2013/04/09

利益モデル6. ブロックバスター利益モデル その2


前回のエントリーではブロックバスター利益モデルの特徴について説明した。
ブロックバスター利益モデルが適した企業とは、製品を企画して世に送り出すまでの研究開発費が高く、開発された商品を製造するための限界コストが低い製品を扱う業界だ。


コンテンツ

  • ブロックバスター利益モデルとは何か (その1)
  • ブロックバスター利益と時間利益モデルの違い (その1)
  • ブロックバスター利益モデルの実例 (今回)
  • ブロックバスター商品の成功率を高める

ブロックバスター利益モデルの実例

■映画業界と音楽業界

代表的なブロックバスター利益の業界は、映画業界と音楽業界だ。
どちらも封を切るまでどれだけの利益が見込めるかが分からない、売上のボラティリティが高い業界だ。
再生産にかかるコストが低いのも特徴で、映画館の観客が一人増えても、売れたCDが1枚増えてもコストはほとんど変わらない。

興行収入が最も大きかったとされている2009年公開の映画「アバター」は、26億ドルの興行収入を得たが、制作費はわずかに2億ドル。
単純計算で粗利は90%を越え、映画としてもビジネスとしても大成功だ。
だが、少しでもボタンが掛け違えて興行収入が10分の1だったとしたら、コストはほとんど変わらないためギリギリ利益が出る程度のビジネスになっていただろう。
ブロックバスター商品は売上の予想が難しく、どれほどの利益を稼げるか下駄を履くまでわからない。




■ソフトウェアメーカー

MicrosoftやAdobeのようなソフトウェアメーカーもブロックバスター利益モデルの条件を十分に満たしている。
ソフトウェア開発会社は大別すると2つのタイプに分けられるが、一方は顧客企業の要件に応じてゼロから作り上げるディベロッパーと、もう一方は自社でソフトウェアを企画開発して販売するソフトウェアメーカーだ。

前者のソフトウェアディベロッパーは、顧客が自分たちのリスクで開発をディベロッパーへ依託するビジネスであるため開発会社が大損する可能性は低いが、見積時点の利益率を大幅に超えることはない。
後者のソフトウェアメーカーは自社でリスクを負ってソフトウェアを開発し販売するため、リスクは大きいが、成功したときの見返りも大きい。
ブロックバスター利益企業はもちろん後者のソフトウェアメーカーだ。

ブロックバスター利益企業のMicrosoftと、そうでないディベロッパーのNTTデータを比較してみよう。
Microsoftの売上は約7兆円(2011年6月期)でNTTデータは約1.1兆円(2012年3月期受注高)と7倍の差がある。
国内最大手のNTTデータを持ってしてもMicrosoftの1/6とその売上額の違いにも驚くが、コスト構造はさらに劇的に異なる。

売上を100とすると両者の原価はMicrosoftが22に対し、NTTデータは75にもなる。
Microsoftの原価率は実にNTTデータの1/3にすぎない。
NTTデータは積み上げたコストの上にマージンを載せるビジネスなので、粗利益率は25%程度になってしまうのに対し、Microsoftのコストはパッケージの作成と流通費用程度なので粗利益率が80%近くになるのだ。

しかし、Microsoftは毎年13%程度の研究開発費を計上している。
金額に直すと1兆円に近い額だ。
今のようにエンタープライズOSやオフィスソフトで独占的な地位を確立している限り1兆円という固定費があっても簡単に損益分岐点を超えるが、ひとたび売上が下がるとこの重い固定費が利益を圧迫することになる。


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