2013/04/28

起業家スタイルと企画家スタイル



新しい事業を立ち上げるにあたって、大きく2つのアプローチがある。
それは自分で会社を立ち上げて新たな事業を始める起業家スタイルと、企業に属してその企業の中で新たな事業を立ち上げる企画家スタイルだ。


起業家的な新規事業企画のメリットは、自分が正しいと思える事業を自分の裁量で立ち上げられる自由度があることだ。
起業家はその会社の最高経営責任者なので、ほとんどの場合社内に抵抗勢力がなく自分の考えで事業を立ち上げることができる。
しかしながら、起業間もない会社は常に資金が不足しているので、起業家は資金提供者を探すことにかなりのエネルギーを割かなければならない運命にある。
そして、企画家が社内から受ける制約ほどではないが、投資家の期待に応える事業運営をしなければならない。

世の中には特定のスポンサー・投資家がついた状態で事業を始めることができる運の良い起業家もある。
スポンサーの付いている起業家は資金提供者を探すという大仕事を免れるが、スポンサーの意見に方針を大きく左右されることになる。
ある意味では、権限の大きさが大きい企画家ということになる。


企画家は社内の資産を使って新規事業を立ち上げるスペシャリストだ。
社内の資産とは主に新規事業開発に必要な人的資本と金銭的資本、そしてその会社が持っているノウハウやブランドといった無形の資本が含まれる。
特にノウハウやブランドといった無形の資本を作り出すのはとても時間がかかるので、それらを持っていない起業家と比較すると企画家は大きなアドバンテージを持っている。

また、起業家のように多大なエネルギーを資金を集めるために浪費する必要がなく、新規事業の企画のために全エネルギーを集中させることができる。
その代わり、社内の社長から役員から部長、他事業部などさまざまなステークホルダーとの利害調整を余儀なくされるのが企画家の宿命だ。


昨今ニュースで新鋭起業家の成功譚がとりざたされるので、新しい事業を起こしたいと思ったら起業家にならなければいけない、という考え方を持つ人が多いようだ。
しかし、企業内で事業を立ち上げるという考え方がもっとあってもいいと思うのだ。

前述のようにすでに存在している企業は、事業を立ち上げるために必要な資産の多くを所有している。
もし起業家として事業の立ち上げをするのであれば、全てを1から集めなければならない。

目の肥えた投資家に、企画段階で資金を出させるのは難しい。
だから、ある程度形になるまで自分の資金を使うか、家族・親類・友人などから資金を集めることになる。
それに比べれば社内を説得して事業立ち上げ資金を獲得するほうが容易いだろう。

このため、起業家のビジネスはスモールスタートであることを余儀なくされ、社会的なインパクトを持つ事業になるまで早くて数年、普通なら10年以上かかることもざらだ。
対して企業内企画家として事業を立ち上げるならば、既存の資金や人材を投入して素早く事業を立ち上げ、既存の顧客リストを使い、一気に大きなインパクトを持つ事業へ育てられる可能性がある。

自分が一国一城の主になりたいのであれば起業家というスタイルが正しいのかもしれないが、経済的・社会的インパクトの大きい事業を立ち上げることに主眼を置くのであれば、社内企画家というポジションが有効なのではないだろうか。

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