2013/03/29

真っ当な方法で真っ当に成功するメーカー アイリスオーヤマ


アイリスオーヤマという会社をご存知だろうか。
名前は知っているけれど、何を売っているのかよく分からない、だけど部屋を見回すとアイリスオーヤマの製品を使っている。
そんなイメージを持っている人もいるのではないだろうか。
同社はいろいろなカテゴリーの商品を企画・開発している、商品開発力に優れたメーカーベンダー(製造業と卸売業の機能を持つ企業)だ。


アイリスオーヤマの企業経営は、世界の工場と呼ばれなくなって久しい日本の製造業が生き残る一つの道筋を示している。

世界の工場が日本から中国や東南アジアへシフトし、コストパフォーマンスに優れた製品という市場では、日本の製造業が勝てるカテゴリーは日々減り続けている。
そんな環境下で製造業が生き残る方法は、米国にヒントがある。
Appleのようにブランド価値を高めてコモディティ製品をブランド製品に転換させるか、コカ・コーラのように製造業というよりもマーケティングに特化した企業になるか、自動車業界のようにロビー活動で国内市場を政治的に保護させるかだ。

だが、そんな環境下にも関わらず、アイリスオーヤマはアジア諸国が得意とするコストパフォーマンスに優れたコモディティ製品で、5年間で年率10%の成長を遂げている。


アイリスオーヤマがコストパフォーマンスの高いコモディティ市場で勝ち続けている理由は、単刀直入に言うと顧客が欲しいと思う商品をこの値段なら買いたいと思う価格で提供できているからだ。
愚直なほど全うな製造業と言えないだろうか。
かつての国内製造業社は、行動成長期という景気要因と、人件費の安さと円安という環境要因によって、これが自然にできていた。
だが、人件費が高く円高な今の環境では容易ではない。

アイリスオーヤマが今でもこの王道の製造業を貫くことができるのは、2つの要因による。

一つは圧倒的な開発力だ。

アイリスオーヤマの主力製品は、LED電球やプラスチック製チェストだ。
どちらの商品も中国やアジアから輸入した商品と同等以上に安く、それでいて品質が高かったり、利便性に優れている。
製品が優れている上に価格が安いのだから、目利きの主婦がこうした商品を手に入れ、口コミで広がっていく。

こうしたコストパフォーマンスと機能に優れた商品を次々と生み出すアイリスオーヤマには商品開発力を高めるための秘密がある。

アイリスオーヤマは全社員の8%程度に及ぶ、200名もの開発者がいるという。
そして、チームで動くというよりは一人の開発者が企画から設計、値付け、販売まで一気通貫で携わる。
普通の製造業では開発はチーム制というのが一般的だろう。

一人が一気通貫で携わるセル方式の開発により開発スピードを高めることができる。
企画会議も裏ネゴなしの数十分のプレゼンで Go or Not Goが決まるスピード意思決定だ。
こうして年間1000アイテムの新商品を生み出す仕組みを作り上げている。


もう一つの要因は、アイリスオーヤマ自身が自分たちを「業態メーカーベンダー」と表する事業モデルだ。
メーカーベンダーとは、メーカーが問屋の機能を持った業態を意味する。

ユニクロやZARAのように製造小売業という業態が珍しくない今、メーカーが問屋機能を持つのはそんなに珍しくないのでは?と思うかもしれない。
しかし、アイリスオーヤマのように幅広いカテゴリーの製品を製造しているメーカーが問屋機能を手がけるのは困難だ。

各地に営業所を置くという多大なコストをかけてでも問屋機能を手に入れた一つの理由は、ユーザーインアプローチを徹底する為だ。
ユーザーインとは、マーケットインよりも一人ひとりの生活者によりそって困りごとを解決するための商品を作るという、大山社長の造語だ。
値段の付け方もコスト積み上げ式ではなく、生活者の値ごろ感に合う値付けをしてから開発を進めるという。

小売店にもアイリスオーヤマの販売員を配置し、生活者の声を拾い上げることで開発のヒントを得て、セル方式開発でスピード感を持って開発するというのが勝利の方程式だ。

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