2013/05/14

ブランディングのすぐそこにある罠 クロックスが見た地獄 1



ブランドというのは企業に利益をもたらす最も有効な無形資産の一つだ。
ブランド力が優れてさえいれば、同程度のノンブランド製品の数倍から数十倍で販売することが可能になる。
ユーザーの頭の中だけに存在している価値のために、ユーザーが喜んで正味価格の数倍の値段を支払う魔法なのだ。

皆さんも自分以外の人がこの魔法にかかってしまっている製品を幾つか思いつくのではないだろうか。
何百万円もするオメガやタグホイヤーの高級時計、ユニクロの4倍もするカルバンクラインのボクサーパンツ。
中でも私が不思議に思っていたのが、品質的には大差ないコピー品がホームセンターで5,600円で買えてしまうのに、4000円とか平気でしてしまうクロックスのサンダルだ。

7倍の値段で売れるクロックスのブランディング

クロックスのサンダルが忠実なブランド支持者を集めた理由には、ブランド価値の精密コントロールがあった。

まず、クロックスは機能的な価値が出発点であった。
クロックスの素材はクロスライトという高機能樹脂で作られており、体温に反応して足の形に合わせて変形するため立っている時の疲労を軽減する。
斬新なデザインで、ひと目でクロックスと分かるデザインであるだけでなく、アウトドアでもインドアでも活躍する機能的なデザインだ。

そこに、クロックスは情緒的な価値を追加した。
具体的には、日本では30代女性をメインターゲットとしてブランド価値を上げるマーケティング活動を徹底して行った。
なぜなら、日本上陸初期に購入者を調べたところ、機能的価値に反応した30代女性が実に購入者の50%を占めていたことが分かったからだ。
既婚率が高い30代女性は、機能的でありながら、他のゴムサンダルとはちょっと違うオシャレ感があるクロックスを選択したのだ。

この結果を得てクロックスは、30代女性をメインターゲットに据えてブランド価値を高めることを決めた。
そして、セレブ系のファッション雑誌にクロックスを掲載してもらうために、宣伝広告費をどんどん投入した。
一方、あまりセレブ感のない庶民的な雑誌は徹底的に嫌厭した。

こうしてクロックスは、類似品の7倍の値段で売れるブランドを創りだしたのだ。


しかしそんなクロックスもブランドの罠に嵌り地獄を見るのだが、これについては次回触れよう。

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