっては製品ピラミッド利益モデルと同じなのではないかと感じるかもしれない。

製品ピラミッド利益モデルを思い出すと、顧客セグメントやニーズに合わせて階層が異なる製品を提供し、一人の顧客のニーズの変化を全て受け止められるラインアップを揃える戦略だった。
そして、最高階級の製品が利益全体の半分ほど稼ぎだす最大の利益ポイントであった。

複数の製品やサービスを提供して利益をコントロールするという意味では製品ピラミッド利益モデルに近いのは間違いない。
しかし重要な違いは、製品ピラミッドでは製品の違いが顧客セグメントとニーズの違いを示していたのに対し、マルチコンポーネントではコンポーネントの違いイコール顧客の違いではないということだ。

製品ピラミッドの戦略においては、ピラミッドの下層階級の商品は安価でカジュアルなスウォッチのような商品で、初めてその商品を買うようなビギナー層、若年層といったセグメントをターゲットとしていた。
そして高階層の商品は成功した大人の証であり、重厚でハイクラスなオメガの腕時計はエグゼクティブクラスをターゲットとしていた。

しかし、マルチコンポーネントは必ずしも商品の違いが顧客の違いを意味しない。
マルチコンポーネント利益モデルの好例として必ずスライウォツキーが引き合いに出すコカ・コーラを例に考えてみよう。

コカ・コーラの商品はといえばもちろんコーラで、商品はシングルコンポーネントなのだがチャネルがマルチコンポーネント化している例だ。
コーラの代表的なチャネルには小売店、レストラン、自動販売機の3つがあるが、それぞれのチャネルでの利益が大きく異なっている。
小売店では1オンスあたり2セント、レストランは1オンスあたり4セント、自動販売機は1オンス当たり6セントという利益の出方になっている。
小売店と自動販売機では3倍の利益の差があり、それはつまり小売価格の違いを意味しているのだが、小売店で買う人がお金のない若年層で自動販売機で買う人がエグゼクティブクラスの中高年ということはありえない。
消費者はそれぞれのコンポーネントに対して状況に応じて異なる価格を支払うのだ。

まとめると、マルチコンポーネント利益モデルではコンポーネントによって顧客セグメントが異なるということはなく、同じ顧客が異なるコンポーネントに対して異なる価格弾力性を示す。
商品によって顧客セグメントが異なる製品ピラミッドとの違いはここにある。


「利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その2」へ続きます。




 


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