2013/03/26

利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その3


今回はチャネル型マルチコンポーネント利益モデルの続きからだ。


コンテンツ

・マルチコンポーネント利益モデルとは何か (その1)
・製品ピラミッド利益モデルとの違い (その1)
・二種類のマルチコンポーネント利益モデル (その2)
・チャネル型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その2) (その3)
・商品型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その4)



チャネル型マルチコンポーネント利益モデル (の続き)

チャネル型マルチコンポーネント利益モデルを採用しているビジネスをもう一つあげてみよう。
商業施設や駅前で靴修理の店舗を300店弱展開しているミスターミニットだ。
靴修理というニッチな市場だが、120億円弱の売上をあげている。

ミスターミニットのチャネルはこれまで商業施設や駅前の店舗というシングルコンポーネントだったが、2012年2月から新たなチャネルを追加した。
それは、佐川急便とアライアンスを組んで、佐川急便が顧客の自宅まで修理する靴を回収しに訪問し、佐川急便の物流倉庫内でミスターミニットが修理し、また佐川急便が顧客の元へ返送するという「楽リペ」だ。
店舗というこれまでのチャネルとは全く違う通販型サービスだ。

壊れた靴を駅前や商業施設の持ってくるのはかさばるので非常に利便性が高いサービスなのだが、価格は店頭と同じ価格に設定しているという。
佐川急便への委託料とリペアセンターの場所代を考えると高く付きそうだが、顧客が店舗へ自分で持ち込む必要がないため2足以上同時に頼むケースが多く、客単価が店舗より高くなっているというのだ。
一つのセンター内で集約したリペアセンターを作れば同じ靴の数を修理するのに必要な面積は、店舗をいくつも持つよりも少なくて済むだろう。
それに、駅前や商業施設と比べてはるかに賃料も安い。
この新たなコンポーネントでは客単価が倍になり固定費が下がるので、店舗チャネルよりも大幅に利益率が高くなると考えられる。


ちょっと概算をしてみよう。
120億円で300店舗なので、1店舗平均4000万円くらいの売上だ。
靴のリペアには職人の手がかかせず、人件費が売上の40%を占めているのだという。
他に、原価(材料費など)が10%、賃料が15%、その他間接費が15%といったコスト構造だろうか。
この計算だと営業利益率は20%程度と仮定する。
これが楽リペになると、客単価が200%になるが賃料の1/3、その他間接費も1/3程度削減できるだろう。
すると、佐川急便への回収・配送料金で売上15%のレベニューシェアだったとしても、客単価が店舗と比較して170%、コストが140%になるので、1顧客あたりの利益率は30%まで跳ね上がる
概算に過ぎないが、間接費が削減できるチャネルを持つことで、これだけ利益にインパクトを与えることができる。

では楽リペに集中投資して店舗をたたんでしまえば良いではないか、と考えたくもなるが、これは失敗につながる可能性が高い。
店舗にはミスターミニットと楽リペを知ってもらうためのマーケティング的なバリューがある。
駅前に店舗を展開しているので、いざ自分の靴が壊れた時にどこで直そうかと思案する際に「あ、あの駅前に靴修理している店舗があったな」と想起しやすくなる。
そして店舗で修理するときに楽リペというものの存在を知れば、次に壊れたらコレを利用してみようという気にもなるだろう。

マルチチャネル型ではそれぞれのチャネルが果たしている役割を十分に理解して、それぞれのチャネルの戦術を検討しなければならない。
コカ・コーラが小売店の利益率が悪いことに気づいても小売店での販売から手を引かないのも、自分たちの戦略をチャネルまで浸透させるためにボトラーズを購入したのも、繊細にチャネルをミックスする必要を感じたからに他ならない。


前回記事:
2013/3/24 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その1
2013/3/25 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その2
2013/3/27 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その4

関連記事:
2012/10/21 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 1
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 2
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 3



photo credit: M.Christian via photopin cc

 


0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...