2013/05/05

利益モデル9. 専門家利益モデル その1



第9番目のスライウォツキー利益モデルは「専門家利益モデル」だ。
この利益モデルは利益を稼ぐための具体的な戦略に関する利益モデルというよりは、戦略の基礎となる方針についての一つのモデルだ。
この利益モデルでその業界のプロフィットゾーンに向かうことが出来るかは分からないが、企業戦略のフレームワークとして知っておいて損はないだろう。


コンテンツ

  • 専門家利益モデルとは
  • 専門企業のグローバル・ネットワーク

専門家利益モデルとは

日本では戦後からバブルが崩壊するまでの好景気の間、大企業にとっては多角化戦略が利益を底上げするための基本的な戦略の一つであった。
多くの製造業者は単一製品から複数のラインナップを手がけるようになり、さらに複数の分野の製品を作り、やがて別の業界にも進出し巨大化していった。
こうして生まれたのがパナソニックや日立、ソニーなどの日本を代表するメーカーだが、この時代は多角化戦略がプロフィットゾーンに留まるための正解だったのだ。

しかし、一度バブルが崩壊して低成長が続くようになると、多角化はプロフィットゾーンではなくなった。
技術は進化し続け、顧客の要求はどんどん厳しくなるため、各業界の専業メーカーが総合メーカーを凌ぐようになってきたのだ。

この図式はパソコン業界がとてもわかりやすい。
パソコンが家庭に普及し始めた2000年頃、国内はNECや東芝、ソニーといった総合メーカーがしのぎを削っていた。
しかし、徐々にコンパックやDell、HP、レノボなどの外資系パソコン専業メーカーが市場に参入してくると、総合メーカーの利益は削り取られ、パソコン事業の縮小や売却を余儀なくされる状況に陥った。

専門家利益モデルでは、コンパックやDellのようにパソコンに特化して低成長、低収益業界でも利益を稼ぎだす。
専門家戦略をとった企業は、R&Dの投資対象を絞り込むことによって製品やサービスの競争力を強化すると同時に、販管費と原価を抑えることができる。
コスト削減による低価格化とR&D投資により高品質化された製品とサービスで顧客を満足させ、利益を稼ぐという正のスパイラルが生まれるのだ。

だが、市場規模が限られている以上、専門家企業は大きな拡大を狙うことはできないのではないだろうか?
この疑問にはスライウォツキーの原著「プロフィットゾーン経営戦略」にも例示されているABB社のグローバルネットワーク戦略に答えがある。


ABB社については次回のエントリーで。

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