2013/03/30

ソニー損保はどうして不満の声を堂々とトップページに掲載するのか?



自動車保険を選ぶとき、あなたは何を基準に選択するだろうか?
私の場合、まずネット専業の保険屋から選択する。
手続きがネットで完結できるので簡単というのもあるが、構造的にコストが安いので低価格でもいざというときに支払いを渋る可能性は低いと考えられるからだ。

自動車保険の更新だったので、今契約している保険屋以外も検討していたのだが、ソニー損保が顧客の不満の声を堂々とトップページに掲載していることを発見したのだ。
中身を見ると、確かに編集されたものでもない顧客のナマの意見と思わしき内容が掲載されていたのだ。
あまつさえ、Yahoo知恵袋へのリンクまでご丁寧に張ってある。
自殺行為ではなかろうかと余計な心配してしまうが、これから保険を購入しようという顧客の気持ちを引き寄せようとする戦略が見え隠れする。


普通、企業が発信する商品紹介ページでは、顧客の満足の声ばかりが掲載されていてネガティブな評価は掲載されていないのが当たり前だ。
一ヶ月飲み続けるだけで5kg痩せただとか、値段の割に高級感があるだとか、一本入れるだけで燃費が20%改善しただとか、本当に企業発信のそんな情報が信用できるだろうか?
数千円の商品のような衝動買いして失敗しても大して痛くないレベルの商品であれば、そんな怪しい情報でも騙されたと思って買ってしまうかもしれない。
だが保険のように、単価も数万レベルだし、いざ事故が起きた場合の信用度も考えなければならない商品ではそう簡単に企業発信の都合の良い情報だけでは意思決定できない。

ソニー損保が顧客の満足の声も不満の声も同等にナマの状態で掲載しているのは、利用者に十分な情報が与えられているという感覚を持ってもらうためだろう。
十分な情報を与えられると、消費者は自分の目で判断して選択するというオプションが生まれる。
コレが重要なのだ。

前述のような好都合な情報だけでは順当に考えると買う以外の選択肢がなく、選択するというオプションのなさが「買うという意思決定をして良いのだろうか?」という不信感を招く。
ソニー損保は十分な情報を消費者に与え、自分で判断する余地を与えることによって信頼感を得ている。
不思議な話だが、不都合な情報を提供することによって信頼感を得るのだ。

こうして意思決定した顧客は良質な顧客である可能性が高い。
自分で判断したという感覚が強いので、ソニー損保のシンパになるのだ。
そこには自己責任感が働いている。
自分の家族や友人に薦めたりすることも多いだろうし、他の保険を考えている知人にはソニー損保を擁護して営業社員の役割を勝手に買って出てくれるかもしれない。


グラフの通り、ソニー損保は1999年に営業を開始してから、直近5年間でもほぼ年率10%の成長を続けている。
顧客の不満の声がこの成長に結びついているのだとしたら、なんとも面白い構造じゃないか。

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