2013/05/11

利益モデル11. デファクト・スタンダード利益モデル その1


スライウォツキーの利益モデル、その11番目は「デファクト・スタンダード利益モデル」だ。
このモデルでは自社が業界のデファクトスタンダードになることで、様々な利益を獲得することを目標としている。
業界の標準ということは、業界のトップになる、もしくは業界で非常に重要な地位を占めることになるので、大手にしか関係ないと思われるかもしれない。
しかし、自社のポジショニングの定義の仕方次第では大企業でなくてもデファクト・スタンダード利益を活用して大きな収益をあげられる可能性を秘めている。

そんなデファクト・スタンダード利益モデルの秘密を解き明かしていこう。

コンテンツ

  • デファクト・スタンダードの定義
  • 顧客ロックイン(ベンダーロックイン)
  • プラットフォーム化による不労所得資産化 (その2)
  • デファクト・スタンダード利益の実例

デファクト・スタンダードの定義

この利益モデルがどのようなものかを知るにあたって、デファクト・スタンダードという言葉の定義が必要だろう。
デファクト・スタンダードとは、オフィシャルではないが事実上業界の標準になっていることを意味している。

相対する言葉としてはあまり知られていないが「デジュリ・スタンダード」という言葉がある。
オフィシャルなスタンダードということになるが、この場合は政府や何らかの承認機関から標準として認められている状況を意味する。
デファクト・スタンダードは、承認を何処かの機関から得たわけではないが、事実上は業界の標準になってしまっている状態を指す。

デファクト・スタンダードという概念は、様々な規格が必要とされる情報テクノロジーの発展とともに市民権を得るようになったもので、比較的新しい考え方だ。


顧客ロックイン(ベンダーロックイン)

デファクト・スタンダード戦略の一番基本的かつ重要な効果は、顧客をロックインすることにある。
別名ベンダーロックインとも呼ばれるが、その意味するところは一度デファクト・スタンダード製品を使い始めると他のベンダー製品に乗り換えるのが難しくなるということだ。
乗り換えが難しくなるのは二つの理由による。

・丸ごと入れ替え 
第一の理由は、デファクト・スタンダード製品から離れようとすると、一つひとつの製品だけでなくシステム丸ごと入れ替えなければならなくなることにある。
この例はパソコン業界の中のWindows OSを例に考えると分かりやすいだろう。

いまでこそモバイルOSやMac OSが台頭して来たが、1990年台から2000年台のコンシューマーPC市場はほぼWindowsマシンで支配されていた。
多くの便利なPCソフトや周辺機器はWindowsだけに対応していて、マイノリティー志向のMacユーザーやもっとマイノリティーのLinuxユーザーは周辺機器どころか普通に使うのだけでも多くの専門知識を必要とするデバイスだった。

WindowsユーザーがWindows PCからMacやLinuxに移ろうとしても、今まで使っていたソフトウェアや周辺機器が使えないことが多く、全て買い換えなければならなかった。
つまり、Windows PCから別のプラットフォームに乗り換えることは、システムを乗り換えるということを意味しているのだ。

しかもソフトウェアと周辺機器の操作方法を一から学び直さなければならなず、金銭以外の負担が大きい。
こうした複数のネガティブな要素が重なり、ユーザーがデファクト・スタンダードのプラットフォームから乗り換える障壁になっている。


・エコシステムが発達することによる利便性の強化
ユーザーがデファクト・スタンダードのプラットフォームから離れることをためらうのは、めんどくさいというネガティブな理由だけではない。
スタンダードを中心としたエコシステムが発達することにより、ユーザーの利便性が高まる。
その利便性ゆえにユーザーがデファクト・スタンダードに喜んでロックインされるということもある。

これもWindowsを中心としたエコシステムで考えると分かりやすい。
Windowsはあまりにも業界のスタンダードとして強すぎたので、どの周辺機器メーカーもソフトウェア開発会社も安心してWindowsプラットフォームにのっかることができた。
コンシューマー向けのソフトがWindows向けにはどんどん充実してきたが、MacやLinuxは利用者が少なく業務用利用も多かったため、コンシューマーが使いやすくて楽しめる土壌は育たなかった。

たとえタダでMacやLinuxをあげるよ、と言われても本格的にWindows環境から離れたい人はいなかっただろう。
今ではなく90年台〜2000年台の話だが。
それだけエコシステムが優越していると、デファクト・スタンダード企業はリテンション(顧客維持)に営業経費を掛けずとも、ユーザーはとどまってくれるものなのだ。


続きはその2へ。



関連エントリー:
2013/5/11 「利益モデル11. デファクト・スタンダード利益モデル その2」
2013/3/16 「エイドリアン・スライウォツキーのプロフィット・ゾーン経営」
2012/10/21 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 1
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 2
2012/10/22 「プロフィット・ゾーン経営戦略」ノート 3


 



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