2013/05/06

利益モデル9. 専門家利益モデル その2


スライウォツキー利益モデルの9番目、「専門家利益モデル」のその2だ。
前回のエントリーでは、専門領域に特化した企業がどのようにプロフィットゾーンへ留まるかについて説明した。
端的にいうと、特定領域の技術や知識に特化した企業の製品とサービスは、品質の面でもコストの面でも多角化企業を上回るケースが多い。
その結果、専門家企業は既存顧客の維持と新規顧客の獲得の面で多角化企業に勝り、利益をあげることができる。

だが、専門家として特定分野に特化していては、市場規模の壁によって簡単に成長の限界に達してしまうのではないか?という疑問が湧いてくる。
この問に対する答えを、ABB社を参考例に考えてみよう。


コンテンツ

  • 専門家利益モデルとは (その1)
  • 専門企業のグローバル・ネットワーク

専門家企業のグローバル・ネットワーク

ある製品や分野の専門家企業になるということは、自ずとその市場規模により成長の天井が定められてしまう。
また、市場自体が代替製品により侵食され、淘汰されはじめると、専門家企業ほどその被害を免れるのが難しくなっていくだろう。
専門家企業にはこうした弱点が存在しているのだ。

そんな専門家企業が専門家でありながら多角化する戦略を、スイスに本社を置くアセア・ブラウン・ボベリ社(ABB社)が体現している。

ABB社は世界100カ国以上に進出しており、日本円にして約40兆円という巨大な連結売上高を持つ多国籍重電メーカーだ。
同社は主に電力技術部門とオートメンション技術部門の2つの部門からなっており、電力技術部門は送配電関連製品の製造やソリューションの提供を行なっており、オートメーション技術部門は製造業者へ生産ロボットや制御システムを納品している。

ABB社は技術の発展に伴い複雑化する送配電会社や電力会社の要件に応えるために必要な技術を、自分たちで全て調達しようとは決して考えなかった。
それよりも買収で同じような重電メーカーを世界各国で買収し、それぞれの企業が特定の分野で特化することを求めたのだ。
つまり、世界中にABB傘下の専門家企業のネットワークを作り、顧客の要求に応える複雑なソリューションのパーツをそれぞれの専門家企業から調達したのだ。

この手法を取ることにより、ソリューションのそれぞれの要素(製品)は競合製品よりも優れている上に価格が安いという顧客メリットを実現した。
買収された企業は、原材料のグローバル調達により大幅にコストが下げられる代わりに研究開発費へ資本を回すことができる。
さらに、ABB社傘下に入ることによって営業コストとマーケティングコストを合理化することができる。
こうした製造原価と営業コストが下がったにも関わらず、製品品質も営業効率も上がったというわけだ。
顧客もこうした変化を喜ばないわけがない。


このように専門家企業のネットワークを構築することによって、プロフィットゾーンに留まったまま事業領域を広げていくことは十分に可能なのだ。
近年ではABB社のように子会社化して専門家企業のネットワークを構築することはさほど多くない。
だが、最近良く耳にする異業種アライアンスやベンチャー企業と大企業のアライアンスなどは、実は専門家利益モデルをなぞっていると言えるのだ。


0 件のコメント :

コメントを投稿

LinkWithin

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...