2013/05/03

利益モデル8. 起業家利益モデル その2


スライウォツキーの利益モデルその8、「起業家利益モデル」の続き。
前回のエントリーでは起業家利益とはどんなモデルか、どのような状況下で有効に活用できるかについて書いた。


起業家利益モデルとはなんぞやということについて簡単に振り返ってみよう。
これまでの利益モデルとは異なり、起業家利益モデルは具体的なビジネス戦術ではなく起業家的企業運営によって利益を捻出するモデルであった。
このモデルを有効に活用すると、(1)大企業が市場を占有しているシェアを奪う、(2)大企業が手を出せないリスキーな新市場に打って出る、(3)ローコスト運営で利益を生み出す、ということが可能になる。

このエントリーでは、上記であげたような利益をなぜ起業家利益モデルでは実現できるのか、大企業の官僚組織と起業家組織の違いという視点で解き明かしてみたい。

コンテンツ
  • 起業家利益モデルとは何か (その1)
  • 利益に影響をもたらすベンチャー企業と大手企業の違い
  • 起業家利益モデルの実例

利益に影響をもたらすベンチャー企業と大手企業の違い
大企業とベンチャー企業の違いは多々あれど、生み出す利益を違えるのはどのような特徴の違いによるものなのか考えてみよう。

組織構造の違いがもたらす間接費の違い
単純かつ明確な違いは、コスト構造の違いだ。
製品原価という意味では調達量が多く交渉力がある大企業の方が上かもしれない。
しかし、起業家は大企業と違い間接費をできるだけ抑えることで利益の嵩上げを図る。

大企業はしばしば立派な自社ビルや最先端のデスクセット、豪華装備の会議室などに過剰なコストをかける。
人材に対してのコストも同様で過剰なことが多く、年功序列や「配慮」のために余計なポストを作って人件費を高止まりさせている。

一方、起業家は古くて見た目は悪くても立地の良いビルを賃借し、もらってきた机や中古設備で利益に直結しないオフィスコストを抑える努力を怠らない。
人材についても、余計なポジションを極力作らずなるべく階層が少なく風通しの良い組織を維持しようとする。
良くも悪くも人件費は平均的に低く抑えられている。

こうした目に見えやすいコスト感覚の違いばかりではない。
官僚的大企業は意志決定を下すまでに何度も何度も大人数が参加する会議を繰り返し、満場一致で賛成できる妥協点を見つけ出すのに多大な時間を浪費する。
ここには言うまでもなく、何度となく繰り返された会議に参加した社員や経営幹部の膨大な人件費が浪費されている。
更に質より量が求められる資料作成に社員は忙殺され、修正が入るたびに経営会議事務局は校正と丁合いを行わなければならない。

一方で起業家組織では重要なデータやポイントだけ簡単にパワーポイントにまとめられ、あとはホワイトボードで説明するだけで良いのだ。
冗長な説明や事前の根回しは忌避され、一度の会議で結論は下される。

単純化しすぎたストーリーによる対比かもしれないが、こうした要素が積み上がって大企業組織と起業家組織の間には大きな間接費の違いが出てくるのだ。


コミットメントの違い
もう一つ特筆すべき起業家組織が大企業を上回る利益をあげる要因は、起業家組織のほうが社員一人ひとりが会社の成長に対して能動的であることだ。

大企業では個人が会社の成長に貢献してもそれが報酬とリンクする割合は低い。
たとえストックオプションを提供していたとしても、大企業であるがゆえに自分の努力が株価の上昇につながる割合は非常に低い。
これに対して、ベンチャー企業では自分の努力がダイレクトに会社の利益に反映されやすく、自分の努力で株価を上げてストックオプションで利益をあげられるかもしれない、という期待感をリアルに持つことができるだろう。

このような社員を鼓舞するインセンティブも起業家組織が利益をあげる土壌になっている。


社員の意識という点では、コミットメントについても触れなければならないだろう。
ベンチャー企業では必然的に社員の数が少なく、一人ひとりの社員が大きな裁量と責任を背負って仕事をしなければならない。
裁量と責任を背負って仕事をするプレッシャーには耐えられない人もいるかもしれないが、これは仕事に対するコミットメントとやりがいにつながる重要な要素だ。
それに、実戦は何にも勝る教師であるため、人材も早く成長するだろう。

官僚的大企業では反対にコミットメント不足の人材が蔓延している。
必要以上に階層が多かったり、権限が明確に規定されてしまっていることへの反動だろうか。
無論大企業の中にもコミットメントが高く、献身的に企業へ貢献しようとする人はいるが、こうした人々も社内政治にくたびれて燃え尽きがちなのも事実だ。


総括すると、起業家利益モデルは低コスト運営による利益のかさ上げと、社員の企業成長に対する意欲とコミットメントから大企業を凌ぐ利益をあげられるのだろう。
これが起業家利益モデルの目的であり目標なのだ。

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