2013/03/27

利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その4


4回にわたってしまったマルチコンポーネント利益モデルだが、商品型マルチコンポーネント利益モデルの例を提示して締めとしたい。

コンテンツ

・マルチコンポーネント利益モデルとは何か (その1)
・製品ピラミッド利益モデルとの違い (その1)
・二種類のマルチコンポーネント利益モデル (その2)
・チャネル型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その2) (その3)
・商品型マルチコンポーネント利益モデルの例 (その4)


商品型マルチコンポーネント利益モデルの例

異なるチャネルで顧客が価格弾力性を示すことに注目したのがチャネル型マルチコンポーネント利益モデルだったが、商品によって異なる利益率を設定する余地があることに注目したのが商品型マルチコンポーネント利益モデルだ。
チャネル型では同じ商品がチャネルによって価格が異なるので、利益率が高いチャネルでの販売数を最大化するのが感心事だった。
商品型では企業が販売している商品は複数同時に売れる商品であることが主で、その中で利益率が高い商品の販売数をいかに増やすかがキーになる。

スライウォツキーが上げている商品型マルチコンポーネント利益モデルの例がパソコンだ。
家電量販店にしろホームページからのダイレクト販売にしろ、PCを購入しようとすると何かと付属品やアップグレードパーツを勧められることが多いのはみなさんもご存知だろう。
パソコンに対するある程度の知識がないと、販売員のセールストークでついつい周辺機器も買わないと後々困ったことになるんじゃないかと勘違いしていしまい、割高な商品を買ってしまったりする。
ある程度パソコンに対する知識がある人でも、こと保証になると故障率を考えるとお世話になる可能性は低いのに3年延長保証を購入してしまったりする。
実はこの割高な付属品や延長保証がパソコンメーカーの利益に大きく貢献しているのだ。

パソコン自体は競合製品が多く、ハードスペックは数値での比較が容易なため、どうしても利益率は限界まで削らざるをえない。
しかし、一度購入の段階まで結びつければ、一度財布を開い顧客は便利だとか安心だという理由で割高な追加周辺機器や保証を購入してくれるため、企業が利益を確保できるのだ。


他の例として、サービスの領域でも何か良い例がないかと考えてみると、スポーツジムが商品型マルチコンポーネント利益モデルを体現しているようだ。

スポーツジムでは一般的に月極の会員権を販売している。
スポーツジムへ通っている方はご存知かと思うが、結構細かく会員区分というものがあって平日限定の会員や夜間だけといった制限付きの費用が安い会員から、いつでも利用できてタオルやウェアのレンタルが無料で他の店舗でも利用できるプレミアム会員まで、レンジの広い会員権を用意している。
最も安い会員と最も高い会員の月会費の違いは実に2倍近くに達する。

価格は2倍もするが、じつはよく考えてみるとスポーツジムにとって両者のコストにほとんど違いはない。
スポーツジムの経費はほとんどが固定費だ。
広い敷地を必要とするので賃借料が高く、マシン設置やプールなどの設備投資もそれなりにあり、メンテナンス費用や運営費用は顧客の利用頻度にあまり影響されないほとんど固定費のような存在だ。
すると、顧客一人あたりのコストというのは殆ど変わらないため、損益分岐点を越えてさえいればあとは全て利益になる。
仮に最も安い会員費が8000円/月でもっとも高いプレミアム会員が16000円/月だと仮定し、固定費が一顧客あたり5000円で変動費が20%だとすると、安価な会員権を購入した顧客の粗利率は17.5%でプレミアム会員はなんと49%に達する。

さらに、スポーツジムでは個人トレーナーによるサービスや、スタッフによるマンツーマントレーニングが提供されている。
これらの追加サービスは、月会費という固定的な売上を上げているにもかかわらず、さらに利益を積み上げる商品だ。
しかも、個人トレーナーはスタッフが兼務していることが多いため、やはり販売によるコスト増加は非常に小さくて済む。


これらの例を見ていただければ、一つの商品だけでなく複数のグレードの商品、つまりマルチコンポーネントを提供することが利益につながることをご理解いただけただろう。
自分や自社のビジネスにもマルチコンポーネント利益モデルが適用できないか、ぜひとも考えてみて欲しい。


前回記事:
2013/3/24 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その1
2013/3/25 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その2
2013/3/26 利益モデル3. マルチコンポーネント利益モデル その3


関連記事:
2012/10/21 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 1
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 2
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 3


 



photo credit: Curtis Gregory Perry via photopin cc

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